信じられない行動を取る人っている。
自分の人生フローにはそんな項目ございませんよと言いたくなるぐらいのレベルで。
不定要素としてはヒドすぎる、予定調和なんて気にしない。そんなヒト。
その人は突然とやって来た。
日曜日の朝10時。休みであれば、完璧に爆睡している。
世の中でもっとも尊ぶべき時間。
通常であれば、かなりの確率で(サタデーナイト)には年甲斐もなくわんぱくに遊んだ挙げ句、
朝帰りコースってやつだろう。
その前日も例外なく“六本木エンジョイお姉ちゃんプラン”を悦しんできたばかりだった。
夢の中は昨日の続きで、ハッスルタイムの笛が鳴り響きながら・・・。
「・・・か、来たみたいよ」zzz「ねえ、誰か来たよ」
あぁ?どこのバカだ、私の睡眠を妨げるのは。
寝ぼけまなこで起きると、そこに妹が立っていた。
「なんか友達が来てるよ」 へ?「だからぁ、ト・モ・ダ・チ」
小学生じゃあるまいし、日曜日に訪れてくる奴なんてまず居ない。
つうか日曜日じゃなくてもアポなしで家まで来る奴なんて居ないだろう。
その時点でソイツは友達じゃないかもしれない。
じゃあ誰さ。
もしかして、友達を装ったギャルのどっきり?
(うしろからヘルメットと看板を持った奴が笑いながら登場というパターンで)
それとも現実だと思っているけどほんとはまだ夢?リアル白昼夢?
そんなことを思いながら階段を降りて玄関に出ると、そこにはフル笑顔の眼鏡君が突っ立っていた。
「やあ、久しぶり!」って。
私がもし未来から送られてきた殺人アンドロイド‐ターミネーターT1000だったら、
きっとこう言ったに違いない。
「フーアーユー?」
いや、実際に私はそう言った。誰、お前?
フル笑顔眼鏡君は、私の辛辣なセリフにも微動たりもせずに続けた。
「あっ、ホラ、小学校、中学校で一緒だった○○だよ。元気かなぁと思ってさ」
はぁ、わざわざ訪れていただかなくても中学校卒業した後もそのまま元気ですよ、私。で?
だいたい日曜日のこんな時間にヒトん家に来るような男だけに、
ソイツは前振りもすっ飛ばす直球勝負のタイプだった。
「いや、今回の選挙、もしよかったら・・・・」
普段、わりと他人には温厚であると自ら信じている私もこの時ばかりはブチ切れそうになった。
お前は選挙のことで頭一杯で知らないだろうけど、
数時間前はハッスルタイムだったんだぞ、ハッスル。
いまだって私はハッスル気分なんだ。
「まあ、そういう話はアレだから」
私は自分が10人の僧侶に取り押さえられ、なだめられている姿を想像しながら、
なるべく差し当たり無く言うと、また深い眠りの中に滑り込んでいった。
何を信じようとそれはソイツの勝手だ。偶像崇拝でもなんでもいい。
信じたければイワシの頭だって、猫のクソだっていいだろう。
それは個人のレベルだ。
また何を信じるからってそこに差別や偏見が生じてはいけない。
私だって偏見なんぞしたことない。あたりまえだ。
ただ俺も猫のクソを信じるからお前も信じろよというのはマズイ。
他人に勝手にクソを薦めちゃいけないよ。
そんかわり、ソイツがクソを信じる際には温かく迎えてやればいい。
そんなもんじゃないか。