京王線西調布駅を出て品川通りを目指すこと10分。江川亭という有名店の近くに1軒のラーメン屋がある。
「祭」だ。まず初めてのお客さんは、この店の造りに驚くだろう。
鰻の寝床のような一直線の細い店内。立て付けの悪い扉(コツをつかまないと開けられない)、薄暗い蛍光灯、カウンターで堂々とタバコを吸うマスター、お世辞にも綺麗とは言い切れない店内。そして、でこぼこしている床(椅子の位置を極めないと、ズズっと沈む)。とにかく強烈である。
それでも客足が絶えないのは、熱烈なリピーターがいるからである。夜中12時過ぎでもぞくぞくと常連さんが訪れる。
写真はラーメン(550円)。
スープは、注文ごとに小鍋へひとつひとつ取り分けて温める手法。蓮華ですくうと、骨粉が確認できるほどのトロリとした凝縮感でかなりの濃さである。なかなか獣臭い。そう、北九州の魁龍を彷彿させるようなスープだ。
具は焼き豚と葱ともやしでシンプル。麺は中細麺だ。スープがかなり濃厚の豚骨なので、メニューにあるキムチラーメンが相性良いかも。
餃子にはピリっと酸味が効いたオリジナルのたれが掛けてあり、さっぱりとしている。濃いスープとは対照的なあっさり感で、つい箸が進んでしまう。
こちらは餃子(350円)。
それにしても店内の雰囲気はかなり独特だ。最近のラーメン屋はジャズが流れたり小洒落た内装だけれども、もっとB級でいいんだよね。なんかこの小汚さとマイペースっぷりが懐かしくもあるものである。そういうのが苦手な人にはお勧めできないけれど、味は確かで、夜中も賑わっているし、なんといってもこのスープの濃厚さは特筆だ。
祭
調布市上石原2-10-24
18:00~翌02:00
月曜、第一日曜、定休
ラーメン --\550
キムチラーメン --\700
岩のりラーメン --\750
チャーシューメン --\850
ごま味噌坦々麺 --\800
替え玉 --\100
餃子(5個) --\350
餃子(7個) --\500
その他モバイル会員の限定メニューあり
─HP─
激辛ラーメンというジャンルがあるとすれば、この店こそ唯一無比だろう。数多くのメディアでも取り上げられているので、名前を聞いたことがある人も多いはず。蒙古タンメン「中本」だ。
元々は上板橋にあった「中国料理中本」が発祥で、この店は1998年に閉店したのだけれど、どうしてもこの「中国料理中本」の味が食べたいという2代目オーナーが上板橋にあらためて開店した。
店舗は上板橋の本店を始めとし、池袋、新宿、目黒、吉祥寺、亀戸、御徒町にある。
写真は蒙古タンメン(770円)。
辛さレベルで5。14種類のスパイスと2種類の味噌を門外不出のレシピで混ぜ合わせたスープに乗っかっているのは、とろみのある麻婆豆腐。まず他店じゃ目にすることがない、そんな器の奥には、もちもち麺とバラ肉とキャベツ、白菜、人参、ニラなどたっぷりの野菜がくたくたになるまで柔らかく煮込んである。かなり異色である。
ラーメンがカウンターに運ばれると同時にポケットティッシュを渡されるわけだが、これはラーメンを三分の二ほど食べたときに、とてもよく分かる。なんつっても辛いのだ。とにかく辛い。いや、本当に辛い。野菜の甘さがオアシスのように感じる。汗が噴きでてくる。冬はいいけど、夏はどうなんだ?汗びっしょりになるだろう。食べていると、自分の食道の筋道が手に取れそうなくらいだ。身体全体がポカポカと暖まってくる。
すんごく辛いので、もう駄目だ、俺・・、なんて思うけれど、なぜかスープを啜ることを止めることができない。これがこの店の常連が揃って囁く<中本の中毒性>ってやつなのか。なにやら格闘技の試合をした後のような感じで店を出るのであった。病みつき度合いも天井知らずである。
中本 池袋店
豊島区西池袋3-26-6 サンサーラ西池袋ビル2F
10:00~翌01:00
年中無休
蒙古タンメン(レベル5) ーー\770
北極ラーメン(レベル9) ーー\800
味噌卵麺(レベル8) ーー\850
味噌タンメン(レベル3) ーー\750
─HP─
2008年10月、新橋にオープンした「きらら」は、五反田に本店を持つ九州大牟田ラーメンの店である。新橋駅烏森口から徒歩2分のところにある。連日、新橋名物(?)の酔客で賑わっていて、この界隈の注目株だ。
写真は、ばりこて塩ラーメン(750円)。
店内に足を入れるとムッと立ち込める豚骨スメル。どんぶりには木くらげと薄切りチャーシューと刻み葱と海苔という具材。たっぷりの木くらげが嬉しい。
スープは豚骨臭がありつつも柔らかい味で、ばりこてと謳うほどかどうかはさておいて、けっこうな濃さのスープである。勿論、麺は細く、スープへの絡み具合はバッチリだ。紅ショウガや辛子高菜、白ゴマ、にんにくと卓上調味料も充実。
きららのラーメンは、北九州のどんな街でも必ず1軒はあるラーメン屋の味だ。東京だからこそ、そんな普通の九州ラーメンが貴重。スープも完食できてしまう。大牟田ラーメンってのは何だろう?なんて思ったけれど、是非、醤油もぜひ試してみたい。
きらら
港区新橋3-16-22
11:00~深夜
無休
ばりこて醤油ラーメン --\750
ばりこて塩ラーメン --\750
白味噌豚骨ラーメン --\750
白柳ラーメン --\650
眠らない不夜城といえば新宿歌舞伎町。その繁華街では、ここ数年ラーメン戦争が勃発していて、なかなかの激戦区である。2009年3月1日にオープンした「六つ門」は、小滝橋通りに本店を持つ久留米ラーメンを看板にした店だ。
ところで、この店の造り、なんか見覚えがあるなぁと思いきや、そう、以前なんでんかんでんがあった場所である。店内の雰囲気はまるで違うけど。
写真はラーメン(680円)。
白濁のとろりとした豚骨スープは、なかなかマイルドな仕上がりで、豚骨臭くない。麺は九州らしさのある細麺。やわめからハリガネまでと、お好みの硬さで注文可能。テーブルには高菜や白ゴマや紅生姜などといった調味料関係も充実しているので、嬉しい限りだ。
スープからして久留米ラーメンなのかどうかは、意見の分かれる部分だと思うけど、この激戦区に勝負を挑んだのは、それなりに勝算を見込んでのことかもしれない。まろやかな豚骨スープを好きなお客さんには人気が出そうだ。店員さんの応対は親切丁寧そのもので、歌舞伎町界隈のラーメン屋ではピカイチである。
「六つ門」
新宿区歌舞伎町1-15-8 丸ゆうビル1F
10:30~翌06:00
年中無休
ラーメン --\680
特六つ門 --\880
特新味 --\900
黒醤味 --\900
赤辛味 --\950
豪快麺 --\1000円
替え玉 --\100
角煮めし ーー\250
明太めし ーー\350
JR高円寺駅北口を出て数分歩くと、乾物屋やベトナム料理が所狭しと肩を寄せ合っている独特の雰囲気を醸し出している大一市場があり、その一画にカウンターだけのラーメン屋が営業している。「ひら石」だ。
この店の特徴はなんと言っても、無化調を謳っているところにある。いわゆる化学調味料を使っていないということだ。この無化調or化調は、ラーメン好きの連中では賛否両論に事欠かさないテーマで、どちらにも言い分があったりと、喧々諤々だ。
最終的には個人的な好みで判断されるんじゃないかなと思うので、まあ、すきずきで・・・と、僕なんかは思うのだけど。
写真はらあめん(700円)。
たっぷりの煮干でとったスープに熱々の油が浮いていて、魚系の香りがプンと漂う。麺にもこだわりがあって、オリジナルの無かん水麺を使用。スープを啜ると、かなり濃厚の味がする。完全に魚系で、何処となく懐かしい味だ。もっちりな中細麺も歯ごたえばっちり。初めての来店だと、ついインパクトに欠けるかもしれないけれど、しばらくすると無性にここのラーメンが食べたくなる、そんな味だ。ちなみにメニューにあるジャンボ餃子は、本当にジャンボで、相当お腹が空いていないとボリューム負けしちゃうかもしれない。一人1個で満足できる気がする(2人で5個頼んだので、すさまじいことになった)。
ジャンボ餃子5個(700円)。
なお、向かいの四文屋という焼きとん屋で、このひら石のラーメンを注文することができる(50円増し)。無化調煮干系ラーメンとお酒の相性って、けっこういいものである。
「ひら石」
杉並区高円寺北3-22-8 大一市場内
11:30~翌01:00
(スープがなくなり次第閉店)
月曜定休
らあめん --\700
ごまみそらあめん --\830
香味油らあめん --\830
つけめん(しょう油) --\830
つけめん(ごまみそ) --\890
スタミナ餃子(数量限定) --\450
ジャンボ餃子(5個) --\700
※2個からも注文可能(1個150円)
大幅に仕事環境がガラリと変わってから、約1年が経過した。
1年間はじっくりと仕事に専念して仕事を中心に生活をすることを心掛け、とにかく<慣れる>ことに没頭した。業務時間後に帰宅しても、なかなか仕事のテンションが抜けられずに困ったぐらいだから、プライオリティの順位付けとしては、まあ成功したのだろう。
そんな1年を通した感想は、充実していたともいえるし、いささか味気ない─どちらかといえばバランス感覚が乏しいということか─と表現しても良いくらい、仕事人間だった。今年も相変わらず繁忙の予感だけはあるのだけれど、少し心情的に余裕が生まれたので、仕事以外にも手をつけていこうと思う。
なにせ1年間は手出ししていなかったのだから、こんなことをしたい!ってのだけは山のようにある。
それと最近は時間についてもよく考える。
僕には果たしてあとどれくらいの時間が残されているんだろうと。別に不治の病に罹ったとかではないし、ハットを被った子供姿の死神君が現れて、残りの寿命を告げたとか(解る人は解るよね。そう、えんどコイチの漫画です)ではないんだけれど、自分の時間なんて永遠だなんて考えてた若い10代20代と比較して、30代の今は自分の先を考えるようになった。
ある人はそういうのを人生設計というし、ある人はプランとも言う。呼び方に多少の差こそあれど、とにかく自分の残された時間ってどれくらいなのか、それを意識するようになった。そうすると、次第にやりたいことが間に合うのかななんても考えるようになる。まあ、1歩づつ1歩づつ、亀がゴールを目指すように。4月から会社が終わった後に週1で学校に通うかもしれない。
JR山手線高田馬場駅の早稲田口を降りると、そこはガード下。信号を渡り左方向にずっと5分ばかり歩く。うっかりすれば見落としても不思議じゃないくらいに気配の少ない看板がある。「おかしら」だ。
気配が少ない、というのは誇張表現でもなんでもない。この「おかしら」は、ごくごく普通のビルの地下1階にある焼きとんの店なのである。
土地柄、学生が多くて毎日が文化祭のごとく賑わいのある外の世界とは趣が異質な店内。まるで遠い旅先で出会ったような居酒屋。シンとしているが肩肘を張るような雰囲気でもない。じつに店内全体が落ち着いているのだ。夫婦で営んでいる気持ちのいい店。静かな談笑がとても似合う。炭がパチパチと音を立てて、ご主人さんが手際よく串をクルリと返す。
カウンターがコの字で20人も入れそうもない店には香ばしい串の香りが漂う。
串は100円。はつはじ、たんもとなど珍しい焼きものもある。ほんのり焼いたレバが秀逸。半生のレバにはタレが合う。
レバやハツなど刺身が最高。
もし、いいイカが仕入れられたら、日替わりにメニューに載っているので、イカわたとゲソのホイル焼を頼んで欲しい。ほろ苦いイカワタを箸の先で突付く。こんな肴には、芋のお湯割りで。のうみそ、なんて一風変わったメニューもある。
「おかしら」
新宿区高田馬場3丁目12-5
18:00~24:00
串 --\100
つまみは日替わりで黒板に。
焼酎 --\480