2005年07月29日

品川「Vento」

「Vento」、イタリア語で『風』という意味のこのレストラン、カジュアルだけれどもきちんとアメリカンイタリアンを提供している。

アメリカンピッツアはイタリアンピッツアと比べると生地が厚めだから選り好みもあるだろうけれど、ここの生地は全体が分厚いわけじゃないからオッケーだ。

ニューヨークスタイルの店内は、空港までのアクセスと隣接しているプリンスホテルがあるせいか外国人客も多い。

明るいけれど雑じゃない、エレガントだけれど鼻につかない、そんな清々とした店内は照明も適度で白を基調とした装飾で居心地がいい。ワインもそれなりに揃っている。

さて味のほうはというと悪くない。前菜もしっかりとした料理が用意されているし、手ごろなボリュームもあるので良い。

昨今の日本流の前菜は、皿の20分の1ぐらいしか乗っていないんじゃないかこれってのが目立つけれど、ここはさすがにニューヨークスタイル。前菜もビシッと提供しているのである。

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写真はモッツァレラとトマトのサラダ。前菜といえばこれ。チーズがふわっとしていて、しかもコクがあってトマトとバッチシ。チーズでかい。粗挽き胡椒と岩塩を少し添えて。


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で、続いて炙りマグロのカルパッチョ。焦がすことでマグロの素材を最大に引き出したカルパッチョは白ワインと一緒に。葱の風味もアクセントとして良い。


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こちらはもち豚とほうれん草のパスタ。ゆず胡椒が絡めてある。
アルデンテのパスタはするすると胃の中に収まる。もち豚とほうれん草の組み合わせが旨い。クセのないミニマムを聴いているようなパスタだ。バターと絡めたゆず胡椒も特筆である。

日本ではあまりメジャーではないテーブルチェックがこの店のスタイル。

日本にはチップの習慣はないのでTipsする必要は1ミリもないけれど、ウェイターウエイトレスのサーブが気持ちよい店でもあるので、それはそれでいいかもしれない。

キャッシャーで払うのよりはテーブルチェックの方が僕は好きだ。もっとこういう店増えないかな。


Vento
東京都港区高輪4-10-18
11:00~23:30(L.O.22:30)
土日祝11:00~23:00(L.O.22:00)
チョップドサラダ--\1200
炙りマグロのカルパッチョ--\1300
彩り野菜のペペロンチーノ--\1200
玄米と野菜のリゾット--\1200

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2005年07月28日

四谷「宮川本店 四谷店」

四谷駅から10分も歩かないぐらいの裏通りに入ったところにあるのが、この宮川本店の四谷店である。

宮川本店の鰻の捌き方を正統的に踏襲している。程よい蒸らし具合に、脂っぽくない鰻がご飯に乗る。

ご飯は少し柔らかめであるかもしれないが、タレとの調和がしっかりしているので苦にならない。

宮川の鰻の最大の特徴が紀州備長炭でじっくり焼き上げた鰻にあることだろう。
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宮川本店 四谷店
東京都新宿区四谷2-11-9 報友ビル1F
平日:
11:30~14:00、17:00~20:00
ランチタイム 11:30~14:00
日祝:
11:30~14:00、16:30~19:45
ランチタイム 11:30~14:00

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2005年07月27日

マルホランド・ドライブ

マルホランド・ドライブ【2001年 米】

監督:
デヴィッド・リンチ(David Lynch)

キャスト:
ベティ・エルムス/ダイアン・セルウィン --ナオミ・ワッツ(Naomi Watts)
リタ/カミーラ・ローズ --ローラ・エレナ・ハリング(Laura Elena Harring)
ココ --アン・ミラー(Ann Miller)
アダム・ケシャー --ジャスティン・セロー(Justin Theroux)
ジョー --マーク・ペレグリノ(Mark Pellegrino)
ジョー --ジャスティン・セロー(Justin Theroux)
マクナイト刑事 --ロバート・フォスター(Robert Foster)
カウボーイ --レイパエッテ・モンゴメリー(Laypayette Montgomery)

「ツイン・ピークス」で世界中の視聴率を奪い、「ストレイト・ストーリー」で感動を奪った男が次に奪ったのは・・・、何なんだろう?

のっけから破綻したコメントしてしまおう。またしてもリンチにやられた。

リンチの白昼夢に付き合うとロクな目に合わないぜ。そう言ってしまいたい。

なんだってこの映画観てみろよ。レズの女にカウボーイ、殺人依頼と自分の見た悪夢を話す男。

幾つも張られた伏線。ダイアンがベティでベティがダイアンで、ココがお母さん?

どうかしないほうが不思議だ。

冒頭のタップダンスを繰り返すモーションの遅い醜悪で滑稽な50年代風の映像からしてイカれている。この映画作った奴は危ないぜ。そう思うのが当たり前のシーンだ。

L.Aじゃ何処にでもありそうな架空のファミレス「ウインキーズ」のシーンは、観る度に喉の渇きを覚える。気が触れそうなくらい特徴のないファミレスで自分の見た夢を話す男。

その映像自体が誰かの夢なんじゃないだろうかと猜疑心すら抱く映像だ。

この映画で、誰が何処で「This is the girl」と言うのか追跡して欲しい。
きっと追跡行為自体が作用を及ぼすだろうけど。やってのけてくれ。

とにかくリンチは中毒になる。病みつきだ。もう観るのは止そうと思っても、結局マルホランドからは逃れられない。いや俺こそが「ウインキーズ」で立っているのかもしれない。

で、誰の夢だったんだ?この映画。

病みつき度★★★★★

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2005年07月26日

A Season in Heaven

・David Tomory 「A Season in Heaven」

「A Season in Heaven」

洋書。翻訳本は現在のところない。

97年にカトマンドゥのタメル地区にある古本屋で購入。

60年代、70年代初頭にアジアや中東を旅した欧州、日本、米国の若者の姿を追ったインタビュー形式の回顧録。

当時のヒッピー文化や神秘主義、東洋には十分と若者を惹きつける磁力が備わっていた。

ゴア、バラナシ、カトマンドゥ、カブール。当時の旅人たちは既存の西洋文化を懐疑し、自己を再構築する為にインドを目指し、僅かな所持金で旅をした。

それは今も昔も変わらない。

でも当時にはまだ何かがあった。

それは時代が産み出した世界を包んだ情熱のようなものなのか。

不思議と人はみな「60年代、70年代は特別だった」という。

僕はある一定の期間を切り取って特別な時代なんて位置づけはあるものかと思うけれど、頷くしかないようだ。

やっぱしこの時代に何かがあったみたいだ。この本を読むとそんな気がしてならない。前史的な憧憬にも似ている。

ヨーロッパからテヘランへ向かうというマジックバスがあればそれに乗り込み移動したという。沢木耕太郎の「深夜特急」もこの当時の話だ。

この書籍ではゴアの60年代頃の生活が描かれている。どうして、ゴア州で裸で生活することが禁止となったのか、最初にゴアをユートピアとしたドイツ人はどうしているのか、当時のパーティシーンの情景、まだ茅葺き屋根かコミューンで暮らしていたヒッピー達の生活など。簡単な英語力があれば十分に読むことができるので、興味のある方はぜひ。

最後に一つ。この当時の旅人達の象徴的とも謂える冒頭の台詞をここで紹介。これを読んだらページを綴らずにいられないだろう。


For Lyn, Kevin, and all those who did not return.
(Lyn, Kevin、そして還らなかった全てのみんなに。)

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2005年07月25日

八丈メランコリ(2)

八丈島で旅人達の障害ともなるのが移動の手段である。

島であるため、もちろん電車は走っていないし、島内を細々と網の目を縫うようにノンビリ動いているバスの数も極端に少ない。

我々も僅かな滞在期間ではあったが、それでもバスの姿を見なかったほどなので、よほどの少なさなのだろう。

野営場から一番近い食料品が売られているスーパーまで行くのに徒歩で30分ぐらいかかる。

移動手段として思いつくのが、この徒歩での移動。

徒歩だから足とサンダルと暇さえあればどうにかなるわけで、これが一番手っ取り早い。

でも、僕らは限られた時間で島ライフをエンジョイしようとしているわけだから、徒歩での移動は避ける(いや、実際に僕らは最初は歩いてみたのだ。そして一つの結論を導いた ─少しでもお金が掛かろうと、足以外の移動手段を考えようと─ )。

島での移動は我々にはいささかヘビーなようである。

次に思い付くのがバイク。

手練の旅人は50ccのカブを船に持ち込んで、そのバイクで移動をしているらしい、なるほど車の往来がほとんど見掛けない島だったら、それはさぞや気持ちよいだろう。風に吹かれながらバイクで疾走する。

ゴアやバリみたいだ。

でも残念ながら(そう実に日本に居ると〝残念ながら〟という言葉を使うようになる)、日本でバイクを運転するには、あの忌まわしき国土交通省だかなんだかが発行している運転免許証がないとダメなのだ。

ゴアやバリでも必要なのかもしれないけれど、そんなの所持して運転をしているアホは居ないし(特にゴア)、僕は持っていないにも関わらず、涼しい顔して運転をしていた。だから、バイク案も却下。

となれば残るは自転車か車かということになるわけだ。

自転車は免許が必要ないかわりに脚力と忍耐力と、徒歩ほどではないにしろ幾ばくかの時間を必要とする。コストパフォーマンスも車に比べたら安い筈だ、というのが僕らの最初の認識で、島に到着してから僅か数時間で、そのか弱い認識力は塗り替えられた。

レンタルサイクル1日:2100円/台
レンタカー3日:8000円/台

なのである。レンタルサイクルを必要としたら、人数も考慮して少なくとも3日間で16000円掛かることになる。雨が降らないとも限らない。

それに比べてレンタカーは3日で8000円だ。もちろん普通のセダンである。

我々がクラクラしたのは、さっき飲み干したビールと空腹のせいではないのは確かなようだ。

で、僕らの移動手段の最終決定に鎚を打ったのが、島民の決定的な、そして貴重な証言だった。

前述したように僕らは最初、徒歩で食料品が売られているスーパーまで移動した。いくらキャンプ生活だって、空から食事が降ってくるわけではないのだ。

「すみません、こんにちわ」

僕らが声を掛けると中から笑顔の気持ちのよいお姉さんが出てきた。

「はーい、いらっしゃい」

店の中に竈があるらしく、焼きたてたばかりの香ばしいパンの香りがする。お腹がギュルギュルと減ってくる。

「あの、ちょっとお伺いしたいんですけど、僕らいま底土野営場にテントを張っているんですが、夜に島の温泉に行こうとしていて、その、自転車を借りて移動しようと思っているです。で、もし自転車で移動したらどれくらい掛かりますか?」

僕らがそういうや否やお姉さんがケラケラ笑った。随分と明るい人である。なんか凄い楽しそうだ。ヒャッヒャッヒャーと店の中に笑い声がこだました。

「アッハハ。ありえないってぇ、お客さん、温泉には自転車でいけないわよ。もし行ったとしたら3時間以上かかるんじゃないかしら。せっかく汗を流したのに、またシャワーを浴びなくちゃいけなくなるわよー。」

「えぇ、そうなんですか?」

島の反対側に温泉が集中しているのは、WEBで検索したりしたから予備知識で知っていたけど、まさかそんな3時間以上かかるなんて。

「え、じゃあ、車で行かないと無理ですよねぇ」。

僕らはまるでよく訓練された文鳥のように口と目をパチクリさせて質問をした。

「そうねぇ。うーん、温泉に行くのであれば、やっぱレンタカーかねぇ。レンタカーあったら、島巡りも楽しいし、ラクだからね」

お姉さんはケラケラ笑ってそう言った。

ということで、僕らは「あそこ寿司」(なんて名前だ)という痺れるネーミングのお寿司屋さんの先にあるレンタカー屋さんに向かい車を借りた。

3日間で8000円。

ちなみに「あそこ寿司」では島の魚だけを料理した島寿司がある。ワサビではなく洋芥子で食べる八丈島独特の漬け寿司。これを食べないで島を語ることは許されない。

ピカピカの銀シャリに乗った小ぶりのネタ。ほんの少し醤油をつけて口に運ぶ。

完璧な寿司である。

閑話休題。

とにかく僕らは車を借りた。

レンタカー屋のオヤジさんはたしかにこう言った。
「帰る直前に返しにくりゃいいよ。そしたら港まで送ってやらサァ~」と。

僕らはなんとなく怖じ気つくような尻込みするような態度で面食らい会釈する。
島の生活。僕らの常識がかなわない。でもまるで悪くない。

島を降りて、まだ3時間も経っていない日の出来事である。

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2005年07月22日

Aphorism [ザ・ブルーハーツ]

世界中に定められたどんな記念日なんかより
あなたが生きている今日はどんなに素晴らしいだろう
世界中に建てられてるどんな記念碑なんかより
あなたが生きている今日はどんなに意味があるだろう


ザ・ブルーハーツ『TRAIN-TRAIN』(ミュージシャン)

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2005年07月21日

曙橋「さぬきのうどんや」

一時の讃岐うどんブーム前もブーム後も変わらず正統的な讃岐うどんを東京都下で提供しつづける貴重な店の一つ。

〝うどん通〟は必ずチェックしたい店である。

香川県に思い入れのある人なら必ず「おぉ、本場とおんなじだよ」と唸ること間違いなし。

カウンター9席だけの店なので風情としては、立ち食いに近いのかもしれない。

天ぷらやおにぎり、いなり寿司が一段高いテーブルに並び、お冷はセルフ。
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決してお洒落な間口でもない。女性客だったら少し入店するのに勇気が必要だろう、そんな店だ。

旨いのか、さもなくば安いのか、一抹の不安と期待が入り混じる店。

そして、その両方の資質を兼ね備えた店なのだ知ることとなるのがここ「さぬきのうどんや」。

うどん、天ぷら、いなり、おにぎり、かやくご飯とすべて自家製。

平日のお昼時の行列も頷ける。

夫婦2人で賄うここの店で特に拘っているのは〝ぶっかけ〟だという。

白い宝石のような艶やかなコシのある麺。

深みのある旨みが封じ込まれた〝かえし〟のきいた出汁は格別である。

決して主張しない、でもキャスティングには外せない、どことなく往年の渋い俳優のようである。

冷水でキュッと締めたうどんと相性ばっちし。

いろんな店で〝ぶっかけ〟をメニューに加えているけれど、ここの〝ぶっかけ〟を食べなきゃ何もいえないぜ。

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冷やし納豆ぶっかけは、これでもかと納豆が乗っかっていて、その下に締まりに締まったまるでにゅるにゅるした動物のようなコシのある麺が覗いている。

そして自家製の出汁。味が薄いと感じたら少しテーブルにある醤油を垂らすのもいいかも。

納豆のネバネバと踊るような麺で一気にため息がでる一品だ。


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おろしぶっかけも定番だ。

鼻の奥までツンとくる削られた生姜と大根。そしてまた冷えた麺に出汁。

これもまたツルツルと麺が踊るような逃げ出すような勢いで口の中に広がる。

もう冷房なんて要らない。

冷やしぶっかけと天ぷらとかやくご飯が夏定番のコース。夏バテ?そんなの一気に解消だって。

食べ終わったら、ご主人に器を返すのもお忘れなく。
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さぬきのうどんや
東京都新宿区住吉町6-12
11:30~14:00、16:30~19:00(麺が無くなり次第閉店)
土日、定休
じゃこ天うどん--\500
冷やしおろし--\450
冷やし納豆--\500
いなり寿司--\80
おにぎり--\100
天ぷら--\80~100

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2005年07月20日

八丈メランコリ(1)

これから八丈島に向かおうっていうのに、さっきからメリーゴーランドの映像が頭から離れないったらありゃしない。

東海汽船─という名の恰幅のいいシロナガスクジラ─は気持ちよく滑り出したし、2等席無しのわりには、自動販売機の真ん前に場所も確保できたっていうのに。

船全体の雰囲気だって大型連休の素敵な始まりを予感している。

メキシコのバティックも敷いて、占領地のアピールもオーケー、100円の毛布もたくさん借りた。

それでも、頭の中の映像はビカビカと月夜もおびやかす照明が発情した牝牛のように照らしまくる姿と、ツルツルのプラスチック製の木馬が摂氏100度の熱で溶ろけたキャンディのように渦巻いている姿で、埋め尽くされている。

木馬が上下に揺れながら回る姿が見えて、剥き出しの歯と瞬きの無い目が光跡のように伸びていく。

そんな映像。

メリーゴーランドのほかにはなにも存在していない。漆黒の闇だ。

たまにあることだが僕はうっかりするとそんな遊園地に紛れ込んで、ちょっと抜け出せなくなる。僕が産み出した世界に過ぎないとはいえ、一度踏み入れてしまうと大変なんだ、とにかく僕を支配していく。

木馬は全部で12頭。これはいつも決まっている。

11頭でもないし、13頭でもない。必ず12頭だ。木馬以外は見たことがない。

あまりにも毎回同じなので、一度どうにかして順番に名前を附けてやろうと考えてみたことがあったけれど、どうもピッタシの名前が浮かばない。

仕方ないので僕は思い切り空気を吸って叫んでみる。

そうなんだよね、実は僕は知っているんだよね。こうすればとりあえず木馬の回転だけでもとりあえず止まるってのを。

深夜の遊園地に迷い込んじゃったら、ありったけの空気を吸え。これが僕のローカルルールと処方箋。

すぅ~、。


でも木馬はどんどんスピードを高めて、溶ろけた飴みたいにもっと横に延び、煙を吐いて空高く飛び立って、赤い飛沫と黄色い息を吐いて粉々に砕けちゃった、で、変わりにチンパンジーの楽団が歯を剥き出しにしながら演奏を始めやがった。ウッシャッシャウッシャシャ。

ふぅ、うまくいかないものだ。

それにしてもさっきからどうしてそんな映像ばかりが目に付くのだろう。
パーティでもないっていうのに。

そう、今回僕らはレイブじゃない旅にでている。八丈島でキャンプするのだ。

東京品川の竹芝桟橋から18時間。伊豆七島と云う名の島々の先端。島の路面には真っ赤なハイビスカスが咲いているという。晴れていれば八丈富士の頂が見え、牧場では牛がモウモウと鳴いているとか。

その島に唯一ある底土野営場ってところにテントを建てる予定。島でのテントは我々としては初めての試み。

島に行くのに民宿も予約しないでテントだけで行くって話をしたら方々から目を丸くされたけれど、きっとどうにかなるものだ。

何度パーティでテントを張ってきたのか分からないぐらいだし。むしろそっちのほうがしっくりとくる。
少なくとも僕らにとって。

もちろん、台風さえ来なければね。

それにさ、野営場って響きがいいじゃないの。そりゃロマンやファンタジーからは程遠いかもしれないけれど、なんだか、一昔前の放浪者にでもなった気分がする。

一昔の放浪者?チンパンジー?、どうかしている。

*
*

旅の予感は大切だ。うまくいくだろうという気持ちと、少し混ざる不安。
高まる気持ちと期待感を這わせて東海汽船がどんどんと推進を高めてゆく。

細かく散らばったガラス片のような摩天楼が揺れる。当たり前だけれど、灯りの数だけ見ず知らずの人の人生がある。
でもなんだか不思議だ。

幾千万の都民のそれぞれの夜。彼らはどんな連休を過ごしているのだろうか。

*
*

群馬の前橋に仕事で飛ばされていた友人が、ひさびさに東京の本社に戻ってきた。出身が三宅島で、帰島するというので、その高校の友人も一緒に船に乗っている。

高1の時からの親友。予備校・大学も一緒で、かれこれ15年の付き合いになる。

そう思うと随分と時が過ぎたのだなとしみじみとした気分になる。

放課後にいつまでも日が暮れるまで遊んだりした。

彼は大学の推薦入学を狙ってたから、すべての授業に出席し、遅刻も早退もしていなかった。(それに比べ、僕らは全科目をそれぞれ割り出し、この科目ならいくつまで落とせるかと綿密に計算し、ひたすら授業をサボって、学校の隣にある喫茶店でゲームをしたり、居眠りをしたりの日々だった。)。

でも、彼は高3の受験の時期になると、同級生の兄貴が発した「男なら二浪しても早稲田を目指せ!」にまんまと僕らと揃って感化され、某大学の推薦入学を蹴って、桜を散らした。あげく、一浪したけれど、僕と同様、早稲田に入学できず、雁首揃えて入学式で肩を並べたわけだが。

とにかく15年だ。長いのか?長いのだろう。

当時は、今は無き渋谷の「なんじゃもんじゃ」で合コンするのが楽しみだったな。嗚呼、わが青春。

その彼がデッキで煙草をくゆらしている。大きく吸う煙草が蛍のように赤く灯っている。

三宅島出身である彼は毒ガスがまだ大量に残っている島に帰島するのだ。

そこまでして帰るという故郷に対する気持ちは僕には分からない。

もし僕がバンクーバーにでもいて、東京がガスにやられたとしたら、それでも帰るだろうか。

マスクを着用しないと生活できないというその故郷をひとめ見たいと思うのだろうか。

少し塩味のする海風にあたって、そんなことを考えた。

かわりばんこにビールを回す。

遠くで白波が荒々しく深海生物の鋭角な歯牙みたいに船に噛み付いているが見える。

*
*

深夜。

ハッとして目を覚ましたら午前2時だった。

自動販売機の前にバティックを敷いただけのお粗末な寝場所だけれど、しこたまビールを呑んだせいか気がついたら眠りに就いたらしい。

毛布の周りにポテトチップスやら薫製のイカやらが散在している。

チンパンジーの楽団も何処かに消えてしまった。いい兆候だ。

他のメンバーも深い夢の世界にいっているようだ。ウシオが寝息を立てている。大学時代からの仲間。ゴアのチャポラで3月3日3時33分33秒に待ち合わせをしたんだけど、僕が48時間以上遅刻して迷惑を掛けた。

三宅島の友人とは面識がある。校内で紹介した記憶がある。
エンジン音と被る寝息が深夜を想わせる。


話し掛けようとも誰も起きちゃいないしビールも空ばかりなのでもう一度眠りに入る。
きっと次に眼が覚めるのは三宅島到着だろう。

*
*

アナウンス。「・・・・へ到着の方は・・・」
硫黄の匂い。

*
*

あたりに硫黄臭が充満していた。おい、起きろよ。三宅島だぞ。モソモソと身を起こす。

眠たい瞼をこすり、キャンプ場に持っていく予定の〝モズクスープ〟をカップにあけ、お湯を注ぐ。

海藻独特の優しい塩分とスープが温まる。空きっ腹にちょうどいいみたいだ。

それにしても凄い臭いだ。温泉場のような臭いが漂っている。

屁ぇ、こいてんじゃねえぞとアッコちんに言うと、「してないっつうのー」と嗾けられた。

さて、MAEZAWAよ、本当にガスマスクしなくていいのか?周りを見渡しても、していないの、お前だけだけど。

「平気でしょ。死にはしないよ」

そうだけど。ゲホッ、ゲホッ。少し話すだけで、自然と咳き込んでしまう。

有毒ガスを吸い込んでしまうのだ。船の中でさえ、こんな状態なのに…。

しばらくすると船が停泊した。みんなで見送りをする。目が沁みて、息をするのが辛い。

友人には申し訳ないが、手を振るだけで精一杯だ。

じゃ、またね。帰りに会おう。

八丈島へと船はさらに波を荒々しく蹴散らし進み、船の揺さぶりが不機嫌にも眠りを起こされてしまった中世のドラゴンのようである。

思わず九州の小倉から韓国まで船で旅立った日の悪夢が蘇る。あれは酷かった。グルグルと三半規管がやられて船酔いになったのだ。

でも吐こうにも吐けない。そんな辛さ。嫌な汗が背中に伝わり、地獄が手招きしている状態。

そんなナイトメアスパイラルが寄港地の釜山まで続いて、僕は韓国到着後にも、気持ち悪くてキムチの匂いを嗅いだだけでウエッってなってしまったものだ。

この船もそれに近いものがある。右へ左へと荷物がずれる。

グルグル。

*
*

やっぱしこの日の波は荒かったらしく、島の逆側の港に東海汽船は停泊した。

その関係で港から徒歩で5分で到着するはずの野営場は港から徒歩数時間に早変わり、僕らはテント地までタクシーをとばすことにした。

椰子の木や南国風の平屋が続く。

ここは本当に東京なのだろうか。

沖縄のような光景だ。

庭先に咲き誇る原色の花々にみんなしばし見とれる。

潮の香りと澄み切った青空。

運転手さんが民謡を歌う。窓を開放して島の空気を堪能する。

*
*

到着した野営場は想像していたよりもこじんまりとしていた。敷地が2面に分かれている。

トイレと洗面所と台所を挟んで右側が、海に近く、景色が捌けている。

そのせいか、テントを張っているのも若い連中が多く、学生の姿が目立っていた。

左側はエアポケットみたいな芝生で、周りが木々に囲まれている。

釣り人や外国人バックパッカーが多いようだ。木にロープを吊るして洗濯物を干している人もいる。

真ん中にキャンプファイヤの焦げ後が見える。

「さて、どうしよっか」

タクシーからすべての荷物を降ろして僕らは考えた。

住めば都という言葉は僕は非常に大好きで、慣れちまえばこっちのもんっていうポリシーは、生きる上で得なほうに作用するんじゃないかなって気もする。

でも、テントを建てるときはその立地条件をもっとシリアスに考えなくちゃいけない。

それは景色だけが総てじゃないってことを意味している。もちろん見晴らしが素晴らしいところというのは魅力的だ。でも、やっぱ一番の要素は、雨風がどのようにしのげるかだ。僕らはその必要性を、今までのキャンプ生活で骨身に沁みるほど学んできた。

八丈島の野営場の右側はどうやら景色は冴えていそうだけど、夜は強風に煽られそうな気がする。

これは予感だ。

「右側もいいけどさ、夜は辛そうだよね。海風がすごくなりそうじゃない?」
「だよねぇ。ちょっと怖いね」
「左側の真正面の突き当たり、あそこ、良くない?あそこだったら風もそんなに当たらないだろうし」

僕らの結論はこうだ。

つまり左側のようなハレのスペースはたしかに景色も突き抜けているので開放感がある。

でも学生が多いし、にぎやか過ぎる。逆に左側は全体的に静かな感じで、経験豊富な旅人が揃っている。彼らは賢い。しかも雨風がしのげる。

つまり、彼らは〝そういう〟場所を探すのに長けているのだ。必要性と安全性。そして旅人達が知る快適さ。

ということで、僕らは右側にテントを建てた。ビールを片手に口笛を吹きながら。

降りそそぐ日光と夏の予感。うっすら香る潮騒。亜熱帯の植物。

雲ひとつない透き通った青空。天国みたいだ。

でも、ここは本当に東京都なのだ。

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2005年07月19日

蒲田「蒲田温泉」

東京23区の温泉は、黒褐色の塩分を含んだ泉質でこと有名で、その中でもこの蒲田温泉の黒湯はピカイチだという評判だ。
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たしかに他には類を見ない非凡な色で、限りなく闇に近い黒である。

生醤油に珈琲を混ぜたりしたらこんな色合いにでもなるのだろうかという具合。

蒲田周辺の温泉の多くは冷鉱泉と呼ばれる非火山性の温泉であるという。

その古代の化石や泥田やアレやソレが内外年月を掛けてブレンドされ味付けされて、やがて黒色のヌルヌルとした温泉になったそうだ。

さて、蒲田温泉と名はあるが、実際の施設としては銭湯なので料金は都の条例に指定された料金(05年7月現在、大人400円)である。

それだけに湯船自体も決して大きいとはいえないし、混み合うこともある。でも施設としては正式なサウナがあり、かつ流れる湯は温泉なので、気軽に通うにはまずまずのレベルである。
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肝心の黒湯は、下町気質を反映してか、低温風呂でも摂氏42度ある。高温風呂にしては45度だ。

熱めの風呂が苦手な人だったら下手したら5分ぐらいが限界か。個人的な経験からすると、浸かった後の発汗作用が抜きん出たレベルなので長湯をうっかりするととんでもなく湯あたりする気がした(実際にそんな内容の但し書きが貼られている)。

効能は神経痛、筋肉痛、五十肩、冷え性、疲労回復、健康増進、きりきず、やけどなど。お湯がぬるぬるしている。肌の古い角質をとり、スベスベにする美容効果が評判。

2階には宴会場もあるので、昭和レトロな雰囲気のカラオケ(騒々しいと感じるか、これもありかなと感じるかは個人次第だが)もいいかもしれない。温泉釜飯も置いてある。
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「蒲田温泉」
東京都大田区蒲田本町2-23-2(蒲田駅から15分ほど)
10:00~24:00
大人400円 手ぶらセット700円
年中無休

詳細

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2005年07月15日

Aphorism [貝原益軒]

知って行なわざるは知らざるに同じ。


貝原益軒(朱子学者)

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2005年07月14日

曙橋「ラ・ヴィ・ドゥース」

フランス語で『甘い生活』という意味するこの「ラ・ヴィ・ドゥース」、2001年4月に開店をしてから、実は密かにケーキ通の間では熱い視線を注がれている店のひとつである。

繁華街から離れている曙橋にあるにも関わらす連日ケーキを買っていく人の列は絶えることもなく賑わいをみせ、朝の仕込み時間から店内からは甘いバターとクリームのとろとろした芳醇な香りが漂っていて、なんだか昔に読んだ童話の一場面の光景のようにも感じる暖かい雰囲気の店だ。

ここのパテェシエ堀江氏は、「葉山フランス茶屋」、「銀座和光ケーキショップルショワ」で経験を積み、やがて渡欧、ルクセンブルグ、フランス、ベルギー で腕を磨き、そして「ラ・ヴィ・ドゥース」をオープンした。フランスのあまりにも有名なシャルル・プルースト」のグランプリや、数多くの受賞をとっている。水曜日だけ限定で日本橋高島屋にも出店の人気振りである。

さて、ここのお勧めのケーキをひとつだけ挙げてくださいと詰められると一番悩んでしまうところだ。どのケーキも本当に遜色なく完璧だからだ。

季節のフルーツをふんだんに取り入れたタルト、甘酸っぱいイチゴが載ったサクサク感の溢れるフレジェ、チョコレートタルトの王様バッカス─このチョコレートとオレンジの組み合わせとさっくりしたサブレが、嗚呼─、甘酸っぱいジャムと木苺のムースのデリス、そして新作の数々、焼き菓子の数々。まさにキリがない。
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5-6月に新作として登場していた「いちじくのタルト」は、もう完璧だった。しつこくない甘さのタルトにたっぷりと乗ったいちじくの野生味深い甘酸っぱさ。ほんの少しのリキュールには、このパテェシエの残酷さすら感じ取れる。この美味しさは差別的だ。珈琲よりはアールグレイの紅茶が似合う作品。

うっかりしていると夕刻には売り切れてしまうフレジェも申し分ない。苺が頂点に納まっているそれは、ちいさな遊園地のようであり見ていて飽きない。黄色の眩しいスポンジと生クリーム、類型的といえばそれまでの組み合わせをここまで仕上げるのはまさに堀江マジックだ。これも必ず立ち寄ったら試して欲しい一品である。

禁煙だが、店内で珈琲を頼んだりとケーキを食べることもできる。大きなガラス越しに眺める靖国通りはどこか外国のようでもある。
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ラ・ヴィ・ドゥース
東京都新宿区愛住町23-14 ベルックス新宿ビル1F
10:00~20:00(日曜、祝日~19:00)
月曜定休
バッカス--\399
フレジェ--\320
バナナタルト--\420
キャラメルプリン--\294
ダックワーズのショコラ--\140

HP

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2005年07月13日

ひかり祭り2005

今週末の連休はいかがお過ごしで?
海か山か。それともアルカディアか。で、こんなのもあるぜよ。

The art festival of HIKARI

2005年7月16日(SAT)~ 18日(MON)
Entrance:Free! @牧郷小学校(牧郷ラボ)

*
*

奥多摩の先の神奈川のさらに奥地の廃校となった小学校で催されるパーティ。
ゆるゆるでまったりとしたイベントかな。村祭りであり、レイブであり、そしてどちらかというと「まつり」に近いこの体験。

サイケデリックに光と幻想の世界から炎の息吹きと調和して、太古の世界にチューンイン。

カメラワークが鬱陶しい商業的なソルスパーティなんかに辟易な皆さまが集合してたりなのかね。

寝袋持参でみんなで揃って体育館にお泊りだ。

近くには「やまなみ温泉」があったり、ハイキングコースがあり、せせらぎも流れているので釣りも楽しめるなど観光もオーケー。

Food:


地元お母様によるホットドッグ&カレー(サクラの会)

地元お父様による焼きそばや焼き鳥

無農薬の地野菜や加工品の販売(豆の会)

小津久のうどん中島浩太朗シェフ(スープ、おいも、お楽しみ料理)

にっこり(坪田直子/浦上裕子/佐々木直子/きしょう&さちえ/タケちゃん/ハルミさん=ブレックファースト、韓国めし、本格カレー、冷やしたぬきうどん、かき氷、スィーツ)

オーガニックちばち(すぎたカズト、春山卓治亜季子、大塚正美=本格カレー、総菜、朝ご飯、スィーツ)

キッチンしみづ(ブルスケッタとオーガニックパスタなど)

遊魚園(お弁当)

Sputnik(洋風総菜とスィーツなど)

anuenue(パスタ、フレッシュジュースなど)

トルティア&チリビーンズ

酒飲み有志のお店(地元のお父さん)

牧郷ラボ酒類販売所(ビール、ワイン、ソフトドリンク、水など)

Event:

ファイヤーパフォーマンス、光と映像によるアート、キャンドルインスタレーション、ライブペインティング、DJライブなど。


情報の詳細はホームページで。

ひかり祭り
http://www.bambient.com/hikari2005/

ビールで祝杯をあげながら、光に包まれて星を眺めよう。

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2005年07月12日

キャッツクロー茶

2000年以上近くアマゾンの、取り分けペルーの幾つかの民族で伝統的にかつ医療の一種として使用されているキャッツクロー(スペイン語名ウニャ・デ・ガト)の樹皮のお茶。

複数のアルカロイド(6種確認されている。イソテロポディン、テロポディン、イソミトラフィリン、ミトラフィリン、イソリンコフィリン、リンコフィリン)がその樹皮に含まれていることから免疫強化作用があることで有名で、消炎効果なども報告されている。

みかけはシンプルな〝ニッキの木〟のような黄土色の木片、特に効能を示すようなシンボライズ的な沈香もない。薄いレンガのようにも見える。

一般的な飲み方は、1リットルの水に2片程度を入れて煮出す方法だが、ほんとにお茶になるのだろうかと疑心暗鬼にヤカンの蓋を開けると、きっと驚くことになるだろう。

さっきまで透明だった水は、すっかりと烏龍茶ほどの濃い煮汁に仕上がっているからだ。

ただやはり、出来上がったお茶自体にも味も香りもない。

グイッとカップ1杯ほど呑むと喉がスーッとむずがゆいような不思議な感じになる。

現在のハーブ医療では、もはやキャッツクローを無視できない状況だとかで、それはつまり、この謎めいてミステリアスなアマゾン植物の神秘性というよりは、科学の発展と共に証明された効能のつまるところ〝あかし〟であり、ペルーの先住民が護ってきた生活の知恵でもある。


確認されている効能だけでもざっとこのとおり。

関節炎、胃腸疾患、喘息、尿道の炎症、産後からの回復、肝臓の洗浄、外傷の手当て(傷ぐすり)、リューマチ、骨の痛み、炎症止め、胃潰瘍、ガン治療 糖尿病、女性の尿道ガン、肝硬変、胃炎、腫瘍の治療、クローン病や潰瘍、憩室炎等


ただし、以下の場合は要注意(禁忌事項)

避妊作用がある為、妊娠を望む場合。内臓や骨髄や皮膚移植・植皮手術の前後。タンニンが大量に含まれている為、多量の摂取は下痢などを引き起こす場合がある。


先日のアースガーデンで購入。\1,000-

下記サイトからも購入可能。

アルコイリスプロジェクト
http://www.arcoiris.jp/intro.html

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2005年07月11日

アース肉

土曜の夜は「肉の会」。会長 会長(2) 会長(3) 肉弟 うー ko の錚々としたメンバー。

まるで合コンみたいでした(肉の取り合いの)。

そして、魔王の如く新星現わる!! 〝Knockin’on Heavens 肉〟か。

こりゃ、うかうかしていると喰われちまうな。

詳細は肉HP
http://meet.ameblo.jp/

*
*

そして土日に掛けて代々木公園に行ってきたのでありました。

アースガーデン が2日に渡り開催。

ナチュラルでスローなこのイベント。ジャムバンドも演奏しているので、デッドヘッズ的な雰囲気も満載なのである。

無農薬の冷やしトマトをまるごとかぶりつきながら、オーガニックビールを呑んで徘徊。蝉がミーンミーン。眩しい太陽。楽しい音楽。そして気がつくと酔っ払い・・・。

けっこう皆さん来てたね。マサキ、ちびすけ、キョウちゃん夫婦、大ちゃん、シンちゃんカップル、新橋、エトセトラ。

今回は、Phish の1998年のツアーTシャツを購入。

Phish-T は最近あんまりお目にかかれないから、ラッキー。今年はこれを着倒そうじゃないか。

で、2日に掛けてひさびさにヨウスケ君に再会。大学の同級生の地元の友達。

でも学年だと一つ上なので、ほんとは先輩なんだけど、やっぱ友達(ややこしいな)。

とにかくまあ、だいぶご無沙汰している。8年ぐらい前はちょこまかレイブでも会ったりしていた。

トレードマークであった腕の入れ墨が消えていたので、わかんなかったよ。

聞けば、レーザーで治療して消したとか。でも飄々とした雰囲気は健在。また代々木とかで遊びましょうね。

アースデイ以来か、美容部員ひーこ も再会。

福岡出身の25歳。ケータイ代がねぇとかいっていたけど、3万も使うなよ。ちゃんと払えたのだろうか。

泡盛もってフラフラしていた。顔は超カワイイのに、こいつもまた呑んだくれである。オトコがいねぇとか言っていたので、ウチの優良物件(←てっちゃん)でも紹介しちゃうのもいいかも。アハハ。

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2005年07月08日

Aphorism [ブライアン・スイニー]

(アメリカ同時多発テロで、世界貿易センタービルに突っ込んだ飛行機に乗っていたブライアンが、妻に残した彼の最後の言葉。留守番電話に残されていた。)


「ブライアンだ。今飛行機がハイジャックされたんだ。事態は思わしくない。できればおまえと話したいが、もしダメだったら、おまえは今後はできるだけ楽しく自分の人生を生きなさい。愛しているよ、いつの日か再会することになってもね」


ブライアン・スイニー(アメリカ同時多発テロの犠牲者)

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2005年07月07日

四谷「けむりや」

おニャン子クラブや、少年隊、尾崎など80年代のJ-POPが有線から流れて、焼きとんが炙られ、煮込みが飴色の煮汁を沸騰させてくつくつと煮てある。

そしてよく冷えたジョッキに注がれたホッピー。もぎっただけのキャベツのお通し。

こんな光景を思い浮かべて「あぁ、あの頃はよかったなぁ」と懐かしむ諸氏もいるだろうし、むしろ当時はまだお酒の味を知らない暖簾をくぐれない少年少女だったので、そんな先輩たちの語る物語が何処かの遠いアラビアのロマンスのごとく刺激的に聞こえ続けていた紳士淑女もいることだろう。

でも実はこれ、何も10数年前の飲み屋街の話ではない。まっとうな現在の話だ。

しかも世界一物価が高いとされている四谷の今年オープンした連日仕事帰りのサラリーマンで賑わいをみせている「けむりや」の話。

オープンしたのは脱サラで開業した通称〝おしょう〟のニックネームで親しまれている坊主のマスターと、その友人。

四谷駅から3分とかからない立地条件でもあるのに、焼きとんが1本120円~で売られているのは歓楽ストリート〝しんみち通り〟から裏手になるからであろうか。

あえて四谷らしくないその店のコンセプトが常に注目を浴びている。

よく街で見かけるような出来合いのレトロ調の店でもないし、店内もそんな雰囲気を決して漂わせているわけではない。

あくまでも本人達の意志で良いとしたものをチョイスした、そんな自然体の店である。

席はカウンターのみで、壁中に和紙でメニューが書きなぐられていて、店の奥でモクモクと串焼きが焼かれていたり、お通しが作られたりしている。
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ここのお通し、もぎったキャベツにごま油をベースとしたドレッシングがかけられているだけなのに最高に旨い。

そして、焼きとん、バラ、コメカミ、モツ、ハツと塩のよく効いたアツアツの串焼きがホッピーに合う。

辛し味噌をつけて食べればもう幸せだ。煮込みは420円。まぁ、この土地では安いだろう。

じっくりと煮込まれたホルモンは全然臭みがない。柔らかく味が染みている。たいていのお客がこの煮込みと串焼きを頼んでいる。そして有線からは懐かしのJ-POP。年を取るのも悪くはないぜ。
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けむりや
東京都新宿区四谷1-21
17:00~24:00
日休

焼きとん--\120
コメカミ--\140
煮込み--\420
生ビール--\480

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2005年07月06日

TSUYOSHI vs JORG

今週末、六本木で TSUYOSHI vs SHIVA JORG があるみたい。

ベルファーレ なんて5年くらい行ってないかも。けっこうひさびさ。
まぁ、アフターなので行くかどうかわからないけれど。
JORGの新曲が出るみたいよ。

NEWROMANCER

■DJs:
DJ TSUYOSHI(FEEDBACK RECORDINGS)
SHIVA JORG(SHIVA SPACE TECHNOLOGY/SHIVA SPACE JAPAN)
MITSUMOTO(FEEDBACK RECORDINGS/SDP)
Yoshihiro.Tsutsumi a.k.a.YOCHI(EXAN-SYSTEM/Solid)

■VJ:
Drug'on2(metaphorm/interfaze/NEOPHILIA)

■OPEN:
05:00-12:00

■ADMISSION:
3,000yen/1Drink

■WITH FLYER:
2,500yen/1Drink

■MOBILE MAIL:
2,500yen/1Drink

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2005年07月05日

ちびくろ・サンボ

・作=フランク・ドビアス イラスト=ヘレン・バーナーマン 「ちびくろ・サンボ」

「ちびくろ・サンボ」


絵本を読むたびに思うことがある。

いつかきっと自分の子供ができたなら、僕が小さい頃に読んで育った絵本をまた君に読んで欲しいなと。

それはとっても単純な理由だ。

僕が読んだ本を君に伝えたい。

なぜなら僕は小さい頃、陽だまりのなかでコロコロ転がりながら絵本を読んだり読んでもらったりするのが大好きだったからだ。「ぐりとぐら」の物語、「おおきなかぶ」、そして「ちびくろ・サンボ」のホットケーキ。

そう、「ちびくろ・サンボ」…。

僕は特にこの物語が大好きだった。

いや、この物語を読んでからこそホットケーキに強く憧れたと言ってもいいくらいだ。

クラクラするほど眩い黄色の虎。どこか遠い国の南国の風景。ビビットな原色豊かの椰子の木やジャングルの光景。愛嬌のある短パン姿のサンボ。

虎がぐるぐる回って溶けてバターになるシーンなんて、どうしていいのか分からないくらいだ。

お腹がギュルギュル減ってくる。僕のホットケーキ感はここに始まったと言い切ってしまいたい。


実はこの本、1953年に岩波書店から発売されたが、1988年に絶版となっている。

120万部以上も多くの世代に愛されたこの絵本がなぜ絶版になったかというと、ご存知の方も多いかと思うが、物語中のサンボ君、すなわちその黒人少年が、人種差別に繋がると指摘されたからだ。

いわゆる「言葉狩り」である。

当時の社会的風潮に出版業界も逆らえず残念なことに書店から姿を消した。

でもこれだけのベストセラーだ。やはり惜しむ声もあった。復刊を望む声もたくさんあった。
出版社で長いトンネルのような検討に検討を重ねた結果、17年経ち、ようやく復刻となったわけだ。

これは勇気ある功績だ。ひとつの布石となるだろう。

僕はこの物語に人種差別が潜んでいるとは思えない。
プライドを持たない者だけが差別を助長する。

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2005年07月04日

ハートブレイクフレンズ

木曜日。
ボククボ@アゴ友達 とひさびさの再会した。

予備校時代からの友人である。

大学入学後、彼もまた多くの友人達と同じように建築の仕事を一緒にした。

夏は湘南でワカメを投げるバトル「ワカメゲーム」の戦士として、週末の夜はクラブ巡りをする夜の徘徊組として欠かせない存在であった。

そしてギャルが一人も引っかからなくて、早朝5時とか6時に腹が減ったのでラーメンを食べるという〝負けラーメン〟の仲間でもある。

細面の爽やかな顔なのでモテる時は人気がある男だ。

彼のエピソードといえば、稀にない神経質っぷりで、新島に遊びに行ったなんかは、深夜の草木も眠る丑三つ時だというのに、一人悶々として起きていたという(僕らは海ではしゃぎ、たらふくの魚料理を食べてガースカと鼾をたてていた)逸話がある。

聞けば、枕元に放置していた〝さきいか〟を猫が見つけ、その袋に猫が忍び足で徐々に近づき、袋をこっそり開けて、首を突っ込んでカサカサしているのが気になって一晩中眠れなかったそうだ。

それからしばらくの間は「ネコカサ」というニックネームで呼ばれていた。

99年-00年にタイとバリに行って、バリのミレニアムパーティではじけた旅仲間でもある。

1年ぶりの再会となる今回は、タイをコンセプトに信濃町にあるタイカレー「メーヤウ」で食事をすることにした。

そういえば去年最後に会ったのも代々木公園のタイフードフェスティバルで、その時はけっこうカワイコちゃんを連れていた(というか毎回カイワイコちゃんを連れている)。

閉店近くというのに相変わらずテーブルがほとんど埋まっている。一番端っこの席に座り、早速と「辛口カレー」を頼み、シンハで乾杯してから近況を尋ねる。

で、最近どうよ?
「俺、別れちゃったんだよね」
オイオイ、ここにもまた一人ハートブレイクか。

どうも我が愛しきご友人達はどいつもこいつも雁首揃えて失恋中である。

いったいどういうことなのだろうか。彼らの為に一肌脱ぎたまへ という神のお赦しなのか。

「へ?だって去年、結婚するとかっ言ってたじゃん。あれどうなっちゃったの」
呆気にとられて聞き返す。

「話せば長いんだけどさ、やっぱどうなんだろな。俺次第なんだよ。こればっかりは」
そうかそれじゃしょうがないな、よく分からないけれど。僕も彼女とは面識が深いわけでもないので、彼らの事情を察することもできない。

とにかく再会を期してカレーを食べる。

ココナッツミルクがふんだんに溶けているタイ独特のスパイスなカレーはひとくち食べるだけで汗が噴き出す。強烈な太陽の日差しを浴びているような夏の食事。こうやって同じように並んでカオサンやヤワラーの屋台でご飯を食べたのが昨日のようだ。

閉店も近かったので荒木町にあるピアノバーで呑むこととする。

テキーラトニックとジンバック。

どうやら彼女とずーっと一緒に過ごしていたので、いざ別離となると、次に向かう土壌がないらしい。
俗に言う「耕す畑がない」って状態だ。

数年前は丸の内界隈のサラリーマンやOLに人気のあった〝丸の内ドットコム〟で誰よりも先立てて企画を練り、毎夜合コンを開催していたらしいけれど、いまとなっちゃ誰もが真似をしちゃって、そういう種類のイベント自体が物珍しくもなくなっちゃったとか。

それは残念だ。

でも、合コンのお願いを僕にされても困るし。ギャル関係はしばらく連絡取ってない。つうか電番だってもう分からないし、みんな結婚してるしなぁ。

お役に立てなくて申し訳ない。

でも、ま、夏だし、なんかあったら連絡するよ。花火でも行こうぜ。ケンカネコとも最近遊んでいるので、ツルむのも悪くないぞ。

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2005年07月02日

第2回シンジク会

レポート名: Shinjyuku association vol2
Member: ko、ケンカネコ
Place: 大阪屋
Date: 2005年6月29日19時

歌舞伎町のど真ん中にあるドンキホーテの斜め横にあるお好み焼き屋「大阪屋」で開催。

僕が小学生3年の頃にはあったので少なくとも20年ぐらいは営業しているのか。

新宿のお好み焼き屋では老舗である。

ケンカネコと夜の19時過ぎにアルタ前で待ち合わせ。

さすがに不夜城の街新宿、往く人来る人がなかなか極悪じみていて実に見応えがある。

アルタの電光モニターの有機発光が蒼白く浮かび上がって生命保険のコマーシャルが繰り返しリピートされている。その女ののっぺりとした笑い顔は醜悪なショーのようで少し鬱陶しくなる。


キャミソールというよりは下着に近い格好で出勤と急ぐホステスや、ピラニアのように厳しく視線を飛ばすホストやキャッチ。

小指の欠けた浮浪者。新宿にはピリッとした緊張がある。

アルタ横の百果園にドリアンが置いてあり人々の注目を浴びる。
南国タイのフルーツ。果物の王様。

発酵したチーズと言っても過言ではないこの果実の匂いはタイ人を虜にする。

「女房を質にいれてもドリアンを買う」というのがタイの格言だ。

ちなみに今日はケンカネコの31歳の誕生日。

誕生日だというのに、なぜ高校の同級生(しかも同性)と祝うのかは、あまりにも哀しくも切ない物語があるので、こういうのは普通触れないのが人情だが、そこは同級生、言ってイイコトはあっても言っちゃイケナイ事は殆ど無い。

「女は星の数ほどいるって」それがテーマであり結論でもある。

おい、ケンカネコ、そんなに肩を落すなって。いい誕生日にしようぜ。

*
*

「大阪屋」は24時間営業で年中無休である。

この街に相応しい営業方針。眠らない街にぴったしである。

20年以上の油を吸い取った細長い階段を下ると、地下一階が店になっている。

つきあたりに座敷、テーブルが幾つか。

中年男性と20歳ぐらいのコのカップル、見つめあう2丁目系の男2人組、白人男性とギャル、お好み焼きの具がそのまんま客になったほどの喧騒である。見応えたっぷり。

生ビールでまずは乾杯。イカゲソの鉄板焼きとエノキの鉄板焼きをそれぞれ頼み、オニオンスライスを追加。

ひたすら携帯を気にする奴をなだめる。ドウドウ。

男はつらいよ。意外とふっきれないのも男である。

「女は思い出を上書きするけれど、男は別フォルダで保存する」これは予備校のご同輩ボククボの格言である。

*
*

自暴自棄なのか夜の街への布石なのか。

欲望に身を任せて呑む姿が面白くて、僕もつられてグビグビと呑む。

こういう時─つまり失恋をしちゃった時─言い分を聞いてやるのが同席した奴の責務でもあるわけだから、腹に沈殿している猛る想いをぶちまけさせる。

「もう俺無理かなぁ」
「さぁ」
「さぁって・・・聞いている?」
「ああ、聞いているよ(モグモグ)。イカ焼けたよ。食えば?」
「いやイカもいいんだけどさ。そのどうかな。」
「どうなんだろうね。エノキ来たよ」

答えの無いファンタジー。ウサギが扉を開けてしまったラビリンス。

「まぁ、アレだよ。しょうがないって」とにかく食べようぜ。

なので食べる。お好み焼き登場。〝豚玉〟と〝野菜玉〟。

鉄板に薄く油を引き、ステンレスの器の具材をよくかき混ぜて、丸く載せる。

お好み焼きを焼く時のコツはなんといっても「いじくらない」だ。
「いじくらない」に始まり「いじくらない」に終わるといっても過言じゃない。

ごくたまにヒヨッ子(トーシロー)がひっくり返した後、鉄板返しでパンッパンッとかって叩いちゃっているのがあるけれど、ありゃダメだ。

お好み焼きを知らなすぎる。お好み焼きは「いじるな」。これがルールだ。

裏面がキツネ色になったのを確認して、一気にひっくり返す。ジュゥ。

小麦粉の香ばしい焦げと桜えびや紅生姜の香りが熱気とまじって昇華する。じっと我慢。

さらに待つこと3分。表面もキツネ色に焼けたのを確認し、もう一度ひっくり返す。ジュゥ。

特製のトロトロソースをたっぷり塗り、青海苔、かつお節を全体に振り掛ける。

ソースの匂いって食欲そそるよね。熱々のお好み焼きをてこで4等分に分ける。

店員登場、マヨネーズを貰う。お粉と山芋のサクサク感、桜えび、紅生姜、キャベツがそれぞれ個性的に主役を演じる。

そこにかつお節と青海苔の海系フリカケが乱入。

カラメル色のソースとマヨネーズが渦巻きを描いて混ざる。

旨い。最高!お好み焼きを考えた奴は天才に違いない。

ハートブレイクジャパニーズクレープ。良き一年を。第3回まで復活の呪文を唱えておきましょうね。

大阪屋
新宿区歌舞伎町1-17-12 浅川ビルB1F

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2005年07月01日

東京タワー

・リリー・フランキー「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」

「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」

福岡県に生まれ、筑豊と小倉で育った著者の初の長編小説。雑誌「en-taxi」で連載されていた同作品の単行本化。

エッセイストとしても名を轟かせていて、その鋭い視点と時たまのエロとウィットに富んだ理論で、そして完璧なまでもの惚れ惚れする文章で多くの読者を掴んでいる著者が今回描いたテーマは「母親、上京、昭和」。

筑豊と小倉を舞台に、そしてやがて著者が東京に上京し、そこで再び始まる母親との共同生活。

いつも繰り広げられるその放埓なギャグとは違い、おそらく自伝となるこの作品、著者は恥ずかしくも自身のマザコンっぷりを披露している。

でもなんだろう、彼のマザコンは一人っ子であるがゆえの「お母さん想い」がしっかりと描かれていて、そして母親が自分の息子におくる「無償の愛」が作品にちらばめられているので、全然ベタついていないし、むしろ清清しい。

より作品の普遍性を高めている。

これは名作だ。

僕はどうしてかこの作品を読むたびに故スタンリーキューブリックが温めていて、かのスピルバーグが手がけた映画「A・I」のラストシーンを思い出す。この映画の根本的なテーマもまた「無償の愛」であると僕は信じているからだ。

小説中の北九州訛りのセリフが個人的に好きだ。どこかのコラムにあるのかもしれないが(確認はしていない)、この北九州訛りで纏められているおかげで本作品はエッジが際立っているのではないだろうか。それは九州から上京してきた人間の持つ故郷への掛け橋であり、拠りどころであり、東京に住む地方出身者のアイデンティティでもある。

ぜひお勧めしたい。

子供から母親に伝える最大の感謝がここにある。

きっと泣くだろう。でもそれは正しいことだ。



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