レポート名: Shinjyuku association vol2
Member: ko、ケンカネコ
Place: 大阪屋
Date: 2005年6月29日19時
歌舞伎町のど真ん中にあるドンキホーテの斜め横にあるお好み焼き屋「大阪屋」で開催。
僕が小学生3年の頃にはあったので少なくとも20年ぐらいは営業しているのか。
新宿のお好み焼き屋では老舗である。
ケンカネコと夜の19時過ぎにアルタ前で待ち合わせ。
さすがに不夜城の街新宿、往く人来る人がなかなか極悪じみていて実に見応えがある。
アルタの電光モニターの有機発光が蒼白く浮かび上がって生命保険のコマーシャルが繰り返しリピートされている。その女ののっぺりとした笑い顔は醜悪なショーのようで少し鬱陶しくなる。
キャミソールというよりは下着に近い格好で出勤と急ぐホステスや、ピラニアのように厳しく視線を飛ばすホストやキャッチ。
小指の欠けた浮浪者。新宿にはピリッとした緊張がある。
アルタ横の百果園にドリアンが置いてあり人々の注目を浴びる。
南国タイのフルーツ。果物の王様。
発酵したチーズと言っても過言ではないこの果実の匂いはタイ人を虜にする。
「女房を質にいれてもドリアンを買う」というのがタイの格言だ。
ちなみに今日はケンカネコの31歳の誕生日。
誕生日だというのに、なぜ高校の同級生(しかも同性)と祝うのかは、あまりにも哀しくも切ない物語があるので、こういうのは普通触れないのが人情だが、そこは同級生、言ってイイコトはあっても言っちゃイケナイ事は殆ど無い。
「女は星の数ほどいるって」それがテーマであり結論でもある。
おい、ケンカネコ、そんなに肩を落すなって。いい誕生日にしようぜ。
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「大阪屋」は24時間営業で年中無休である。
この街に相応しい営業方針。眠らない街にぴったしである。
20年以上の油を吸い取った細長い階段を下ると、地下一階が店になっている。
つきあたりに座敷、テーブルが幾つか。
中年男性と20歳ぐらいのコのカップル、見つめあう2丁目系の男2人組、白人男性とギャル、お好み焼きの具がそのまんま客になったほどの喧騒である。見応えたっぷり。
生ビールでまずは乾杯。イカゲソの鉄板焼きとエノキの鉄板焼きをそれぞれ頼み、オニオンスライスを追加。
ひたすら携帯を気にする奴をなだめる。ドウドウ。
男はつらいよ。意外とふっきれないのも男である。
「女は思い出を上書きするけれど、男は別フォルダで保存する」これは予備校のご同輩ボククボの格言である。
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自暴自棄なのか夜の街への布石なのか。
欲望に身を任せて呑む姿が面白くて、僕もつられてグビグビと呑む。
こういう時─つまり失恋をしちゃった時─言い分を聞いてやるのが同席した奴の責務でもあるわけだから、腹に沈殿している猛る想いをぶちまけさせる。
「もう俺無理かなぁ」
「さぁ」
「さぁって・・・聞いている?」
「ああ、聞いているよ(モグモグ)。イカ焼けたよ。食えば?」
「いやイカもいいんだけどさ。そのどうかな。」
「どうなんだろうね。エノキ来たよ」
答えの無いファンタジー。ウサギが扉を開けてしまったラビリンス。
「まぁ、アレだよ。しょうがないって」とにかく食べようぜ。
なので食べる。お好み焼き登場。〝豚玉〟と〝野菜玉〟。
鉄板に薄く油を引き、ステンレスの器の具材をよくかき混ぜて、丸く載せる。
お好み焼きを焼く時のコツはなんといっても「いじくらない」だ。
「いじくらない」に始まり「いじくらない」に終わるといっても過言じゃない。
ごくたまにヒヨッ子(トーシロー)がひっくり返した後、鉄板返しでパンッパンッとかって叩いちゃっているのがあるけれど、ありゃダメだ。
お好み焼きを知らなすぎる。お好み焼きは「いじるな」。これがルールだ。
裏面がキツネ色になったのを確認して、一気にひっくり返す。ジュゥ。
小麦粉の香ばしい焦げと桜えびや紅生姜の香りが熱気とまじって昇華する。じっと我慢。
さらに待つこと3分。表面もキツネ色に焼けたのを確認し、もう一度ひっくり返す。ジュゥ。
特製のトロトロソースをたっぷり塗り、青海苔、かつお節を全体に振り掛ける。
ソースの匂いって食欲そそるよね。熱々のお好み焼きをてこで4等分に分ける。
店員登場、マヨネーズを貰う。お粉と山芋のサクサク感、桜えび、紅生姜、キャベツがそれぞれ個性的に主役を演じる。
そこにかつお節と青海苔の海系フリカケが乱入。
カラメル色のソースとマヨネーズが渦巻きを描いて混ざる。
旨い。最高!お好み焼きを考えた奴は天才に違いない。
ハートブレイクジャパニーズクレープ。良き一年を。第3回まで復活の呪文を唱えておきましょうね。
大阪屋
新宿区歌舞伎町1-17-12 浅川ビルB1F