香川県における讃岐うどんのポテンシャルの高さを感ぜざるを得ないのが、この「めりけん屋」のような所謂チェーン店に入った時に食べるうどんの旨さだろうと思う。
高松駅を降りると右手の視界にすぐ見えるセルフ形式のうどん屋である。
やはり店内には天ぷらやらおにぎりが置いてあって、自分で食べたいものを適当に取るシステム。目の前の釜でうどんが茹でられていく。
写真は、かまたまうどん(250円)。
釜で茹で上げたうどんに生卵が絡めてある。だから「かまたま」なのだ。味付けは何にもないので、テーブルにある醤油を垂らしてずずっと啜る。薬味はレジ横にあるので、おろし生姜やら刻み葱をお好みで投入。
熱々のうどんに甘くてコクのある生卵が滲む。これはまるで卵がけご飯ではないか。しっかりと腰のあるうどんは歯ごたえばっちりで、あっという間に平らげてしまう。チェーン店とは思えないレベルの高さである。それにしても250円は安いよなぁ。
めりけん屋
香川県高松市西の丸町6-20
11:00~21:00
年中無休
かけ --\190
しょうゆ --\280
かまあげ --\250
かまたま --\250
肉釜玉 --\390
ざる --\280
ぶっかけ ーー\280
※その他多数のメニュー。
村上春樹のエッセイにもあるように、香川県におけるうどんというものは、明らかに他の都道府県が考えるそれとは異なり、言ってみたら、ブラジルにおける牛肉のような圧倒的で丁重な位置に聳え立つ食べ物である。
高松駅の周辺だけでも幾つのうどん屋があるのか分からない。誰か数えたことがあるのだろうか。その幾つかのうどん屋のうち、高松駅から徒歩2分、朝5時から15時のわずかな時間で営業をしているのが「味庄」だ。
高松でいうセルフ形式のうどん屋である。まあ、セルフといっても無人というわけではなく、自分で天ぷらやらお握りやらを取る、そんな意味である。
※こんな感じに自分が食べたい天ぷらやらおにぎりを手前にある皿に適当に乗っける。ぶらっとチャリンコで立ち寄った兄ちゃんは口笛吹きながらまさに適当に取っていた。平日9時半の出来事である。
写真は冷やしぶっかけと天ぷら(250円と80円x2)。
店の中に製麺機があり、そこで麺を実際に打っている。自家製麺である。老夫婦に「ぶっかけ頂戴」っていうと、すぐさま出てくる。天ぷらは自分で取る。前払い。近所の工場で働いているのだろうか、作業着を着たおじさんたちがひっきりなしにやって来ていた。
うどんの他に乾燥わかめと天かすが入っていて、醤油の出汁は結構甘めである。あっさりとしているので、ファストフード的にペロっと食べてしまう。確かに東京で食べるうどんとは何かが違う気もする。ご当地という言葉で簡単に括れない何かがある。ローカル番組を眺めながらズズッっと啜っていると、遠くに来たなぁと感慨深くなり、うどんの味にも風味が漂うものだ。天ぷらは可もなく不可もなく、あると安心する、そんなテイストであり、これがうどんとよく合うのだ。
味庄
香川県高松市西の丸町5-15
5:00~15:00
土曜祝日、定休
天ぷら --\80
おにぎり --\130
いなりずし ーー\150
ぶっかけ(小) --\250
ぶっかけ(大) --\350
肉うどん(小) --\370
肉うどん(大) --\450
玉売りうどん --\70
他多数。
高円寺駅北口を降りて、純情商店街を少し歩いた先の左脇路地にあるのが、この「麺屋 はやしまる」である。うっかりしていたら見逃しそうな立地にも関わらず、繁忙時間を過ぎても客足の絶えない人気店だ。店内はカウンター10席ほどで、珍しく食券機がない。
写真は醤油らーめん(700円)。
鶏がらと鰹だしが絶妙に絡み合ったスープは油膜が熱々で、中太の麺と相性がよい。焼豚はかなりあっさりしているので、しつこくなく食べられる。高円寺で呑んだ後に、立ち寄って締めラーに丁度いい、そんな味だ。
こちらは塩わんたんめん(880円)。
たっぷりとした肉汁が溢れるわんたんが惜しみなくお椀から顔を出す。わんたんは香辛料がよく効いている味で、これまた塩スープに調和する。こちらも鶏がらスープがあっさりとしていて優しい味。
麺屋はやしまる
杉並区高円寺北2-22-11
月~土
11:30~23:00
日、祝
11:30~21:00
水曜日(祝日の場合は営業)、第2・第3火曜日、定休
つけめん(醤油・塩) --\750
わんたんめん(醤油・塩) --\880
らーめん(醤油・塩) --\700
ちゃーしゅーめん(醤油・塩) --\900
他多数
京王線および世田谷線の下高井戸駅から徒歩2分程度、学生の姿が目立つこの街にあるのが、「木八」である。カウンターだけのラーメン屋だ。
ラーメン(650円)。
いわゆる東京豚骨がベースになっていて、鶏がらの出汁も効いている醤油味のスープ。あっさりとしたスープがしつこくないのに、なぜか癖になる旨さがある。ニンニクや野菜のエキスが凝縮していて風味が漂う。麺は細めで、やや柔らかい。もう少し固めでもいいのでは?と思う柔らかさで、この麺の細さと柔らかさで好みが分かれるだろう。
ちなみに野方ホープなどにも置いてある唐辛子はここが元祖だとか。
あと、お店のオヤジさんは客がいっせいに大相撲のテレビに見入っていたのに、ガシガシとチャンネルを変えていた。なかなか強烈である。
木八
東京都世田谷区赤堤4-45-13
11:30〜22:00
月曜定休
ラーメン --\650
ビジネスパーソンだなんていう、ポリティカルコレクトな呼び方よりも、ずばり、サラリーマンって響きがいつだってフィットするのが新橋である。雨後の筍の如くに新橋には立ち食い蕎麦の店があるけれども、これぞ!という店は少なかったりする。そのなかで、ここはいいんじゃないかと突出しているのが、この「おくとね」だ。
迷宮のような、まるで時代から取り残された遺物を想起させる新橋第一ビルの地下にある。
舞茸そば(450円)。
群馬県の奥利根から運ばれた舞茸を惜しみなく使っているのが、この舞茸そばである。お店の名前は奥利根を平仮名にしたという。その舞茸をひとつひとつ丁寧に手でほぐし天ぷらにしている。出汁は土佐鰹で取る。蕎麦は引きぐるみがある。均一に刻まれた青々しい葱。これが果たして立ち食いそばと呼んでいいのだろうか。
たっぷりの舞茸天から森の香りがほんわかと舞い上がる。そして土佐鰹の芳醇な出汁。ずずっと何のためらいもなく啜る。感無量。これぞ新橋のグルメ。
おくとね
港区新橋2-20-15新橋駅前ビル1号館B1F
7:00~20:00
定休日、土日祝日
まいたけ天そば --\450
東京に全然妥協しない博多長浜ラーメンの店というと、この稲城にある「とんでんかん」を思い浮かべる人が多いらしい。車で前を通るだけで匂いが漂う豚骨臭。九州出身、あるいは九州を訪れたことがある人には何とも懐かしい香りだろうと思う。場所は南武線矢野口駅で、やや都心からは離れている。それにもかかわらず23区内のナンバーが目立つのは、やはり人気が所以か。
一口餃子(8個 400円)。
好評につき復活したという一口餃子。軽めの具材が香ばしくて、どんどんと進む。九州らしい鉄鍋餃子のあっさり感がしっかりと出ている。皮がさっくりとしていて、調子いい。
写真は長浜らーめん(650円)。
なんともいえない豚骨の香りが漂う。下井草にある御天を超えるかもしれない。周りを見ていると、ほとんどの客が替え玉を頼んでいるが、なるほど、確かに麺のボリュームはそれほど多くなく、女性のお客さんでも食べきれる量だ。麺はかなり細く、もちろんストレート麺。他でも見られない細さである。
スープは東京に妥協しないという折込もあるだけに、なかなかのものである。やや塩分があるかな?とも感じつつも、これは確かに病み付きになる味だなぁと。蓮華で何度もすくいたくなる濃度。それでいて、くどくもない。嗚呼、九州が懐かしい。
とんでんかん
東京都稲城市矢野口 977-5
11:00~翌2:00
らーめん --\650
替え玉 --\120
餃子 --\400
東京都稲城市矢野口 977-5
山梨市にある有名なラーメン屋「おかめ」は、常に行列が絶えないわけだけれども、その息子さんが東京に上陸して、しかも春木屋で修行してからお店をオープンしているという。京王井の頭線久我山駅から徒歩1分にある、その名も「甲斐」である。
カウンター7席を若主人が切り盛りしているので、親父さんに負けず劣らずでこちらも毎日行列だ。
写真は中華そば(600円)。
何度もスープを慎重に調合している姿がまるでサムライのようである。登場するお椀からは、煮干のぷんと強い香りが漂う。麺は自家製の太麺でやや縮れていて、なかなかの歯ごたえである。スープは醤油がベースで、まろやかな魚系の風味が満載だ。飽きのこない正統的なスープがいい。くどくないのに印象に残すスープというのはラーメンでは難しいのだ。
そして、なんと言っても秀逸なのはチャーシュー。ローストしてある肉は脂が程よく乗っていてジューシーである。ただ、それだったら何処に行っても食べられる。ここのチャーシューはさらに香味が加わっていて、それがお肉に染み込んでいる。絶妙に計算されたスパイスが散らしてあるのだ。このチャーシュー、これまでに食べたラーメンは数多くあるけれど、冗談抜きでいままでで一番旨い。中華そばを頼んだのが悔いに残る。ここは絶対チャーシュー麺だ、次回は。
中華そば・つけめん「甲斐」
杉並区久我山2-27-1
火曜日、第4水曜日、定休
11:30~15:00
18:00~20:00(スープ切れまで)
中華そば --\600
味玉そば --\700
チャーシュー麺 --\850
味玉チャーシュー麺 --\950
つけめん --\680
味玉つけめん --\780
チャーシューつけめん --\930
味玉チャーシューつけめん --\1030
色々と系列がある大勝軒のうち、東池袋大勝軒の系列(?)と位置づけられているらしい、「大勝軒まるいち」が2009年7月に、新宿歌舞伎町ドンキホーテの斜め向かいにオープンした。
個人的につけ麺は苦手なので、大体が普通のラーメンを頼んでしまう。そして、この店でも。
こちらは中華そば(700円)。
特徴的な自家製麺はモチモチの太麺で、茹で上がるのに10分ぐらい掛かる。スープは魚介と豚骨のダブルスープで、鶏ガラやゲンコツが長時間煮込まれた動物系に魚介の旨味が凝縮されたダシが合わさって最高。お椀の湯気からはぷぅんと何ともいえない香ばしい魚の香りがする。
そして、こってりとしているんだけれど、決してギトギトではない濃厚スープが麺に絡む。チャーシューも柔らかくて良い。ただメンマはややパサパサしているのが残念。
麺の量は選べる。一番小さいのでもボリュームがなかなかあるので、気合が必要。
大勝軒まるいち
新宿区新宿3-23-12
11:00~23:00
無休
中華そば --\700
中華そば(煮玉子入り) --\800
もりそば --\700
あつもり --\700
もり煮玉子 --\800
もり野菜 --\850
もりチャーシュー --\1000
チャーシュー麺 --\1000
まだ自分の部屋がなくて床の間に本棚を置いていた時代だったので、たぶん小学6年じゃなかっただろうか、「クッキングパパ」という漫画を手にして、その何巻目かのあとがきのようなコマで「ジャッキーステーキハウス」を目にしたのは。
地元民がお勧めするステーキハウスという折り込みで。
その漫画を読んで以来、いつか沖縄を訪れる日があれば、ジャッキーステーキハウスでステーキを食べたいと思いつづけていた。それは「漫画道」に登場する松葉というラーメン屋へ憧れを抱くそれとまったくもって同質の想いであった。漫画バカならきっと解ってくれるだろう。
それだけに本物の「ジャッキーステーキハウス」を目の前にしたら心が震えた。「つ、ついに来たぜ。クッキングパパに出てくるここに」と。
そんなわけで、「ジャッキーステーキハウス」である。この店は1953年戦後すぐにオープンした。沖縄はアメリカ統治時代を体験しているので、このお店も何処となくアメリカの雰囲気を漂わせているのである。実際に米兵らしいグループが食べにきていた。
異国情緒ある店内。
写真はテンダーロインステーキM(1900円)。
ステーキのセットのスープとサラダ。
焼き方を尋ねられるので、レアかミディアムでここは抑えたい。ちなみにミディアムでもかなり血が滴るがつんとしたステーキなので、レアだとどういうのが出るのかはわからない。昔懐かしいポタージュとサラダがついて、オージービーフといえども、この値段は安い。アメリカが近い沖縄ならではの野性味たっぷりのステーキ。
柔らかくてぺロリと食べられてしまう。お好みでテーブルにあるステーキソースか醤油を垂らして戴きたい。ソースは酸味があるので、個人的には醤油を垂らすのが好み。メニューにはMISOSIRUなんてのもあって、統治時代を彷彿させるのだ。
ジャッキーステーキハウス
沖縄県那覇市西1-7-3
1/1と盆(旧暦7/15、ウークイのみ)が休み
11:00~翌01:30
※駐車場有り
テンダーロインステーキ
L --\2100
M --\1900
S --\1700
ニューヨークステーキ
L --\1500
S --\1400
ハンバーガーステーキ
L --\1000
S --\800
チョップステーキ --\1100
ポークチャップ --\850
ポーク カツレツ --\850
ビーフカツレツ --\1000
そのほかにメキシカンやサンドウィッチも多数。
─HP─
クリスマスソングが鳴り響く12月、日本の最南端の都道府県である沖縄はそれでも25度の気温で、昼間は半袖でも汗ばむくらいである。
そんな特異な気候であるがゆえ、土産物屋が立ち並ぶ那覇国際通りは連日修学旅行生で賑わう。その表通りの喧騒とは裏腹に一歩奥へ入ると、途端にディープな世界が待ち構えている。生活観溢れる沖縄だ。
公設市場からちょっと外れた路地にある地元民に人気の宮古そばの専門店「田舎」も、そんなディープなお店のひとつである。
このアジア満点な市場のすぐそば。
そしてなんだか懐かしい雰囲気の店内。
そーきそば(350円)
なんと、骨まで柔らかく煮込んであるとろとろのソーキがどさっと乗っかって、この値段である。ソーキを煮込む一番出汁を使ったスープは透明で、あっさりとしていると思いきやズズっと呑むと、鰹風味が口いっぱいに広がる。
そう、鰹節でスープを取っているのだ。注文したらすぐさま出てきただけあって、麺は固めのやや太いタイプ。このボサっとした麺の感覚が南国らしくて良いのである。
そして器に直接口をつけて塩気のあるスープを啜り、ソーキを食べる。なんていう柔らかさ。そしてジューシーさ。感激である。
テーブルにある稲荷寿司は50円。これまた食べ応えのある稲荷で、合計400円でお腹いっぱい、幸せいっぱい。
宮古そば 田舎
沖縄県那覇市 那覇市公設市場通り
11:00~19:00
ソーキそば(小) --\350
ソーキそば(大) --\650
てびちそば(小) --\400
てびちそば(大) --\650
沖縄そば(小) --\400
沖縄そば(大) --\650
ねぎそば(小) --\300
稲荷寿司 --\50
20年前ぐらいに一世を風靡した元祖激辛カレーの火付け役ボルツを皆さんは覚えているだろうか。バブルの頃にはよく見かけたあの店である。
全盛期にはそれこそ60店舗はくだらないと言われたボルツも諸行無常の響きありと、今残っているのは僅か3店舗ばかりである。
そのうち正当的なボルツの味を継承しているのはたった1店舗で、東西線竹橋駅から5分のところにある。
写真はチキンカレー(750円)
カレー自体の辛さは、普通から20倍まで設定が可能で、7倍を頼むとインド人もびっくりと謳ってある。ただ実際にはこれはやはり往年の辛さ設定というか、激辛ブームを超えたいまの時代では、ややマイルドだ。カレーはさらさらとしたカレーでスパイスがふんだんである。テーブルの上に数種類の薬味があるので、ガツガツと乗せて味を調整するのがよろしい。
ボルツは、古きよきバブルの時代の激辛ってこういう味なんだなぁと、カレーの聖地巡礼をしつつ、昔を思い出しながら食べるのがこの時代に合った食べ方ってものだろう。
カレーハウス ボルツ 神田店
千代田区神田錦町3-1
11:30~20:30
無休(日祝不定休)
ビーフとトマト(マイルド) --\900
チキン --\750
チキンとトマト --\800
エビとトマト --\800
ビーフ --\850
アサリとトマト --\750
フルーツヨーグルト --\400
読売テレビ系列の「秘密の県民ショー」という、地方独特の風習を紹介するバラエティ番組で、地方から東京上陸した食べ物を特集しているコーナーがある。そこで「秋田県民を虜にする黒いイケ麺が東京上陸」と、高田馬場のラーメン屋が紹介されていた。JR山手線高田馬場駅から早稲田通りを徒歩5分。
むげん堂の真向かいにある「末廣」である。
元々は京都にある元祖中華そばの名店「新福菜館」をルーツとし、その味に惚れこんだ「末廣」の店主が秋田に開店したという。秋田ではかなり有名だとか。
店内はカウンターのみの店で、特徴的なのは、テーブルにある丼いっぱいの葱だ。嬉しいことに、この葱は入れ放題。
写真は中華そば(680円)
まず目を引くのは真っ黒なスープ。熱々の脂が膜を敷いているのをズズっと蓮華で啜ると何とも心温まる中華そばの味。鶏がらの濃厚な味が懐かしい。麺は中太ストレート麺。そしてチャーシューではなく、煮込んである肉の薄切り。
もう一つ追加でできたら、ナルトが欲しいところである。それにしてもナルトという食べ物は、ある時には全然意識しないけど、ないってことになると、俄然と存在を強める食べ物である。このラーメンにもナルトがあったら、さらに旨いのに、なんて思ってしまう。それでも、とにかくたっぷりの葱で食べるべし。遠い雪国を想う味だ。
末廣
新宿区高田馬場2-8-3
年中無休 24時間営業
中華そば(並) --\680円
中華そば(大) --\780円
中華そば(特大) --\880円
あさり醤油(並)--\880円
あさり醤油(大)--\980円
あさり醤油(特大)--\1080円
その他、やきめしなど、メニュー多数。
高円寺の北口にある「DIZZ」という本格炭火焼串焼き専門店で、日曜限定20食で出していた鶏皮煮込みつけ麺は、人気ぶりが凄くてあっという間に売り切れ、幻の一杯とまで噂されていた。そのつけ麺がなんと毎日食べられる店があるという。
西武新宿線野方駅から徒歩1分ところにある「鶏皮煮込みつけそば専門店常吉」だ。カウンターが10席ほど並ぶ店は2009年6月にオープンした。
写真は「今日のつまみ」の鶏皮ポン酢(200円)
自家製麺は茹で上がるまで8分掛かるので、つまみとビールで喉を潤す。日替わりのつまみは鶏皮ポン酢。こりこりっとした鶏皮に柚子胡椒をつけて口に運ぶ。サッパリとしつつも滋養溢れる味が広がる。
こちらは鶏皮煮込みつけ麺中250グラム(700円)
時間を掛けて茹でる麺はむっちりとした太麺で食べ応え抜群。そしてこのつけ汁。まさにもつ煮込みの煮汁。そこにたっぷりの魚粉が盛り上げられている。ニンジンや大根、コンニャクが具材として顔を出す。鶏皮のコッテリとした旨味と味噌が一体となり、甘みのあるコク深いつけ汁に仕上げている。太麺との相性がすこぶる良い。麺に絡みつくつけ汁は煮込み系なんだけれども、不思議と違和感がないのだ。お酒のあとに無性に食べたくなる一杯である。
常吉
東京都中野区野方5-30-9
17:30~23:30
鶏皮煮込みつけそば
小200g --\700
中250g --\700
大300g --\700
鶏皮辛煮込みつけそば
小200g --\700
中250g --\700
大300g --\700
ライス --\100
チャーシュー2枚 --\100
味玉うずら3個 --\100
あと飯(あげ玉つき) --\100
おじ様達のディズニーランド、サラリーマンの原宿(但し酒の)といえば新橋で、今宵もまた次の暖簾を目指して梯子酒をする姿は、すっかり名物化している。新橋の昼の姿はそれほどテレビでは特集されないけれども、勤労諸氏でお昼時もしっかりと賑わっている。旨いつまみを出す酒場がランチをやっていたりして、それでいてボリュームたっぷりだったりするのだ。
個人的には会社のカフェテラスを利用しているので、ランチだからといって駅前に出向くことはそうない。それでも2ヶ月に1回くらいは食べることがあるので、新橋らしいこの店をご紹介。新橋第一ビルという、昭和の懐かしい風景を残している酒場ビルの1階にある、これまた昭和ライクな喫茶店だ。
その名を「ポンヌフ」と言う。
昭和41年のビル竣工した当時から営業しているというので、もうかれこれ40年近くの老舗ということになる。ここの名物ランチはずばり、ナポリタンとハンバーグだ。ナポリタン界の王様と名高いナポリタン。今日ばかりはメタボなんて言葉はこの際忘れよう、そんなボリュームである。
サービスランチは、3点セットの「ポンヌフバーグ、コーヒー、自家製プリン」が1020円、ハンバーグサンドのセットが1020円、ハンバーグスパゲティのセットが1100円である。
こちらがポンヌフバーグセット(1020円)
まるで学生街で登場しそうな量である。このあと自家製プリンが果たしてお腹に収まるのだろうか。そんな一抹の不安がよぎってくる。
喫茶店界のナポリタンの王様の味、それはとても懐かしい味である。太いスパゲティ麺に絡むケチャップ。マッシュルームとハムがどかんと混ざっている。
それをハンバーグを崩しながら食べるのだ。玉ねぎがたっぷりのハンバーグは肉汁をしたたらせて、スパゲティと一体化していく。下品かもしれないけど、これが王道なのである。そしてロールパン。なぜロールパンなのかさておいて、深く悩まずにスパゲティをパンに挟もう。身体を動かす仕事じゃないのにいいのかしら。。。
まあ、そんな悩みも今日だけは忘れよう。だって、この衝撃的なポンヌフバーグを完食したら自家製プリンが待っているのだから。
そして、こちらが自家製プリン。
カラメルが苦めなのが、またいいのである。ハンバーグとスパゲティとのギャップが新鮮で、ふんわりと柔らかく牛乳の香りがするのが自家製って感じで、すんなりと胃袋に納まってくれる。これぞ新橋ランチの真髄。
ちなみに13時に食べると20時半までお腹がまるで空かず。残業していても苦にならなかったり。強烈である。
ポンヌフ
港区新橋2-20-15 新橋駅前ビル1号館1F
9:30~20:00
日曜定休
京王線西調布駅を出て品川通りを目指すこと10分。江川亭という有名店の近くに1軒のラーメン屋がある。
「祭」だ。まず初めてのお客さんは、この店の造りに驚くだろう。
鰻の寝床のような一直線の細い店内。立て付けの悪い扉(コツをつかまないと開けられない)、薄暗い蛍光灯、カウンターで堂々とタバコを吸うマスター、お世辞にも綺麗とは言い切れない店内。そして、でこぼこしている床(椅子の位置を極めないと、ズズっと沈む)。とにかく強烈である。
それでも客足が絶えないのは、熱烈なリピーターがいるからである。夜中12時過ぎでもぞくぞくと常連さんが訪れる。
写真はラーメン(550円)。
スープは、注文ごとに小鍋へひとつひとつ取り分けて温める手法。蓮華ですくうと、骨粉が確認できるほどのトロリとした凝縮感でかなりの濃さである。なかなか獣臭い。そう、北九州の魁龍を彷彿させるようなスープだ。
具は焼き豚と葱ともやしでシンプル。麺は中細麺だ。スープがかなり濃厚の豚骨なので、メニューにあるキムチラーメンが相性良いかも。
餃子にはピリっと酸味が効いたオリジナルのたれが掛けてあり、さっぱりとしている。濃いスープとは対照的なあっさり感で、つい箸が進んでしまう。
こちらは餃子(350円)。
それにしても店内の雰囲気はかなり独特だ。最近のラーメン屋はジャズが流れたり小洒落た内装だけれども、もっとB級でいいんだよね。なんかこの小汚さとマイペースっぷりが懐かしくもあるものである。そういうのが苦手な人にはお勧めできないけれど、味は確かで、夜中も賑わっているし、なんといってもこのスープの濃厚さは特筆だ。
祭
調布市上石原2-10-24
18:00~翌02:00
月曜、第一日曜、定休
ラーメン --\550
キムチラーメン --\700
岩のりラーメン --\750
チャーシューメン --\850
ごま味噌坦々麺 --\800
替え玉 --\100
餃子(5個) --\350
餃子(7個) --\500
その他モバイル会員の限定メニューあり
─HP─
激辛ラーメンというジャンルがあるとすれば、この店こそ唯一無比だろう。数多くのメディアでも取り上げられているので、名前を聞いたことがある人も多いはず。蒙古タンメン「中本」だ。
元々は上板橋にあった「中国料理中本」が発祥で、この店は1998年に閉店したのだけれど、どうしてもこの「中国料理中本」の味が食べたいという2代目オーナーが上板橋にあらためて開店した。
店舗は上板橋の本店を始めとし、池袋、新宿、目黒、吉祥寺、亀戸、御徒町にある。
写真は蒙古タンメン(770円)。
辛さレベルで5。14種類のスパイスと2種類の味噌を門外不出のレシピで混ぜ合わせたスープに乗っかっているのは、とろみのある麻婆豆腐。まず他店じゃ目にすることがない、そんな器の奥には、もちもち麺とバラ肉とキャベツ、白菜、人参、ニラなどたっぷりの野菜がくたくたになるまで柔らかく煮込んである。かなり異色である。
ラーメンがカウンターに運ばれると同時にポケットティッシュを渡されるわけだが、これはラーメンを三分の二ほど食べたときに、とてもよく分かる。なんつっても辛いのだ。とにかく辛い。いや、本当に辛い。野菜の甘さがオアシスのように感じる。汗が噴きでてくる。冬はいいけど、夏はどうなんだ?汗びっしょりになるだろう。食べていると、自分の食道の筋道が手に取れそうなくらいだ。身体全体がポカポカと暖まってくる。
すんごく辛いので、もう駄目だ、俺・・、なんて思うけれど、なぜかスープを啜ることを止めることができない。これがこの店の常連が揃って囁く<中本の中毒性>ってやつなのか。なにやら格闘技の試合をした後のような感じで店を出るのであった。病みつき度合いも天井知らずである。
中本 池袋店
豊島区西池袋3-26-6 サンサーラ西池袋ビル2F
10:00~翌01:00
年中無休
蒙古タンメン(レベル5) ーー\770
北極ラーメン(レベル9) ーー\800
味噌卵麺(レベル8) ーー\850
味噌タンメン(レベル3) ーー\750
─HP─
2008年10月、新橋にオープンした「きらら」は、五反田に本店を持つ九州大牟田ラーメンの店である。新橋駅烏森口から徒歩2分のところにある。連日、新橋名物(?)の酔客で賑わっていて、この界隈の注目株だ。
写真は、ばりこて塩ラーメン(750円)。
店内に足を入れるとムッと立ち込める豚骨スメル。どんぶりには木くらげと薄切りチャーシューと刻み葱と海苔という具材。たっぷりの木くらげが嬉しい。
スープは豚骨臭がありつつも柔らかい味で、ばりこてと謳うほどかどうかはさておいて、けっこうな濃さのスープである。勿論、麺は細く、スープへの絡み具合はバッチリだ。紅ショウガや辛子高菜、白ゴマ、にんにくと卓上調味料も充実。
きららのラーメンは、北九州のどんな街でも必ず1軒はあるラーメン屋の味だ。東京だからこそ、そんな普通の九州ラーメンが貴重。スープも完食できてしまう。大牟田ラーメンってのは何だろう?なんて思ったけれど、是非、醤油もぜひ試してみたい。
きらら
港区新橋3-16-22
11:00~深夜
無休
ばりこて醤油ラーメン --\750
ばりこて塩ラーメン --\750
白味噌豚骨ラーメン --\750
白柳ラーメン --\650
眠らない不夜城といえば新宿歌舞伎町。その繁華街では、ここ数年ラーメン戦争が勃発していて、なかなかの激戦区である。2009年3月1日にオープンした「六つ門」は、小滝橋通りに本店を持つ久留米ラーメンを看板にした店だ。
ところで、この店の造り、なんか見覚えがあるなぁと思いきや、そう、以前なんでんかんでんがあった場所である。店内の雰囲気はまるで違うけど。
写真はラーメン(680円)。
白濁のとろりとした豚骨スープは、なかなかマイルドな仕上がりで、豚骨臭くない。麺は九州らしさのある細麺。やわめからハリガネまでと、お好みの硬さで注文可能。テーブルには高菜や白ゴマや紅生姜などといった調味料関係も充実しているので、嬉しい限りだ。
スープからして久留米ラーメンなのかどうかは、意見の分かれる部分だと思うけど、この激戦区に勝負を挑んだのは、それなりに勝算を見込んでのことかもしれない。まろやかな豚骨スープを好きなお客さんには人気が出そうだ。店員さんの応対は親切丁寧そのもので、歌舞伎町界隈のラーメン屋ではピカイチである。
「六つ門」
新宿区歌舞伎町1-15-8 丸ゆうビル1F
10:30~翌06:00
年中無休
ラーメン --\680
特六つ門 --\880
特新味 --\900
黒醤味 --\900
赤辛味 --\950
豪快麺 --\1000円
替え玉 --\100
角煮めし ーー\250
明太めし ーー\350
JR高円寺駅北口を出て数分歩くと、乾物屋やベトナム料理が所狭しと肩を寄せ合っている独特の雰囲気を醸し出している大一市場があり、その一画にカウンターだけのラーメン屋が営業している。「ひら石」だ。
この店の特徴はなんと言っても、無化調を謳っているところにある。いわゆる化学調味料を使っていないということだ。この無化調or化調は、ラーメン好きの連中では賛否両論に事欠かさないテーマで、どちらにも言い分があったりと、喧々諤々だ。
最終的には個人的な好みで判断されるんじゃないかなと思うので、まあ、すきずきで・・・と、僕なんかは思うのだけど。
写真はらあめん(700円)。
たっぷりの煮干でとったスープに熱々の油が浮いていて、魚系の香りがプンと漂う。麺にもこだわりがあって、オリジナルの無かん水麺を使用。スープを啜ると、かなり濃厚の味がする。完全に魚系で、何処となく懐かしい味だ。もっちりな中細麺も歯ごたえばっちり。初めての来店だと、ついインパクトに欠けるかもしれないけれど、しばらくすると無性にここのラーメンが食べたくなる、そんな味だ。ちなみにメニューにあるジャンボ餃子は、本当にジャンボで、相当お腹が空いていないとボリューム負けしちゃうかもしれない。一人1個で満足できる気がする(2人で5個頼んだので、すさまじいことになった)。
ジャンボ餃子5個(700円)。
なお、向かいの四文屋という焼きとん屋で、このひら石のラーメンを注文することができる(50円増し)。無化調煮干系ラーメンとお酒の相性って、けっこういいものである。
「ひら石」
杉並区高円寺北3-22-8 大一市場内
11:30~翌01:00
(スープがなくなり次第閉店)
月曜定休
らあめん --\700
ごまみそらあめん --\830
香味油らあめん --\830
つけめん(しょう油) --\830
つけめん(ごまみそ) --\890
スタミナ餃子(数量限定) --\450
ジャンボ餃子(5個) --\700
※2個からも注文可能(1個150円)
JR山手線高田馬場駅の早稲田口を降りると、そこはガード下。信号を渡り左方向にずっと5分ばかり歩く。うっかりすれば見落としても不思議じゃないくらいに気配の少ない看板がある。「おかしら」だ。
気配が少ない、というのは誇張表現でもなんでもない。この「おかしら」は、ごくごく普通のビルの地下1階にある焼きとんの店なのである。
土地柄、学生が多くて毎日が文化祭のごとく賑わいのある外の世界とは趣が異質な店内。まるで遠い旅先で出会ったような居酒屋。シンとしているが肩肘を張るような雰囲気でもない。じつに店内全体が落ち着いているのだ。夫婦で営んでいる気持ちのいい店。静かな談笑がとても似合う。炭がパチパチと音を立てて、ご主人さんが手際よく串をクルリと返す。
カウンターがコの字で20人も入れそうもない店には香ばしい串の香りが漂う。
串は100円。はつはじ、たんもとなど珍しい焼きものもある。ほんのり焼いたレバが秀逸。半生のレバにはタレが合う。
レバやハツなど刺身が最高。
もし、いいイカが仕入れられたら、日替わりにメニューに載っているので、イカわたとゲソのホイル焼を頼んで欲しい。ほろ苦いイカワタを箸の先で突付く。こんな肴には、芋のお湯割りで。のうみそ、なんて一風変わったメニューもある。
「おかしら」
新宿区高田馬場3丁目12-5
18:00~24:00
串 --\100
つまみは日替わりで黒板に。
焼酎 --\480
JRの強烈なインフラストラクチャーに比べると、西武新宿線などの私鉄は東京といえども小規模であることから、呑み屋の不特定多数の集客はおのずと限定されてくる。
集客率の向上は宣伝に注力するより、所謂<味>で勝負したほうが確実だ。JRのインフラはそうでもない。エリアによっては土地のネームバリューで集客が望めるからだ。つまり人気店といえども、その要因が<味>にあるとは限らない。一方、全てが当てはまるわけではないけれど、西武新宿線沿いの人気店は要因が<味>にある。
下井草駅南口から徒歩2分のところに店を構えている、大衆鉄板「こいくちや」は、今宵も熱く熱く盛り上がっている。
店内にそそくさと足を運ぶとまず視界に飛び込むのは、どどんと大きな鉄板。
次々と注文が入り、大将が小気味よく焼いていく。鉄板というと条件反射的に高いんじゃないかと考える傾向が友人内でもわりとあるのだけれど(どうしてそう思うのかは謎)、「こいくちや」はご安心あれ。料理は90%ぐらいが280円均一だ。こいくち焼きそばが560円だけれども、それでも安い。この大衆っぷりが、また人気の秘訣なのである。
赤く見えるのはトマトじゃないよ。なんと紅生姜。ぶっとい紅生姜と豚肉のハーモニーは、さっぱりしているのに旨味たっぷりで、ツマミとして最高。
ジュジュウと音を立てて鉄板で焼かれているのは、豆腐と豚ばら。スープがたっぷりで熱々を箸でほぐす。すすっと抵抗もなく箸が入って頬張るのだ。これで280円って安すぎ。
こちらはカリカリに焼けたチーズトマト焼き。チーズの芳しい香りがテーブルに漂う。カリカリチーズのしたには、とろとろのチーズとトマトが顔を出す。こりゃ堪らん。思わずビールが進む。
餃子だって鉄板で焼いて蒸しちゃう。カリカリっとした歯ざわり。周りを見ると、この餃子の注文、案外多いようである。頷ける味。
毎日限定10食の豚タン煮があったので注文。刻みネギがトッピングしてあって、牛すじの煮汁で煮込んでいる。焼酎にピッタリ。
牡蠣を味噌で絡めて鉄板で焼いた一品。甘辛い味噌と牡蠣が、いかにも冬のアイコンって具合で、外を吹く寒風を忘れちゃう味。
そして締めにこいくちやの焼きそば。ようやくここで560円の品。もちろん、目の前の鉄板で焼く。ソースの香りがいい。もうお腹は腹八分目をとっくに過ぎているのに、まだまだ入りそうである。
280円で鉄板というのは、やはり西武線路線の為せる技なのだろうか。気軽に訪れるに持ってこいだ。
こいくちや
杉並区下井草3丁目39-15
17:00-24:00
火曜、第3月曜、定休
鉄板焼きは280円。
幾つかは560円。
黒板にその季節のお勧めメニューなど日替わりで登場。
目が離せない。
キンミヤ --\280
生ビール --\550
瓶ビール --\500
ホッピーセット --\380
ハイボール --\380
トマト割り --\380
サワー --\380
地酒ワンカップ --\500~
西武新宿線の野方駅南口から徒歩3分のところにある「つけ麺 花みずき」は、2008年5月に開店したと共に注目を浴びている店である。カウンター9席テーブル2席の合計11席は、常に満席状態で、店内の待ち椅子も埋まっている人気ぶりだ。
写真はつけ麺(780円)。
動物系と魚介系スープをブレンドした濃厚なつけダレで、かなり魚介が強く、芳醇なまでの香りが漂う。鰹に始まり鯖や海老そして昆布などで旨味を抽出しているので頷ける味だ。麺はいわゆる太麺で、とろとろのつけダレが絡まりつく。実はここ、つけ麺もさながら中華そばがかなりイケる。濃厚つけダレを用いたスープなのだから、当然である。テーブルのゆず粉をお好みで振り掛けると新鮮。
「つけ麺 花みずき」
中野区野方3-22-8 野方ビル1F
11:30~22:00(スープ終了次第)
水曜、定休
つけ麺 --\780
味玉入りつけ麺 --\880
チャーシュー入りつけ麺 --\980
全入りつけ麺 --\1050
辛つけ麺 --\880
味玉入り辛つけ麺 --\980
チャーシュー入り辛つけ麺 --\1080
全入り辛つけ麺 --\1180
中華そば --\700
※各種大盛1.5倍プラス\100、超大盛2倍プラス\200
テレビや雑誌のラーメン特集で必ずと言っていいほど登場するのが、神奈川の秦野に本店を構えている「なんつっ亭」だ。熊本で一年間修行の後、1997年に開業し、真っ黒なマー油で名を轟かせている。
食べたいと思いつつも、都心から離れているだけになかなか足を運べないのだが、支店が都内にあり、品川駅高輪口から徒歩2分にある「品達-麺達七人衆」で食べられる。
写真はらーめん(700円)。
丼にたっぷりと浮かんでいるのは秘伝のマー油。7種類の揚げ方で揚げたニンニクにごま油をブレンドして作るという凝ったもので、絶妙のニンニク風味が漂う。スープは、ゲンコツの骨の中の髄が出やすいよう骨を全て割り、24時間ぐつぐつと圧力をかけて煮込んで不純物を取り除いたというスープ。臭みがまるでなく、クリーミーな味わいで、マー油を混ぜると格別にスープにコクが生まれる。かなり徹底している。
僕的にはある程度の臭みがあるところに<豚骨らしさ>が相重なるとも思っているので、少々パンチが足りないと感じだけれど、クセになる味というのは間違いなし。
「なんつっ亭 弐」
港区高輪3-26-20
11:00~23:00
無休
らーめん --\700
ねぎらーめん --\900
ちゃーしゅーめん --\900
辛味噌ラーメン --\800
ねぎちゃーしゅーめん --\980
再開発の波が押し寄せていて、もしかしたらあと数年も経てば、この店自体も街の風景から消えてしまうのかもしれない。
下北沢で営業し続けて40年。
素朴な中華屋「珉亭」は、それでも今宵もまた下北の貧乏なキッズの胃袋を満足させているだろう。
かつては私鉄沿線で降り立てば、何処の駅前にもこんな中華屋があったものである。昔ながらの中華そばが食べられる店が。「珉亭」もそういう店である。
「珉亭」の味は一言で表すとガッツの味。街の特色で言えばロックの味と言ってもいいかもしれない。
勘の鋭い音楽好きならピンと来ただろう。
ブルーハーツの甲本ヒロトがバイトしていたのが、この店だ。
そんな影響か、いま現在の珉亭を支えるアルバイトのみんなもロックな人たちばかり。
お客さんもバンドマンだったり、自称役者だったり絵描きだったり。
それでいいのだ。それこそが珉亭なのだ。4人でたらふく食べて飲んで通し2千円。
今日も餃子とビールで乾杯。パンクでロックな兄ちゃん姉ちゃんの台所。
こんなメニューをたらふく食べて。
肉汁たっぷりの餃子は、たったの450円!
栄養満点のレバニラ炒め。これで明日のライブもばっちり。
まるで野菜スープみたいに具沢山の水餃子はぺったんこなお財布に優しいぜ。
辛いの食べて体力補強して。じゃあじゃあ麺。
これまたクセになる味。たっぷりお酢をかけていただいちゃう上海焼そば。
珉亭
世田谷区北沢2-8-8
11:30~22:45
月曜定休
ラーメン --\ 500
支那そば --\ 600
もやしそば --\ 650
肉やきそば --\ 750
うまにそば --\ 800
坦々麺 --\ 800
五目ワンタン麺 --\ 900
長崎チャンポン --\ 900
冷やしつけ麺 --\ 750
冷やしじゃじゃめん --\ 800
伊豆七島の最端で、一年間を通じて高温多湿の気候、平均気温は18度という八丈島は、本土から離れている関係で、島独特の食文化が形成されている。同じ東京でも島まで行かないと食べられないメニューや食材がある。そんな島文化が池袋で堪能できる。店の名前もずばり「八丈島」。池袋西口から徒歩2分である。しかも営業時間は24時間。なかなか強烈だ。
伊豆七島といえば明日葉。八丈と言えば明日葉。島の何処でも生い茂っている多年草だ。明日も生えるから明日葉といわれるぐらい生命力が強い。ちょっとした苦味のクセがあるので、つまみにはもってこい。たっぷりたわわな葉っぱが天ぷらに。ジュワっとツユを染み渡らせて頬張る。もちろん島焼酎で。これぞ八丈の定番である。
こちらも島ではお馴染みの食材<飛び魚>の刺身となめろう。淡白な味の飛び魚は新鮮でプリプリ。ほんの少しだけ醤油をつけてさっと食べるのがよろしい。そしてなめろう。別名は沖膾と言われる漁師料理である。味噌と葱が混じり、ねっとりと仕上がっている。これまた島焼酎にばっちり合うのである。
もし18時までに「八丈島」に入店する機会を幸運にも得られたら、この鰯フライを食べると良い。サービスタイムで480円で提供しているからだ。衣の中から覗く熱々のイワシ。マヨネーズをつけちゃって無反省にビールを追加で。
ちょっと箸休めに。島たくあんだ。別名「島コウコウ」は、糠と塩だけで漬けた島の定番だ。塩の効いた漬物がさっぱりとして肴になってくれる。
さて、なんといっても締めの一品はこの島寿司だろう。八丈島の「あそこ寿司」(本当にそういう名前である)で食べた方々も多いのでは。少し甘めのシャリに乗っかっているのは、なんと練り芥子。そしてトビウオ、イサキといったネタが醤油漬けされている。不思議なことに普段ワサビで慣れている寿司も芥子で食べると違った愉しみができる。そしてなんといっても、東京で食べる島寿司には遠く海を隔てた島の生活が思い出され、それがまた懐かしく友と思い出話に花が咲き、もっと焼酎が進んだりするのである。
八丈島
豊島区西池袋1-22-4
24時間営業
年中無休
しまあじ刺 --\840
とび魚刺 --\720
とび魚漁師なめろう --\720
とび魚くさや --\840
金目鯛 --\840
わらさ --\650
かんぱち --\720
鰯フライ --\480
明日葉おひたし --\450
明日葉天ぷら --\600
あら大根煮 --\520
島寿司 --\650
島雑炊 --\550
生ビール --\480
八丈島ごろし --\420
情け島 --\400
あしたばハイ --\400
その他各種ツマミ、焼酎サワー盛りだくさん。
豚骨系と魚会系のスープを混ぜてみたら?という手法は昨今は当たり前という慣れの歴史を作ったのが、中野にある「青葉 本店」だ。
元祖ダブルスープの店である。
土日祝日となれば、いまだ行列が途切れないし、数多くのダブルスープ店というフォロワーを作った。
店内はカウンターだけの店で、席数は13席ほど。テキパキとした店員が作り上げるラーメンは素朴な東京スタイルとつけ麺である。中華そばとつけ麺、そして、それぞれの特製メニューがあり、4種類だけだ。
写真は中華そば(650円)。
鶏がらと豚骨という動物系が魚介の濃厚な出汁を引き出すスープ。麺はツルツルの中太麺で、歯ごたえがバッチリである。
さっぱりしすぎないで、でもコクが欲しいというのがダブルスープの極意で、下手すれば虻蜂取らずになりがちなスタイルなんだけど、両方のスープの特性を生かして、なかなか後を引く味に仕上げているのが、さすが元祖の所以。ちょっとお酒を飲んだ後に食べたら、さらに美味いだろうなぁなんて思うのだが、唯一残念なのは20時閉店というあたりだ。
夕方あたりから呑んで19時ぐらいに攻めてみるのもいいかもしれない。チャーシューは脂を落としてあって、正統的に醤油で煮込んである。しつこくないチャーシューが似合うスープな気がするので、こちらも相性が抜群。
「中華そば 青葉 中野本店」
中野区中野5-58-1
10:30~スープなくなり次第
木曜、定休
中華そば --\650
つけ麺 --\700
特製中華そば --\850
特製つけ麺 --\900
─HP─
箱根の仙石原にある箱根湿生花園は春夏秋冬を問わずに季節の自然が楽しめる場所で、なんと言っても秋の中旬に見られる黄金の芝生を敷き詰めたようなすすきは一見の価値がある。
その湿生花園から5分程度にあるのが、この「Lucky's Cafe」だ。地元に愛される小さなケーキ屋は、いまや観光客にも大人気。季節の果物をふんだんに用いたケーキが好評だ。店内で食べられるので、散歩の寄り道にもってこいだ。
写真は、季節の金時ロール(季節限定メニュー)。
甘くてふんわりとしたロールケーキ。生クリームがさっぱりしているので、あっという間に食べられちゃう味だ。
パスタなどのメニューも豊富なので、旅行組だけでなく、別荘組も重宝する店である。
「Lucky's Cafe」
神奈川県足柄下郡箱根町仙石原226
10:00~18:00
火曜、定休
ランチタイム 11:00~16:00
ランチ --\1050
キーマカレー・チキンピラフ・エビピラフ・クロワッサンドのいずれかと
サラダ、ドリンク、デザート
ショコラ --\340
パリジェンヌ --\180
箱根八里のモンブラン --\360
ショートケーキ --\320
いちごのタルト --\380
etc
─HP─
<箱根を訪れたら是非立ち寄りたい店>で一位を取り、哀川翔などの芸能人のご贔屓もあって、たびたびマスメディアでも取り上げられるのが、ここ「腸詰屋」である。
箱根登山バスの仙石原の停留所近く、箱根登山鉄道だったら強羅駅から車で20分のところにも関わらず、週末となれば客足が絶えることはない。防腐剤や増量剤など添加物を使わずに百年以上継承されたドイツの技術を以って作り上げられるハムとソーセージは、ハム業界のオリンピック(かどうかは知らないけれど)とまで謳われる<ドイツDLGコンテスト>で堂々の金賞を受賞している。お土産として出来たてのソーセージなどが買えたり配送できたりするだけではなく、イートインコーナーで焼きたてのソーセージや生ハムをはさんだサンドウィッチが食べられる。
写真は玉ねぎとオニオンを挟んだ生ハムサンドウィッチ(700円)。
玉ねぎと生ハムの相性がいいのは周知の事実。トマトと生ハムが黄金コンビなのは周知の事実。玉ねぎとトマトと生ハムがサンドウィッチのトリオなのはいうまでもない。つまり、腸詰屋のイートインで700円出して食べるこれが不味いわけはないのだ。熟成された生ハムの塩気が少し辛いシャキッとした玉ねぎに包まれる。仙石原あたりを散歩して少し小腹が空いたなと思いが浮かんできたら、ぜひともここで食べて欲しい。このサンドウィッチを。
手が込んだ調理なんてしていないけれど、四の五の言わずに旨いのだ。そう、本当に。
こちらはソーセージサンド(400円)。
バンズに熱々のソーセージを挟んだだけのシンプルなサンドウィッチ。飾り気なんてなくて、豪傑で野性味なサンドウィッチをえいっと齧ると言葉を失い、途端にビールが呑みたくなってくるのだ。素っ気ないだけに素材がしっかりしていないと味がついてこないとはこういうことか。じっくり焼きあがったソーセージはジューシーでムチムチしている。ハーブが芳醇な香りを醸し出し、厳選された肉が踊る。バンズで拭うように食べると、なんていっても幸せなのだ。
「腸詰屋」
神奈川県足柄下郡箱根町仙石原228
10:00~18:00
水曜定休
お土産のハムやソーセージは全て手作りのため、
グラムで量って1つ1つ計算。イートインコーナーで
気軽に食べられる。
─HP─
2008年9月3日に西武新宿線の野方駅近くでオープンしてから、たった1週間足らずしてラーメン業界の話題をさらっているのが、この「味噌麺処 花道」。野方駅北口の商店街を歩いて3分程度のところにある、カウンターだけの味噌ラーメン屋だ。しかしたった1週間で注目を浴びる、その話題性ってなんだろうか。聞くところによると、「麺処井の庄」や「蒙古タンメン中本」で修行を積んだらしい。なるほど、である。
一般的な味噌ラーメンとつけ麺でメニューが分かれていて、味噌→辛味噌→番町と辛さは3段階。価格も味噌ラーメン750円~、味噌つけ麺780円~で、私鉄各駅停車らしいお財布に優しい設定。
写真は辛味噌ラーメン(750円)。
たっぷりと乗っかったもやしの脇に分厚いチャーシューが2枚、まるでPCのメモリのように差してあって、料亭の箸置きと同じくらいのメンマ。スープは(ものすごおおく)濃厚な味噌スープ。味噌の甘み一本の単調な味付けではなく、何層にも複雑に調合してあり、時折顔を見せる酸味が新鮮だ。山椒系のピリリとしたスパイスが食欲をそそる。生にんにくがサービスで置いてあったけど、かなり合うだろうなと思う。その爆裂インパクトなスープに絡むもっちりな極太麺が食べ応えバッチリだ。腰が十分あり、まさに濃いスープだからこそ調和が取れるのだろう。木枯らしが吹き荒れる真冬、こんな一杯で身体の芯から暖まりたいものである。
「味噌麺処 花道」
中野区野方6-23-12
11:30~14:00 / 18:00~22:00(売り切れ次第終了)
火曜、定休
味噌ラーメン --\750
辛味噌ラーメン --\750
番町ラーメン --\800
味噌つけ麺 --\780
辛味噌つけ麺 --\780
番町つけ麺 --\830
─HP─
当時最年少の芥川賞を受賞した村上龍の「限りなく透明に近いブルー」という小説の舞台となった街といえば、東京の福生である。横田米軍基地があるこの街は、当時の旺盛ほどではないにしろ、アメリカのような、それでいて何処の国にも属さないような、まさに基地の街そのものの風景である。
しょっちゅう取り壊されていると耳にするけれど、米軍ハウスもそこかしこで健在だ。
環状16号沿いには、古着屋だったり米軍放出の軍モノを取り扱う店だったり、アメリカ中古家具屋だったりが並んでいる。そして「カフェ ドゥ シャルダン」は横田基地第二ゲートと第五ゲートの中間あたりに位置するケーキ屋さんである。
ひときわ目立つカントリー調の山小屋で営まれているので、ドライブしていても散歩がてらに歩いていても分かるだろう。
「カフェ ドゥ シャルダン」、フランス語で庭を意味するこの店では、国産小麦はもちろんのこと、自然卵、未精製砂糖と、とことん素材にこだわる徹底ぶりで、しつこさのまるで無い生クリームを舐めれば、うんうんと頷けてしまう。
サブレシューは、注文してからカスタードクリームを注入しているので、とってもサクサク。ふわふわでありながら濃厚な乳白のカスタードクリームとは、抜群の相性。併設しているテラスのカフェでオーガニックの珈琲をくゆらせていると、都会の喧騒なんてすっかり忘れてしまいそうである。ケーキも450円くらいでかなりお手頃価格である。
「カフェ ドゥ シャルダン」
福生市福生2403-1
10:00~19:30
毎月曜、第2第4火曜、定休
サブレシュー --\140
各ケーキ --\300~450円前後
─HP─
新橋烏森にある海千山千の酒場で、この「大露路」を抑えないのはモグリと囁かれても仕方ないだろう。つまりは新橋の酒場を訪れるとしたら、必ずは暖簾をくぐっておきたい店だ。うっかりすると見落としてしまうかもしれないが、看板は今宵もけなげにこうやって夜道を照らしている。
8人掛けテーブルが2つ、6人掛けテーブルが2つ、そしてカウンター(立ち飲み2人分ぐらい)という狭い店だ。もちろん見ず知らずの酒場人と相席覚悟である。
生ビールが450円、瓶ビール大が550円、焼酎300円、各種酎ハイが300円と、ドリンクはいたって普通だ。それだけだったら、新橋の何処にでもある。この酒場が群を抜いているのは、なんと言ってもツマミである。ツマミはなんと全てが300円均一。
餃子、まぐろさし、しめ鯖、ウインナ炒め、ほっけ塩焼、ハムフライ・・・と、ここには書ききれないほどのツマミの品々。とにかくぜーんぶ300円だ。
300えーーん。
これも300えーーん。
ここに掲載の写真は、その豊富なツマミのほんの一部である。その一部のうちの、名物ハムフライの分厚さで、幕を閉じたい。とんでもない分厚さだ。そして何度も言うが、これが300円である。
「大露路」
都港区新橋3-10-6
16:00~23:30
土日祝
生ビール --\450
瓶ビール大 --\550
焼酎 --\300
各種酎ハイ --\300
ツマミはすべて --\300
オヤジどものワンダーランド、といえば、言わずもがな新橋である。宵の時刻も21時を過ぎれば、そこらあたりで歓哉が沸き立つ。背広姿の酔っ払い達が多いと何だか安心するなぁと思うようになったら、いよいよ貴方も一人前の新橋的酔っ払いだ。
で、そんな新橋的酔っ払いのハートをつかんでやまない最高の立ち呑み屋が、烏森口徒歩5分のところにあるので、ご紹介したい。
「ぼんそわ」である。
10人も入れば満員御礼になるこの店は、若いマスター(というよりは、店主という言葉がなぜかしっくりくる)が切り盛りしている。コの字型のカウンターを囲むようなスタイルで呑む感じだ。常連さんが多いけれど、一見でも大丈夫である。
オーダーはすべてキャッシュオン。手前にある銀の皿に2千円も入れれば、十分にお釣りがくるだろう。
ワインは赤と白(350円)、日本酒は澤乃井(300円)があり、焼酎はホッピーが350円、酎ハイやサワーは300円。
焼酎の量は、え、こんなのアリ?っていうくらい焼酎の量。しかも嬉しいことに、これがシャッリシャリのまさにシャーベット状態。
これぞ新橋な夜である。3杯呑めば相当に酔っ払うのだ。
ツマミはけっこう充実していて、どれも旨く丁寧な出来栄えである。
「もつカレー煮込み」、「煮込みハンバーグ」、「ハムカツ」、「まぐろヅケ」あたりが名物だ。どれも300円程度の廉価なので、お財布にも優しい。
個人的には、ここの古漬けがお勧め。胡瓜や茄子の古漬けが細かく刻んであって、生姜も細かく刻んであるツマミだ。しっかりと漬かってあって、ワインにも焼酎にもぴったり。150円という安さもいい。
何気に静かな音で90年代のオルタナが流れちゃったりする夜もあって、随所にマスターのこだわりが感じられる店だ。新橋千ベロ(千円でベロベロ)の夜を今宵も。
立ち飲み「ぼんそわ」
港区新橋4-15-5
17:30~23:30
土日祝休
生ビール --\400
酒 --\300
ホッピー --\350
酎ハイ/サワー --\300
ワイン(赤白) --\350
もつカレー煮込み --\300
カレー卵 --\100
ハムかつ --\200
マグロぶつ --\400
ガーリックトースト --\200
煮込みハンバーグ --\250
古漬け --\150
その他日替わりのツマミが20種ほど。
新しさと古さがまるで協定を結んだかのように均衡を保つ渋谷の道玄坂は、かつてよりラブホテル街として名高い。その街の一画にひっそりと営業しているカレー屋がある。「ムルギー」だ。
昭和26年に営業を始める。かの池波正太郎も通った、というのはあまりにも有名な逸話で、「東京のうまいもの―散歩のとき何か食べたくなって」(コロナ・ブックス)に詳細がある。
ムルギーは、数年前までは老夫婦が店を切り盛りされていたのだけれど、今は若い女性がバトンタッチして頑張っている。聞くところによると、名物のおじいさんは身体の調子が芳しくないらしく、入院されているとか。早く元気になっていただきたいところだ。
玉子入りムルギーカレー大盛(1350円)
名物カレーといえば、この玉子入りムルギーカレーだ。山脈を彷彿させる別名「エベレスト盛」と呼ばれる、聳え立つライス。それを取り囲むようにカレー、そしてゆで卵。あとは店オリジナルのチャツネが添えてある。
チャツネは果物を甘く煮込んでペーストにした、いわゆるジャムのようなものだ。むかしはしょっちゅうおじいちゃんに「カレーに混ぜなさい」と言われた気がする。
鋭く尖ったライス横のカレーは、13種類のスパイスやら果物が複雑に混ざっているので、十分にコクがあり、複数の辛さが炸裂する奥深いテイストなわけだが、このチャツネを混ぜることによって、さらにカレーの辛味が引き立つこと間違いなし。ビルマ仕込みのカレーはあっというまに平らげることになる。
ムルギー
渋谷区道玄坂2-19-2
11:30~15:00/16:00~20:00
木曜のみ11:30~15:00
金曜定休
ムルギーカリー --\950
玉子入りムルギーカリー --\1000
ムルギーカリー大 --\1250
玉子入りムルギーカリー大 --\1350
ハヤシカリー --\1050
サッテ(数限定) --\1100
ガドガドサラダ --\850
甘口+\50
辛口+\50
JR山手線高田馬場駅の早稲田口を出ると、真正面がガード下である。信号を渡ってすぐのビル1階にあるのが、「三代目天久」という串揚げの立ち呑み屋。
入口には「学生さんはご遠慮ください」なんて書いてあるので、背筋がピンと伸びちゃうけれど、どうやらこれは土地柄、学生が多い街なだけあって、新入生歓迎コンパやらドンチャン騒ぎがいたるところで起きているから、くたびれた大人がゆっくりと静かに飲めるよう配慮されてのことらしい。
決して陰気じゃない大人が楽しめる佇まいである。カウンターのみで12人も入れば満杯だ。
もちろん、ソースは「二度づけ禁止」。暖簾をくぐるやいなや、ステンレスの丸皿に盛られたキャベツが登場する。串揚げは1本120円。アスパラ、玉ねぎ、ししとう、ギンナン、にんにく、しゅうまい、ねぎちくわ、ウインナー、豚、牛、鳥、うずらの玉子キス、イカ、ホタテ、など。
全部1本120円。
ソースは特製ソース。サラサラとしたソースで甘みがある。軽くて薄い衣に包まれた具材はアツアツで、ソースに漬けるとジュっと小さく音を立てる。そのままガブリと頬張りビールを一口。
豚の串揚げが歯ごたえあって、下味がしっかり。おつまみとして最適である。120円は安いほうだろう。
こういう店はビールが進む。串を5本ほど食べて生ビールを2杯駆けつけで呑んだらサッと勘定にしたい。長居しないほうがスマートである。
個人的には三田の「たけちゃん」が殿堂入りしているので、比較するのは忍びないけれど、高田馬場で串をつついてビールを煽るなんていうお手軽なお店があるようで見つからないから、わりと便利だろうと思う。
サラリーマン風の背広を着たオジサンが猫の額みたいなカウンターによく合う。ピンで来るのがダンディなのだ。というのも、店のシステムとして、3人いたら「鳥1本」では頼めなくて「鳥3本」となる。学生お断りといい、立ち飲みは一人で呑むべきというスタイルなのか。
三代目天久
新宿区高田馬場2-19-7タックイレブン
月~金18:00~24:00 (L.O. 23:30)
土曜7:00~22:00
日祝休み
串揚げ --\120
(アスパラ、玉ねぎ、ししとう、ギンナン、にんにく、しゅうまい、ねぎちくわ、ウインナー、豚、牛、鳥、うずらの玉子キス、イカ、ホタテ、など)
生ビール(中ジョッキ) --\400
レモンサワー --\400
ウーロンハイ --\400
ホッピー --\400
日本酒(燗・冷) --\400
焼酎(水・お湯割り) --\400
その他つまみあり。
熱い鉄鍋に小麦粉を溶かして餃子を焼くので、パリっとした香ばしい薄皮が焼きあがる餃子にくっつく。そのさまがまるで鳥の羽のようにも見えるから、蒲田の餃子は<羽根付き餃子>と呼ばれている。
蒲田駅周辺にはこの羽根付き餃子の名店が数多くあり、そしてそれら名店はすべてここから始まった。
元祖羽根付き餃子の「ニイハオ」である。
店舗は本店と別館とで分かれている。本店は席数十幾つほどの、日本の商店街だったらどこにでもありそうな中華屋のようであり、別館は回転テーブルがずらっと配置されている席数たっぷりの大きな店舗だ。メニューも別館のほうが豊富である。しかし僕はニイハオで餃子を食べるとなると、本店に足を運ぶ。
写真は焼き餃子(一人前6個300円)。
丁寧に手作りされた黄金色の餃子が500円でお釣りがくるのである。パリパリの皮に包まれた具材は、細かく刻まれた白菜と味付けをして一晩寝かせた挽肉。
小皿に自家製ラー油と醤油と酢を混ぜ、箸をうまく使い羽根を剥がして餃子をつける。焼き目がしっかりと附いている餃子はボリュームたっぷり。それをこう、小皿に乗せジュワっと染みこんだアツアツのを一気にほうばる。芳烈な肉汁が広がり、思わずほっぺたが落ちそうになる。
B級ミシュランがあれば確実にランクイン。素っ気無いけれど手間の掛かった餃子は、まさに東京を代表する名品である。
こちらは茹で餃子(一人前10個500円)。
餃子が売りの店では、しばし、焼き餃子はいいんだけれど茹ではね・・とか、茹で餃子はいいんだけれど焼きがちょっとね・・みたいな話を聞く。どっこいニイハオは、やはり別格。
茹で餃子も抜群なので大人気である。ふんわり茹で上がった餃子はパリパリの焼き餃子と対照的だけれども、そこがまた病み付きになるのだ。同じように小皿に乗せて口に運ぶ。箸を休めることが出来ないテイスト。
餃子以外も小龍包子や青菜炒め、ニンニクの芽炒め、チャーハンなど多数のメニュー。もちろん黄金の組み合わせであるビールも。餃子にビールは鉄則だもの。
ニイハオ
本店
大田区蒲田4-24-14、
月~金 11:30~14:00/17:00~22:00、
土日祝 11:30~22:00
年中無休
別館
大田区蒲田4-25-7
11:30~14:00/18:00~24:00
年中無休
※本店と別館は30秒足らずの距離。行列の可能性あり。
焼き餃子 --\300
茹で餃子 --\500
小龍包子 --\500
その他メニュー多数。
2003年、西新宿に、やや人を食ったようなネーミングのお店が産声をあげた。
「讃岐うどん大使 東京麺通団(とうきょうめんつうだん)」という讃岐うどんの店である。そして瞬く間に西新宿の顔になった。讃岐地方に限りなく近いスタイルでセルフサービスを採用していて、入口の大釜でうどんを次々と茹でているなど、かなり豪気である。
自分の好みのうどんを選ぶと、次は天ぷらやおにぎりなどが好みでチョイスできるようになっている。そして最後にレジ。レジの脇には、おろし生姜や刻み葱がおいてある。
写真は磯辺揚げを乗っけた、ねばたま(340円+150円)。
揚がったうどん玉はもっちりとしていて歯ごたえ抜群。納豆と絡めてテーブルの上にある特製醤油を垂らす。
何度か足を運んだ結果、自分の一番の好きなスタイルが、その日食べたいうどんの小さいサイズに天ぷら2つ、そしておにぎり1つというメニューであることが分かった。うどんが大きいサイズだとちょっと満腹すぎるし、天ぷら1つだと物足りない。そんな理由である。青海苔のまぶしてある竹輪の磯辺揚げとゲソ天、そして茶めしのおにぎり。名脇役達である。
東京麺通団
新宿区西新宿7-9-15ダイカンプラザ1F
10:00~02:00 (L.O.01:30)
無休
あつかけ --小\290 大\390
ひやかけ --小\290 大\390
かまあげ --小\340 大\440
かまたま --小\340 大\440
ねばたま --小\340 大\440
ひやたま --小\340 大\440
ざる --小\290 大\390
おでん各種 --\100
おにぎり各種 --\100
天ぷら各種 --\100~
新宿駅から西武新宿線を各駅停車で15分程度、野方駅に到着する。その野方駅から徒歩2分、バスロータリー近くにあるのが「かわむら」だ。
北海道沼田産のそば粉8割つなぎ2割の蕎麦は連日賑わうほどの人気である。それもそのはずで、「かわむら」の店主は、「築地さらしな」のお弟子さんなどで構成されている「築地さらしなの里~里会」の若手ホープとして名を上げているのだ。
「築地さらしな」といえば、遡ること120年前、明治32年に麻布永坂更科(現・更科堀井)で15年間修行した初代が開業したお店で、いまも築地で店を構えている。
写真は、親子せいろ(1100円)。
店の入口に「新そば始めました」とある通り、登場した蕎麦は芳醇な蕎麦本来の馨りを放っている。
親子せいろは、鶏肉とトロトロに溶けた千住ねぎを焼き玉子で閉じ、鰹出汁のツユで戴く蕎麦のことである。鶏肉から滲み出る肉汁が鼻腔をくすぐり食欲をそそる。そして甘くとろけ出す千住ねぎとのハーモニー。濃厚なツユが蕎麦に絡み、焼き玉子が口の中で弾ける。
絶品である。季節に合わせた蕎麦が定評あり、寒い時期の牡蠣そばもかなりのものらしい。
手打ちそば「かわむら」
東京都中野区野方5-3野方WIZ2F
11:30~15:00/17:30~22:00(LO21:45)
水曜および第三火曜、定休
深川そば --\1300
親子せいろ --\1100
もりそば --\700
ざるそば --\800
田舎そば --\800
五種のきのこそば(冬季限定) --\1260
牡蠣そば(冬季限定) --\1390
季節の天もりそば・天かけそば
(岩手牡蠣・舞茸・エリンギ・しめじなどの天種とおそば) --\1600
その他、天種やつまみ、地酒や日本酒など多数。
熊本県が本家の「味千拉麺」が、不夜城として有名な歌舞伎町にオープンしたのは2006年の話である。アメリカ、中国、台湾、シンガポール、フィリピン、タイ、インドネシア、オーストラリア、カナダと世界を股にかけて次々と展開しているのは熊本では有名だという。それぐらい勢いがある店、ということなのかもしれない。
写真は味千ラーメン うまか味*50食限定(730円)
白濁の豚骨スープに千味油と呼ばれる褐色のタレが遠慮なくどんぶりを覆っている。
このタレが随一のコクを醸し出し、丁寧に炊かれた豚骨スープに相乗効果をだし、旨味が二重奏になる。蓮華で啜るとなかなかクセになる味わいだ。麺は中太麺で、濃いスープに程よく絡んで塩梅がいい。個人的には「もう今日はどうしても豚骨が食べたいのよね」という居ても立ってもいられない気分で<豚骨スイッチ>が入っちゃったときに暖簾をくぐりたくなっちゃう店だ(自分が初めて食べた豚骨が桂花ラーメンだったので、熊本系を美味しく感じる傾向にある)。
ところで、歌舞伎町は駐車取締りが民間に委託されて以来、環状線沿いの有名ラーメン店がぞくぞくと移転している街である。すっかりラーメン戦争状態なのだが、これといって贔屓にしたい店がないのは残念である。そんな中で熊本系豚骨の「味千拉麺」は、ポイントが高いかも。
味千拉麺 新宿歌舞伎町店
新宿区歌舞伎町1-17-7 リカムビル
11:00~28:00
無休
味千ラーメン --\500
阿蘇高菜ラーメン --\600
パイクー麺 --\880
チャーシュー麺 --\800
全のせラーメン --1000
チャーハン --\550
高菜チャーハン --\600
おにぎり --\100
─HP─
山梨県富士山の麓にある河口湖は年間を通じて雄大な景色があることから観光客が途絶えることは無い。湖のそばには幾つものレストランや食事処が暖簾を出している。そのうちのある店は常に満員御礼という恐ろしい集客率だ。「甲州ほうとう 小作」の河口湖店である。
豚肉辛口ほうとう(1500円)
ほうとうは、山梨に古くから伝わる郷土料理で、小麦粉を練った平たい麺(要はすいとんを麺にしたような感じ)が煮込まれた料理で、煮干で出汁をとり味噌仕立てにしてある。
南瓜が煮崩れるまで煮込まれているのが特徴だ。大根や長葱、人参に里芋にジャガイモ、さらに椎茸やシメジが顔を出し具沢山である。一般的に(僕の田舎とかではポピュラーであったが)煮干は取り出されなくて、そのまま具と一緒に煮込まれ続ける。
熱々の味噌仕立ての南瓜がマイルドな口当たりで汁を啜ると身体が一気に暖まる。煮干で出汁をとっているので、単なる味噌汁ではない深い味になっている。具沢山の野菜の旨味が凝縮。
やや麺が少ないのが残念だけれど、巨大な南瓜、丸々1個煮込んであるジャガイモ、季節の野菜エトセトラとキノコ類でお腹一杯になること請け合い。
ついバクバクと食べ過ぎてしまった馬刺し(1000円)
鹿刺し(1000円)
馬刺しは山梨では当たり前の食文化で、日本では長野や熊本でも食べられている。おろし生姜かおろしニンニクで食べるのが宜しい。やはり独特の野性味ある臭みだけれど、食べなれればどんどんと戴けるはずである。
鹿刺しは馬刺しほどメジャーではなく、山梨~長野の山間部で見かけることがある程度。なかなか貴重である。馬刺しに比べて、やや臭みがあるものの、赤身の部分は歯ごたえがあり、滋味溢れる味だ。馬刺しと鹿刺しがメニューに並んでいたら、この食べ合わせに巡りあえたことを感謝したい。
そして、馬→鹿の順番で食べることをお勧めする。馬も鹿も食べて馬鹿になっちゃおう。
小作
山梨県南都留郡富士河口湖町船津1638-1
11:00~21:00(4/1~11/30)
11:00~20:30(12/1~3/31)
無休
かぼちゃほうとう --\1000
あずきほうとう --\1100
豚肉ほうとう --\1300
鴨肉ほうとう --\1500
豚肉辛口ほうとう --\1500
猪肉ほうとう --\2000
もつ煮 --\400
馬刺し --\1000
鹿刺し --\1000
その他多数のメニューあり
─HP─
北九州各地に展開している東龍軒は、日明にある本店を拠点として7店舗あり、そのうちの1つが八幡西区本城の店だ。
FC展開しているとはいえ太平山ラーメンと同じ経営であるだけに、妥協のない味を提供している。また一律のマニュアルではなく、店によってはおにぎりがあったりとか餃子が置いてあったりとか、そこの店でしか味わえない画一的ではない何かがあるのが好印象だ。
ラーメン↑
焼きめし↓
写真は焼きめしセット(750円)
東龍軒の暖簾をくぐり、ラーメンを注文すると「ニンニクはどうされますか」とまず訊かれる。
個人的にはたとえ初デートであったとしてもニンニクを入れるのをお勧めする。全国津々浦々でラーメンを食する機会が増えても学生時代に比べたらニンニクを投入することは減ってきた。というより、皆無に近いのだが、東龍軒だけは「ニンニクをお願いします」と答えたい。
そしてお好みでテーブルにある激辛の高菜を入れる。この高菜は目が飛び出るぐらい辛いので要注意。
さて、登場するのは臭みのない白豚骨スープの一杯だ。毎朝6時に仕込みを始めるというだけあり、一口啜れば丁寧にアクが漉されているのがよく分かる。そう、スープに淀みがなくて完全に透き通っているのだ。
焼きめしは余分な水分が飛ばされて軽い食感。ラーメンに合う焼きめしというのは簡単そうだけれど、案外とピッタリと感じさせる店がそれほど多くはない。相性のいい焼きめしは貴重だ。具材が五目のように小粒に刻まれている焼きめしに胡椒をふりかけ一気に。
東龍軒
北九州市八幡西区本城1-24-25
10:30~24:30
無休
ラーメン --\500
焼豚麺 --\650
もやしラーメン --\650
焼きめし --\450
焼きめし(小) --\250
焼きめしセット --\750
チャンポン --\700
餃子 --\250
─HP─
八幡西区にあるラーメン屋。折尾店となっているので、恐らくは他店舗が北九州エリア各地にある模様。
店内は昭和ノスタルジーで統一され、懐かしいグッズなどが置いてあったりと、ついキョロキョロしてしまう。
写真はラーメン(480円)
カウンターの厨房から手際よく運ばれたのは、かなり濃厚そうな一杯である。およそ東京人が想像する所謂<濃い目の豚骨スープ>だ。
トロトロのクリームのようなスープは塩味がしっかりと味付けられている。旨味が凝縮していてコクがたっぷり。元ダレが相当濃いようで、蓮華で一口啜るとガツンと豚骨が広がる。麺は細麺というほど細くはないが、やはり細麺で、時間を掛けて炊いている豚骨にマッチングする。半熟玉子は醤油で炊いてあって黄身をスープに溶かすと秀逸。
とんこつらぁめん鉄兵
北九州市八幡西区美吉野町1062-1
月~土 11:30~15:00/18:00~24:00
日祝 11:30~24:00
ラーメン --\480
餃子 --\330
最寄り駅は筑豊電鉄の永犬丸。
オレンジ色のポップな看板に書いていあるのは Chururu Chu-ra の文字。まばゆいほどにライトアップされた店内。その様子はまるでカフェか美容院のようで、一見すると、何屋なのかサッパリと見当がつかない店構え(少なくともラーメン屋には映らない)。おまけにウインターなソナタで一世を風靡したヨン様(ヨン様そっくりの店長がソナタ風に撮影されている)の巨大な看板が視界に飛び込む。
初めて訪れるとしたらなかなか勇気が必要な店である。しかし、そのポップさとは裏腹に、今を時めく<なんつっ亭>で修行したという店主が生み出す味はなかなか本格的だ。
スープの種類は幾つか選択可能。黒マー油を使った醤油豚骨の豚骨男味、赤マー油を使った豚骨女味が人気で、魚介豚骨のチョイスも可能。
写真は、白ヒゲじいさん豚骨男味(700円)
たっぷり乗っかった白髪葱と真っ黒なマー油が斬新だ。麺は九州ならではの細麺で歯切れが良い。気になるスープはというと、決して濃厚ではなく(むしろあっさりしている)、透き通っている豚骨なのに、薄いというわけでもない。しっかりとコクがあるのだ。油を丁寧に漉したスープならではの柔らかさか。そのスープを激しくマー油が攻撃して一段と味に深みを与えている。炙った焼き豚はコッテリとジューシーでかなりの旨さである。
ちゅるるちゅーら
福岡県北九州市八幡西区里中1丁目6-10
11:30~22:00
不定休
二郎インスパイヤラーメン --\680
ちゅるチュラ魚介豚骨 --\600
白ヒゲじいさん豚骨男味 --\700
替玉 --\150
半玉 --\80
神保町駅A5出口を降りて徒歩3分。カレー屋「共栄堂」は今日もまたスマトラカレーを求む学生やサラリーマンの熱気で賑わっている(どこかで見た出だしだなぁ)。
日本で唯一だというスマトラカレーが食べられる「共栄堂」は大正13年に創業した老舗である。インドカレーやタイカレーあたりがおおよその日本におけるオリエンタルな味だとしたら、スマトラカレーはいささかマニアックな路線だろうとも思う。
そもそもスマトラと聞いてすぐに地域を思い起こせる人もそう多くは無いんじゃないだろうか。
インドネシアにある熱帯雨林の島で、島としては世界第5位の面積を誇るのがスマトラ島だ。 マレー人、アチェ人、バタク人、ミナンバカウ人から成り立ち、大半がイスラム教徒である。そんなオリエンタルな土地で生まれたカレーらしいスパイシーでホットな味が楽しめる。
チキンカレー(1000円)。
26種類のスパイスが溶け込み、野菜の形が残らないほどに煮込まれたベースを使用しているルーは小麦粉を一切用いないということでサラサラの食感である。それでいて薄いわけではなくコクが滲み出ている。
この店の一番人気はポークカレーだけれど、具材によってポーク/チキン/ビーフとそれぞれ別々の鍋で煮込む丁寧さ。
スパイスは炒めてから投入しているということもあり、一言では表現できない深みがある。辛いというかスパイスのオーケストラというか。単純に旨い!と手放しで褒められる味というわけでもないが、決して忘れられない味という感じである。
独特の苦味があり、後をひく。まさにオリジナルの味。何度か通い詰めたら癖になりそうだ。一緒に出されるコーンスープを締めに飲むと爽やかなくらいマイルドになる。
共栄堂
神田神保町1-6サンビルB1階
11:00~20:00
定休、日曜祝日、12/28~1/5
ボークカレー --\800(ソース大盛 \1000)
チキンカレー --\1000(ソース大盛 \1200)
ビーフカレー --\1200(ソース大盛 \1500)
エビカレー --\1200(ソース大盛 \1500)
タンカレー --\1500(ソース大盛 \1800)
ハヤシライス --\1100
焼きりんご(10月~4月限定) --\500(1日20個~30個のみ)
※結構昼時の混雑は凄いらしく、相席や無愛想な対応などもあるらしい。そういったのを気にする人は混雑時を避けたほうがいいかも。
神保町駅A5出口を降りて徒歩3分。カレー屋「まんてん」は今日もまた学生やサラリーマンの熱気で賑わっている。
学生街・神田に位置するので学生が多い、というのだけが理由じゃない。なんと「まんてん」のカレーは400円、大盛りは50円増し、カツカレーが550円とかなり破格の値段なのだ。
並盛りの時点で他の店だったら大盛りなんじゃ・・・?というかなりのボリューム。大盛りを食べるには、いささかの勇気が必要である。
近所の学生が試験で赤点を取らないように願をこめて命名された店名(=満点)からして若者の心強い味方だ。
カツカレー(550円)。
揚げ物は常に揚げたてが乗っかって登場する。「カツカレー!」と告げること1分。最初に登場するのは、スプーンが差してあるお冷とほんのり甘めのアイスコーヒー。
アイスコーヒーに思わず手が出てしまいそうだが、あえてここは我慢したい。通常のカレーライスにカツが乗っているのではなく、さらにカレーがかかっているので「カレーが足りない」という事態に陥ることはほとんど発生しない。
挽肉がたっぷり入ったトロトロのカレーは懐かしい味だ。辛味は決して妥協していないけれど、辛いっていうほどでもないので、辛さが足らなかったらテーブルにある赤唐辛子の粉を加えてオリジナルにしてもいい。もちろん黄金色のカツはサックリ。具に絡めてガッツリ食べるのが似合う。
大学生だった頃、学校に通わずに神田の古本街で古本を探したり中古アルバムを漁ったりしたりしていた。歩き回ってヘトヘトになり、喫茶店に通うぐらいだったらもう一冊本を買うというぐらいだったのに、やっぱり腹が減ったら動けもしないので、お腹がグウと鳴り始めたら「まんてん」でカツカレーを食べた。
ちっちゃなアイスコーヒーをクイっと一気に飲んで長居をせずに店を出る。そういう店だ。
ひさびさの「まんてん」のカレーは、やっぱり「まんてん」にしか出せない味で懐かしく、熱々なカツも申し分ない。10数年前と変わらず美味しかった。なんというか本当に学生街の味である。
まんてん
千代田区神田神保町1-54
地下鉄神保町駅A5出口から徒歩5分
11:00~20:00
定休、日曜祝日
カレー --\400
大盛りカレー --\450
シュウマイカレー --\500
ソーセージカレー --\500
コロッケカレー --\500
カツカレー --\550
新宿西口にある思い出横丁(俗に言う、しょんべん横丁)は、太平洋戦争後に焼け野原となった新宿にできた闇市がそのまんま現代に残っている場所で、まるで戦災復興のさなかのように、モツ焼き屋や焼き鳥屋が密集している。
「つるかめ食堂」のソイ丼(大豆・ヒキ肉・カレー味)は500円、「岐阜屋」のラーメンは350円という前世紀なプライス、いまや全国的にポピュラーなドリンクであるチューハイのオリジナルは、「きくや」の元祖酎ハイボールだったりと、エピソードにこと欠かさない。
そして横丁の真ん中にあるのが立ち食い蕎麦屋「かめや」だ。
平日は24時間営業。それでも客足は途絶えることが無く、椅子が7つほど並ぶカウンターで構成されている狭い店内はいつでも満席だ。
というのも、日に何度か取るツユは、オリジナルのかえしに昆布そして鰹節から取る出汁を合わせていたり、店内でかき揚げを揚げたり蕎麦を実際に茹でていたりと、立ち食いらしからぬ手間が掛かっているからだ。いわゆる<路麺>では高い評価がある。
写真は定番の天玉そば(370円)。
さっくりとしたぶ厚いかき揚げの上に刻んだ葱が散らしてあって、半熟の温泉玉子が添えられている。まるで溢れんばかりの様子である。箸を割りズズっと啜ると、かえしがバッチリきいたツユが口中に広がる。トロトロの半熟玉子を突いて黄身と麺を絡め、サクサクのかき揚げを齧り、麺をたぐる。
日本ならではのファストフードで朝を迎えれば幸せというもの。
かめや 新宿店
新宿区西新宿1-2-10
月~金 24時間営業
土曜 0:00~翌03:00
日曜定休
かけ(そば・うどん)--\230
たぬき(そば・うどん)--\280
玉子(そば・うどん)--\280
とろろ昆布(そば・うどん)--\290
天ぷら(そば・うどん)--\320
天玉(そば・うどん)--\370
もり(そば・うどん)--\230
ざる(そば・うどん)--\300
大もり(そば・うどん)--\330
元祖天玉せいろ(そば・うどん)--\370
冷やしたぬき(そば・うどん)--\370
天もり(そば・うどん)--\320
環七沿いのラーメン屋といえば、東京に住む人間だったらピンとくるぐらい<激戦区>という言葉と密接に結びついている。今でこそ落ち着きを見せているが、中野区野方周辺は日々ラーメン屋が切磋琢磨していたエリアとして名高い。
そのキッカケとなった店が「野方ホープ」だ。創業は昭和63年、1988年だからそろそろ20年となる。年中無休だというのに、今日もまた行列が出来ているのを目の当たりにすると、その人気ぶりが窺える。西武新宿線野方駅から徒歩8分。
写真は中華そば(650円)
ラーメンが炊き上がるまでテーブルのキムチ(無料)を食べる。登場するのは背脂が浮かぶ東京豚骨の王道的な一杯。
背脂の量は<こてこて・こってり・ふつう・あっさり・あぶらぬき>の5種類から調整が可能。写真のラーメンは<こってり>をチョイス。
スープの表面に浮かぶ背脂と絶妙に絡むのが中太縮れ麺。チュルチュルと腰がある麺は醤油豚骨にピッタリである。
スープは10時間以上煮込んだ本格派。香味野菜や知床産の男しゃく芋、そしてゲンコツ、アバラと豚骨が炊き上げられているので、驚くほどにまろやか。
目の前で背脂を漉してまるで雪のように器に降らせているのを観察していると急激にお腹が空いているくるというもの。キムチとも相性がよくて、ラーメンに投入すると、また一味違った深みのあるスープに変化するのはさすが。
<こってり>とか選ぶと食い終わった後に「もう当分いいや」と思うのに、1ヶ月ぐらい経つと無性に食べたくなる中毒性があるラーメンだ。深夜まで営業しているも嬉しい。(夜中もたいてい並ぶけれど)
野方ホープ本店
中野区野方2-58-4
11:00~翌04:00
無休
中華そば --\650
ネギ辛ラーメン --\800
チャーシューメン --\920
つけ麺(夏季限定)--\620
坦々麺(冬季限定)--\770
─詳細─
北九州市の海沿いの都市である若松の古い商店街に佇む一軒の鉄鍋餃子の店は、いつも店内から笑い声や活気が溢れている。看板には大きく「鉄なべ」と書いてある。
夜は威勢のいいおばちゃん達が仕切るカウンターだけの餃子のお店だ。
焼き餃子(350円)。
スープ餃子(350円)。
焼き飯(450円)。
火力の強いコンロで鉄鍋ごとにどんどんと餃子が焼かれていく。皮は自家製ということもあって、市販品では味わえないパリパリ感。中から登場するのはふんわりとした具材。オリジナルのピリ辛ラー油と餃子のたれを混ぜて食べれば、思わず目がほころぶ。サックリとした食感なので、三皿ぐらいは軽くいけちゃう。
スープ餃子は、コクのあるまろやかなスープに餃子が入っている。熱々なスープ餃子をぐいっと飲み干したら、もちろんビールが欲しくなるというもの。
焼き飯も定番。無骨な皿に乗っても味はホンモノ。火力が強いからベチャッとしていないのだ。胡椒を振りかけて餃子と一緒に頬張る。食べる。笑う。そしてまた飲む。おばちゃんとの会話も楽しい。
東京人の僕には時折何を言っているのか聞き取れなかったけど、それこそ旅というもの。しかし、焼き餃子350円はかなり安い。そしてメッチャ美味しいのだから毎日行列が出来るのも納得。どうしても交通手段は車に頼ることになるけれども、行く価値あり。
鉄なべ
福岡県北九州市若松区中川町1-23
12:00~22:00(21時前にお店に行ったほうが無難。21時半過ぎると暖簾が下げてある)
水曜、定休
焼き餃子 --\350
スープ餃子 --\350
焼きめし --\450
チャンポン --\450
※そのほかにもメニュー多数。
鹿児島本線小倉駅は本島から南下した場合の九州の玄関口である。それだけに駅前は再開発と旧市街地が渾然として街を形成している。
「一平 本店」は小倉駅すぐ目の前のアーケード街で営業している昔ながらのラーメン屋だ。近隣には角打ちと呼ばれる立ち呑み屋が並び、昼間から酔っているオジチャン達もいる。まるでリリー・フランキーの「東京タワー」に登場するオトンが居そうな雰囲気を醸し出している。
ワンカップを空けた容器のようなコップでお冷を出す「一平」は、小倉のそんなローカルな無骨さが感じられる。
写真はラーメン(500円)。
底の深い器に盛られたラーメンは、きざみ葱ときくらげと焼き豚という具が並ぶ。スープは白濁の豚骨だ。豚骨の臭みはないけれど、決して豚骨が薄いわけではない。
店内の看板に「健康のために塩分を抑えてあります」とあったけれど、そんな様子もない。じつにクセがなく、サッパリしているのだ。黒崎の「ホームラン」に通ずる<アッサリしているけれどコクがある>スープである。
毎日食べても飽きない旨さ。スープは全部飲み干せる。麺はやはり細麺。硬い仕上がりが嬉しい。老舗ながらのこだわりの一杯だ。カウンターでサッと注文して食べるというこのざっけなスタイルが気さくでいいのだ。
一平 本店
北九州市小倉北区京町2-6-2
10:00~23:30
木曜、定休
ラーメン --\500
大盛ラーメン --\600
黒崎駅前のアーケード街で2006年に新規オープンした「ららららーめん」。
黒崎で最強と謳われていた「唐そば」が東京の渋谷に移転してから久しく経っていたこともあり、この街のラーメン事情を担う主力な店として踊り出たとか。
カウンター10席ほどの店内は常に満席だ。佐賀県に本店があり、北九州に上陸した。
写真は潤黒ラーメン (650円)。
黒ゴマとマー油がブレンドされた秘伝の「黒だれ」がベースとなっている「潤黒ラーメン」。スープがかなり濃厚で、濃いスープが好きな人にはたまらないだろう。
潤黒部分に旨味と風味が凝縮されていて、スープに溶け込むことでさらに深み溢れるスープに変幻する。東京人の僕がイメージしている九州ラーメンの味といえば、この「ららららーめん」のスープのような濃い味だ。
そして、濃いながらも透き通った丁寧な裏ごしが伺えるというのがナイス。濃厚でスッキリとした味わい。これぞ、本場。
呑んだ後にはこの近くにある「ホームラン」がオーソドックスな味なのでそっちが食べたくなるかなって感じだけど、「ららららーめん」は、腹ごしらえにラーメンを!という時にピッタリだ。
チャーシュは肉が炙られて登場。馨しい肉の香りが漂う。麺は細麺で硬さをチョイスできる。
問答無用で「バリ硬」でオーダー。粉の感覚までが伝わる。
ららららーめん
福岡県北九州市八幡西区黒崎2-4-21
11:00~24:00
無休
潤黒ラーメン --\650
潤黒味玉子入り --\800
バリ旨ラーメン --\550
バリ旨味玉子入り --\700
バリ旨肉入り --\750
バリ旨全部入り --\900
金のねぎごまラーメン --\650
金のねぎごま味玉子入り --\800
一口餃子(6個いり) --\300
替玉 --\100
麺の硬さは、バリ硬・硬・普通・やわめ で選択可能。
北九州の黒崎といえば、昼の顔よりも夜の顔が勢いのある街である。どんな裏路地を歩いても飲み屋の看板が目に付いて、ついつい浮き足が立つという、ヨッパライの愛すべき街である。
そして、呑んだ後に食べたくなる黒崎のラーメン屋といえば、「ホームラン」。駅から歩いて5分程度のところだ。どのお客さんもみな酔いどれの顔をしている。
店自体の雰囲気は昔ながらのラーメン屋といった風情。深夜になってもお客さんが途絶えることなく、いまも地域に愛されている。ラーメンのほかにも北九州ならではの<おでん>も一年中置いてあるのも嬉しい。
写真はラーメン(500円)。
オーソドックスなスタイルのラーメンは、モヤシときくらげが盛ってあり葱が散らしてあってチャーシューが乗るという定番なもの。
お酒を飲んだ後に豚骨ラーメンとなると東京では<豚骨/醤油>の括りがあるせいか、どうも豚骨だとコッテリこそが一番という店が目立つ。しかし、そうではないのが本場。「ホームラン」のスープは決して濃厚な部類じゃないけれど、コクがあって旨いのだ。九州の奥深さを垣間見る瞬間でもある。
とにかく黒崎で飲んだら、千鳥足で扉を開けてみて。飲んだ後にピッタリな旨さのラーメンがそこで待っているから。
ホームラン
福岡県北九州市八幡西区熊手2-4-15
17:00~4:00(日曜~3:00)
水曜、定休
ラーメン --\500
大盛ラーメン --\600
餃子 --\420
チャーシューメン --\680
チャンポン --\600
焼きチャンポン --\600
他におでんやカツ丼など。
JR鹿児島本線八幡駅の目前にある「八幡のチャンポン」は、かつて此の地にあって今は移転した「銀河のチャンポン」という大人気店のご子息が暖簾分けした店である。
焼きたてのチキンカツがチャンポンや焼きそばの上にド~~ンっと乗っかっているのが特徴だ。どれもかなりのボリュームで美味しい。いなりずしと巻きずしのセット、いわゆる助六も人気である。
写真はチャンポン(740円)。
勢いよく中華鍋で炒められたシャキシャキのたっぷり野菜と揚げたてチキンカツ2個が乗っかっている。チキンカツ自体に味付けがされているので、チャーシュー感覚で食べられちゃうのが嬉しい。
スープは白濁の鶏がら系濃厚スープ。まろやかなコクがあって、ぐいぐいと蓮華で飲み干してしまうクセになる旨さ。ツルツルの中太麺のチャンポン麺が独特で、東京では馴染みがないが濃いスープへの絡み方が絶妙である。12時近くの昼時には列が出来るというのも頷ける。
八幡のチャンポン
北九州市八幡東区西本町2-1-1-1F
11:00~21:00
第4月曜、定休
第3第5月曜は14時まで
八幡のチャンポン --\740
ミニチャンポン --\500
焼きソバ --\680
カツのせ焼きソバ --\740
他にも助六など多数のメニュー。
西武新宿線の各駅停車で新宿駅から6つ目にある野方駅近くの環状七号線は、かねてからラーメンの激戦区らしい。(最近は落ち着いたようだが)
その激戦区でも重鎮クラスなのが、昔ながらのラーメン屋さん「十八番 (オハコ)」だ。
鶏がらや昆布を中心に豚などで出汁をとったスープはオーソドックスな醤油味。麺は店の奥にある麺打ち場で孟宗竹を使用して打つという方式だ。
カウンターと小さなテーブルが3つほど並ぶだけの中華屋なので見落としがちだけれど、地元民に長らく愛されているのか、いつも繁盛している。
写真は餃子(550円)。
手打ち麺の人気の陰に隠れつつ、じつは旨いと評判なのが餃子。餡に包まれたボリューム溢れる具は食べ応えあり。ラー油と酢醤油を混ぜたタレに浸して、ビールを戴きつつ熱々を食べたい。
ラーメン(700円)。
チャーハンとのセットで頼んだラーメン。前述したように麺は孟宗竹で打っているので、自家製な雰囲気の縮れ麺である。不均一な中太麺が懐かしい。
スープはちょっと酸味が効いた味で、薄くもなければ濃くもない。チャーシューは結構な大きさ。肉厚だ。醤油が染みこんでいて、これまた素朴な懐かしい味である。
昔はたくさん見かけただろう手打ち麺のラーメン屋さんは、どこにでもあるようで実は少なくなってきた。だからこそ、十八番のような店が貴重なのかもしれない。
十八番(おはこ)
中野区大和町2-2-2
11:30~15:00 / 17:00~21:00
水曜、定休
ラーメン --\700
やきそば --\800
餃子 --\550
各種定食など多数。
JR・東京メトロ四谷駅目の前にある歓楽街しんみち通りの奥のあたりにひっそりと佇んでいる「政吉そば」は、一見すると普通の立ち食いそば屋さんにしか見えない。
しかし、じつはこのお店、立ち食いそばランキング(いわゆる路麺ランキング)の上位を常にキープする名高い店なのである。(1位を取ったこともある)
というのも、立ち食いそばの常識を覆すこだわりがあるのだ。
なんと麺は毎朝長野県の茅野市にある製麺所から宅配便で届くという徹底ぶり。そば粉6割つなぎで山芋たっぷりのそばは、立ち食いそばを越えているクオリティだ。
きちんと丁寧に揚げたかき揚げに注文を受けてから茹でる麺、つゆもだしも自家製の本かえしを使用してる丁寧さがマニアを唸らせる。そば湯が置いていある立ち食いそばの店というのは凄い。
唯一の難点は土日祝日が休みで夕方18時までだということ。何かの機会があった際にはぜひ一度ご賞味あれ。
かき揚げそば(390円)
政吉そば
新宿区四谷1-8 小川ビル1階
07:00~18:00
土日祝、定休
かき揚げそば --\390
その他、温かいそば・冷たいそばと多数のメニュー
※冷たいのは人気高し。
街角の洋食屋さんという言葉がピッタリな、地域に愛され続けて15年の「アップルポット」は西武新宿線野方駅徒歩3分のところにある。
もともとはクレープ屋さんとして店が始まったけれども、ハンバーグやカレーやピッツァやパスタやムニエルと、オリジナルメニューはどんどんと増えて、いまや連日大賑わいの食堂になった。
メニューの数は110種類を超える(料理が出てくる間に実際に数えてみた)。出てくる料理はたっぷりのボリュームでオール手作り。値段は全て800円程度。家族経営なので、注文してから出てくるのがやや遅いのもご愛嬌。
16時~夜中の1時までが営業時間なので、夜遅くに小腹が空いた時にでも近隣に住んでいたら足を伸ばせるのが嬉しいし、どんな時間にお店に行ってもローカルな雰囲気が漂って微笑ましいのだ。大手チェーンのファミレスを訪れるぐらいだったら、「アップルポット」に行くほうがずっと気が利いていて、なにしろ暖かい雰囲気が居心地いい。
写真はビーフシチュー。(サラダとご飯がついて850円)
ほんとに一人分なの? これが一番最初に出てきた言葉。とにかく大盛りのビーフシチュー。ジャガイモが別に焼いてあって煮崩れしていなくてモチモチしている。こういう心配りが嬉しいのだ。
ニンニクが効いたデミグラスソースに柔らかくて食べ応えのある牛肉。耐熱皿が熱々なぐらい煮込まれている料理なのでお皿を触らないように注意。
こちらは白身魚のムニエル。(スープご飯がついて850円)
こんがりと焼けたソテーにバターと香辛料の香りが立ち昇り、丁寧に仕上げられたことを物語っている。しっかりとしたコンソメの下味があり、皿に盛られたご飯と相性抜群。これぞ地域の洋食屋さんの味で懐かしい気持ちにもなる。
そして、クレープ。
クレープは250円程度かな。薄めのしっとりとした皮に包まれた生クリームは、しつこくなくて軽めだ。「アップルポット」の豪勢な食事の後には、それぐらいがちょうどいいかも。ラムレーズンは、かなりラム酒で漬けてあって、酔っ払いそうな勢い。大人のクレープだ。
日曜日、シャワーを浴びてサッパリしたあとに夕涼みでもかねて散歩をして「アップルポット」の扉を開ける。お店の中は昭和な雰囲気でありながら、アーリーアメリカンな様子だ。そして各テーブルでは、ガヤガヤとカップルや友人同士や家族が休日の団欒を迎えている。家族経営だからときどき厨房でケンカなんかも聞こえちゃう。でもそんな光景まで微笑ましい。たっぷり料理を食べた後は、また商店街でも散歩する。ご近所ならではのコースだ。
アップルポット
中野区若宮1-54-14
16:00~01:00(L.Oは01:00)
火曜、毎月第一月曜定休
料理は100種類以上。パスタは500円程度。洋食は800円程度。
デザートはクレープが250円~。
※携帯電話とPCはすごい怒られるのでご注意を。
こってりしたスープが主流な豚骨ラーメンのなかでも比較的にあっさりとした味わいが楽しめるというのが宮崎ラーメンらしい。そして、そんな宮崎ラーメンが食べられる店といえば、2003年にオープンした「おくど」。長細いカウンターのみの店だ。東京メトロ丸の内線新宿御苑駅から徒歩5分の位置にある。
写真は、おくど拉麺。(600円)
他店ではまず見られないシャキシャキのもやしがポイント。火が通ってない状態で盛られている。食べてみると意外に違和感がないのが面白い。
スープはかなりあっさりとしていて透き通っている豚骨だ。粘りもまるでなく、さらりとしている。濃い味を期待した人は肩を落とすかもしれないが、きっと宮崎ラーメンというのはサッパリとしているのだろう。胃がもたれることはなさそうである。それぐらい柔らかく優しいマイルドな豚骨だ。麺は細麺のストレート。チャーシューは柔らかくて味が濃く、食べ応えがある。
なお、僕の周りでは、やたらとチャンポンを頼んでいる連中が多かったので、もしかしたら、こちらも人気商品なのかも。野菜たっぷりで見るからに食欲そそる感じだった。
ところで、僕はどちらかというと豚骨ラーメンでは濃い目が大好きで、あっさり味は「食った気がしねぇ~~!」と感想を言ってしまうタイプ。そんな輩だから踏み込んだ感想を言えないけれど、豚骨臭すぎると苦手な人やあっさり味の豚骨が食べたい人は、きっと気に入ると思う。
おくど
新宿区新宿1-11-7
月~金 11:00~21:00
土曜 11:00~昼のみ(15時半~16時頃閉店)
日曜、定休
おくど拉麺 --\600
チャーシュー麺 --\850
特製ちゃんぽん --\800
味噌ちゃんぽん --\850
ワンタン麺 --\750
西武新宿線の沼袋駅北口を徒歩で1分ほど歩いたところにあるのがケーキ屋の「アビニヨン」である。昭和45年(1970年)に開店し、彼是30年も続いている老舗の名店だ。
所狭いながらもまるでディズニーの世界に入り込んだかと思うぐらい暖かい雰囲気に包まれた店内に並ぶのは、選りすぐりのケーキの数々。甘いバニラやホイップ、生クリームの香りが漂い幸せな気分に浸ってしまう。
写真はチーズケーキ、りんごとさつまいものタルト、アップルパイに思い出プリン。
「思い出プリン」は蓋をひとたび開ければ芳醇なバニラの香りが広がる。コクがあってまろやかなプリンに絡まるカラメルソースがほんのり苦くて絶妙。そして丁寧な作り方が伺えるチーズケーキが濃厚で290円とは思えない。りんごとさつまいものタルトに言葉を失い、アップルパイも完璧な仕上がり。甘酸っぱいリンゴはしっとりとしていて、紅茶を飲みつつ齧ると、そこには幸せしか存在しない。
「とんねるずのみなさんのおかげでした」のコーナー【新・食わず嫌い王決定戦】で小池徹平がお土産で紹介した手作りゼリー「果実の実」は全国からの注文があるという。
テイクアウトのみだけど、かなりレベルが高い店である。
アビニヨン
中野区沼袋1-37-11
水曜、定休
09:00~20:30
クリームチーズケーキ --\290
りんごとさつまいものタルト --\280
半熟ショコラ --\300
いちごミルクのババロア --\320
などケーキは20種類ほど各300円程度。
バースデーケーキやアップルパイやプリンに焼き菓子も多数揃えている。
─HP─
野方駅北口商店街を抜けて新青梅街道沿いにある「むらさき」は横浜家系ラーメンのスタイルで2006年10月にオープンした。
写真は豚骨醤油ラーメン(580円)。
横浜家系をしつこくなくしたようなスープは、まろやかな仕上がりで少々インパクトにかける感もあるとはいえ、まろやかな味わいがあって親しみやすい。豚骨と鶏の出汁が効いている。
焼き豚はトロトロの柔らかさでジューシーである。麺は家系に倣い太い麺だ。スープが程なく絡まり、相性抜群。麺がちょっぴり少ない。
夜遅くまで営業していることもあり、近所にあれば重宝するお店である。
むらさき
中野区丸山2-20-3 パレドール中野第5 1F
火~土 12:00~14:00 / 18:30~翌1:00
日 12:00~14:00
月曜、定休
豚骨醤油ラーメン --\580
焼き餃子 --\380
角煮風豚めし --\280
ここのベーカリーを知らないサーファーやキャンパーはモグリだと囁かれるぐらい有名な新島のパン屋さん。
和田浜を左手に進むとお土産屋があるエリアになり、そのうちの幾つかの複雑な路地を抜けたところにある。初心者は見つけ難いので、地元民に訊ねたほうが無難。駐車場もあるので、自転車や車でもアクセス可能。
1日に3回パンを焼きたてて、ショーケースに並ぶのは出来立てのボリュームたっぷりのサンドウィッチやバーガーやデニッシュ。40種類以上あるので、ついついガラスケースに目がいってしまう。どれもこれも美味しいけれど、特にチョコデニッシュとキャラメルデニッシュは人気が高く、午後には売り切れることもしばしば。
朝早くに自転車を10分漕いで羽伏浦のキャンプ場から朝食を買いに訪れるキャンパーやサーファーが絶えないほどだ。(僕もそうだけど)
写真は降りしきる雨の中、遠路はるばるキャンプ場から自転車を漕いで購入したサンドウィッチとか。お店の入口にあるテーブルで雨宿りして食べようとしているところ。
かじやベーカリー
東京都新島村本村1-8-6
07:00~19:00
火曜、定休(夏季シーズンは無休)
サンドウィッチ、バーガー、デニッシュ --各\100~
都立家政駅から徒歩1分のところにある「魚がし寿司」は、カウンター8席のみの穴場的な店である。
新鮮なネタを目の前で握ってくれる職人さん。ふんわりとした穴子のお寿司や中トロ・・・。こんな風に書くと、値段もそれなりだろうと覚悟することになるかもしれないが、なんとこのお店、並500円・上800円・特上1300円で食べられるお店なのである。
もちろんカウンターだから寿司が回ることもない。
全てのメニューは一貫50円~350円という安さ。並といっても、マグロ2貫に始まり、カンパチ、コハダ、タコ、ソイ、玉子、そしてカッパ巻という豪勢さだ。上寿司は、マグロの赤身に始まり、中トロ、タイ、エビ、イカ、トビウオの卵、玉子、そしてカッパ巻。マクドナルドで食べるぐらいだったら(僕はマックに行かないけど)、絶対にこちらに足を運ぶ。
ちょっと貝を軽く炙ったのを出してもらい、寿司を堪能しつつ、しめ鯖もいっちゃったりして、最後にしじみ汁を呑んだとしても一人1500円いかないし、味・ネタ双方ともこの値段だったら深く頷けることは間違いない。
写真は握ってもらったばかりの上寿司のほんの一例。
なお、カウンターのみの8席ということもあり、混んでいることもあるので注意。
魚がし寿司
東京都中野区若宮3-18-4
18:00~23:30
日曜祝日17:00~23:00
水曜、定休
並寿司 --\500
上寿司 --\800
特上寿司 --\1300
一貫 --\50~\350
お椀 --\200
ビール --\550
日本酒一合 --\500
若かりし20代前半からインドを訪れていた自分としては、やはり本場のカレーを食べたこともあって(つーか、カレーしかない)、日本でインドカレー屋に行ったとしても、なかなか心を許せる店がそんなにあるわけではない。ましてや、梅干が入っているカレーだの黒ゴマを使用したカレーで和の食材を使ってみただなんていう、何処かに転がっていそうな話が舞い込むや否や、そんなのには目も向けやしなかった。
ところが、今回紹介する店に限っては襟を正してこれからも食べてもよさそうである。西武新宿線沼袋駅から徒歩15秒に位置する「たんど~る」というカレー屋さんだ。ホームから店の看板が見えるので迷うこともない。
店主は、アジャンタやガンガーパレスや天竺屋で10年に渡りカレーを探求し続けた方で、和食系の食材を使っているからといって、それは決してトリッキーな話題性ばかりではなく、味はずばり、本格派である。テレビや雑誌の取材が絶えないというのも頷ける。
写真はチキンピクルスとパパード(630円)。
ヨーグルトと何種類ものスパイスで漬け込まれたチキンは驚くほど柔らかくて、酸味が少し効いたカレー味のチキンピクルスはスターターとしてうってつけ。パパード(インドの薄焼きおせんべい)の塩加減も絶妙。
チーズ風味の黒ゴマキーマカレー(1150円)。
マサラに黒ゴマペーストがコラボレーションしたという、日本とインドの食材が見事に調和したカレー。チーズのこってり感が程よく旨みを演出している。和のテイストが盛り込まれているのに、あくまでもインドカレーとして主張している辛さとカレー独自の香りと風味がお見事。病みつきになる一品。
豚ひき肉のキーマカレー(980円)。
辛さを追及したい人向けの味。「たんど~る」で一番辛いのがこのメニューらしい。油の量が抑えてあるらしく、比較的に軽く食べられるのに、味は予断を許さない本格的なキーマの味。香ばしいスパイスが食欲をそそる。チーズナンで食べるとヤバいぐらいに手が止まらない。
たんど~る
中野区沼袋1-8-22 ヤマニビル2F
12:00~14:30 / 18:00~22:00
月曜 定休(火曜はディナーのみ)
タンドリーチキン
1ピース --\530
2ピース --\1000
チキンマライティッカ
2ピース --\420
4ピース --\800
チキンマライティッカの黒ゴマ焼き
2ピース --\580
4ピース --\1100
チキンマライティッカのチーズ焼き
2ピース --\580
4ピース --\1100
鶏肉の梅カレー --\1100
具沢山の野菜カレー --\950
豚ひき肉のキーマカレー --\980
黒ゴマキーマカレー --\1150
炭火焼き鶏肉の黒ゴマカレー --\980
炭火焼き鶏肉のクリームチーズカレー --\1000
ナン --\320
ガーリックナン --\370
スパイスライス --\220
チャイ --\480
─HP─
歌舞伎町と西武新宿駅の中間にある本格的な北京料理の店、その名もズバリ「北京」。
歌舞伎町で働いている多様な業種のチャイニーズが束の間の食事を愉しんでいて、此処は中国なのか??と見間違うぐらい店内に威勢のいい中国語が響き渡る。中国系の夜のホステスが出勤前に麺を食べている真横で職業不明の初老の眼光鋭い中国人がビールを注いでいるなんてのは、いかにもこの街らしい光景である。
焼き揚げ餃子(500円)。
モッチモッチの皮に詰まっているのは、きっと大陸の味なのだろう、香辛料たっぷりの具である。皮を破ってみると肉汁がたっぷりと顔を出す。ボリュームがあるのが嬉しい。辣油を落とした酢醤油をつけて食べれば、ビールが進むこと請け合い。
北京式チャンポン麺と五目炒飯のセット(850円)。
写真では分かり難いかもしれないけれど、結構な量である(実際に食べ切れなくて、炒飯は持ち帰りにした)。やはり日本の中華料理屋では嗅ぐ機会に恵まれない香辛料の熱い香りが食欲をそそる。
辛辣な麺のスープは日本に妥協していない本格派の辛さで、蓮華で一口啜っただけで汗がどっと湧き出る。辛いのが苦手な人は醤油味とかを頼んだほうが無難。
手打ち麺が有名な店ということもあり、他店では見受けられない独特の太さで麺がねじれている。炒飯はこれぞ本場の味というもの。強火で勢いよく炒めた味だ。
なお、日本語があまり通じないので、註文するときはメニューの写真や割り振ってある番号を指差して頼んだほうが手っ取り早い。
北京
新宿区歌舞伎町2-45-2ジャストビル1F
11:30~翌6:00
年中無休
麺と炒飯のセット --\850
※麺は何種類もあるので安心
焼き揚げ餃子 --\500
80種類以上のベルギービールと熱々の明石たこ焼き(不思議な組み合わせ・・・)が気軽に楽しめる海晴亭は、JR阿佐ヶ谷駅北口すぐのところにある気さくなバーである。
ベルギービールは、むっちりとした綿のようなコクがあるのにフルーティな味わいが広がるビールで、麦芽が主原料となる一般的なビールとはまさに一味違った味わいが特徴。
それもそのはずで、ベルギービールはさまざまなスパイスやハーブが事細かに絶妙のバランスで配合されていて、複雑な甘みと苦味が風味を醸し出すのだ。また、瓶の中で発酵が行われるので、瓶内で熟成されていく。
写真は白生ビール(770円)。
このベルギービールと意外なほどに相性がいいのが、明石のたこをふんだんに使ったたこ焼き。
外側はカリっとしているのに中はトロトロ。ソースではなく醤油で食べる。
「ねぎだこ」を頼むと、山盛りの葱がちらしてある。箸でつつくと、天かすがたっぷりと入っているのが見えて、キャベツが刻まれている。ジュワっと醤油ダレを染みこませて頬張るたこ焼きはおつまみにピッタリだ。「どっちの料理ショー」で放送されたというたこ焼きの味はさすが。
海晴亭
杉並区阿佐ヶ谷北2-13-2 パサージュ阿佐ヶ谷1F
月~金、土 18:00~02:00
日 17:00~24:30
白生ビール --\770
ランビックビール --\1450~
他ベルギービールは80種類以上
たこ焼き --\530
ねぎだこ --\620
ラーメンが注目を浴びてから幾度と無く熾烈な競争に巻き込まれたに違いないのに、往年のファンからも喜ばれ、新たなお客から喜ばれる新宿の老舗で重鎮のラーメン店といえば「桂花ラーメン」である。
永い間、新宿三平ストアの横で営業していた「新宿ふあんてん店」は閉店となり、新たな店舗として隣のビルに開店した。
そして従来からのメニューも充実し、熊本の店舗しかなかったチャンポンや、大盛りサービスなど目新しくなった。
そこで、従来の桂花ラーメンではなく<チャンポン>をチョイス。ちなみに以前に熊本にある本店で桂花ラーメンを食べてみたことがある。同じ味がするのかを確認してみたかったのだ。食べてみると、いつも新宿で食べている桂花の味がした。つまり、熊本と新宿で同じ味を作り出せているのだ。
こちらはチャンポン。
熊本の店舗以外では珍しいというメニュー。野菜たっぷりに白濁のスープは、まさに九州テイスト。やや小ぶりであるものの、やはりスープに特徴がある。桂花の裾野の広さが伺える味だ。豚骨スープがまろやかでコクがあるというのが桂花の真髄だろう。ビールと一緒に昼下がりに啜るなんてのが似合いそうな感じ。
そして唐揚げの代わりに頼んだコレ(名前は失念;)。
それにしても桂花というのは、時々、無性に食べたくなる。一度そう思うと居ても立っても居られない吸引力だ。なんだか太肉麺(ターローメン)を食べたくなってきた。こんな記事を書いているとなおさらである。そういう中毒性のある店である。
桂花ラーメン 新宿 ふあんてん新店
新宿区新宿3丁目21-4 第2サンパークビル
11:00~01:00
無休
桂花ラーメン --\650
太肉麺 --\900
有名店ということもあるので、ネットでは辛口採点が多い新宿の「竈」は燻製した玉子、通称<くんたま>で名を馳せたラーメン屋である。西武新宿駅のペペの先、職安通りとぶつかったところの角にある。
凝縮された豚骨スープと濃厚な魚系スープをブレンドしたダブルスープで、こってりしつつも魚系がやや勝っているテイスト。麺は中太縮れ麺。スープの塩加減が濃い。
燻製した玉子は美味しかった。でもあんまりラーメンとは合わない。単品で食べたほうが旨そうだ。何処のラーメン屋に行こうかと意外と<当たり>のラーメン屋が少ない新宿エリアで訪れるには無難。
竃KAMADO
新宿区歌舞伎町2-46-7第3平沢ビル1階
日~木 11:00~15:00/17:00~24:00(日は通し営業)
金・土 11:00~15:00/17:00~翌2:00(土は通し営業)
ラーメン --\650
くんたまラーメン --\750
吉祥のハモニカ横丁にあるタコライス専門店。
ファストフード感覚で手軽に食べられる店として人気がある。
ちなみにタコライスというのは、沖縄が発祥とされる食べ物で、挽肉やチーズとたっぷりのレタスに目玉焼きといった具材がご飯の上に乗っかり、辛味のサルサをかけて食べる丼(どんぶり)だ。海のタコが刺身で乗っかっている海鮮丼のことではない。
チーズタコライス、アボカドタコライス、オムタコライス、ベジタコライスの4種類から味が選べて、サイズはS・R・Lの3種類でチョイス。沖縄で5年の修行を重ねたということもあり、なかなか本格的。
狭い店ながらも店内は木の壁で囲まれ、木のテーブルがあり、日中は太陽が差し込むので落ち着いたりもする。
こちらはチーズタコライス。
チーズのこってりとした味と食感がご飯に不思議とピッタリで、炒めてある挽肉が食欲をそそる。細かく刻まれたたっぷりのレタスにサルサを混ぜ、目玉焼きを崩して一気にかっこむ。手軽でさっぱりしていて栄養もある。いかにも夏が旬の沖縄らしいご飯だ。
ハモニカ・クイナ
武蔵野市吉祥寺本町1-1-8
11:30~22:00
無休
チーズタコライス --\590~
アボカドタコライス --\650~
オムタコライス --\650~
ベジタコライス --\650~
目玉焼き&ドリンク --プラス\200
「北の大草原」は都営新宿線曙橋駅から徒歩3分のところに2006年4月オープンした北海道ラーメンの店だ。
カウンター7席ばかりの店内の外には何人かの列がいつも出来ている。
香りみそラーメン(850円)
大ぶりの中華鍋で野菜をガンガンに炒めるという北海道のオーソドックスな札幌ラーメンの作り方を踏襲。
スープはバターの濃厚なこくに野菜の旨みが加わり、こってりとして、深い甘みがある。
喉に絡むような甘みではなくて、すっきりと爽やかでありつつもクセになる甘みという表現があるけど、まさにこの店の味がそういう味なのだろう。
そのスープに沈めてある挽肉をほぐして、アツアツの野菜とプリプリの中細縮れたまご麺で一気に食べるのは格別だ。味付け玉子の種類が豊富。
なお、都内にある味噌ラーメンの店舗のうち、かなり味噌が甘い部類だろうと思われるので、辛い味が好きな方は「辛みそラーメン」を頼んだほうがいいかもしれない。
北の大草原
新宿区舟町12
都営新宿線曙橋駅A4出口徒歩3分
11:00~22:00
不定休
みそラーメン --\750
辛みそラーメン --\800
香りみそラーメン --\850
味付け玉子 --\100
(醤油 or 梅 or カレー or ごま油)
バター --\100
コーン --\100
自家製チャーシュー --\150
札幌の伝説的な味噌ラーメンといえば、純連。「じゅんれん」と読んだり、「すみれ」と読む場合があるなど、系譜によって異なるらしい。高田馬場駅から徒歩5分早稲田通り沿いの位置に、この味噌ラーメンの店がある。
味噌ラーメン(800円)。
スープは濃い魚系とゲンコツ系が激しくブレンドされていて香ばしさを漂わせている。そして何といっても名物なのが、2センチぐらいの厚さでたっぷりと浮いているラード。
このラードがスープの熱を逃がさず、そしてコクを際立たせるのだが、とにかく熱い!濃い!コテコテ!と、男らしいラーメンである。
僕は白いご飯を頼まなかったけれど、どうして他の席のお客さんが頼んでいるのか、よく分かった気がする。スープだけでご飯軽く一杯はいけそうなのだ。
それほど、スープがこってりである。
人を一人ぐらい倒せそうな気分の時に食べるのがちょうど良いだろう。
そのスープを絡めるだけ絡める太い麺も名物。モチモチしていて食べ応えが十分だ。濃いラードで煌く麺は食欲をそそる。
ただ、札幌ラーメンに代表されるたっぷりの野菜がないのが少し残念。
純蓮
東京都新宿区高田馬場3-12-8
11:00~21:00
無休
味噌ラーメン --\800
正油ラーメン --\800
塩ラーメン --\800
チャーハン --\680
JR阿佐ヶ谷駅北口を中杉通り沿いに徒歩5分に1号店、西武新宿線野方駅徒歩2分のところに2号店がある「馬鹿豚や」。「うましかぶたや」と読むのではなく「ばかぶたや」と読むのが正解らしい。
「ぽんこつや」で修行を積んだ主人が作るラーメンは、あっさり系とんこつラーメン。ベースとなるタレは醤油味と塩味の2種類が選べる。
写真は、こってりつぶつぶ背脂ラーメン醤油味(630円)。
つぶになった粒状の背脂がスープの表面にまんべんなく浮くラーメンだ。
評判どおり、とんこつはクセのないあっさり系で、とんこつ独特の香りはそれほど漂わないマイルドな感じである。醤油だれが生かされたスープの味は濃い目で旨みが凝縮されている。浮いている背脂がコッテリ感を演出。焙煎で焼き固めたという細い半生麺は歯応えがあるので、固めの麺が好きな人に向いているだろう。
こちらは、全入りの馬鹿豚やラーメン醤油味(990円)。
まるまる一枚の巨大海苔に始まり、角煮2つ、味付け玉子1つ、そしてさらにチャーシュー、メンマ、青ネギどっさり、モヤシ・・・と具材が全員集合なラーメン。食べた友人の感想によると、見た目そのまんまな勢いで、ハンパなく食べ応えがあるとか。
馬鹿豚や
杉並区阿佐ヶ谷北4-4-8 藤井ビル1F
11:30~翌03:00
無休
中野区野方5-25
11:30~15:00 18:00~24:00
月曜休み
ラーメン(塩・醤油) --\580
こってりつぶつぶ背脂ラーメン(塩・醤油) --\630
ピリ辛ラーメン(塩・醤油) --\680円
味玉ラーメン(塩・醤油) --\680
もやしラーメン(塩・醤油) --\680
馬鹿豚やラーメン(塩・醤油) --\990
替玉 --\100
新宿歌舞伎町、日本屈指の歓楽街。他人と他人がすれ違う街。今日も何処かでドラマが生まれ、笑い声が空にこだまし、泣き声が地面に落ちる人情レスな東京砂漠・・・。
と、まあ、テレビでこういうナレーションがおなじみの新宿歌舞伎町。街の中心に位置するコマ劇場の裏側、新宿ロフトワンの向かいにあるのが、「新宿 一坪ラーメン」。
名前の通り、一坪(3.3平方米)あるかどうかの猫のひたいのような狭い、カウンター4席ほどのとんこつラーメンの店だ。
とんこつラーメン(600円)。
新宿生まれの名物ママさんが作るラーメンは、可もなく不可もなく普通のとんこつラーメンである。わざわざ新宿にまで出向いて食べるほどでもない。
しかし、新宿で一杯呑んだ後に食べたりすると、あっさりとした風味なので、旨かったりもする。自家製だというおにぎりもなかなか。そういう道ばたの味である。ぶらりと立ち寄って肩肘張らずに食べるのには手ごろだ。
そのせいか、店内にはビッシリとホスト達の名刺が貼られている。店の裏手には日本最大のホストクラブが軒を並べている。聞けば、仕事帰りに寄り、ラーメンを啜っていく若いホストが多いのだとか。ゲンを担ぐのか、自分の看板でもある名刺を皆揃って貼っていく。新宿らしい光景である。
新宿 一坪ラーメン
新宿区歌舞伎町2-36-3
21:00~14:00
月曜、定休
とんこつラーメン --\600
チャーシューメン --\800
替え玉 --\100
おにぎり --\150
JR田町駅から徒歩3分、都営三田線三田駅から徒歩2分、慶応通り振興会という商店街の入り口にあるのが「たけちゃん」。
いま、一番関東で旨い串揚げが食べられる店だと評判が評判を呼んでいる。大阪スタイルの「たけちゃん」は立ち呑みのカウンターと幾つかのテーブル席がある店で、串揚げが90円~という安さが魅力的なのである。
「たけちゃん」のシステムはというと、頼みたい串揚げを備え付けのメモ用紙に書いて渡すというシンプルなもの。テーブルに素っ気なしにおいてあるキャベツ、これは無料でおかわり自由だ。箸休めや串揚げと一緒に頬張るのが宜しい。
ただし、ステンレスの器にたっぷりと注がれているソースは、開高健のエッセイにも登場するように「2度づけ禁止」だ。
なぜなら、途中まで齧った串揚げをソースにつけたら他のお客様に迷惑が掛かるから。
関西じゃあたりまえのこのユーモラスな標語、本来は<衛生面>を考えたための言葉なのに、大阪人の商売人根性というかドケチ根性を意図的に意識して「ソースっちゅうもんはなぁ、2度もつけたらアカンでぇ」とも言っているようで面白い。誰が最初に考えたんだか、さすがである。
なお、ソースのつけ具合が足りなくて困った場合の対処方法、ズバリ、くだんのキャベツをスプーン代わりにしてソースを掬う、という技である。
まあ、とにかくソースは「2度づけ禁止」。
さて、ここの串揚げは、何を頼んでも安くて旨いわけだけれども、ぜひ大阪の店ということで(たけちゃんのお母さんは、大阪で串焼きの屋台を経営している)、「どて焼き」を食べていただきたい。
どて焼き(1本 100円)。
「どて焼き」は東京ではまるで知られていない食べ物といった感があるが、西日本、特に関西ではポピュラーな食べ物で、屋台で売られているジャンクなフードだ。牛すじが味噌で煮込まれていて、串にささっているのが一般的だろう。
七味をぱらぱらと振りかけてアツアツを頬張るのは至極の幸せというもの。
すじとは思えない柔らかい牛肉はモッチリとしていて味噌ダレがたっぷり染みている。これが100円だ。
そして串揚げ。
全部が全部美味しいので、メニューでピンときたらアレコレ考えずに頼んでみたほうがいい。
きめの細かいパン粉が稀有なサクサク感を演出する。そして黄金色の、ピチピチと愉快な音を奏でる衣から覗く新鮮な食材の数々。
湯気がもうもうと立ち込めている串をソースにジュっとつける。サックサクに揚った串揚げとキュンと冷えた生ビール。もう、それで十分なのである。
たけちゃん
港区芝5-20-19
16:00~22:00
土曜、日曜、祝日、定休
串揚げ --各\90~\210
生ビール --\420
瓶ビール --\550
サワー --\300
酒 --\420
JR四ッ谷駅から新宿方面に徒歩5分程のところにしんみち通りと呼ばれる300m近くの歓楽街がある。
昼間はひっそりとしていて大通りの喧燥とはかけ離れた感じで、それはまるで誰も居ない放課後の理科室みたいな雰囲気でもあるんだけれど、夕闇が押し迫るにつれて肩を並べてキシキシとひしめき合っているお店にネオンが燈る。
その通りの入り口に「洋食 エリーゼ」がある。
かつては(僕が中学生の頃は)、キッチンエリーゼと呼ばれていた。
いつの頃だったか、キッチンから洋食に変わっていた。けれど変わったのは名前だけであって、味の方はどことなく頑固さすら漂うくらい変わっていない。
カウンターに小さなテーブルがあるだけの店なのに、19時前くらいから行列があったりする。
こちらはカキフライ定食(1000円)。
秋から初春にかけてしか出されないカキフライ定食は、この時期の人気商品。
かりっと揚げられた小ぶりのカキフライの眩しい衣に、ソースを染み込ませて、タルタルソースをつける。
ため息が出るほどに美味。すぐにご飯をかっこんで、またソースをつけて・・・と洋食らしく食べるのが流儀というもの。
時々、定食屋さんで出されるカキフライには匂いが苦手な場合もあるけれど、そんなことはまるで感じない。それぐらい美味しい。
メンチカツ定食(850円)。
エリーゼのメンチカツは非常に危険だ。なぜなら中毒性があるから。こげ茶色に焼きあがったメンチに閉じ込められた肉汁たっぷりの具。したたるその肉汁にオリジナルソースを絡めて、すぐさまにご飯をほうばる。さっくりとしたミンチの風味が口の中に広がる。定食屋の王様の味である。
オムライス(780円)。
ここのオムライスは、まあ昔ながらのオムライスというもので、チキンライスを卵で包み、その上にケチャップが掛けられている。
チキンライスはしっかりと味が染みていて、ベチャべちゃしてない。
オムライスのライスの部分がべちゃっとしているのは致命的だし、味が卵に負けることなく勝つこともなくバランスを取る─それはまるでサーカス広場の綱渡りのようだ─店はそう滅多に無い。
でもこの店は、陳腐な言葉だけど、両者のハーモニーが競い合うように奏でられてる。
チキンライスだけでも出せると、いつも思う。卵2個分使っているので、なるほどと頷くほどのふんわり感。
ウナギの寝床のような長細い店で、客の回転も早いから、食べたらすぐに出ることになるだろうけど、それでも是非。
洋食 エリーゼ
新宿区四谷1-4-2 峯村ビル1F
月~金11:00~15:00/17:00~21:00
土11:00~15:00
日曜、祝日、定休
オムライス --\780
カニコロッケカレー --\880
カツカレー --\800
ハンバーグ定食 --\880
メンチカツ定食 --\850
ミックスフライ定食(エビフライ、キスフライ、カニクリームコロッケ)--\880
ビーフトマト定食 --\880
カキフライ定食(冬限定) --\1000
メンカキ定食(冬限定) --\950
西武新宿駅から徒歩1分、パチンコ屋の裏にあるロックンロールなマクドナルド方面を歩いて、コンビニをすぎた先にあるのが「大衆酒場 黒潮丸」。
ここは新橋か、海の家か?と思うぐらいに、わいわいがやがやと騒がしく声が飛び交い、活気ある屋台風の店。
目の前にある七厘を炊いて、網で鮮魚を焼いたり、地鶏ゆず胡椒を焼いて食べるのは、まさに豪快そのものである。
半生のエイヒレをさくっと炭で炙って焼酎を呑むというのは幸せだし、さざえから滴る貝汁に醤油を垂らして焼きあがるまで我慢するのも一興だ。
海のネタ・山のネタとたくさん揃っているので、魚嫌いな人(もしくは逆)も安心。
ここの野菜スティックは、セロリの葉っぱがワッサーと地面から抜いたままの状態で出てくるので、頼んでみる価値があるかも。けっこうどの席も頼んでいるようである。
そして締めで、いか茶漬け。いかの塩味がスープに溶け込んでいて、酔いちくれモードで啜るのは格別。
焼酎は450円程度。ホイスがあるのが面白い。ホイスは、まだウイスキーが庶民の高嶺の花だった時代に呑まれていた大衆的なお酒で「ホイスキー」とかって呼ばれていたという話が残る、昭和な飲み物だ。ホイスと焼酎と炭酸を4:6:10の割合で割るのがポピュラーだとか。ぜひ、話のタネに。
なお、この店の隣りにはフランス料理のスタンドバーがあるので、ちょこっと歩くだけでハシゴもできてしまう〝呑んだ暮れエリア〟だ。
大衆酒場 黒潮丸
新宿区歌舞伎町2-45-8 セントラル三洋ビル1F
17:00~23:00
日曜、定休
海鮮炙り銀ダラカマ --\400
海鮮炙りハラス --\420
海鮮炙り半生エイヒレ --\480
海鮮炙りサンガ焼き --\490
海鮮炙りイカわた入り一夜干し --\450
海鮮炙り一夜干し盛合せ --\950
山菜炙り地鶏ゆず胡椒 --\400
山菜炙り野菜盛り --\460
山菜炙りトントロ --\480
山菜炙り豚ロース味噌漬 --\460
活サザエ(2個) --\650
マグロのねぎまみれ --\470
マグロぶつ --\450
〆鯖 --\360
温玉マグロづけ丼 --\570
いか茶漬け --\420
生ビール --\480
梅サワー --\380
緑茶サワー --\380
一番札(麦) --\450
さつま島美人(芋) --\450
白波(芋) --\450
桜島(芋) --\450
ホイス --\380
歌舞伎町ハイボール --\380
etc
西荻窪駅南口から徒歩1分のところにある、「加賀家」。
複数の選択肢からチョイスする具合に、豚骨ベース(こってり)/魚介系(和風)でスープが選べ、さらに(醤油・塩・味噌味)から味を選ぶ。中太縮れ麺(酒井製麺)が特徴的。
家系なのかは分からないけれど(最近まで店の前にあった家系と書いてあるのぼりが消えていた)、こってりとした豚骨スープは澱みがなく、万人向けに食べられる味である。チャーシューはかなり柔らかく味が染み込んでいるのでお奨め。やはりというか、この手合いのスープは中太麺との相性がよい。
量的には若干少なめなので、大盛りでもいけそうである。
この界隈は焼き鳥屋「戎」(えびすと読む)や、立ち食い寿司、タイの食堂など、かなりの呑みどころでもある。その帰りに一杯ラーメンを啜るなら、ここだろうと寄る人が多かったりもする。それはそれで、カロリー計算が怖いわけだけれど。
こってり豚骨醤油ラーメン(600円)
※無料券を使って味玉が投入されている。
加賀家
杉並区西荻南3-11-10 JBCサウスビル
月~木11:30~03:00
金11:30~03:30
土日祝11:30~02:00
こってり豚骨醤油ラーメン --\600
さっぱり和風塩ラーメン --\700
加賀家そば(醤油・塩) --\800
加賀家そば(味噌) --850円
つけめん --\700
下井草駅を降りて右に進み、住宅街を抜け徒歩5分、新青梅街道にあるのが「御天」だ。
博多長浜系ラーメンで、住宅街あたりにすら豚骨臭が漂う(近隣から苦情とか来ないのだろうかと思うぐらい)本格派である。
トムヤムクンラーメンとか〝傾奇モノ〟があるので、ややドキリとさせられるが、本場の長浜ラーメンを忠実に再現した味だ。
写真はラーメン(630円)。
テーブルに辛子高菜や白ゴマ、紅生姜、スープだれ(替え玉の時や味を濃くしたい時に)があるので、お好みでトッピングをして食べるのが長浜流。
麺はかなり細いけれど、それほど違和感が感じられない。ただ、細すぎて腰がないのがちょっと難点。
しかしながら、ゲンコツを始め、頭から尻尾までを強火で3日間かけて煮込んだスープというのは濃厚で感無量。
店主は「なんでんかんでん」(過去をときめく名店、いまを疾走する迷店)の立ち上げをした人というぐらいだから頷ける。
都内にある長浜系ラーメンのこってり度とトロミでは間違いなく上位に食い込む感じだ。
量的には少ないから替え玉頼んでも問題がない。麺が細いだけに個人的には〝カタメ〟でオーダーしてちょうど良かった。
ここはラーメン以外のメニューも豊富で、屋台っぽい感じの店だから、何人かで行ってワイワイと食べつつ呑みつつしたりするのがよさそうだ(もちろん空いている時に)。地下には「御天'sバー」というバーがある。焼酎の品揃えはなかなかのもの。
御天 本店
杉並区井草1-29-3
11:30~14:30/17:00~翌3:00
無休
ラーメン --\630
温泉卵ラーメン --\780
黒豚焼餃子 --\500
地鶏のたたき --\600
高菜チャーハン --\800
半高菜チャーハン --\300
替え玉 --\130
本格焼酎 --\400~
王子駅の北口をでて右に進み、線路沿い徒歩3分、森下通り商店街の入り口あたりにあるカウンター5席だけのスタンドカレー店。
スタンドカレーといっても、味についてはなかなかのもの。
渋谷の名店「ムルギー」で修行したというご主人が作るカレーは野菜とフルーツを1日半以上かけて煮込んだミャンマーカレー。
そしてムルギー(ヒンディ語で鶏肉)という名前にあるように、鶏肉がはいっている。
鶏肉も時間をかけて煮込んでいるので形が見当たらないほどだ。
ルーの味は欧風ともエスニックとも和風とも呼べないコクがある。まさにオリジナルテイスト。
聞けば、何種類ものスパイスを使って味を生み出しているらしい。
そしてフルーツの甘みが辛さを見事に調和。激辛好きには物足りないが、無料で辛さをアップできるので、安心。CP(コストパフォーマンス)を考えたら、かなりいいだろう。
ムルギー
北区岸町1-6-20
11:30~14:30/18:30~21:00
日曜、祝日、定休
ムルギーカレー --\560
玉子入りムルギー --\630
ナシゴレン --\650
吉祥寺駅南口のバス通りに総本店、井の頭公園の入り口に支店がある焼き鳥屋。
予算2000円以内。店員愛想ゼロ(最近そうでもない)。店員はたぶん元ヤン(これも最近そうでもない)。
吉祥寺の居酒屋のシンボル的な存在。それが「いせや」である。
昭和2年に創業した店舗は、炭で煤焼けていて、まるで建物全体を燻したような、長い年月だけが醸しだせるオーラを放っている。入り口でモクモクと立ち昇る焼き鳥の香ばしい煙を嗅いだら店に入らざるを得ない、そんな吸引力。
ちなみに焼き鳥は1本80円。元々が精肉店だからこそ、新鮮な肉を廉価で提供できるのだ。
本店と公園店は、本店には白飯をおいていないとかで、若干メニューが違う。個人的には公園店に行く回数が多い。
ただ総本店のほうが2階に座敷がたくさんあるので、大人数の時にはこっちに出向く。
実際、総本店は30回行った事があるかどうかだ。(しかも若気のいたりか、大学入学したての頃には、いせや総本店で〝合コン〟をしたりしていたのだ。いま考えると恐ろしい)
さて、ここで大体頼むのはこんなメニュー。白飯、キムチ、餃子、シュウマイ、焼き鳥数本。ビールと熱燗。冬は湯豆腐。公園店だったら中華ガツ。
たいがいがお腹をすかしているので、キムチをおかずにして、白飯を食べる。
いかにもぞんざいな品々が場末感たっぷりでステキだ。料理はたいてい旨い。
○○の味という表現を借りると、これこそが〝いせやの味〟、そういう旨さだ。
こちらは、つくね(1本80円)。
そして、シュウマイ(330円)。
ところで、僕のいせやとの出会いは彼此10年以上も前。
94年に初めて暖簾をくぐった時は、本当に店員が恐ろしかった。全員ヤンキー(でも年齢は30歳手前ぐらい)の彼ら。10歳も年上っぽいのに・・である。
そして究極的な無愛想。共産圏の人たち?って思うぐらいサービス精神が皆無だった。
そんな環境でビクビクしながら「ここの店員はおっかねぇなぁ」って思うのがわりあい楽しかったのだ。
いまはそういう人をあんまり見かけないからちょっと寂しい。
そして、95年~97年頃、規制が入る前の井の頭公園で、インド雑貨やアクセサリやお香のバスター(露天商)をしていた時期があって、夕方前の午後3時ぐらいに早々と引き上げて、公園前のいせやで昼間から飲んでいた。
周りにいる連中も、どうしてこんな時間に酒が飲めるの?という人がたくさんいた。
いせやのボロボロの席(これは褒め言葉。あれがピカピカだったらゲンナリする)で、冬なら隙間風を浴びつつ熱燗を戴く。夏なら生ビールで喉を潤して、焼き鳥と冷奴。つまり、味のある、雰囲気のいい店なのだ。
でも残念なことに、思い出深い総本店は、拡張工事等に伴って06年9月25日を最後にしてその半生の幕を閉じる。そして、ビルディングとしてリニューアル予定。
いまの総本店の勇姿が見れるのも残り少ない。
まあ、とにかく、吉祥寺で遊ぶのなら、とりあえずはいせやで一杯で。
いせや
<総本店>
武蔵野市御殿山1-2-1
12:00~22:00(L.O.21:30)
火曜、定休
<公園店>
武蔵野市吉祥寺南町1丁目15-8
12:00~22:00(L.O.21:30)
月曜、定休
焼き鳥(1本:つくね、レバー、タン、ハツ、
シロ、カシラ、軟骨、ガツ、ひなどり、ネギ焼) --\80
ジャンボしゅうまい(3個) --\330
餃子(公園店のみ)--\400
冷や奴 --\300
もつ煮込み --\330
まぐろのブツ切り --\380
キムチ --\330
生ビール中 --\450
ビール大瓶 --\450
日本酒一合 --\300
焼酎一杯 --\220
西武新宿線の鷺ノ宮駅南口を降りて徒歩30秒、妙正寺川を渡ってすぐのところにあるのが「島の唄」。
平日も週末も連日賑わっている沖縄の店である。
中野区あたりにいる島人(しまんちゅ)からの人気があり、都会の喧騒をひとたび忘れてしまう居心地のよさだ。
日によっては島唄ライブを開催したりもしている。
写真はフーチャンプル。
麩を用いた炒め物。味の行き渡った麩と卵が炒められていて、ビールのつまみに最高な感じ。まさにチャンプルー(ごっちゃ)だ。
コーレグースと呼ばれる島唐辛子を泡盛漬けしたスパイスを垂らして食べれば、気分はすっかり沖縄の食堂。
オリオンビールでゴクリと喉を潤しつつ。
焼そば。
こちらも定番。
塩味がある焼そばは海苔がまぶしてある。さっと茹でた沖縄そばを炒めた焼そばは夏らしい味。マイルドな仕上がりだからどんどん入ってきちゃう。
青海苔の天ぷら。
意外と分厚くて食べ応えがある青海苔の天ぷら。塩で戴きつつ、泡盛を傾けて・・・。
ソーキそば。
泡盛をしこたま呑んでも、なぜかこれだけはまだお腹に入るとのがいつも不思議。
塩ラーメンのような微妙な豚骨風味のチュルチュルした麺。締めにこれを選ぶ人も多いだろう。塩加減が絶妙だから一気にスープまで飲み干せちゃったりするんだよね、これがまた。
島の唄
中野区白鷺1-31-21
17:00~01:00(金・土は~02:00)
火曜、定休
ゴーヤチャンプル --\735
ラフテー --\682
ソーキそば --\787
島らっきょう --\504
泡盛の種類の豊富さは、ほぼ網羅しているんじゃないだろうかといった取り扱いの広さ。
その名前とは裏腹に個性的な香り(カビ臭い)が人々を魅了する「白百合」もちゃんと置いてあるから嬉しい。
炭鉱の街として栄えていた戦前の昭和14年頃に、八幡東区の中華料理店が考案した「戸畑ちゃんぽん」。
普通のちゃんぽんより腰の強い蒸した細麺を使うのが最大の特徴。北九州地方の戸畑エリアで「戸畑ちゃんぽん」とのぼりを出しているのが目印である。
こちらの「福龍」は鹿児島本線の北九州工大前駅から徒歩3分のところにある昔ながらの食堂。
ちゃんぽん(単品630円 焼きめしセット790円)。
少し甘い豚骨スープで食べる黄色い蒸し麺は不思議な食感だ。スープから最も遠い位置にありそうな麺の扱われ方なのに、しっかりと馴染んでいる。
サラサラした食感で、細麺のわりにはしっかりと腰があり、豚骨スープに絡む。
イカゲソや野菜、蒲鉾の切れ端、そしてブタの細切れが勢いよく炒められて、アツアツの状態で浮かぶ。
シャキシャキのたっぷり野菜が嬉しい。
こちらは焼きめし。
焼き飯もお勧めという事前情報を頼りに頼んだ焼きめし。ちゃんぽんとセット。
絶賛の声があるだけあって、抜群の旨さである。火力が豊富じゃないと仕上げが悪くなるというのが焼きめしといわれているだけに、このフワフワ感は悲鳴を挙げたくなるぐらいに旨い。
塩味が染み渡って細かく刻んである具と一緒に頬張るのが幸せ。
ちゃんぽん福龍
北九州市戸畑区中原(なかばる)西1丁目1-36
11:00~21:00
日曜、定休
ラーメン --\480
ちゃんぽん --\630
焼そば --\630
焼きめしセット --\790
北九州エリアのグルメ通の間で最近話題に事欠かさないラーメン店に「ぎょらん亭」という店がある。
小倉の三郎丸にあるラーメン屋で、交通の便が悪い上に営業時間が限られているのにも関わらず注目を浴びている。
そんな「ぎょらん亭」で食べたラーメンの旨さの衝撃が忘れられずに、ついには数ヶ月間「ぎょらん亭」で修行し、実際に店まで開いてしまったというのが、この「ラーメン 力」。
北九州市八幡東区春の町、鹿児島本線で徒歩10分程度である。
こちらはラーメン(500円)。
きくらげ、焼き豚と具材が続く。まず一口食べて感じるのはスープの塩っ気が強いということだろう。
そして、ドロドロにならないまでも濃い部類になる豚骨なのに臭みはまるで無いということ。
スープだれが強いので、替え玉をおかわりしてもよさそう。「ぎょらん亭」で修行したというスープはさすがである。コクが半端じゃない。で、焼き豚は柔らかく脂が乗っている。
日曜に八幡エリアでラーメンが食べたくなると営業していない店が目立って往生しちゃうけれど、ここは日曜もやっている。それでいてじっくりと味わい深いトンコツが食べられる。
ラーメン 力
北九州市八幡東区春の町5丁目6-9
11:30~スープなくなりしだい
ラーメン --\500
餃子 --\300
替え玉 --\100
四谷について意外と知られていないのが、<四谷はワンタン麺を食べられる店が多い>という事実だ。多いといっても、実際のところ元来ラーメン屋自体が少ない街。
だから、その割には多いということになる。
「こうや」「一心ラーメン」「まるいち」の三軒なのだけれども、どの店もそこに行かなくては食べられないというオリジナル性に高いワンタンを提供している。
そのうちの一軒、「まるいち」は四谷三丁目駅から4番出口を出て、徒歩2分。杉大門通りの入り口にある。
店自体はカウンター7席だけの小さな店。団塊世代といった50~60代の夫婦が切り盛りしている。夜はご主人だけだ。
デコラ調のテーブルにAMラジオの放送、つまりは昔ながらのオーソドックスな東京ラーメンの店である。
写真はワンタンメン(750円)
歯ごたえのあるメンマ、ほうれん草、海苔、焼き豚という組み合わせの醤油ラーメン。
豚骨でダシを取っているみたいだが、にごりも無く、トンコツ風味は感じられない。むしろ、野菜をたっぷりと使っているので、甘みと酸味の混ざったスープである。
昔ながらの醤油味のラーメンとしてはランクが高い。どうしてもここのラーメンは、荒木町で一杯呑んだ後にズズッと啜りたくなるのだ。そんな吸引力。
焼き豚は味が濃い目に煮てある。歯ごたえが十分で、なかなかの肉厚。麺は縮れ麺。最近めっきり見かけなくなった、中華鍋で茹でたあとに平ザルであげるという手法。
そして、チュルチュルと喉越しを通るワンタン。餡が詰まっていてホクホクである。一度お試しあれ。
まるいち
新宿区四谷3-6
11:40~15:00
18:30~22:30
日曜定休
ラーメン --\600
ワンタンメン --\750
チャーシューメン --\800
昼時に限り、茶飯\50あり。
千葉県の館山から千倉に向けて内房をR410に沿って走ると、右手に海が見え、南房総海岸を抜けると、一気に海の街らしい景観になり目を奪われる。
そして、瀬戸浜海岸に向かう途中にあるのが、「SandCafe」。
電車の場合、千倉駅から徒歩10分程度。
千倉に縁のある写真家の浅井慎平氏が命名したというこのカフェは、ヘミングウェイの「老人と海」をイメージして作られたという。
板張りのテラスに白いペンキで塗られたデッキ。窓から木漏れ日が眩しい店内。
天井には大きな扇風機が回っていて、気持ちのいい、ゆったりとした音楽が流れて、珈琲の香りが漂う。夏の1ページを綴るような波の音が聴こえる街に相応しい雰囲気だ。
こんなカフェがあったらビーチ沿いに生活してみたいなって、きっと思える。
併設する雑貨屋「Deck Shoes」には思わず手を伸ばしてしまいそうな、可愛い小物がたくさん。
料理、ケーキはもちろんすべて手作りのオリジナル。珈琲は苦味のある濃厚なテイスト。
写真は、ベイクドチーズケーキとアイスラテ。
チーズの香りがたっぷりのケーキは、泳いだ後の甘さが恋しい時にぴったり。エスプレッソにミルクが注がれたアイスラテと一緒に。
このほかにもたくさん自家製ケーキがあって、どれも水準が高い。
また、千倉は年間を通じて温暖な気候で、良質の魚介類が獲れることで有名。
一見、どんな味なのだろうか躊躇してしまうような〝さざえカレー〟も千倉では当たり前の食べ物だ。
「SandCafe」は、パスタなどでランチも食べれる。そして、この〝さざえカレー〟が名物だ。
ここの〝さざえカレー〟を食べるために遠くから足を運ぶお客さんもいるとか。
濃厚なコクのある味は、新鮮な魚介が豊富な千倉だからこそ提供できる一品。千倉出身の安西水丸氏の著書にも登場している。
カレーを食べに行こう 安西 水丸 平凡社(単行本) |
雰囲気のある気持ちのいいカフェってありそうでなかなか無かったり。東京だったらスノッブになりすぎて鼻についちゃうし。
その点、「SandCafe」はその土地らしい柔らかく気持ちのいいカフェだ。
ほんと、泳いだあとに飲む珈琲は格別である。こんなカフェが近所にあったらいいのに・・・。
SandCafe
千葉県南房総市千倉町瀬戸2908-1
9:00~17:00
火曜、第4月曜、定休
(1~3月、7~8月を除く)
ブレンドコーヒー --\420
深煎りコーヒー --\450
カフェオレ --\500
さざえカレー --\1300
シーフードピッツァ --\950
ソーセージ&ベーコンピッツァ --\950
─HP─
かつて六区と呼ばれた浅草にある「正ちゃん」。
伝報院通りに並ぶ名物の牛スジ屋とは異なる、前史の遺産みたいな煮込み屋。
夏でも冬でも一辺倒のオープンエアー。横文字にしてみると耳障りがいいけれど、要は吹きさらしである。
周りにあるのは浅草のJRA。
道端に寝てしまっている競馬で摩った親父さんとか、ワンカップ片手に朝から晩まで路上で飲み明かしている連中とか、アバウトな匂いがプンプン立ち込める、まるで中期の「こち亀」に出てきそうな下町っぷりの店である。
この店の名物といえば牛スジ。牛スジの煮込みか牛めし、そして煮込みうどん。
飲み物は夏でも冬でもカチ割り氷のホッピー。
で、ホッピーに入れる焼酎は20度だ。これが定番である。
この店は僕の中学生の頃からの憧れの店だった。いつかは行ってみたいとずーっと願っていた。
きっかけは近所で購入した「CHEAP CHIC MANUAL(チープ・シック・マニュアル)」という本。
今で言うところの東京ガイドブックのような本だ。
刊行されたのは昭和62年(1987年)、古着屋やアンティーク家財の店や映画館などのネットもない時代のウォーカー的バイブル。
この本の記事の中に「正ちゃん」が出ていたのだ。こんな具合に。
店には戸もなく、吹きっさらし。
店頭の大鍋には牛筋の煮込みがぐつぐつ。路上にはみ出たイスに座ったら、「煮込みとホッピー」と頼もう。
お皿にたっぷりの煮込みとカチ割り氷のホッピーが即、出てくる。この界隈、煮込みを出す店は多いが、「正ちゃん」の煮込みには牛筋、コンニャクのほか、大きなトーフが乗っかってる。
牛筋は3年前から煮続けてると言われてもうなずいてしまうほど柔らかい。
冷房なんか入れない店だからこそ、ホッピーのカチ割り氷がうれしい。
この店の客層は、神谷バーとは違っていて、「愛すべきガラッパチ」という感じだ。
競馬新聞持って、耳に色鉛筆をはさんだ親父さん、今日も仕事にありつけなかったおじさん、パチンコで擦っちまったお兄さん、ここでは、午後3時ごろからいろいろな人々に会える。
これこそが僕のアルカディアであり、夢見る理想郷だった。
「正ちゃん」って、どんなところなのだろう。想像が膨らみ、何年も時が過ぎたのだ。
そして先日、ふと浅草を訪れてみれば、何と「正ちゃん」は現役で健在だという。
行かなくちゃ。すぐにそう思った。
だって、ここで行かなかったら、人生には一体何が残されているというのだ?
写真は牛煮込み(400円)。
トロトロに煮込んである牛スジと味が染みている豆腐のハーモニー。
相当な時間をかけて煮込まれただろうスジは、箸で掴むのがやっとというぐらい柔らかく、ネギ、玉ねぎ、醤油やざらめ、そして酒で煮込まれていて感無量。
こちらはホッピー(400円)。
冬でも夏でもこんなジョッキになみなみと注がれた焼酎とカチ割り氷が運ばれてくる。
焼酎の中身のお代わりは230円。一杯飲むだけでクラクラ。
そして締めの牛めし(500円)。
アツアツのご飯に先ほどの牛スジが乗っかっている。
テーブルに唐辛子を砕いた真っ赤な薬味があるので、振りかけて、煮込みとご飯を混ぜて食らう。
チェーン店では出せない少々脂の乗った牛めしは大人の味だ。
↑昼間からの賑わう、愛すべきガラッパチ達。
正ちゃん
台東区浅草2丁目7-13
月曜、火曜、定休
11:00~24:00
牛煮込み --\400
牛めし --\500
牛肉うどん --\500
ホッピー --\400
今から10年以上前、北海道の札幌で発端のスープカレーの噂を北海道在住の友人から幾ら聞かされても、いまひとつピンとこなかった。
友人は「とにかく北海道に来たら、一度でいいからマジックスパイスのスープカレーを食べてみて」と、事あるごとに絶賛して僕を説き伏せようとしていた。
思えば、その友人は俗に言う〝マジスパ中毒〟だったのだろう。
それほどまでに熱心な情熱のこもった説明だった。
熱狂的なファン、という感じのお誘いだった。
でも、カレーがスープ??、そんなことを想像しただけで、僕はなんだかなぁという気持ちに実はなった。
イクラがアイスとおんなじぐらいに頷けない何かがそこにはあった。
北海道は意味不明。
そんな感じで僕は〝カレーがスープな店〟についての諸処を心の何処かで片付けた。
10年ぐらい前の話である。
しかし、いまだったら、僕も友人の気持ちがわかる。
なぜならマジスパのカレーは本当に中毒性があるからだ。
僕も〝マジスパ中毒〟の末期ぐらいの症状になった。立派な患者だ。
若かりし頃の僕は何処に行っちゃったんだろう?
札幌だけに留まることを知らないマジスパは03年8月に東京の下北沢にお店をオープンした。
オープンして10日目ぐらいに来訪して以来、虜になっている。
東京のマジスパは下北沢にある。すずなり劇場の向かい側の細い坂を登ったあたりだ。
周りと全然調和が取れていない真っ赤な異様な建物があるから、すぐにそれと分かるだろう。
アンビエントミュージックが流れて、照明が赤く、店員が理解不能な言葉で会話しているカレー屋。
異端といわれようが、それがマジックスパイスである。
カレーはまさにスープ状。野菜や複雑なエキスが溶け込んでいるので、辛いだけではなく奥深い仕上がりになっている。ガツンと来る辛さ。目がパチクリして耳が遠くなる仕様。そして止められないクセになるスープ。
写真のカレーは天空の辛さ。
辛さのレベルは7段階に分かれている。覚醒が一番緩くて虚空が一番危ない。
辛いのが苦手な人(僕)でも何回か通えば辛味への耐性ができて、虚空まで到達できる。
でも虚空はものすごく危険だ。いきなりこれを食べると、本当にブッ飛ぶことになるだろう。
覚醒/瞑想/悶絶
Super Hotの違いを体験するMS特辛版入門。
辛さの違い、コク、キレを堪能。
涅槃/極楽
辛さと非凡さと刺激にこだわる超激辛に軽い目眩とMSカリーの真髄。
天空/虚空
新たな「辛世界」へのナチュラルトリップ。どなた様も虚空宇宙へと飛んでいただきます。
とHPには説明が記されている。
こちらはおまけ画像。
僕の鍵のキーホルダー。札幌のマジスパのやつ。実は結構レア物らしい。
北海道の友人がくれた物。
お奨めはチキンカレー。まるごとチキンが煮込んである。
そしてトッピングに納豆を追加で。
まずは入門編。辛いのが苦手な人は極楽あたりから始めると丁度いいかも。
で、納豆とマジスパのカレーは抜群の組み合わせだ。嘘じゃない。一度試してごらん。
マジックスパイス
世田谷区北沢1-40-15
火曜 水曜、定休
月~土11:30~15:00/17:30~23:00
日祝11:30~23:00
─HP─
四谷三丁目から徒歩数分の荒木町にあるフレンチレストラン「PAS A PAS(パザパ)」。
日本で馴染みのなかったプリフィックスのフレンチを始めた店として有名。
店は古い木造の建物で2階にあり、白いペンキが塗ってある窓越しとテーブルには赤いチェックのテーブルクロス。
開店当初から100フランで気軽にフレンチが食べられるとして、クチコミで東京在住のフランス人に噂が広まったほどである。
それぐらいカジュアルな雰囲気の、まさにパリの大衆食堂といった感じ。
実際に、かなりの確率で店内にはフランス人がいて、彼らが食べている光景はまるでパリの下町のよう。
ランチが 1575円、ディナーが2500円(それぞれにオードブル、メイン、デザートをメニューから選ぶ)。
※夜は店内の照明が落とされているので、写真がやや暗いのはご愛嬌でお許しを。
前菜には、お肉屋さんのオードブル盛り合わせをチョイス。
生ハムの程よい塩味とフランスパンの組み合わせが抜群。
サラミが油っぽくないけれどもコクがあり、噛むとジューシーなので感服。
メインは、鶏もも肉のキノコバターライス詰めをチョイス。
香ばしく焼きあがって、岩塩とスパイスが刷り込んである鶏はため息。
キノコとライスが詰め合わさっているので、ボリューム感がある。
バターライスに肉汁が染みて贅沢な感じだ。
付け合せのマッシュポテトが柔らかく、ちょっとした箸休め(箸使わないけどね)に丁度いい。
濃い目のソースが掛かっているので、ワインをぐいぐい呑んでしまう。
デザートは梨のタルト。
さっぱりした甘みのタルト。
洋ナシの香りがぷんぷん漂う。よく冷えているので、夏に食べたってベトベトしない。
食後の珈琲と一緒に。
肩を張らずにフレンチが食べられて、値段が手ごろで美味しい。
そしてまるで下町のパリの食堂のような雰囲気。
ぜひ、気軽な感じで。
パザパ(PAS A PAS)
新宿区舟町5番
12:00~15:00/18:00~23:00
日曜定休
ランチ --\1575
ディナー --\2500
昭和34年に北九州八幡西区で開業した「唐そば」は、98年の雑誌ランキングで北九州エリアで1位になった歴史を持つ老舗の有名店だ。
親父さんから息子さんに代替わりをしたのを契機に黒崎にあった本店は店じまいをして、99年に東京に進出。
そして、ついに、東京でも本店に続き支店が出来た。
東急ハンズの裏手を登り、バックドロップのちょっと先だ。
写真はラーメン(600円)。
もやし、ネギ、きくらげ、焼き豚という北九州ラーメンばっちりのトッピング。
焼き豚は味付けを濃くしてある様子はなく、ほどほどの脂身で、シンプルに煮込んだ味。
麺はそれほど細くない。少しムチっとした感があり、自家製麺を使用。
スープは醤油だれ系のとんこつ。
とんこつ自体は濃くないので、九州ラーメンにしては、やや太い麺との相性がよい。
そして、濃くないからといって味が薄いとは限らないのだ。それを教えてくれるのが「唐そば」である。
きっと北九州だったら、ぶらっと立ち寄って食べる感じで丁度よいのだろう。
でも、ここは東京だ。ぶらっと立ち寄ろうにも立ち寄ることができる北九州ラーメンの店がない。
だから渋谷まで出向いて食べるのだ。そういった意味で貴重な店である。
唐そば(公園通り店)
渋谷区宇田川町14-14
11:00~23:00
ラーメン --\600
大盛りラーメン --\750
おにぎり --\100
ゆで卵 --\50
鹿児島本線八幡駅から徒歩10分、バスの場合は、小倉方面バスの停留所・春の町で下車のところにあるのが藩陽軒。
以前は黒崎にあったらしい。
カウンター10席とテーブル1席の店を切り盛りしているのは坊主のねじり鉢巻姿の親父さん。
トッピング用の赤ニンニク。
テーブルに置いてある。紅生姜がポピュラーだけれど、この店ではピリ辛のニンニクスライスをトッピングとして入れる。豚骨に丁度いいアクセントになる。
写真はラーメン(500円)。
オーソドックスなスタイルの北九州ラーメンで、こってりした豚骨というよりは、あっさりめの豚骨だけど、けっして薄くあらず、そんな感じの味だ。
元ダレが強くないので、味が濃いのを好きな人には少々物足りなさがあるかもしれない。
僕としては、あっさりした豚骨=薄いっていうマイナスイメージを一気に払拭してくれた店でもあるので、評価したい。
あっさりしても単調ではなく、豚骨のよさを引き出している。
麺は細麺。
具材は北九州ラーメンらしくタケノコ、きくらげ、焼き豚と並ぶ。
焼き豚が北九州ローカルの焼き豚というシンプルな味わいで、脂が乗っていて、これまた良い。
藩陽軒
北九州市八幡東区春の町4丁目1-4
ラーメン --\500
チャーシューメン --\650
環状7号線沿いのラーメン激戦区にある「天上」。(てっぺん)と読む。
環七を高円寺から中野方面にクルマで5分程度、電車だと西武新宿線の野方駅から徒歩5分程度、「野方ホープ」の向かいあたりである。
注文の際に、麺の固さと油の量と、白ネギか青ネギかのトッピングを選ぶことが可能。油の量は「こってり」を選んでしまうと相当のギトギト感を味わうことになるので、「普通」程度を選んだほうが無難。ネギはどっちでも相性が良い。
写真は天上ラーメン(700円)。
青ネギをチョイス。豚骨と魚介系のスープが塩梅よく混ざり、中太の麺に絡む。
こってり系のスープなのに、まろやかな味わいがあるので、どんどんとレンゲで漉くって飲んでしまうスープだ。
醤油とも味噌ともつかない不思議な混濁のスープは、ハマる人はけっこうハマるんじゃないだろうか。
魚介の香ばしいうま味が全体を纏めている感じ。麺は縮れ系モチモチ麺。
ラーメンの量がやや少なめなので、物足りないこともあるかも。有名店にも関わらず丁寧な接客が印象に残る。
豚骨+魚介ラーメンの中でも上位に食い込む感があるので、ぜひ再訪したいあたり。
天上
東京都中野区大和町2-1-1
11:00~翌朝04:00
月曜定休
天上ラーメン --\700円
チャーシュ麺 --\900円
ねぎラーメン --\800円
つけ麺 --800円
替え玉 --\150
四谷駅からしんみち通りを過ぎて、さらに3分ぐらい歩いたあたりにある支那そば屋「こうや」。
昭和36年、いまから40年ほど前に、夜鳴きそばの屋台として始まった四谷でも老舗の店である。
平成17年(2005年)に、店内で火事を起こして、一時的に営業していなかったが、翌年には新装して無事に再開。
↑火事になる前、2003年あたりの在りし日の厨房の光景。
裏通りにもかかわらず、平日の19時ぐらいは必ずと言ってよいほど行列が出来ている。
支那そば屋といっても麺類が中心というよりは一品料理が多い。
お通しで出る鶏ダンゴスープから既に侮れない感じであり、ちょこっと乗っている豆板醤とパクチーが妙味を演出。
中華ダシが沁みている。一気にスープまで飲み干してしまうお通しだ。
手羽の煮付け(100円)。
ここに来たら、必ず食べた方がいいのが、鶏の手羽煮付け。
一本から注文が可能で、じっくりと特製の醤油タレに漬け込んだ手羽が、白髪葱とこれまた豆板醤と併せて出てくる。
まるで絹のように柔らかくて、噛んだ抵抗もなくスッと肉がちぎれる。
青菜としいたけの炒め(800円)。
定番の青菜の炒め物。
青菜の炒め物は、野菜独特のみずみずしさと、アクセントで散りばめられている干し桜海老の歯ごたえが見事に調和。
ざっくりと強火で炒めた青菜だからこそビールにぴったしの一品なのである。
こちらはしじみの辛子味噌炒め(850円)。
ピリ辛の濃厚スープで勢いよく炒められたしじみの辛子味噌炒め。
一つ一つ指で摘まんで、しじみを大胆に穿り出して豪快に食べるのが宜しい。
ご飯にかけたら絶品じゃないかといつも思うのがこの濃厚スープ。
気がつけば、あっという間に、皿は食べ終わった後の殻だらけになるはずだ。
腸詰(700円)。
中華料理の腸詰なので、少し甘め。
香菜と白髪葱でトッピングして食す。プリッと程よい脂が口の中で溶けるように拡がって、香辛料で味付けてある腸詰がどんどん胃袋に収まる。
塩気が後を引くのか、紹興酒やら青島ビールのグラスが次々と空になる。
生いかの老酒漬け(850円)。
時期を外すと、めったに出回らないのが、するめいかの老酒漬け。
生いかの苦いワタと、辛口の老酒で漬けた一品料理。
ワタの海の香りを老酒でぬぐって肉厚のいかをちぎって食べる。
大人だけが許された塩辛のようなものだ。テーブルにお酒の香りが漂うくらい濃厚な感じ。
いかのワタが深みのあるコクを醸し出す。
雲呑麺(850円)。
締めは名物の雲呑麺(ワンタン麺)で。
たっぷりと浮かぶ刻みネギ。海苔、焼き豚。そして雲呑。
白濁のスープに浮かぶジューシィな雲呑は、肉汁たっぷりの香味がかっていて、プリプリしている。
噛むとじわっと皮に閉じ込められたスープが飛び出す本格派だ。
白濁の豚骨スープは、2割だけ鶏ガラが仕込んであってスープに深みを与え、とろりとしたスープに手揉みの麺がマッチング。
あくまでも支那そばであって、ラーメンではなく、つまりは日本のラーメンとは少々かけ離れているので、豚骨ラーメンを期待して食べると肩透かしを食らうのかもしれない。でもそれでいいのだ。
メニューに値段の記載がなく、一品料理には時価と記されていて、一瞬、眉毛がピクッとするけれどもご安心あれ。これだけ食べたのに、こんなに安いの?ってぐらいだから。
こうや
東京都新宿区三栄町8
11:30~22:30 L.O.22:00
日、祝休
青菜としいたけの炒め --\800
しじみの辛子味噌炒め --\850
手羽煮付け --\100
生イカの老酒漬け --\850
腸詰 --\700
文甲イカとセロリの炒め --\850
支那麺 --\650
雲呑麺 --\850
又焼麺 --\950
涼麺 --\950
暖簾分けの店として「こうや麺房」がある。こちらは御茶ノ水駅から徒歩5分のところ(文京区本郷2-10-8)にある。支那麺、630円。
昔から、鯛焼きはここが美味しい!というと登場するのが、世に言う鯛焼き御三家で、人形町にある「柳屋」と麻布十番の「浪花屋総本店」、そして四谷にある「たいやき わかば」が鯛焼き界の3大トリオと呼ばれている。
四谷駅から徒歩5分。駿台予備校の斜め前にある小さい店の前は、毎日行列が絶えることがない。
昭和28年に営業して以来、四谷の甘味を支えてきた老舗である。
店内でお茶のサービスと一緒に食べられる席が3卓ほどあるだけなので、だいたいのお客さんは持ち帰っているか、その場でパクっと食べている。
持ち帰りのお客さんは10尾ばかし買うぐらいここの鯛焼きは人気があるのだ。
店内用のお皿のデザインに描かれた演劇評論家安藤鶴夫先生「鯛焼きのしっぽにはいつもあんこがありますやうに」をモットーにしているので、本当に尾っぽの先っぽまで、たっぷりとあんこがつまっている。
パリパリの香ばしい皮から飛び出すようにアツアツのあんこが顔を出す。皮の焼けた香りと蜜のような小豆のハーモニー。
甘さが控えめで、ほんのりとしょっぱいあんこは、豆のつぶの感触があるのに、とってもクリーミー。
クセになる味である。
事実、あんこを購入しているお客さんだっているぐらいである。
鯛焼きの型は、挿絵画家で有名な木村荘八の色紙が原型。
四谷界隈を散歩した日のついでにでも。
たいやき わかば
新宿区若葉1-10定休: 日曜
09:00 - 19:00
日曜定休
たいやき一尾 --\126
あんこ300g --\388
4月頃~10月頃
みたらしだんご --\105
あずきだんご --\105
夏季に、氷各種。
西新宿の海賊版レコード屋が立ち並ぶ入り口近くにある「昌平」は20年以上続いている中華屋だ。
昔ながらのデコラ調の店内の面影はなくなってしまったものの、平日の20時くらいであれば、いまだに並ぶ列が絶えない日もあるというから、やはり、それなりに人気があるのだろう。
元々、中華屋なだけに、どの食べ物を食べてもそこそこ美味しいし、定評もある。そして同時に「昌平」はつけ麺で有名だったりもするのだ。
写真はつけ麺(580円)
香ばしい小麦の香りがして、太めに縮れている喉越し豊かな自家製麺の歯ごたえが、小気味よく口に拡がる。
カツオ・魚介系の濃厚スープはこの土地にしては珍しい。
麺に絡めるとふわっと魚のダシが間髪入れずに鼻腔をくすぐる。
シンプルだけれども飽きがない「昌平」のつけ麺がいつまでも人気なのは、きっと、麺の絶妙なバランスと丁寧なスープが人々を惹きつけるからだ。
新宿で呑んだ後に無性に啜りたくなる一杯、である。
昌平
都新宿区西新宿7-12-4
月~金11:00~0:00(L.O.23:20)
土祝11:00~23:30(L.O.22:50)
日曜定休
JR/新宿駅・西口より徒歩5分
西武新宿線/西武新宿駅より徒歩5分
つけ麺 --\580
ラーメン --\550
餃子 --\300
鶏唐揚 --\450
東京の新宿に、フランスプロヴァンス地方のワインと料理が手軽に楽しめる立ち呑みレストランがある。
立ち呑みスタイルの店は、ヨーロッパの街角でもよく見かけるポピュラーな酒場だ。
イタリアではバールと呼ばれたりして、サッと呑んで、少し食事もできて、気さくに入れる伝統的な庶民の憩いの場所であり、夕方ぐらいになると、どこからともなくワインの香りが漂うので、「日が暮れ始めたらマスクして歩かないと、酔っ払うか嫁に叱られるかどちらかだよね」というジョークもあるとかないとか。
さて、こちらの店の名前は「プロヴァンサル」。歌舞伎町らしからぬカウンターでは、1人~3人ぐらいの人たちが、ワイワイと、そしてひっそりとワイングラスを傾けて、その日の一杯を呑んでいる。
軽く呑む感じの1軒目で入るか、もう少し呑もうという2軒目ぐらいで時間を過ごすのが良さそうだ。
写真はパルマ産生ハム。
生ハムに染み込む塩味がお酒をそそる。少し香りに動物的クセを持つ。ワインに最適。
ガーリックトースト。
おなじみのガーリックトースト。さきほどの生ハムとこのガーリックトーストでけっこう満足できたりもする。
赤キャベツのサラダ。
少し甘いサラダ。さっぱりしているので口直しに。
アンチョビオリーブのマリネ・タイム風味。
鰯とオリーブの協奏曲。白ワインにぴったり。
ライスコロッケ。
パカッと箸で崩すと中から出てくるのはライスと挽肉。けっこうボリュームがある。
子羊のプロシェット
柔らかい子羊。肉汁がたっぷり。
Provencal
新宿区歌舞伎町2-45-7 大喜ビル1F
17:00~05:00
JR/新宿駅・東口より徒歩5分
西武新宿線/西武新宿駅・北口より徒歩15秒
アンチョビオリーブのマリネ・タイム風味 --\200
ガーリックトースト --\200
パルマ産生ハム(1人前~) --\250
仏産チーズの盛り合わせ --\380
ブランド豚の焼きベーコン・サワークラウト添え --\480
いろいろなお魚のスープ・マルセイユ風 --\580
塩豚のやわらか煮込み --\580
ハムとタカのツメのオリーブパスタ --\680
ブロシェット(串焼き)各種1本 --\300
各国グラスワイン --\280~
ドンゾイロ フィノ(グラス) --\350
「マスヒロ百選2005 今年もやっぱり坂本屋のカツ丼 益博」
グルメ評論家の山本益博氏が絶賛するカツ丼。
想像して欲しい、どんなカツ丼なのか。銀の器?宮内庁ご用達?それとも1杯5千円?
思わずそんな仰々しいイメージが先行しちゃうのだけれども、実は旧い街なら必ずありそうな市井の定食屋で、それは密かに、しかし熱く、多くのファンと常連を抱えて今日もカウンターに並んでいる。
JR中央線西荻窪駅の北口大通りに徒歩2分。赤い看板を掲げて営業している「坂本屋」。
昔からこの土地にある食堂だ。カツ丼専門店ではない。
カウンターと小さなテーブルが3つほど並ぶ店を切り盛りしているのは、親父さん夫婦とその息子さん夫婦。家族経営の食堂。大正12年創業。
カツ丼1杯750円。それが坂本屋のカツ丼だ。
先ほど載せたメッセージは実際に山本氏が坂本屋のカツ丼を食べて書いた色紙の句である。
お盆に載っているのは胡瓜の漬物とワカメの味噌汁とドンブリ。
カツ丼は半熟卵が絶妙に揚げたての衣に絡まっているベストな状態。
ほんのり甘めのツユがカツに染みこんでいる。でもカツはサクサク。
肉厚のロース肉。ご飯に絡まるカツとツユと半熟卵。ため息がこぼれる。
どうしても坂本屋のカツ丼が食べたい。そんな日がきっとある。
やっぱり今年も坂本屋のカツ丼、である。
坂本屋
杉並区西荻北 3-31-16
11:00~21:00
日曜定休
カツ丼 --\750
JR中野駅駅から徒歩8分、新井薬師方面に向かう〝薬師あいロード商店街〟の入り口近くにあるのが、「南印度Dining」。
健康的な南インドスタイルのカレーをマドラス出身のアマラダスさん(ニックネーム:ダスさん)が提供することから評判が高い。
店内のインド人率が高く、時間帯によっては客のほとんどがインド人で、「ここはバガトールのバジ屋か?」と勘ぐるぐらいだが、一応、日本語は通じるのでご安心。
薬膳を主としたカレーということで、化学調味料を一切使うことなくカレーのコクと旨みをだしている。
カレーは辛さを調整することができる。
かなりの辛さになるので、激辛に自信のある方はどぞ。お土産用のカレースパイスも多数用意。
ランチやディナーのセットはものすごい量で登場するらしい。
ダルカリー(650円)。
ダル(豆)のカレー。さらっとしたスープっぽいカレー。薬膳だからか、けっこう優しい味がする。
チキンカレー(700円)。
激辛でオーダーするとこんなのが出てくる。普通のノーマルな人はたぶん食べられない。僕は匙に少し乗っけて食べたけど、軽く死にかけた。
食べた友人曰く「これぐらい辛いと安心」とのこと。ちなみにこの人は下北のマジックスパイスで一番強烈なカレーを食べても辛さが足りなくてしょげる。そういう人だ。
日本では珍しい本格的なチャイの飲みかたができる。
屋台の素焼きのチャイや寝台列車のチャイ、あの「エクッチャーーイッ(チャイはひとついかがー)」の3Rp(10円)のとは違って、南インド地方のスタイルでチャイを戴くことができる。
とりわけ南インドでは、チャイを熱めの温度で煮出して、カップに注ぎ、場合によってはもう1つ空っぽのカップを用意して、チャイを2つのカップ間で行き来させて、まろやかに泡立てて、それから冷まし、受け皿にチャイを注いで呑むというスタイルがポピュラーだ。
日本ではなかなかお目にかかれないこのスタイルで提供してくれる。砂糖も最初からちゃんと溶かしてある。
カルダモンやシナモンというチャイマサラが効いている懐かしい味に涙が出そうになる。
南印度Dining
中野区新井1-23-23
11:30~15:00
17:30~23:00
月曜定休
日替わりカレーランチ --\700
(カレー1種・サラダ・ナンorライス・チャイ)
Aカレーランチ --\750
(ベジタブルカレーorチキンカレー・サラダ・ナンorライス・チャイ)
ターリーランチ --\950
(キーマカレーor豆カレー・サラダ・ナンorライス・チャイ・タンドリーチキン)
スペシャルカレーランチ --\1100
(カレー2種類・サラダ・ナン・ライス・チャイ・ラッシー・マライティッカ・
タンドリーチキンその他、サモサ・シークカバブーが付く1500円のランチもある)
JR中野駅近くの〝中野ふれあいロード〟は所謂ラーメン激戦区で、店長が拉致られてしまった青葉を筆頭に有名店が凌ぎを削って切磋琢磨してるストリートだ。
その中にある「菜華」は、いまでこそポピュラーな無化調ラーメンに10年前からこだわり続け、厳選した素材を生かしたスープが人気のラーメン屋だ。
写真は醤油ラーメン(600円)。
海の香りがいっぱいの魚系と豚骨系のダブルスープ。油膜の浮いた醤油ダレのスープである。
濃い茶色なので味も濃いのかなと不安に思ったのは無用だった。
ほんのりと甘いスープに、野菜が溶け込んでいて、うまくマッチングしている。
消えがちな魚系もしっかりと生かされている。
スープが自慢、というだけはあると思う。
このスープが縮れの強いモチモチとした麺と相性が抜群。
黒豚を使用したチャーシューは箸を軽く入れただけでズズズッと崩れる柔らかさ。
オーソドックスな醤油で煮しめた黒豚から肉汁がこぼれてスープと一体となる。
食欲が湧いて当然だ。
近くにある青葉は、やたらと混雑しているけど、並ばないで納得のいくラーメンが食べたい人なら、この「菜華」はなかなかのお奨め。
菜華
中野区中野5-55-3
11:30~23:30
無休
支那そば --\600
醤油ラーメン --\600
塩ラーメン --\650
つけめん --\650
午後はまるまる思いっきり紅白歌合戦的ネーミングのこのラーメン屋は、JR王子駅のすぐ裏手30秒ほどの位置にある。
某大物司会者とはまるで関係なく、麺が多いことから付いた「味の麺多」が本当の名前(漢字)らしい。
近くに覇者のように君臨する大勝軒があるというのに、つけ麺の店として結構賑わっていると評判。
そのギャグのような店名で期待も薄いかと思いきや、これが味は本格的で、平打ち中太の自家製麺を使い、なかなかの本格派。
写真はつけ麺1.5倍(680円)。
鶏と野菜のパンチの効いた濃いスープに、玉葱、青葱がバランスよく散らしてあって、挽肉のそぼろがスープに混ざっている。
味の染みた焼き豚とメンマと海苔が浮かぶ。中太のモッチリとした麺がこのスープに小気味よく絡むのがなかなかである。
普通盛りでも1.5倍でも同値段で、1.5倍は結構な量があるんだけど、スープのしっかりとした味と自家製麺の歯ごたえが一気に加速して、結局、ペロリと食べられてしまう。
ちなみに券売機があって、先に支払いが終わるので、会計の時に「ファイナルアンサー?」とは決して聞かれない。ちょっと残念な話である。
みのめんた
東京都北区王子1-2-2
11:30~24:00
(土・日・祝:~22:00)
無休
つけ麺 --\680
ごまだれつけ麺 --\680
夜だけつけ麺 --\900
JR中野駅から徒歩10分のところにある「長浜食堂」。
正統的な長浜ラーメンが食べられると評判の店である。
あまたある博多ラーメンのうち、長浜ラーメンは、いわずとしれた福岡県の長浜という土地が発祥のラーメンのことをいう。
長いこと長浜地方でしか食べられてこなかったラーメンとその食べ方、と表現を変えてもいいかもしれない。
内的に栄えた独自のラーメン文化。
では、長浜ラーメンとはなにか。
長浜ラーメンとは、というより、長浜ラーメンと博多ラーメンの違いは、誰かが明文化したわけではないし、食の世界に、そのような境界線を設けるのは正直つまらなくウンチクの温床となって、ついつい眉間に皺が寄るわけだが、そういった“違い”というのはあるようでないようで、やっぱりある。
つまりそれは、次の3点を結果的に満たしているのが長浜ラーメンなのではないだろうか。
1)
味の調整を自分でする。辛し高菜、紅しょうが、白胡麻とトッピングが自由自在。
2)
麺自体が特殊な味というかクセがあって、加水率の低い独特のコシがあり、あくまでも固め。固ければ固いほどよい。スープは薄めの味なのだが、まろやかに豚骨。
3)
替え玉を愉しむ。その際には〝固め〟か〝バリ固(ばりかた)〟か〝ハリガネ〟で注文。替え玉のためにテーブルには味を足すスープが置いてある。
※ハリガネ→さっと湯通ししただけの麺
僕の見た限りの長浜ラーメンというのは必ずといっていいほど、この3つを兼ね備えている。
食べ方的にはこういうことになる、ラーメンを頼む→ラーメン登場→テーブルの上にあるトッピングをお好みで入れる→1麺めを食す→替え玉をあくまでも固めで注文→スープを足す→ご機嫌♪
逆を言えばこの3つのうち1つでも外れていたら残念ながらそれは長浜ラーメンではないのだ。
そんな長浜ラーメンが─悲しいことに、その土地で食べるより美味しいことはないというのが法則ではあるけれど─東京でも食べることができるのが、この「長浜食堂」だ。
カウンター6席、テーブル20席の広い店には食堂という名前とは裏腹にジャズが流れている。
呑んで食べて最後にラーメンを食べる店に倣い、〝砂肝の香り煮〟とか〝青菜の炒め〟とか小料理のメニューが多く、たいていのお客さんが、小皿を頼んで呑んでいる。
こちらは博多焼餃子(409円)
モチモチとした皮の餃子。鉄鍋風ではある。ビールを頼むとしたら、これも・・・という趣きが漂う。
こってり長浜とんこつラーメン(619円)。
クセのある麺に絶妙に絡むスープは、白い薄豚骨で、3日間掛けて豚を頭から尾まで煮込むという。においがきつくならないように丁寧にあくぬきをしたというだけあって、豚骨臭は少なく、レンゲを沈めるごとにクセになるスープはさすが。
替え玉用のラーメンだれ(テーブルに置いてある)を1杯目から投入するツワモノも。テーブルにある辛し高菜を入れたり紅生姜を落として自分の味を楽しもう。
博多餃子房 長浜食堂
中野区新井1丁目2-10
11:30~15:00 17:00~翌2:00
無休
こってり長浜とんこつラーメン --\619
博多焼餃子 --\409
青菜の炒め --\409
石焼あんかけチャーハン --\619
替え玉 --\100
「並んで食べるんやったら他の店に行くけんね」とか「こんなん並びきらんわ、ほかいこ」と、やたらと混雑した店は敬遠する気風が漂う北九州の土壌で、この店だけは1時間待っても食べたいと北九州っ子が─歯を食いしばってやや視線を泳がせつつなのかは分からないが─吐露するのが、鹿児島本線の黒崎駅から徒歩5分の繁華街に位置する餃子の「いづみ」。
常に賑わうこの店では、餃子の皮の焼ける馨しい香りをよそにじっと耐えている先客がカウンターの周りを囲んでいる。
そう、「いづみ」の餃子は並んでもいいからとにかく食べたいのだ。
さて、こちらは、餃子と双璧をなすといっても過言ではない漬物(300円)。
ぬかがしっかりと効いている漬物は、この店の名物。
一口では表現が出来ない漬物の旨みが色とりどりの野菜に刻みこまれている。
餃子屋が出すような漬物には感じられない。
なんと言うか、もっと小料理屋とかが出してもいいんじゃないかというレベル。決して手を抜いていないのが素晴らしい。しかも、サッパリとしているので、いくらでも食べられちゃう。
餃子が焼ける前にビールと一緒に頼むという人が多い。持ち帰りもできるし、実際に持ち帰りを希望するお客が多い。それぐらいの漬物なのだ。
使い込んだ鉄鍋でジュウジュウと香ばしく焼かれる餃子(450円)。
思わず待ちきれなくて、お腹が鳴ってしまいそうになる。生地はお客が来てからのばすという(カウンターでは専門で生地をのばす担当がいた)。パリっとした軽い食感がする皮の虜になることだろう。
肉汁たっぷりの具材は厳選した素材を使っているというだけある。
「いづみ」に限らず北九州地方の餃子屋にはラー油と酢が置いていなく、そのかわりに〝餃子のたれ〟なるものがテーブルに設置されているのだ。
そしてこれがまた、鉄鍋餃子にメチャクチャ相性がいいのである。
どれだけ食べても胃がもたれる気配がない一口サイズの餃子。肉汁がしたたり、湯気があふれる。
そして、熱い鉄鍋からぐいっと皮を剥がして、プルプルと音を立てるジューシーな餃子を頬張る。
もう箸は次の餃子に伸びている。
こちらはやきめし(530円)。
チャーハンと呼ばずに〝やきめし〟と呼ぶ。
ざっくりと平皿に乗ったやきめしを締めに頼む人が目立つ。
オーソドックスな中華と和風の中間の味。
餃子とやきめし。一見、個性的な味同士だからぶつかると思いきや、これがなかなか良いコンビなのだ。胡椒をまぶして一気に食べよう。
いづみ
北九州市八幡西区黒崎3-5-10
16:00~23:00
第1・3・5月曜、日曜、定休
焼き餃子 --\450
水餃子 --\480
漬物 --\300
やきめし --\530
おでん --\120~
小倉の旦過市場の目の前にあるのがこの「東龍軒」。本店は小倉北区日明にある。魚町にあるのは旦過店。鹿児島本線小倉駅から徒歩5分。
ラーメン専門店と謳うだけあって、臭みのないあっさりめの白豚骨スープを堪能できる。それでいてまろやかでコクがあるという・・・。
写真はラーメン(450円)。
九州ラーメンらしいストレートの自家製中細麺がマッチング。
注文の際に必ず「ニンニクはどうされますか?」と訊ねられる。
ニンニクを入れると入れないで味が変わるからだ。
ニンニクを投入したほうがスープにエッジが出来て、味を際立てるという者もあれば、スープ本来の味を愉しむには、ニンニクは入れないほうがいいという者もいる。
これは好みの問題だ。
僕自身は「東龍軒」のスープにはニンニクが似合うと思う。
ニンニクを入れて食べる「東龍軒」のラーメンは他ではちょっと味わえない、そんな気がするからだ。
一気に飲み干したってかまわない豚骨スープ。
朝の4時まで営業しているので、小倉界隈で呑んで遊んだ帰りにフラっと立ち寄れる。ちなみに九州で「ラーメン」というのはあくまでも「豚骨ラーメン」のことを指すので注意(って言っても何を注意するんだか)。
テーブルの上には辛し高菜がサービスで置いてある。ただしこれはかなりの辛さ。別オーダーでおにぎりを頼んだ時に食べるとか、スープに辛味を足したい時に食べるほうが無難。
東龍軒 旦過店
北九州市小倉北区魚町3-2-13
11:00~翌4:00
火曜定休
ラーメン --\450
餃子 --\250
歌舞伎町の玄関口にある大陸は、創業50年の老舗の餃子屋さん。
店名から伺えるように、中国の大陸料理を正統的に仕上げた料理で、歌舞伎町で大陸仕込みの中華を食べるならここで・・・、という人も多い。
にんにくを使用しない餃子は、サッパリとしていて幾らでも食べられる美味しさだ。
本場からやってきた大陸料理の品々。
月曜日は餃子が半額と言う嬉しいサービスもある。
写真は白菜のクリーム煮。
濃厚なクリームと中華の不思議な出会い。
あつあつの甘い白菜にクリームがしっかりと沁みこんでいる。少し酢と醤油を垂らして。
こちらは中国風腸詰め。
肉のたっぷりと詰まった中国風の腸詰めは辛めの味噌と胡瓜を添えて葱を散らして食べる。鼻腔をくすぐる香辛料が食欲をそそる。中華風サラミといったところだろうか。
春巻。
カラッと揚がった黄金色の春巻から覗くのは湯気たっぷりの具材。筍系など詰まった春巻は、ぜひ、芥子醤油で。
水餃子。
小ぶりの餃子でニンニクを使っていない。その影響もあってか、素材の味がよく分かる味だ。肉汁たっぷりの具が現れる。モチモチとした皮の食感を。
杏仁豆腐(上)と胡麻モチ団子(下)。
コクのある杏仁豆腐は香りが芳醇な濃厚テイスト。アツアツの胡麻モチ団子が別腹で入る美味しさ。
大陸
東京都新宿区歌舞伎町1-6-3 石橋ビル4F
月~木16:00~23:00(L.O.22:30)
金・土16:00~23:30(L.O.23:00)
日・祝16:00~23:00(L.O.22:30)
焼餃子 --\480
水餃子 --\480
小籠包 --\630
焼売 --\400
バンバンジー --\850
中国風腸詰め --\700
春雨炒め --\650
ニンニク茎炒め --\800
杏仁豆腐 --390
麻球(胡麻モチ団子) --600
東京メトロ東西線に『西葛西駅』がある。
千葉県の浦安市と隣接している江戸川区の端にある駅だ。
近頃になってこの西葛西駅がたびたびメディアに登場するようになった。なんでも僅か数年の間にインド人の住民が増えて、西葛西≒リトルインディアとまで位置付けられるほど増えたらしい。
シリコンバレーさながらIT関連の会社が密集するエリアにゼロの概念を考えたインド人が集合。ありえなくも無い話に聞こえる。
さて、実際の西葛西はというと、何処にでもありそうな平穏な街で、駅の周りにインド人がたむろしていて『チェンジダラー?』とか『ハロ、ジャパニ。何欲シイ』と囁いてくることもない。残念だけれど、当たり前の話である。
その西葛西駅から徒歩5分ほどにあるのが「スパイスマジック カルカッタ」というカレー屋。
店を営んでいるのは西葛西インド人会会長。
ちなみに「スパイスマジック カルカッタ」は西葛西エリアに「シャンティゲストハウス」というゲストハウスを営んでいる。なかなかの辣腕ぶりだ。
整骨院の横に位置する民家を改造した風の店は何処にでもありそうな日本風の建物だけれど、じつは店内を徐々に増殖するアメーバーのように拡張している。ここの人気っぷりを物語る一面だ。
写真はタンドリーチキン(630円)。
ヨーグルトを摺り込んで各種スパイスをまぶしてじっくり焼き上げたタンドリーチキンは、本家インドでもお馴染みだけれど、焼き上げの段階で旨みが逃げてしまいパサパサになりがちな店が多い。
料理法として最も手がかかり、鶏料理でも最高の称号を貰うことがあるタンドリーチキンを、実にジューシーに仕上げている。複雑に絡み合うスパイスのオーケストラ。
フィッシュティッカ(630円)。
〝ティッカ〟若しくは〝ティカ〟とは〝一口サイズ〟という意味。
タンドール料理のフィッシュティッカは白身魚のスパイシー炭火焼。カレーの味のする白身フライはお酒のつまみとして最高だ。柔らかい白身から湯気が沸き立つ。
チキンバターマサラ(950円)。
〝マサラ〟とはヒンディー語で〝数種類のスパイスやハーブを混ぜたもの〟という意味がある。
実際に、マサラはマサラの数だけ配合や匙加減が存在するという、まるでパラレルな宇宙のようなものだ。
代表的なのがシナモン、カルダモン、クローブ、ジンジャー、コリアンダー、クローブ、ターメリックなどを混ぜているマサラ。
酸味があるマサラもあるし、甘みを引き出すマサラもある。日本料理に醤油が欠かせないようにインド料理にマサラを欠かせることがない。
インド料理の概念のような位置にあるだろう。マサラを混ぜ合わせてカレーにもなるし、お茶用のマサラを使ってミルクティを作ればチャイにもなる。
さて、「スパイスマジック カルカッタ」のカレーはブイヨンを一切使わないという。
食べると分かるが、それが信じられないほどのコクと旨みを醸し出しているのだ。
チキンとダンスするようなカレー。
ネットリとした仕上がりが罪作りなまでにサディスティックだ。
辛いだけではなく甘みもあるような、それでいてパンチが効いているカレー。晩年のレイチャールズのような温かみと深みを感じる。
こちらはサフランライス(320円)。
インドで一生分のナンを食べてしまった僕は、ほとんどナンを食べることがなくなった。なので気がつくとライスをチョイスしている。
しっかり炊き上がったサフランライスはモッチリとしていて日本人好みではないだろうか。
バターを落として炊き上げたようなまろやかさがある。
このサフランライスがカレーとの相性抜群なのだ。
ナンもバターナンらしい香ばしい仕上がりだけれど、この店はサフランライスが結構イケる。
で、バターナン(320円)。
バターで艶光りしているバターナン。ウキウキの焼き上がり。小麦粉の甘いテイストにカレーを染み込ませて口に頬張る。歓喜とはこのことか。
スパイスマジックカルカッタ
江戸川区西葛西3-13-3
ランチタイム:11:00~14:30
ナイトタイム:17:00~22:00
月曜、定休
タンドリチキン --\630
フィッシュティッカ --\630
チキンバターマサラ --\950
ナン --\320
サフランライス --\320
カルカッタターリ(カリー3種、サラダ、
豆のウエハース、タンドリ2種、ナン、紅茶) --\2100
ベジタリアンターリ(カリー3種、サラダ、
豆のウエハース、サモサ、野菜のフリッター、ナン、紅茶) --\1900
ラッシー --\420
チャイ --\320
銀座にある「黄金乃舌」に再訪。
最高の素材を最高のスタッフが紡ぎだす最高の店。もちろん値段は高い。
去年(05年)の夏頃とメニューが変わり、コース料理が中心となっているという。
そういうことで、メニューから幻の明太子の姿が消えてしまったのが残念。
しかし、魚の料理と焼酎の品揃えは、さすがである。
こちらは今日の大蔵省ケンカネコ氏。一山当てるという言葉は彼のためにある言葉。ご馳走様です。
お通し。
2月3日の節分に来店したので、お通しは恵方巻きである。それに山椒が練ってある味噌に柚子が乗っている口直し。丁寧な味に舌を巻く。
富山 氷見産寒ブリ(4200円)
「今日は寒ブリか平目が美味しいですよ」とのことだったので、ブリの刺身を戴く。天然モノらしい脂の乗り方で、まさに食べごろだ。本醤油につけて食べる。
千葉房総産 赤サザエ刺し(6000円)
携帯のカメラでは収まりきれない巨大な赤サザエの刺身。苦味のある内臓に焼酎が進む。コリコリした歯ざわり、まだ生きているような感触。なぜか残酷な気分にすらなる一品。
椎茸串(1本 500円)
肉厚の椎茸が炭火で焼かれて登場。畑のアワビとも呼ばれるこの椎茸。噛むほどに味が拡がる一品。
千葉勝浦 金目鯛 頭煮付け(1000円)
この店で食事をすると「金目の煮付け 1000円?安いね」なんてことになりかねなくなる。けどたしかにこの店にしては安い。味の染み込んだ真っ赤な金目の頭をほじくり肉を出す。繊維のひとつにまで染み渡る深い味。臭みなんて全くない。驚愕である。
千葉銚子産 真カジキ西京焼き (2000円)
ぎゅーっと締まった真カジキを時間をかけて西京焼きにした一品。いままでに食べたカジキで一番締まりが良い。噛んでも噛んでもってやつだ。照り焼きに近い西京焼きにして正解。
茨城鹿島産 地蛤の浜焼き (1個 950円)
貝を開くとそこに見えるのはプリプリな蛤とスープみたいな貝汁。これを10個ぐらい食べたらたぶん気絶するだろう、そんな旨さである。
東京 羽田沖産 穴子天ぷら (1200円)
通に言わせると羽田の穴子が一番だという。たしかに羽田の穴子は有名で希少価値が高い。その穴子を食べられる店自体が少なくなってきた。それを惜しげも無く天ぷらにしたのがこれ。塩で戴いたら天国に到着してしまった。サクっとした衣から覗く湯気がたっぷりの白身の穴子。
烏賊飯 (4800円)
「黄金乃舌」で有名なのがこの烏賊飯。注文してから炊き上げるという徹底ぶり。厳選したコシヒカリにコクのある烏賊のすべて。これまでに食べた烏賊飯のなかでダントツの一位である。別途貰った柚子胡椒をつけて食べる。
貝汁 (1200円)
選び抜かれた浅蜊、蛤、蜆の貝汁。この一杯でひとつの料理として成立している。
徳島紅ほっぺ (1500円)
言葉なし。感無量。
吟味 黄金乃舌
港区新橋1-5-6 銀座第三誠和ビル1・2F
月~土17:00~27:00
日・祝17:00~24:00
※コースは1万~1万5千円。要予約。
03-6215-9667
異端の文化人(という表現が適切なのだろうか)であり、元祖サブカルの草分け的存在でもあった青山正明氏(故)が、著作で提言している理論があって、いま思えば荒唐無稽に近い内容だったんだけれど、こういうのがある。
うろ覚えなので彼がどのように呼んでいたか失礼ながら失念してしまったが、中毒者というのは、自分に合ったブツをチョイスするので、政府が指摘するような、どんどんとヘビースタッフを求める傾向はない筈だ。だから解禁しても問題ないブツがある、という理論だった。
青山氏が言わんとすることは、無知な僕にはまるで理解ができないとはいえ、残念なことに彼が批判対象とした政府の提言する理論に当てはまるモノがひとつだけある。
それは「トンコツ」だ。
「トンコツ」というのはキリが無い。
一度ハマると、まさに中毒者が更なる刺激と快楽を求めるかのように、どんどんと濃いスープを求めて行脚する性質があるようだ。
もしかしたら、数年後には豚そのものを齧っているのかもしれない懸念すらある。
そんなヘビーなトンコツ中毒者が、最終的にたどり着くであろう店がこの魁龍だ。
魁龍の源流は40年前に遡り、現大将の親父さんが久留米に出していた「珍宝軒」にあるという。最繁期は市内に6つの屋台も出すほどの人気ぶりで、その父親の姿をずっと眺めていた大将は、平成4年(1992年)に、ついに小倉北区に「魁龍」を開業した。
看板に「〝ど〟トンコツ」とあるように、普通のトンコツではない。豚の頭の骨をグツグツと煮込んで14年間継ぎ足したという、久留米ラーメンの真骨頂「呼び戻し」方式が生み出すそのスープが盛られる器には、なんと溶け出した骨粉が器の底に残り、骨髄が染み出しだ白濁のスープはドロドロとしている。これが魁龍のトンコツだ。
写真はラーメン(580円)
店の中にムッと立ち込めるトンコツの香り。そして出される気合の入ったラーメン。
骨粉が溶け出すほどのスープだというのに、臭みが強くなく、むしろコクがあって、あるひとつの料理を食べているようなスープだ。
中細の麺に絡みつくトンコツエキス。
一度啜るともう止まらない。一気に病み付きになる。
他の店のトンコツじゃ物足りない。
だって魁龍のトンコツは「〝ど〟トンコツ」なんだもの。
まさしく麻薬のようなラーメンだ。嗚呼、また食べたくなる。
魁龍
福岡県北九州市小倉北区東篠崎2丁目1番6号
11:00~23:00
日・祝11:00~21:00
毎月第1火曜日 店休日
ラーメン --\580
─HP─
※2006年2月16日~21日、船橋東武百貨店で行なわれる「第7回福岡物産展」にて限定開店中。
お見逃し無く(スープが無くなり次第閉店)。
渋谷のファイヤー通りと東急ハンズ近くのciscoのHOUSE館の斜め前それぞれに店舗を構えている「モボモガ」。
「モボモガ」がモダンボーイ、モダンガールの略であると気がついた人はなかなか鋭いところだ。
その名の通り、モダンな雰囲気のアメリカンロックが流れる、サボテンとテキーラが似合いそうな穴ぐら的店内は、薄暗く、オブジェチックな照明が照らされる空間で、カクテルとかというよりバーボンやスピリッツがしっくりと合いそうな店である。
元祖カフェめしと言えば必ずノミネートされるぐらい昔からあり、その気さくなメニューの数々に、渋谷にきたらココが定番という人も少なくない。
煙草の脂で燻された店内にいると、何気なしにワイルドな気分にもなってくる。
写真はハンバーグピラフ(1100円)
「モボモガ」ってどんな店って尋ねられたら、きっと10人中10人は『とにかく量がとんでもない店』と答えることだろう。
なにもかもがアメリカンサイズ。
うっかりそれを知らずに頼むとエライ目にあうのでご注意。
下の写真の飲み物もけっしてLサイズってわけじゃなくて、これがこの店の標準サイズ。
バイレックスの計量カップというかビーカーがコップだよ。
ただ単に巨大とか量が多いってだけではなく味も保証つき。
ハンバーグピラフは、どっさりとジューシィな肉汁たっぷりのハンバーグが乗っていて湯気を立てている。
トマトソースの甘み豊かな香りが立ち込め、思わず喉が鳴る。
引きちぎるようにスプーンを入れると肉汁とライスが一緒に。それをアグリと口に運ぶのだ。おもわず渋谷にいるのも忘れちゃいそう。
スピーカーから流れる「カルフォルニケイション」の甘く切ないメロディを聴きつつ、アルコールをもう一杯。
モボモガ
渋谷区神南1-9-4NCビル2F(神南店)
渋谷区宇田川町4-9くれたけビル2F(宇田川店)
平日11:30~23:00
日・祝日12:00~22:00
水曜定休
ハンバーグピラフ --\1100
メキシカンチキンピラフ --\1100
ベーコンエッグカレー --\1050
モガ風カレー --\1050
タコライス --\1100
バナナジュース --\750
アイスアーモンドオレ --\700
イチゴシェイク --\800
所沢駅西口を降りると、賑やかな繁華街になり、そこから徒歩で歩くこと数分の立地にあるのが「四川 龍の子」の所沢店。
四川料理といえば言わずとしれた激辛料理の数々であり、例えば有名なところで麻婆豆腐などがそうだ。
「龍の子」のメニューにも、麻婆豆腐丼や麻婆ラーメンや坦々麺と見るからに辛そうな品々が目白押しで、辛いもの好きには堪らないらしい。
実際に原宿にある本店(?)は、そういったスパイシー系で一目を置かれている。
またトマト麺なるものもあって、真っ赤なトマトスープに煮てあるレタスが入っているという、もしかしたらゲテモノ?と思いたくもなるメニューがあるのだけど、意外とこれが美味しいとか。
でもここまでくると、もうラーメンなのか創作料理なのか区別もへったくれもないので、ノーコメント。正直、ビビるほど不味くなく、むしろ旨いというのが食べた人の弁。
写真は塩ラーメン(750円)
チベットの塩を使用したという触れ込みの塩ラーメン。
こってりと油の浮いた青葱と白葱が細かく散らしてあるスープは絶妙。
塩ラーメンのサッパリさと程よいこってり具合が掛け合う。
もともとが中華料理の店だけに、スープに奥行きがあって、丁寧に裏ごしされたダシがガツンとやってくる。そして、スープに浮かぶ海藻の風味がこれまた格別。もう一口と、ついつい蓮華がやめられないとまらない。
チャーシューは柔らかめで濃い目の味付け。
ほとんど噛むことも無くとろけるチャーシューのしっかりとした醤油風味は試す価値あり。
麺は中太の縮れ麺。塩ラーメンではかなり上位にランクイン。
四川 龍の子
埼玉県所沢市日吉町9-2
(西武新宿・池袋線所沢駅徒歩3分)
11:00~2:00
無休
塩ラーメン --\750
ラーメン --\600
トマト麺 --\750
鷺ノ宮駅北口徒歩1分にあるのが「一兆」。
2004年6月に開店早々、地元の人気店として名高く、坦々麺が有名なジャズの流れるこのラーメン屋のカウンターは、常に混んでいる。
味が悪いかわりに店主が愛想よくてもしょうがないし、味がよければいいだろと高圧的な店で食べても心寒い。
もっとも、味が悪くて高圧的な店主がいる店は正直救いようがないわけだが。
でもこの「一兆」は、味については文句のひとつもないし、非常に真面目な食に対してストイックな感じのある店主との会話もきちんと楽しめる。
聞けば「ウチのような店がどんどん出てきて新宿に出なくても鷺ノ宮で楽しめるように活性化したい」という。
実に気持ちのいい店だ。
写真は特製坦々麺(780円)
坦々麺に海苔(80円)のトッピングを追加。
海苔の磯の香りと丁寧に漉してある白ゴマがナイスマッチング。
坦々麺のポイントに胡麻がどれだけ巧みに演出されているか、というのがあるけれど、その点からしてみれば、もう「一兆」はまさにエクセレントだ。
白胡麻(たぶん)がたっぷりと泳いでいて、自家製ラー油を使った、何種類もの野菜や魚介系、鶏から取ったコクのあるスープに見事に溶け込んでいる。
しかも柚子が散らしてあるので、風味が格別に他店とは異なる。穴あき蓮華でひき肉を啜り、スープを飲むと冬でもじっとりと汗が出る。
麺はモチモチ感たっぷりのちぢれ麺で、程よくスープに絡みついて、食べ応えがいい。
これだけのラーメン店が都心ではなく西武新宿線(急行が停車するとはいえ)沿いにあるのが驚きだ。
写真にはないけれど、1日20組限定のトロトロ特製杏仁豆腐もある。やはり早めになくなってしまうらしい。ラーメンのレベルの高さから伺って、こちらもかなり期待大。
一兆
中野区鷺宮4-2-3
11:00~1:30
特製担々麺 --\780
和風醤油ラー麺 --\570
白とんこつラー麺 --\680
赤とんこつラー麺 --\780
===
※2006年8月23日追記
店長変わったので、当時の旺盛がなくなり、味もイマイチになってしまった。残念。
「純喫茶」と聞いて、どんな場所なのかと描く姿は世代によって違うという。
まだ街に純喫茶があったころ・・・、なんて出だしでスタートすると、なんだか昭和的な甘酸っぱいレモンスカッシュが似合う光景を想像してしまう。
多くの昭和的産物がそうであったように、純喫茶も時代の波に上手く乗れずに激減の線を辿っているのは、その見つけ難さからも伺えるし、落ち着ける喫茶店が好きな身としては残念な気持ちにもなる。
それでもなぜかしらそんなノスタルジックな店が密集しているのが浅草。
そして、その浅草の田原町にあるのがこちら「純喫茶みち」だ。
擦り切れたカーペットに茶がね色の壁と古典的な装飾のあるワイン色のソファ。
いつの開店なのかはしらないが、当初は相当なハイセンスだったことだろう。
ゴシックな調度品もうまく店に溶け込んでいる。ついつい長居がしたくなる店だ。
ひっそりとした店内に流れる音楽と、なぜかアンバランスな存在の液晶モニターのテレビ。珈琲は一杯300円。
お気に入りの小説を脇に挟んで。
純喫茶みち
台東区西浅草1-7-18
8:00~23:00
無休
珈琲 --\300
新宿の歌舞伎町にあるコマ劇場を抜けて大久保方面に向かう途中、風林会館あたりは実に怪しげなネオンと看板で埋め尽くされていて、そのいかがわしさとドギツイ香水やら罵声やらで思わず血が騒ぐことになる。
入会金無料1時間800円というテレクラの呼び声、抜け目の無いキャッチの勧誘、堂々と〝バイアグラあります〟と掲げられた電光掲示板と、日本最大のホストクラブの看板。
その通りを風林会館の方向に向けて数分歩くと、左側に香港の貧民窟と間違うぐらいの暗くてジメジメした細い路地があり、独特の香菜の匂いに混じって、怒鳴り散らす中国語が聴こえてくる。「上海小吃」だ。
この店に辿りつく道すじと店の在り処だけで、1つの映画や小説が作れそうな雰囲気である。
夕方18時からの営業で早くも在歌舞伎町や出勤前の夜の連中で埋め尽くされる人気店。
カエルやウサギといった食材がごく普通に置いてある中華料理の店でもある。
こちらはウサギの炒め物(1200円)。
小骨がたくさんあるわりとアッサリしたウサギは、どこの肉の部分か想像できないほど、味付けがしてあって、煮込んだり炒めたりしてある。
小骨を上手く避けながら肉にかぶりつくと鶏肉のような味がする。八角の香りがプンプンと漂う一品。
カエルの唐揚げ(1800円)。
カエルの唐揚も少し小骨があるけれど、やはり鶏肉のような味がする。
沼や河原の生物と想像できないくらい上品な味。シンプルに塩胡椒で食べるのが宜しい。
空心菜の炒め物(1000円)。
定番中の定番料理の空心菜の炒め物。 ニンニクを散らし強火で炒めた空心菜。牡蠣油がジュッと染み込んでいて鷹の爪がアクセントとなる。シャッキリな茎の部分とシナシナの葉っぱの部分が絶妙のハーモニー。
豆腐のサラダ。
細切り豆腐の塩味。モニョモニョの不思議な食感と単純だけれど奥深い塩味コンビネーション。中華料理の懐の凄さをまじまじと感じる一品。
冬瓜スープ(1200円)。
鶏がらベースの冬瓜スープは芯から身体が温まる。
冬瓜のみずみずしい南国のフルーツのような食感を堪能しつつ、コクのあるスープを啜る。
思わず言葉を失うほど。
上海風揚げもち(600円)。
春雨と同じ材料のモチモチしたデザート。
黄金色の揚げもちは、甘いこってりとしたフレンチトーストに近い柔らかい味で、どこか西洋の雰囲気もある。
明け方に近づくほど(なにせ朝の5時まで営業!)、ここが何処だかわからない顔ぶれがテーブルに揃うという。ディープな新宿を堪能したい人は終電が無くなった時間以降に行くと面白いかも。
上海小吃(シャンハイシャオツゥー)
新宿区歌舞伎町1-3-10
平日18:00~5:00
日・祝日18:00~2:00
─HP─
JR恵比寿駅の西口から徒歩数分にある「ぶた家」。
山形県鳥海山の麓にある関根ファームで育った厳選の「わんぱくポーク」と「ハーブを食べた佐藤の豚」の2種類を使用している豚料理専門店。
その絶対的な店の自信からもあるように、数々の豚料理は他の追随を許さないぐらいジューシーでとろけるような柔らかさがあり、肉全体に甘みを感じられるほどでもある。
夜は串焼きのメニューが多いことから、豚肉に合うお酒、またお酒に合う豚肉が相互に饗宴し、ランチはドンブリものからパンまで幅広く極上の食材を提供している。
こちらはコロッケ(150円)
カリカリに揚がった黄金色のコロッケに箸を入れると何の抵抗もなく、サクッと箸が沈む。
中から覗くのは肉汁たっぷりの挽肉とジャガイモとたまねぎ。ソースを掛けても掛けなくても十分すぎるぐらいで、おかずが無くてもこのコロッケ一つあればコトが足りるというのは決して大袈裟じゃないはず。
メンチカツバーガー(280円)
しっかりと茶色に焼きあがったバンズに挟まれているのはメンチカツとキャベツとマヨネーズ。
エッフェル塔のようなバーガーを上から押さえてアングリと食べると、メンチから肉汁が滴るぐらいジューシー。
バンズに肉汁を吸い込ませて食べるメンチカツバーガーはこの上ない最強の味。
キャベツと挽肉がキツネ色の小麦粉と混じり、うっとりと目が細くなる。
恵比寿「ぶた家」
渋谷区恵比寿西1-13-2 サンキビル2F
平日:
ランチタイム:11:30~14:00
ナイトタイム:18:00~23:30
土曜:
ランチタイム:11:30~14:00
ナイトタイム:18:00~23:30
日曜祝日:
18:00~22:30
ガツ刺し --\450
酢もつ --\430
バラ肉とたまねぎの串焼き --\250
サガリ串焼き(数量限定) --\300
カブリ串焼き(数量限定) --\300
バラ炭火焼き --\750
ロース炭火焼き --\850
自家製ソーセージ炭火焼き --\450
ランチメニュー:
くろどん --\850
しろどん --\950
コロッケセット --\850
ぶためし --\850
メンチカツパン --\280
コロッケ --\150
─HP─
実は都内に幾つか店舗のある「カフェ ハイチ」。
新宿ALTA地下で永らく営業していた店舗はどうやら閉店したようだ。四谷三丁目にもあり、こちらは意外と穴場で、ちょっと都心とは思えない鬱蒼とした雰囲気が良い。
また、新宿サブナード地下街にも店舗があって、どの店とも同じように陽気なカリブ海の音楽が流れている。
ハイチについて、ちょっと触れると、ハイチ共和国は中央アメリカ西インド諸島にある国で世界に2番目に貧しい国とも言われている。
正式名称は〝レピュブリク・ダイティ〟、通称〝ハイチ〟だ。
ハイチは、先住民の言葉で、「山ばかりの土地」を意味する。
フランスの植民地時代を経験しているため、ハイチの料理はフランス料理の要素と、カリブ海の料理の要素が融合している不思議なオリエンタルテイスト、である。
写真はドライカレー。
挽肉をスパイスで煮込んで炒めたドライカレーは、この店で一番有名で、プレート状の白米の上にどっさりとカレーが乗っているというモノ。
福神漬けに少々驚かされるけれど、これが意外と合うから面白い。
味はアッサリとしたドライカレーでそれほどスパイスが強くない。味の染みている挽肉と真っ白なご飯を一緒に食べるとバランスが取れる。噛むと不思議な味がする。
辛いような辛くないような・・・。どちらかというとショッパイような。
で、気がつくと病み付きになって、忘れた頃に突然と食べたくなるカレーがここのカレーだ。
食後に出されるハイチコーヒーは、すべてハイチのコーヒー豆を使い、現地の農園からの直輸入するこだわり。
キックの効いた酸味が少なく、苦味のあるハイチ豆は、ドライカレーを食べた後にもってこい。
ラム酒を垂らすのがハイチ流で、コーヒーと同時にラム酒の瓶がテーブルに置かれる。お好みでラムの風味と豆の香ばしさを。
カフェハイチ
新宿区歌舞伎町1 サブナード地下街
10:00~23:00(L.O.21:00)
ハイチ風ドライカレー --\893
(サラダ、コーヒーつき)
新宿駅東口の狭いガード下をくぐると、まるでタイムスリップしたかのような、旧時代の遺跡ともとれるサングラス屋やペットショップが路地の坂道に所狭しと肩を寄せ合い、古い記憶のように留まっているエリアがある。
思い出横丁、通称〝ションベン横丁〟である。
高層ビル街にひっそりと佇むその姿は、松の根本に生える苔のようであり、時代にしがみつく光景はなかなかの見モノだ。
焼き鳥やモツの煮込み、ウナギの蒲焼の煙が漂うこの思い出横丁の入り口で、位相が異なるかのごとく静謐な趣きで長らく営業しているのが「但馬珈琲店」。
古い洋館かとも思える店内は、白塗りの壁と板張りの床で統一されていて、カウンターでは黙々と店員がネルを使って珈琲を淹れている。
店の入り口に足を踏み入れただけで、きっとその芳醇な焙煎豆の香りが鼻腔をくすぐるだろう。
新宿では珍しく、店内では携帯電話禁止となっており、客席は2階もあるので意外とスペースがある。
珈琲は一杯620円から。
この値段が高いのか安いのかはその人次第。
店内に静かに流れるジャズに耳を傾けて、粗挽きの豆の香りを愉しみ、ゆったりと新宿の喧騒を離れてカップを傾けるのに相応しい。ひとりか、気心の知れた友人と。
但馬屋珈琲店
東京都新宿区西新宿1-2-6
10:00~23:00
深炒焙煎オリジナルブレンド --\620
※2006年閉店。
===
のどごしで食べるのが香川流、というほど香川県の人はうどんにこだわりを持つという。
東京でも数年前から讃岐うどんのブームが来て、手軽に讃岐うどんが食べられるようになった。
それでも香川人に言わせると『まだまだだねぇ』ということになるそうだ。
四谷にある「こびんちょ」の店主は香川で20年暮らし育った香川人。香川人として旨いと感じるうどんを出したいということから東京用に味を変えることなく、粉やあげや葱、魚を現地から直送して作っている。
夕方18時から朝の4時まで営業しているので、ちょっと呑んだ帰りにうどんをすするのもいいものだ。
店内のカウンターからみえる常にグツグツと湯気を立てている釜。ここで注文されたうどんが次々と茹でられる。
写真は釜揚げうどん(730円)
つるつるとコシのある少し甘めの真っ白なうどんは〝素〟のまま食べても十分イケる。魚系の辛口のつけ汁も良い。生姜とわけぎが入れ放題なので、お好みで。
こちらはぶっかけ(730円)
大根おろしの清冽なすがすがしさに、酢橘の柑橘系がさらに爽やかさを醸し出す。こちらも魚系のダシの効いた汁でたぐる。呑んだ後にちょうどいい。
うどんとしては少し高めだけれど、四谷でしかも明け方の4時まで営業しているから、呑んだ後に少しうどんでも・・・というときにピッタシ。ぜひ。
こびんちょ
東京都新宿区荒木町21-24
日曜定休
18:00~4:00
ぶっかけ(冷 温) --\730
釜揚げうどん --\730
都営大江戸線「落合南長崎駅」から目白通りの入り、二又の交番を回るようにして少し歩くと、大きな看板がある。
南長崎ニコニコ商店街である。
とりわけ特徴のない、東京の市井には何処にでもある商店街ではあるが、かつて椎名町と呼ばれていたこの町は、昭和30年代は活気溢れる下町で、その一角には多くの有名な漫画家─あるいは未来ある漫画家達─が住むアパートがあった。
その名前を「トキワ荘」という。
漫画界の巨匠の手塚治虫が住み、彼に憧れ、明日を夢見る若い漫画家、石森章太郎、赤塚不二夫、藤子不二雄両氏ら多くの名作を残した作家達が青春時代を過ごした。
互いに刺激しあい、そして助け合ったりと毎日が楽しかったという。
残念ながら「トキワ荘」は時代の流れとともに取り壊されてしまったが、漫画家達の過ごした昭和30年当時の郷愁の日々は、「トキワ荘の青春」(1996)と映画化されたり、藤子不二雄氏の「まんが道」に詳細に描かれている。
そして、その「トキワ荘」から1分たらずの距離にあるのが、中華食堂「松葉」。
『トキワ荘の引っ越し祝いは松葉のラーメンと決まっているのさ』とあるぐらいトキワ荘の住民達にとっては、菊菓堂という、テラさん(寺田)が満賀(藤子A)と才野(藤子F)にフランスパンにメンチカツを挟んだものを奢った甘食の売っているパン屋と同じくらい馴染み深い店だ。
当時と変わらないというこの店の味は昔ながらのラーメン。
店の入り口には「まんが道」の一コマが貼られたり、藤子A氏のサインが店内に飾られたりと、実に日本の漫画界の聖地的なラーメン屋といっても過言じゃないだろう。
昔ながらの味だけに、特筆するべきサムシングを求めると拍子抜けをくらうかもしれない。
でもね、ボリュームいっぱいのみそラーメンやラーメン、餃子は本当に素朴な味だ。
写真はみそラーメン(600円)。
炒めた野菜がたっぷりと載せてあるみそラーメンは醤油ラーメンと中間のような味で、モチモチした麺に合う。野菜の旨みがスープに染み込んでいて、ラー油をひと匙垂らすと味がシャープになって食味が増す。
こちらは餃子(400円)。
たっぷりボリュームの餃子はジューシーで、香ばしい。400円という安さもナイス。
味がどうとかじゃなくて、この店を訪れたら『ンマーイ!』と言うべきなのだ。それがこの店での正しい食べ方だ。
『ンマーイ!』
中華食堂「松葉」
東京都豊島区南長崎3丁目4-11
ラーメン --\450
みそラーメン --\600
餃子 --\400
大正時代から昭和中期にかけて、東京市中でも有数の花街として栄えた荒木町には、今もなお、当時の面影が残る風情にある路地やら建物が並ぶ。
猫の多い街とも知られ、店の軒先で三毛猫が毛繕いしているなんてのもしばしば。
車力門通りの突き当たりにある「鈴新」は創業50年の老舗のとんかつ屋。引き戸をガラガラと開けるとまず目に付くのは上質な白木のカウンター。ジャズが流れる落ち着いた店内はとんかつ屋とは思えないほど。
吟味された豚肉を自家製のラードと自家製のパン粉で揚げる稀有な店。ご飯は魚沼産のコシヒカリを、だるまガス台で炊き上げるという徹底ぶり。
遠方からわざわざ訪れる人も居るのも頷ける味だ。
ここ数年はテレビや数々のメディアでも紹介されているのでご存知の方も多いだろう。
さて、この店で有名なのは、 かけかつ丼(940円)。
ふっくら炊き上げたご飯の上にいま揚げたばかりのジューシーでサクサクしたかつを、その上から、ほんのり甘い玉ねぎの卵とじをかける。
サクサクした歯ざわりに卵とじのハーモニーは最強。豚汁とお漬物が附く。箸をスッと入れると、湯気がたっぷりとお椀を囲むように包み、黄金色に輝く衣からのぞく分厚いとんかつに、半熟の卵が絡んで、その下から白い宝石のようなコシヒカリが顔をだす。絶妙な厚さのとんかつがピチピチ油を弾いている。感嘆。
豚汁は薄味で野菜の風味がたっぷりとした仕上がり。漬物は勿論、自家製。糠の芳醇な香りが漂う。
とんかつばかりに目が奪われがちだが、こういった脇役達も侮れないのが「鈴新」だ。
こちらは自家製らっきょ(500円)。
一組につき一つの限定というこのらっきょは、みりんで浸けたおつまみにちょうどいい味。鷹の爪の辛味がらっきょうに染み込んでいて後を引く。独特の酸味と甘みをご賞味あれ。
冷奴(500円)。
※写真は半分にわけたもの。
「鈴新」の冷奴を語る前に、まず四谷にある「栗原」について説明しなければならない。
「栗原」というのは、夕方に行ったんじゃ、まずはたいてい売り切れてしまっているという明治20年前創業の120有余年続く老舗の豆腐屋。
四谷で豆腐といえば、誰がなんと言おうと栗原の豆腐のことを指す。
「栗原」の豆腐は、大豆のこまやかな豆そのものの素材の味で、幻のミルクのようなその白い塊は、密に詰まっていて、一口食べると甘い香りが口にいっぱいに広がる、夢のような豆腐なのだ。
四谷で育った多くの人間が栗原の豆腐を食べたんじゃ、まずスーパーで売られている豆腐なんてカルキ臭くて食べられないとこぼす。
でも実際にそうだ。
僕も小さい頃からここの豆腐を食べているので、スーパーで売っている豆腐は変な味がするので食べられない。
そして油揚げ。もし店先で揚げたての油揚げを購入できたというならそれはラッキーというもの。
おかずなんて必要ないんじゃないだろうかというのは、決して大袈裟ではない。
醤油を垂らしただけで、一品となり得るから素晴らしい。
長らく説明してしまったが、とにかくその栗原の豆腐の冷奴がこれ。クリーミー、芳醇、こく、まろやか。あくまでも素材を活かした豆腐だ。とんかつ屋に冷奴という、一瞬似つかわしくない組み合わせも、まるで違和感が無い。
他にも夜のメニューとして、ままかりの酢漬けや、真いかの丸干しなどがある。
ままかりの酢漬けは瀬戸内海のいわしの仲間でサッパという魚を用いている。
真いかの丸干しは、新潟県の真いかを使用。お酒のつまみとして最高だ。
かつ丼は、かけかつ丼以外にも一般的な煮かつ丼(940円)、そうすかつ重(840円)。これはご飯の上に手切りのキャベツ、その上に揚げたてのとんかつをのせ特製ソースがのせてある。
鈴新
東京都新宿区荒木町10 十番館ビル1F
11:30~13:30 17:00~21:00
日曜定休
煮かつ丼 --\940
かけかつ丼 --\940
そうすかつ重 --\840
昼メニュー(11:30~13:30)
とんかつ定食 --\840
特製メンチかつとあじフライの盛合せ --\840
コロッケとあじフライの盛合せ --\840
ヒレかつとメンチかつの盛合わせ --\1050
夜メニュー(17:00~21:00)
ロースかつ定食 --\1260
ヒレかつ定食 --\1570
エビフライ定食 --\1680
魚フライ盛合せ定食 --\1150
晩酌セット(串かつ・飲物・小鉢) --\1000
自家製らっきょ --\500
ままかりの酢漬け --\400
真いかの丸干し --\400
とまとフライ --\400
こまいの一夜干し --\400
冷奴 --\500
新宿歌舞伎町、テレビでもお馴染みのアジアでも数本の指に入る歓楽街。不夜城。
その歌舞伎町の真ん中の通りにあるお好み焼き屋が「大阪屋」。
20年以上の営業で、24時間営業、年中無休、新宿のお好み焼き屋では老舗である。
この街に相応しい営業方針、眠らない街にぴったしだ。
さて、その長い歳月を掛けて油を吸い取ったといわんばかりのテカテカの細長い階段を下ると、目の前に迫るのは地下一階の広い店内。
つきあたりに座敷、テーブルが幾つか。近頃、店内が久しぶりに改装していたが、その猥雑ぶりは相変わらず。
中年男性と20歳ぐらいのコのカップル、見つめあう2丁目系の男2人組、白人男性とギャル、お好み焼きの具がそのまんま客になったほどの喧騒がここにはある。
そっけないお好み焼きが食べられる店なので、決して目新しいわけでもないし、お洒落な居心地もあるわけでもない。
だけどひとたび口にしてみれば、懐かしい味が広がる。それがこの店の醍醐味で、「大阪屋」の持つテイストなのだろう。
写真はオニオンスライスとキムチ。
定番中の定番。シャキシャキしたオニオンとトマトスライスに和風の薄いドレッシング、そのうえに鰹節が混ぜてある。
玉葱の少しほろ苦い部分と甘い冷やしトマトがマッチング。おつまみにもちょうどいい。
キムチは思ったより辛くなく、むしろ酸味が効いている。サッパリ系のキムチ。ごちゃごちゃしていないシンプルな辛さのキムチである。
こちらはゲソ焼き。
油を引いた鉄板にゲソを載せて、塩と胡椒を軽く振って、すこし押さえる感じで焼き上げる。
イカの水分がジュッジュと飛び散るのもお構いなし。
焼きあがる寸前に醤油を垂らし、バターを投入。仕上げにオロシ生姜をまぶして出来上がり。
バターと生姜の風味と醤油の焦げた香ばしい薫り。イカのじゃれるような丸くなったゲソをみていると突然と海水浴がしたくなる。バターが飛ばないうちにさっとアツアツを食べよう。
写真は豚玉。
お好み焼きを焼く時のコツはなんといっても「いじくらない」だ。
「いじくらない」に始まり「いじくらない」に終わるといっても過言じゃない。
ごくたまにヒヨッ子がひっくり返した後、鉄板返しでパンッパンッとかって叩いちゃっているのがあるけれど、ありゃダメだ。
お好み焼きを知らなすぎる。お好み焼きは「いじるな」。これがルールだ。
裏面がキツネ色になったのを確認して、一気にひっくり返す。ジュゥ。
小麦粉の香ばしい焦げと桜えびや紅生姜の香りが熱気とまじって昇華する。じっと我慢。
さらに待つこと3分。表面もキツネ色に焼けたのを確認し、もう一度ひっくり返す。ジュゥ。
特製のトロトロソースをたっぷり塗り、青海苔、かつお節を全体に振り掛ける。
ソースの匂いって食欲そそるよね。熱々のお好み焼きをてこで4等分に分ける。
お粉と山芋のサクサク感、桜えび、紅生姜、キャベツがそれぞれ個性的に主役を演じる。
そこにかつお節と青海苔の海系フリカケが乱入。
カラメル色のソースとマヨネーズが渦巻きを描いて混ざる。
こちらも熱々をぜひ。
最後、焼そば。
太い麺の焼そばは、鉄板に気持ち程度に油を引いて、まず豚肉のコマ切れから炒める。
肉に火が通るか通らないかの焼き加減で、塩と胡椒をまぶす。そして野菜。
素早く野菜を炒めて、キャベツの先端がしんなりしたかなどうかなってあたりで、麺を投入。
麺は太いけど、鉄板返しで切らないように十分注意するのが大事だ。
お好み焼用のソースとサラサラのソースをブレンドして味付け。
ブレンドのソースが麺に絡まる。芯のあるキャベツがボリボリ音を立てる。
大阪屋
新宿区歌舞伎町1-17-12 浅川ビルB1F
年中無休 24時間営業
豚玉 --\924
牛玉 --\997
イカ玉 --\892
ソバもんじゃ --\777
イカげそ(鉄板焼) --\819
オニオンスライス --\577
キムチ --\609
四谷駅から徒歩5分。三栄町の裏路地にある「広島つけ麺 ふちうま」、「仏蘭西亭」の手前の路地を入って20メートルほど歩いた左側にある。
四谷三丁目側から行く場合は、三栄通りのファミリーマート、牛タン「忍」、「仏蘭西亭」と目印に辿ると分かり易い。
空き地のすぐ横にある、往来の全くない立地だというのにクチコミ情報が評判を呼び、平日は常に行列を成している。
店で出されるのは店名の通り広島のつけ麺のみ。噂だと都内唯一の「広島 つけ麺」店だとか。
写真は1玉。
麺は1玉が160gで、0.5玉から調整が可能。
水分のない「低加水麺」で中太。
ずばずばと音を立てて啜るよりはモフっと口に運ぶといった〝聞かん坊〟のような荒々しい腰の麺。噛むとプチって音が鳴るほど。
独特な味わいでかなりの異色麺だというのに、下のスープとマッチングする。
スープ。辛さレベル3。
真っ赤なスープはトマトをベースにしている。
トマトだといっても決して洋風なぼんやりした味ではなく、唐辛子も効いていて、それでいてさっぱりしているんだけど、コクまろやかな味わい。
「和」に仕上がっていて美味しい。白ゴマのトッピングがアクセントとなる。
麺の登場前にこのスープが出されるので、箸でコリコリとかき混ぜて待つこととなる。
具材は茹でたキャベツ、細切りキュウリ、白髪ねぎ、チャーシュー3枚、半熟煮玉子半分。
キャベツは季節と産地によっていろいろな処からチョイスしているとか。
甘めの茹でキャベツが香ばしい。野菜の旨みが存分に出ている。
そして、このチューシュー。
分厚く柔らかいジューシーなチャーシューは、肉汁たっぷりで噛めば噛むほど味が広がる。
チャーシューに白髪ねぎを載せてキャベツも載せて麺を挟んでスープに浸けてたぐる。これが究極にバリ旨い。
締めにご飯を入れて雑炊にすることもできる。こちらも好評。
広島つけ麺 ぶちうま
東京都新宿区三栄町7番地5号 松尾ビル1階
12:00~18:00
休日:木曜・日曜・祝日
0.5玉 --\900
1玉 --\950
1.5玉 --\1000
2玉 --\1050
(1玉は160g 0.5玉毎に2玉まで増量可能)
辛さ1~40まで。
しめ(飯) --\100
しめ普 --\150
しめ大 --\200
チャーシュー2枚 --\100
半熟味玉1/2個 --\50
キャベツ --\50
チャーシュー丼 --\350
小倉駅南口から紺屋町を抜けて繁華街が落ち着いた古船場にあるのがこの「万龍」である。
「万龍」と書いて「ばんりゅう」と読む。
豚骨ラーメンが本場であるこの街のラーメンにしては豚骨度合いがそれほど濃くないラーメンではあるが、19時の営業からお客さんが途絶えることがなく絶えずカウンターの席を埋めている。
写真はラーメン普通盛り。
あっさりとしたラーメンを目指しているだけあって親しみやすいスープだ。
スープを作る段階で、最初にとれるダシから不純物を除いて、それから仕上げるというのだから、臭みのない味に頷ける。
カウンターにあるニンニクチップは特製。オイルに浸けてあるカリカリとしたニンニクチップが豚骨スープによく合う。
柔らかいスープなのに不思議とコクがあるのが人気の秘密。麺は普通で柔らかくすぎることもない。
こちらは唐揚。
「万龍」の唐揚は旨い。本当に美味しすぎて深夜にフラッとラーメンを食べに行くと売り切れていることなんてよくある。人気の品だ。
レモンを絞って食べる唐揚はとってもジューシーで、味付けがしっかりしているから何も附けなくてもイケる。
分厚い鳥肉に染み込むタレと一緒にじっくりと揚がる唐揚。
カリカリに揚がった皮から染み出る肉汁をホフホフ言いつつ食べよう。
ラーメンとセットで食べると一人じゃ食べられないから(なにせ大きい唐揚が8個ぐらい乗っているんだもの)、二人以上で頼むのがお勧め。
一人で食べきれなくても持ち帰ることもできるので安心。
ちなみに去年まで壁一覧に貼ってあった名物の名刺(来客がどんどん貼っていく。よく見ると全国さまざまなひとが訪れているのが分かって面白かった)が無くなって綺麗さっぱりになっていた。
万龍
福岡県北九州市小倉北区古船場町7-8 丸源29ビル1F
19:00~28:00
ラーメン --\550
唐揚 --\750
東西線の門前仲町駅2番出口を出るとすぐに見えるビル丸ごとが酒場である「魚三酒場」。
固い丸椅子で囲まれた雑居な酒場は座れば座るほどお尻が痛くなるというのに連日賑わっている。
それというのも、廉価な値段で新鮮な魚をたっぷり毎日提供する下町の台所、呑み助のオアシスとして有名だからだ。
店のポリシーは「たくさん仕入れてたくさん売ること、お客さんにたくさん食べてもらうこと」だという。
ざっと見渡しただけじゃ、どれぐらいの料理があるのかわからない。
でもとにかくあるのは魚・さかな・サカナ。
平均して300円ぐらいの値段。安い方は「あら煮」の50円、高くて「生ウニ」で、1500円程度。季節や天候や仕入れによってメニューが変わるという。
写真は鯵のたたき。
もともとは漁師料理で舟の上でしか食べられなかったというのは、たしか開高健のエッセイに綴ってある。鯵のちょっと血の混じった肉と生姜と葱を醤油に附けて口に運ぶ。土臭い葱と新鮮な鯵のコラボレーション。280円。
平目の刺身。380円。
プリプリの白身が最高。
ちょっとしか出てこないものとばかり思っていたところ、お皿にてんこ盛りで現れたので驚かされた。
ワサビを乗せて醤油で。淡白だけれどコクがある。平目って不思議。
秋といえば秋刀魚。380円
焼き魚は時間をかけて丁寧に焼くというから、それだけ焼きがしっかりとして文句ない。
焦げた皮からプシューと脂が滲み出て、香ばしい薫りがする。
かぼすが添えてあるので絞って大根おろしで。
まろやか。芳醇。
脂の乗った秋刀魚は旨い。
お酒。180円。
なみなみと注がれたお酒は下の小皿まで溢れている。小皿のお酒を先に飲むのが正しいとか。
升の香りのするお酒。喉越しがすっきりとしている。だいたいみんなこれを呑んでいた。
あら煮。50円。
50円・・・。去年、おでん屋で見た「こんぶ30円」にもたまげたけれど、こちらも驚きが隠せない。
だって50円以上の美味しさがあるし、あら煮は実は神経を配らないと美味しくないとされる料理であるわけだから。シンプルなんだけれど手が込んでいるだよね。煮込んである身は締まっていて味が染みている。生酒に合う。
締めは〆鯖。580円。
身を悶えるほど酢が効いている〆鯖。脂の乗った〆鯖であればあるほど美味しい。銀色に輝く鯖が眩しくて、赤身ののこった身が中から覗いている。たっぷりとわさびと醤油をつけて戴く。
威勢のよい売り子のお姉さん(といってもお婆ちゃんなのだが)とのやり取りもひとつの名物。
無愛想で文句を言われることがあるかもしれないけれど、それはそれとして下町の酒場の風景ぐらいに受け止めたほうがいい。
そういうのが苦手な人にはあまり向いていない。少々、心臓に毛が生えているお客さんであるのが望ましい。
特に女性だけで行くとアタリが強いとか。カップルで女性を連れているひとも槍玉にされるらしい。そういうのが好きっていうマゾっ毛があるのなら別だけど。
魚三酒場
東京都江東区富岡1-5-4
16:00~22:00
日祝定休
あら煮 --\50
さんま焼き --\380
ぶり焼き --\380
めごちの天ぷら --\350
お酒 --\180
(メニューは何十種類とある。それだけでも壮観な景色)
JR高田馬場駅早稲田口を早稲田通りに歩いて数分にあるのが、この「龍高飯店 担々麺房」。
テレビの「どっちの料理ショー」や雑誌でも紹介されている坦々麺の有名な店。
暑い盛りに食べるピリっと辛いゴマだれの効いた夏季限定メニューの「冷やし坦々麺」が人気高い。
ピリ辛の挽肉がたっぷり乗って冷やしトマトや冷菜がふんだんに盛りこまれている。
白葱がシャックリとした歯ごたえ。麺はモチモチした麺。
もう少し冷やしてあれば文句のないところであるのが残念。
少々ぬるかった。いろんなクチコミ情報を見ると「麺を固めで」なんて注文している人もいるので、少し柔らかい麺に嫌いのある人は頼んだ際に言ったほうがいいかも。
スープはゴマダレペーストで飲みやすい。
ラー油がスープに溶け込んでいるのが中華料理屋らしいところだ。
そんなに激辛でもないので辛いのを期待すると少々拍子抜け、辛いのが苦手なら「コレなら食べられるよ、ボク!」となることだろう。
冷やし坦々麺以外はメニューがたくさんあって坦々麺だけでも6種類ある。辛さも3パターンあるので合計で18種類もある。こちらが正統であるので是非こちらも。
写真は鉄鍋棒餃子。
春巻きのような形をした餃子は揚げ餃子にちかいけれど胃にもたれなくて、しつこくない。
ボリュームと本場ならではの味を謳った〝小さな中華街〟と呼ばれているほどだから、餃子1本のボリュームがたっぷりとしている。
自家製(たぶん)のラー油をたっぷりとつけて頬張るとおもわず白いご飯が食べたくなる。
龍高飯店 担々麺房
新宿区高田馬場4-13-10
11:30~24:00 (L.O.23:30)
担々麺 --\750(大盛り2玉 --\800)
角煮担々麺 --\750(大盛り2玉 --\800)
玉子担々麺 --\750(大盛り2玉 --\800)
もやし担々麺 --\750(大盛り2玉 --\800)
黒胡麻担々麺 --\750(大盛り2玉 --\800)
揚豆腐担々麺 --\750(大盛り2玉 --\800)
(各坦々麺は小辛、普通辛、大辛からチョイス)
冷やし担々麺 --\750
鉄鍋棒餃子(3本)--\300(5本 --\500)
─HP─
伊豆高原駅のやまもプラザの1階にある「いちやま」。
店内に入ると、スピーカーから演歌が流れているカウンターで主人がテキパキと仕事をこなしている。
写真は鯵刺身定食。
懐かしい黄金色のすり金を使って、生ワサビをコシコシとおろす。
鯵専門店と名高いだけに、地元の鯵を惜しみなく提供している。
たっぷりと捌かれた鯵はプリプリとほんのり海の香りがして、何杯でもご飯が食べられる。
たっぷりとおろしたワサビを乗っけて召し上がれ。
他にも釜揚げシラス丼や八丈島で獲れた鯵の料理など、定食以外も豊富。
いちやま
静岡県伊東市八幡野1183伊豆高原駅 やまもプラザ内
釜あげシラス丼 --\1050
サバ塩焼膳 --\1050
鯵丼 --\1260
全室オーシャンビューの落ち着いたモダンレトロを基調とした、明治21年からの老舗の宿である「河津海苑」に隣接の食事処。
料理長が自ら仕入れる伊豆で獲れる新鮮な地元の魚介類が食べられる店である。
食事後は「河津海苑」の温泉に入浴することも可能。
写真はイカの塩辛。
少し濃い目の塩辛がイカのワタのコクとマッチングしている。ワタ次第で塩辛は出来が左右されると個人的に思う。ここのはじつにいい塩梅である。歯ごたえがコリコリで美味しい。
修善寺方面にある小さな蔵元「万大醸造」の辛口「あらばしり」と一緒に。
「あらばしり」は700円(4合 720ml)と廉価なのでお土産にも受けあい。
キュっと冷やして辛口を愉しもう。
こちらは金目鯛の煮付け。
夏の終わりから旬の魚。脂の乗った金目鯛に甘辛いたれで煮付けてあり、生姜といっしょに食べる。
こってりとした伊豆の地魚ならではの味。
ホクホクと肉厚の身をほぐして食べる。絶品。
写真は海苑定食。
お刺身と天ぷらの定食。茶碗蒸や小鉢などなど。
巨大な蟹の足の入った味噌汁は、それだけでダシがたっぷりと出ている。
散らした葱が海の風味と見事に調和。
鯵の天ぷらはそっと箸で持たないと崩れちゃうぐらい柔らかい。太陽を浴びたような眩しい衣から覗く白身から湯気が出る。
これはお刺身。
金目鯛は煮付けが一番だと思うけど、刺身も捨てがたい。
プリっとした歯ざわりの刺身。煮付けとも違うサッパリとした味でもあるから不思議だ。
地元の季節の魚を丁寧に料理する店として貴重なところである。
立ち寄りでフラっと入って温泉を愉しもう。
膳処海苑
静岡県賀茂郡河津町浜358
11:00~15:00、17:00~20:00(各LO10分前)
水曜定休
あわびおどり焼き定食 --\3780
海苑定食 --\2415
さしみ定食 --\2415
塩辛 --\420
ばい貝 --\630
金目鯛の煮付け --\1260
あらばしり(冷酒) --\735
新橋駅の銀座口から徒歩5分ほどにある「黄金乃舌」。
クリントン前大統領が訪れたり、財界の著名人がよく通う店。
ストイックなあまりに全国から狂想的に旨い魚の食材を集めて、最高の料理人が手がけた料理の数々は値段が高くあるにもかかわらず、常に人気を保っている。
店に入ると、まず通されるのが築地市場のような厨房。
氷に乗せられた岩牡蠣やカンパチ、その日の新鮮な魚を確認することができる。
1階がカウンター。2階は仕切りのある個室。店の名前に合わせるようにゴージャスな金ぴかの内装。
空間デザインは橋本夕紀夫(HP)。
で、写真は今晩の大蔵省ケンカネコ氏。
今宵は、とあることから大金を手にした彼の奢り。
うふふ、ごっちですっ。
さてまずはお通しと能登産の岩牡蠣(時価。この日は1個1500円)。
自家製のおろしポン酢を垂らし、レモンをキュット絞り食べる。旨い。海の滋養がたっぷりと含まれた岩牡蠣・・・。もうとろけちゃいそうだ。
これはウニ(2000円)。今日は殻つきウニはもう終了。
刷毛でタレをつけて…とのことだったけど、そんなの漬けてられませんっ。そのまま食べる。白目になってしまう。口の中でとろける旨さ。昇天。ため息がこぼれる。生うに最強。
こちらは噂の原口さんが作るという明太子(1200円)。
国産の特上のタラコを独自の極上の天然昆布出汁で漬け込んでいる。
それを惜しみなく炙ったのがこれ。
麦とは思えない焼酎、マヤンの呟きに合う。
ピリッとした辛味が味わい深い。白いご飯に乗っけて食べたくなるのをぐっと我慢。
こんな大きくて肉厚の蛤、見たことなーいと黄色い嬌声をあげてしまった。季節のお椀。
黄金コース(1万円)の始まり。
続いてお刺身。平目などを食べる。
鹿児島産の醤油でどうぞとの料理人の言葉ではあったが、甘い醤油なのでこちらでと辛口で食べる。プリプリしていて目が細くなる。
これはカンパチの焼き物。
脂がしっかりと乗っている身をほぐして特製おろし醤油に漬けて食べる。言
葉にならない。もう美味しさのあまり無言。これはまじでヤバイ旨さ。
焼き物の続きはフォアグラの茶碗蒸。
フォアグラの上に乗っているのがトリフュ。
茶碗蒸のなかには穴子の煮たのが入っている。
フォアグラのこってりとした旨みが茶碗蒸と相性がいい。
穴子がホクホクとしている。これも最強の絶品。
リーフサラダ。
土栽培ではなく水栽培で育てた野菜の数々。
土に養分を取られないから野菜の美味しさを存分に引き出せる、らしい。
苦味のあるリーフが箸やすめでナイス。
アワビステーキ。
なんていえばいいのかな、天国です。こりこりぷりぷりのアワビにソースがかかった一品。
セレブってこんなの食べているのかね。贅沢すぎるよ。噛めば噛むほどもうジューシーで海の香りが素晴らしくて・・・。付け合わせのサツマイモも甘みが清々しい。皮ごとペロリ。
そして握り寿司。
もうこのあたりになるとお腹もいっぱいなんだけど、絶品なのでどんどん食べられる。
専用の醤油でパクリ。トロ最高。
甘味はさっぱりとスイカと桃のコンポート。
桃の甘さが控えめだけどねっとりとして抜群。
他にも和牛の串焼きと焼き岩牡蠣なども・・・。
岩牡蠣の焼き物とかって、もう噛んだ瞬間溶けちゃうよ。どうしてくれよう。バンザーイしそうだ。
もう感嘆ばかりの食事だね。これ。
会計は4万6千円。ごちそうさまです、マジで。
吟味 黄金乃舌
港区新橋1-5-6 銀座第三誠和ビル1・2F
月~土17:00~27:00
日・祝17:00~24:00
黄金コース --\10000
(先付、季節のお椀、本日の焼き物、フォアグラの茶碗蒸、リーフサラダ、アワビステーキ、握り、甘味)
活け伊勢海老の炭火ウニソース焼き --\7000
烏賊飯(いかめし)--\4800
能登産岩牡蠣 --\時価(\1500ほど)
明太子炙 --\1200
エビス生ビール --\900
甲州シュールリー --\900
マヤンの呟き --\700
メニューは、普通(\600)か大盛(\650)のどちらかのみ。
ライス(\150)、玉子(\50)もある。アルコールは無し。
久留米ラーメンと名をうっているように、九州らしい無骨な雰囲気の店だ。
豚骨9割に対して鶏ガラ1割のスープは、臭みがなくさっぱりとしている。
スープの濃度は少々薄めかもしれないけれど、なかなかである。
にんにくの効いた白濁のスープはとろりとしていて香りもあるので在京の九州人にもお勧め。
蓮華で何度も啜ってしまうような病み付き加減。
とんこつの〝濃度〟だけをつい追ってしまいがちなご時世に、この素朴な豚骨スープは貴重だ。
丁寧にアクを取らないとダメになってしまうと言うのも頷ける。
具は、もやしと紅生姜ときくらげに青葱が散らしてある。茹でたチャーシューがシンプル。ここは麺が柔らかすぎる感があるので、ヤワ麺が嫌いな人は必ず「麺を固めに」とお願いするのを忘れずに。
南風
新宿区富久町5-10
17:00~翌03:00
日祝定休
ラーメン(普通)--\600
ラーメン(大盛)--\650
玉子 --\50
ライス --\150
長野県の上山田温泉街の一角にある蕎麦処「まいづる」。
昼もさながら、深夜まで営業しているので、信州ロック座や眩しく輝いているネオンのハシゴをして遅くに帰り、一杯蕎麦でも食べていくかなんていう、お腹が空いたときでも安心の店である。
この地域は醜法の煽りもあり千曲市と命名されてこそいるが、もともとは「更科日記」に由来があるほどのゆかりの土地で、まさに「更科そば」で有名な土地だ。
当然の如く蕎麦が旨い。
そして上山田の善光寺とくれば、唐辛子が超辛いということで有名でもある。
まいづるの店内はどちらかといえば気がきいているというよりは雑然とした立ち食い蕎麦屋の如くの風情、それでも連日と深夜族から地元の連中で活気さかんなのは、その丁寧な作りからである。
化学調味料を一切使わずに仕上げた蕎麦つゆは、ほんのりと甘みもある味で、まるでしつこくない。善光寺の唐辛子をパッパと振り掛けて食べると鮮烈な辛みが口の中に広がる。手もみの蕎麦も香り高く歯ごたえが素晴らしい。
まいづる
長野県千曲市上山田温泉1丁目70-8
11:30~13:30
22:30~翌01:30
新宿御苑と新宿三丁目の真ん中あたりのサンフランシスコレインボー的な趣味の方々の聖地、新宿二丁目近くにあるタイ屋台レストラン。
赤青黄色の原色のネオンがチカチカしていてタイの国旗と国王の写真が並んでいるカウンターからは日夜タイポップスが鳴り響いている。
テーブルは、バンコックだったらカオサンやヤワラーにありそうなテーブル席の雰囲気で、周りからは新宿で働いている在日タイ人の声が聞こえてくる。
新宿御苑の森が近いせいなのか、鬱蒼とした静けさに聞こえてくるタイポップスとパクチーやナンプラーの香りは、なんだか本当にランブトリーSt.に迷い込んだんじゃないかしらと錯覚するぐらいだ。ダミ声のゲイ男性の会話もご愛嬌。
レストランと言うよりは一杯引っ掛ける程度の店ではあるが、味もそこそこである。
イサーン(タイ東北部)地方出身のコックが作るソムタムには、たしかに敵わないかもしれない。でもね、ここのソムタムだってなかなかだよ。
青パパイヤとピーナッツや干し海老ですりつぶした辛いような酸っぱいようなこの料理はもはや定番。ソムタムにはカオニャオ(もち米)を付けて手で食べよう。
トート・マンプラーが手作りで美味しい。
トートはタイ語で〝揚げる〟、マンは〝芋〟、プラーは〝魚〟、つまりさつま揚げだ。手作りのさつま揚げで、ホクホクしていて魚のすり身が新鮮、下味がしっかりとつけられて絶妙の塩加減なので、暑い夏のビールと是非。
タイの生春巻き。ポピア ソット。
ボビアは〝春巻き〟だっけな(うろ覚え)、ソットは〝火が通ってない〟って意味。
生春巻きはベトナムが有名で、やはりあちらが本場。タイの生春巻きは手元にあるチリソースをたっぷりつけて食べよう。甘辛いチリがとってもヤムヤム。
こちらは野菜炒め。パッパック ルワム。
パッは〝炒める〟、パックは〝野菜〟、ルワムは〝混ぜる〟とか〝ごっちゃにする〟という意味。たくさん種類の野菜炒め。ナンプラーを垂らして、カオニャオを野菜炒めのスープに付けて食べる。野菜のシャキっとした歯ごたえが最高。いかにも東南アジアの味付けで、濃い目。決して辛くはないし、香辛料がきついわけでもない。しょっぱがらい味付けがナイス。
締めは、雑炊。カオトム ムア。
カオは〝米〟、トムが〝ゆでる、煮る〟、ムアは〝豚肉〟。豚肉入りのお粥。もっとトロトロに煮込んだ雑炊(いわゆるお粥)はタイ語でジョークという。
ここのレストランではカオトムクンがメニューにしかなかったけど、海老入り雑炊なんて食べれたものじゃないから(アレルギー出るし)、豚肉をチョイス。
パクチーがたっぷり入っていて、卵が落としてある雑炊に豚肉のつみれがたっぷり。もう最高である。
ナンプラーを少し垂らして、ズズっと口に運ぶ。
生姜や香菜がふくよかな香りをつけて鼻腔をくすぐるし、ダシの取れているスープなんて、もう、嗚呼。
この独特の雑炊は世界一なんじゃないだろうか。日本の雑炊より大好きである。
塩加減だって抜群で奥深い旨さだし、時にはにんにくチップが入っていて食欲を増進するし、タイ米は雑炊にぴったりでもたれないし、豚肉のつみれは臭みが全然なく、味が染み込んでいるんだもの。
個人的に日本のタイレストランで見かけることの無いカオトムなだけに一口匙ですすっただけで、もうタイの景色がフラッシュバック。
ちなみにトムヤムクンはトムが〝ゆでる〟、ヤムが〝酸っぱい〟、クンが〝海老〟だから海老のすっぱ辛いスープって意味。タイだとトムヤムは別に海老に限った料理ではなくて、鶏でもイカでもトムヤムにするのが普通。料理の終盤に差し掛かると、「これ、トムヤムにして」とテーブルにある余った食べ物をスープにする。
海老が嫌いな人は「マイサイクン」(海老抜き)と言おう。どこでも通じる。
リムタァーン
新宿区新宿3丁目1-32 新宿ビル3号館1階
17:00~翌2:00
木曜定休
生春巻 --\800
ソムタム --\850
軟骨唐揚 --\850
タイさつま揚げ --\850
野菜炒め --\800
シンハビア --\600
チャンビア --\600
魚系醤油ラーメンの殿堂、目黒「かづ屋」。
茶色の透き通ったスープは、サッパリしていて、全体に霧のように散る煮干しの風味が旨い。
魚臭さがないだけではなく、鶏でスープも取っているので、味に深みがあり、飽きがこない。
昔からある東京ラーメンのような味だ。
麺は手もみ系の縮れ麺。器に盛られている麺のボリュームが凄い量。
他店の1.5玉はあるんじゃないだろうか。縮れた麺がスープに絡まるのでズバズバと食べられる。
具材の焼き豚は最高。しっかりと脂が落してある焼き豚は歯ごたえがプリプリしていて美味しい。
有名なラーメン屋にあるような、ただ柔らかくて脂が多いだけの焼き豚ではなく、中華の焼き豚なので、しつこくない。焼き具合も完璧だ。
テーブルに置いてある揚げネギをトッピングで掛けて食べよう。ネギの香ばしさがスープをさらに引き立てる。
写真はセロリの漬物。
紹興酒と醤油で漬け込んだ漬物。セロリのシャキシャキした歯ごたえと青臭さが心憎い。おつまみにピッタシ。
支那ソバ かづ屋
東京都目黒区下目黒3-6-1
11:00~24:00、不定休
支那ソバ --\600
つけそば --\700
ワンタンメン --\850
餃子 --\500
青梅駅から徒歩2分程度、駅前のロータリー右にあるセブンイレブンの先。
ひっそりとした佇まいが、昭和のノスタルジックな風情の街であり、東京の山が見渡せる青梅に良く似合う。
創作カレーと珈琲が評判で、カレーは全てその日限りの限定。
「挽肉と半熟卵のカレー」は人気もあるので、すぐに売り切れちゃうとか。
写真は「鶏肉カレー」(辛口限定)
辛口というだけあって、ハっとした辛さが一気に口の中に広がる。
でもスパイスのせいか、その辛さの中にも清涼感があるような引きの良い辛さで、スゥーっと爽やかになるから不思議だ。
特に8月くらいの夏バテシーズンで食欲がなくてゲンナリしている時に食べたい。カレーのルーはあっさりとしたスープカレーに近い感じで、軽めに炊き上げられたご飯とピッタシ。
こちらは「チーズと茸のカレー」。
直火でルーをぐつぐつと煮込んだ「チーズと茸のカレー」は、チーズが絶妙のトロトロ感で、スープに溶けて芳烈なスパイスとチーズが実にかぐわしい。
アツアツのルーは、ご飯なしでも旨い。茸のシャクっとした食感が新鮮。
伽哩と喫茶 うい
東京都青梅市青梅131
10:30~20:00
(月火木は ~18:00)
水曜定休
豚肉のカレー --\880
鶏肉のカレー --\880
挽肉と半熟卵のカレー --\780
チーズと茸のカレー --\950
うい珈琲(有機栽培)--\500
青山のYellowの帰り、六本木isn'tやGASPANICの帰りのソウルフードといえば、ここ。
クラブ帰りで呑み過ぎでおまけに煙草臭いし、喉はガラガラだし腹は減っているけれど、胃が受け付けてくれない。かおたんラーメンはそういう時に食べるラーメンである。良くも悪くもシラフで食べるものじゃないんだ。
店はずばり掘っ建て小屋。六本木ヒルズが近いというのに時代錯誤の建物。バラックってやつだ。それでも全盛期は並ばないと食べれなかった。
写真はラーメン650円。
ラーメンは台湾風の醤油味。鶏のダシと中華系の香菜などでじっくりと煮込まれた茶色く透き通ったスープは優しい風味。呑んだ後だからこそ旨い。ここの名物である揚げタマネギがほんのり苦くてアクセントとしてバッチシ。麺はコシのある少し固めの麺。叉焼も脂が落されていてもたれない。うっすらと醤油で漬け込まれた叉焼は正統的な中華の味だ。
醤油味のスープが淡白であるからこそしっかりと絡み付くように計算されているのか。
六本木で呑んで踊って遊んだ帰りにはぜひ。
かおたんラーメン
東京都港区南青山2-34-30
12:00~翌4:45
塩ラーメン--\650
ラーメン--\650
みそラーメン--\850
ギョーザ--\550
「Vento」、イタリア語で『風』という意味のこのレストラン、カジュアルだけれどもきちんとアメリカンイタリアンを提供している。
アメリカンピッツアはイタリアンピッツアと比べると生地が厚めだから選り好みもあるだろうけれど、ここの生地は全体が分厚いわけじゃないからオッケーだ。
ニューヨークスタイルの店内は、空港までのアクセスと隣接しているプリンスホテルがあるせいか外国人客も多い。
明るいけれど雑じゃない、エレガントだけれど鼻につかない、そんな清々とした店内は照明も適度で白を基調とした装飾で居心地がいい。ワインもそれなりに揃っている。
さて味のほうはというと悪くない。前菜もしっかりとした料理が用意されているし、手ごろなボリュームもあるので良い。
昨今の日本流の前菜は、皿の20分の1ぐらいしか乗っていないんじゃないかこれってのが目立つけれど、ここはさすがにニューヨークスタイル。前菜もビシッと提供しているのである。
写真はモッツァレラとトマトのサラダ。前菜といえばこれ。チーズがふわっとしていて、しかもコクがあってトマトとバッチシ。チーズでかい。粗挽き胡椒と岩塩を少し添えて。
で、続いて炙りマグロのカルパッチョ。焦がすことでマグロの素材を最大に引き出したカルパッチョは白ワインと一緒に。葱の風味もアクセントとして良い。
こちらはもち豚とほうれん草のパスタ。ゆず胡椒が絡めてある。
アルデンテのパスタはするすると胃の中に収まる。もち豚とほうれん草の組み合わせが旨い。クセのないミニマムを聴いているようなパスタだ。バターと絡めたゆず胡椒も特筆である。
日本ではあまりメジャーではないテーブルチェックがこの店のスタイル。
日本にはチップの習慣はないのでTipsする必要は1ミリもないけれど、ウェイターウエイトレスのサーブが気持ちよい店でもあるので、それはそれでいいかもしれない。
キャッシャーで払うのよりはテーブルチェックの方が僕は好きだ。もっとこういう店増えないかな。
Vento
東京都港区高輪4-10-18
11:00~23:30(L.O.22:30)
土日祝11:00~23:00(L.O.22:00)
チョップドサラダ--\1200
炙りマグロのカルパッチョ--\1300
彩り野菜のペペロンチーノ--\1200
玄米と野菜のリゾット--\1200
四谷駅から10分も歩かないぐらいの裏通りに入ったところにあるのが、この宮川本店の四谷店である。
宮川本店の鰻の捌き方を正統的に踏襲している。程よい蒸らし具合に、脂っぽくない鰻がご飯に乗る。
ご飯は少し柔らかめであるかもしれないが、タレとの調和がしっかりしているので苦にならない。
宮川の鰻の最大の特徴が紀州備長炭でじっくり焼き上げた鰻にあることだろう。
宮川本店 四谷店
東京都新宿区四谷2-11-9 報友ビル1F
平日:
11:30~14:00、17:00~20:00
ランチタイム 11:30~14:00
日祝:
11:30~14:00、16:30~19:45
ランチタイム 11:30~14:00
一時の讃岐うどんブーム前もブーム後も変わらず正統的な讃岐うどんを東京都下で提供しつづける貴重な店の一つ。
〝うどん通〟は必ずチェックしたい店である。
香川県に思い入れのある人なら必ず「おぉ、本場とおんなじだよ」と唸ること間違いなし。
カウンター9席だけの店なので風情としては、立ち食いに近いのかもしれない。
天ぷらやおにぎり、いなり寿司が一段高いテーブルに並び、お冷はセルフ。
決してお洒落な間口でもない。女性客だったら少し入店するのに勇気が必要だろう、そんな店だ。
旨いのか、さもなくば安いのか、一抹の不安と期待が入り混じる店。
そして、その両方の資質を兼ね備えた店なのだ知ることとなるのがここ「さぬきのうどんや」。
うどん、天ぷら、いなり、おにぎり、かやくご飯とすべて自家製。
平日のお昼時の行列も頷ける。
夫婦2人で賄うここの店で特に拘っているのは〝ぶっかけ〟だという。
白い宝石のような艶やかなコシのある麺。
深みのある旨みが封じ込まれた〝かえし〟のきいた出汁は格別である。
決して主張しない、でもキャスティングには外せない、どことなく往年の渋い俳優のようである。
冷水でキュッと締めたうどんと相性ばっちし。
いろんな店で〝ぶっかけ〟をメニューに加えているけれど、ここの〝ぶっかけ〟を食べなきゃ何もいえないぜ。
冷やし納豆ぶっかけは、これでもかと納豆が乗っかっていて、その下に締まりに締まったまるでにゅるにゅるした動物のようなコシのある麺が覗いている。
そして自家製の出汁。味が薄いと感じたら少しテーブルにある醤油を垂らすのもいいかも。
納豆のネバネバと踊るような麺で一気にため息がでる一品だ。
おろしぶっかけも定番だ。
鼻の奥までツンとくる削られた生姜と大根。そしてまた冷えた麺に出汁。
これもまたツルツルと麺が踊るような逃げ出すような勢いで口の中に広がる。
もう冷房なんて要らない。
冷やしぶっかけと天ぷらとかやくご飯が夏定番のコース。夏バテ?そんなの一気に解消だって。
食べ終わったら、ご主人に器を返すのもお忘れなく。
さぬきのうどんや
東京都新宿区住吉町6-12
11:30~14:00、16:30~19:00(麺が無くなり次第閉店)
土日、定休
じゃこ天うどん--\500
冷やしおろし--\450
冷やし納豆--\500
いなり寿司--\80
おにぎり--\100
天ぷら--\80~100
フランス語で『甘い生活』という意味するこの「ラ・ヴィ・ドゥース」、2001年4月に開店をしてから、実は密かにケーキ通の間では熱い視線を注がれている店のひとつである。
繁華街から離れている曙橋にあるにも関わらす連日ケーキを買っていく人の列は絶えることもなく賑わいをみせ、朝の仕込み時間から店内からは甘いバターとクリームのとろとろした芳醇な香りが漂っていて、なんだか昔に読んだ童話の一場面の光景のようにも感じる暖かい雰囲気の店だ。
ここのパテェシエ堀江氏は、「葉山フランス茶屋」、「銀座和光ケーキショップルショワ」で経験を積み、やがて渡欧、ルクセンブルグ、フランス、ベルギー で腕を磨き、そして「ラ・ヴィ・ドゥース」をオープンした。フランスのあまりにも有名なシャルル・プルースト」のグランプリや、数多くの受賞をとっている。水曜日だけ限定で日本橋高島屋にも出店の人気振りである。
さて、ここのお勧めのケーキをひとつだけ挙げてくださいと詰められると一番悩んでしまうところだ。どのケーキも本当に遜色なく完璧だからだ。
季節のフルーツをふんだんに取り入れたタルト、甘酸っぱいイチゴが載ったサクサク感の溢れるフレジェ、チョコレートタルトの王様バッカス─このチョコレートとオレンジの組み合わせとさっくりしたサブレが、嗚呼─、甘酸っぱいジャムと木苺のムースのデリス、そして新作の数々、焼き菓子の数々。まさにキリがない。
5-6月に新作として登場していた「いちじくのタルト」は、もう完璧だった。しつこくない甘さのタルトにたっぷりと乗ったいちじくの野生味深い甘酸っぱさ。ほんの少しのリキュールには、このパテェシエの残酷さすら感じ取れる。この美味しさは差別的だ。珈琲よりはアールグレイの紅茶が似合う作品。
うっかりしていると夕刻には売り切れてしまうフレジェも申し分ない。苺が頂点に納まっているそれは、ちいさな遊園地のようであり見ていて飽きない。黄色の眩しいスポンジと生クリーム、類型的といえばそれまでの組み合わせをここまで仕上げるのはまさに堀江マジックだ。これも必ず立ち寄ったら試して欲しい一品である。
禁煙だが、店内で珈琲を頼んだりとケーキを食べることもできる。大きなガラス越しに眺める靖国通りはどこか外国のようでもある。
ラ・ヴィ・ドゥース
東京都新宿区愛住町23-14 ベルックス新宿ビル1F
10:00~20:00(日曜、祝日~19:00)
月曜定休
バッカス--\399
フレジェ--\320
バナナタルト--\420
キャラメルプリン--\294
ダックワーズのショコラ--\140
─HP─
おニャン子クラブや、少年隊、尾崎など80年代のJ-POPが有線から流れて、焼きとんが炙られ、煮込みが飴色の煮汁を沸騰させてくつくつと煮てある。
そしてよく冷えたジョッキに注がれたホッピー。もぎっただけのキャベツのお通し。
こんな光景を思い浮かべて「あぁ、あの頃はよかったなぁ」と懐かしむ諸氏もいるだろうし、むしろ当時はまだお酒の味を知らない暖簾をくぐれない少年少女だったので、そんな先輩たちの語る物語が何処かの遠いアラビアのロマンスのごとく刺激的に聞こえ続けていた紳士淑女もいることだろう。
でも実はこれ、何も10数年前の飲み屋街の話ではない。まっとうな現在の話だ。
しかも世界一物価が高いとされている四谷の今年オープンした連日仕事帰りのサラリーマンで賑わいをみせている「けむりや」の話。
オープンしたのは脱サラで開業した通称〝おしょう〟のニックネームで親しまれている坊主のマスターと、その友人。
四谷駅から3分とかからない立地条件でもあるのに、焼きとんが1本120円~で売られているのは歓楽ストリート〝しんみち通り〟から裏手になるからであろうか。
あえて四谷らしくないその店のコンセプトが常に注目を浴びている。
よく街で見かけるような出来合いのレトロ調の店でもないし、店内もそんな雰囲気を決して漂わせているわけではない。
あくまでも本人達の意志で良いとしたものをチョイスした、そんな自然体の店である。
席はカウンターのみで、壁中に和紙でメニューが書きなぐられていて、店の奥でモクモクと串焼きが焼かれていたり、お通しが作られたりしている。
ここのお通し、もぎったキャベツにごま油をベースとしたドレッシングがかけられているだけなのに最高に旨い。
そして、焼きとん、バラ、コメカミ、モツ、ハツと塩のよく効いたアツアツの串焼きがホッピーに合う。
辛し味噌をつけて食べればもう幸せだ。煮込みは420円。まぁ、この土地では安いだろう。
じっくりと煮込まれたホルモンは全然臭みがない。柔らかく味が染みている。たいていのお客がこの煮込みと串焼きを頼んでいる。そして有線からは懐かしのJ-POP。年を取るのも悪くはないぜ。
けむりや
東京都新宿区四谷1-21
17:00~24:00
日休
焼きとん--\120
コメカミ--\140
煮込み--\420
生ビール--\480
実は日本屈指のタイカレー、そして日本初のタイカレー発祥の店が新宿の信濃町にあるのは意外と知られていない。
店の名前は「メーヤウ」。
外苑東通りを歩いていて3分ぐらいのところに目立たない感じで白い看板に「メーヤウ」と書かれている。
早稲田にも店舗があるので、学生の多い街でもあることから、わりとそちらのほうがスポットを浴びていることもあるけれど、こちらが本店。
1983年(昭和58年)に創業という。
当初は信濃町駅前にある慶応病院のはす向かいに店舗を構えていた。
やがて、時は流れ、信濃町近辺の再開発の煽りを受けて店舗は元住友銀行横に移転するわけだけれど、店の強烈なインパクトや雰囲気も旧店舗の方がすごみが在った気がする。
そのころの「メーヤウ」の店舗は戦前から残っているんじゃないのここ?って思うぐらいのアジのある店構えで、悪く言えばボロボロのあばら屋のような状態で、怪しい南国の香りを店の外に漂わせていた。
丁度、小学校の通学路途中にあったものだから、よく友人達と「この店ってなんだろうねぇ」としげしげと興味を持って眺めていた。まだ僕は小学校3年とか4年だったので、後年タイに嵌まるわけだけど、まだこの当時は、暖簾をくぐる勇気を持ちあわせていなかった。
中学生になると、小銭を持っているせいか、時折、友人と夕飯を外食で済ますようになり(というか、その当時、夕飯を外で済ますという行為はじつに〝ハレ〟的要素を含んでいた)「そうだ、アノ店にいってみない?」と、「メーヤウ」に恐る恐る行ってみたのだ。
ガタピシのテーブル3つほどと、カウンターが並ぶ店内にはタイの艶めかしい音楽が流れ、香辛料のスパイシーな匂いが充満していた。そして何と言ってもカルチャーショックにも似た感触を察知した。混沌と渦巻くアジアの市場のような空気がそこには流れていた。思わずごくりと唾を飲み込んだぐらいだもの。
さて気になるメニューだが、移転後も当時もメニューは変わらない。
カレーは辛さによって3段階のグレードがあり、甘口ー辛口ー大辛とステップアップする。
・甘口:豚肉・タケノコ・大根・ゆで卵
・辛口:鶏肉・タケノコ・大根・ゆで卵
・大辛:骨つきチキン・ジャガイモ・ゆで卵
甘口になるほどココナッツの味と香りが強烈で、それだけまろやかになっている。逆に大辛になるほどカレーの色も朱色を強めていって、香辛料が強くなる。
個人的には辛口がココナッツの量と辛さのバランスが程好いのでお勧め。バンコックの熱い夜を思い出すことができるであろう。
ところで、カレーにタケノコとか大根という組み合わせは馴染みが薄いとちょっと眉を顰めるかもしれないけれど、これが相性が抜群なのでご安心あれ。
重厚なトロリとしたタイカレーとご飯にジャストフィットする。タケノコの歯ごたえとよく染みた大根が清冽であり、アクセントとなっていて、この組み合わせを考えた人に拍手を送りたくなる。ゆで卵も潰す感じでカレーに馴染ませると、その味わいとカレーの辛さが調和して実に素晴らしい。
テーブルに必ずナンプラーと酢漬けの唐辛子と唐辛子の漬物があるので惜しみなく投入するがよろし。日本では魚醤と呼ばれるナンプラーは匂いもくさやのようだけれども、コクがあって独特の旨味があるので、ちょっとしょっぱいかなぐらいがベスト。
唐辛子の漬物はご飯に少しだけ添えよう。妥協のない辛さなだけに沢山載せると命取り。カレーと一緒に口に運べばどっと汗が噴き出るに間違いない。
ここのカレーはちょっと表現が難しいくらいの何段階ともいえぬ味が重なっていて、カレー単体だけでも充分イケる。ココナッツと香辛料とパクチーとナンプラー。スパイスの協奏曲を聴くような、カレーのダンスを観るような、そんな味。
癖になる辛さ。中毒性高し。
グワっと食べてウホっと汗を掻いてグインとタイビールを飲めば、きっと気分は爽快だ。
メーヤウ
東京都新宿区信濃町21 大門ビルB1
11:30~20:00
11:30~19:00(土曜)
日、祝休
メーヤウカレー(大辛)--\680
タイ風カレー(辛口)--\680
タイ風カレー(甘口)--\680
※カレー全品、ご飯付き
ご飯またはカレーの大盛り--\780
ご飯とカレーの両方大盛り--\880
牛スジ煮込みソバ 大--\680 小--\380
ココナッツゼリー--\200
タイビール--\500
なんとも刺激的なネーミングである。「あそこ寿司」。
どんな由来があるのだか知るすべもないこのお寿司屋さん、東京は品川の少し先、浜松町から東海汽船で約11時間、船中一泊して着く先は伊豆七島最先端の八丈島、底土港、その三根地区にある。
まぁ、遠い。
その名前からして、誰もがさまざまな胸のうちを膨らます想像をそそるわけで、僕としてみれば、とりあえず、あそこといえばアソコなわけで、果たしてどんな寿司が出てくるのやらビクビクし(もしかして、アワビにトビウオでも突き刺さっているんじゃないかというのが我々の見解だった。だって・・・、ねぇ。)、もしくはニヤニヤしてピンクなイメージを咲かせたあと、おっかなびっくりと暖簾をくぐると、意外にもそこにあるのは非常に正統的な佇まいの店内でもあった。
カウンターがあり、テーブルがあって、座敷があるという感じの。ホッとしたというか、なんというか。
さて、ここで是非ともトライしたいのが、島寿司。
漬け込んだ地の魚にワサビではなく洋辛子をつけて食べる寿司と、一般的な寿司(但し、ネタは地の魚オンリー)のどちらか。
特上寿司とかもあるけど、それは東京からわざわざ運んだネタを使っている。
そんなの本土で食べりゃいいもの。ナンセンスってやつだ。ちなみに漬け込む島寿司は要予約。
今回僕らは、予約不要の〝普通の〟島寿司を頼んだ。
肉厚の皿に載せられて登場した寿司は、もうため息が出るほど、美しい限り。見た目だけでもこりゃ違うなって感じ。
握っている大将はいまいち無愛想で、べちゃくちゃお喋りするんじゃねえど、みたいなオーラがぷんぷん漂っているけれど、それは、なんと言うか、寿司屋なんていうのは黙ってネタで勝負すりゃいいんだって意気込みにも感じられる。それほどまでに艶やかな寿司が並んでいた。
巻物が一本あるのが島寿司の特徴で、食べる前に大将が、時計回りにどの握りがどの魚かとちゃんと説明してくる。
ちゃんと聞いていたのに、なんて名前の魚があったか忘れたのが残念で仕方ない。思い出せるのは〝キツネ〟と〝カンパチ〟と〝トビウオ〟。
〝トビウオ〟はお吸い物にも入っていて、プリプリとしたツミレになっていた。
大将の説明のあと、醤油をちょいとつけて食べる。小ぶりの少し甘めのシャリに載った極上の地の魚。
もう昇天モノ。旨いっ、旨すぎる。
噛むほどに絶妙な味わいが口の中で拡がるというのでしょうか、気が付いたらもう一貫と手が伸びる。
そんな惹きつけるチカラがある。
その土地の一番美味しいものを食べるのが旅の醍醐味だとしたら、ここは本当に正解。
これを食べないと来た甲斐がないよ。
握り方も丁寧だし、ネタをきちんと知っていからこそといった感じだ。
ちなみにこのお寿司屋さんに「今日はどんなネタですか?」と訊ねると「今日は下ネタです」と返ってくるらしい。
ホントかな。けっこう職人気質の一本独鈷って感じの大将だったけど。
あそこ寿司
八丈島八丈町三根361
11:00~13:30
17:00~20:00
不定休
島寿司--\ 2100
漬け島寿司--\ 2100
JR西荻窪駅の改札を左に出るとバス停があり、中央線沿い独特の雑踏(不思議なことに中央線には、中央線にしかない夕暮れ時の暖かい賑わいがあるのだ。僕はまんざらでもないといつも思う。)がある、道を少し裏に回るところに「夢飯」は申し合わせたように構えている。
海南ライスの名店として、都内でも知る人ぞ知るカフェで、平日から行列が絶えることはない。
海南ライスとは、アジアの、とりわけシンガポールの代表する庶民のご飯のこと。
チキンスープで炊き込んだライスに、蒸した鶏か揚げた鶏がざっくり乗っかっているチキンライス。現地では、それにたっぷりのパクチーと半熟のプルプルの目玉焼きが包むように上に乗っていたりしていて、屋台で食べるのが旨い。
で、それをあますところなくアジアの熱風へと、いざなってくれるのがこの「夢飯」。店内はカウンターとテーブルが七つほど。窓際はガラス張りにもなっていて、天井が高いので開放感あり、白を基調とした壁にはアジアスタイルの洗練された置物が並べてあるので、さながらバンコクやシンガポールにあるレストランのようである。
海南ライス(チキンライス)は、2パターン、蒸し鶏が〝海南チキンライス〟(大--¥780 中--¥680 小--¥580)、揚げ鶏が〝海南フライドチキンライス〟(大--¥880 中--¥780 小--¥680)で、それぞれに3種類のタレとチキンスープがセットで付く。
タレはチキンライスが、〝中国しょう油、チリソース、生姜〟、フライドチキンライスが〝中国しょう油、チリソース、レモン〟と、それぞれのスタイルに合わせてテイストが調整されているのが嬉しい。
それとトッピング。オプションでトッピングの組み合わせ(有料)がオーケー。
パクチー、高菜、目玉焼き、ザーサイ、などなど。タレをひとつずつ掛けて鶏とトッピングとライスを食べても美味いし、3つともいっぺんに掛けてゴチャ混ぜにして〝壊して〟食べたってオーケーだ。
ちなみにお得情報、なんと毎月10日、20日、30日はライスがジャスミンライスになるのだ。本場の味そのもの。さらに行列を覚悟しなくちゃいけないけれど、並ぶだけの価値がある。
個人的なお勧めは、〝海南フライドチキンライス〟と、目玉焼き、パクチー、高菜のトッピング。カリッカリに揚げられた香ばしい鶏肉がスープで炊き上げた軽い食感のライスと、そしてこの3つのトッピングにバッチリ。
目が眩むような黄色い半熟の目玉焼きをそーっとほぐして、どっさり乗っているパクチーを混ぜる。
それに高菜も添えて、チリソースもおおざっぱに掛けて、アツアツのライスを頬ばる。きっと息もつかずに平らげることだろうと思う。鶏肉とライス、考えてみればシンプルな組み合わせなのに、驚くほど奥が深い、絶妙な味に舌鼓を打つことだろう。幸せになる。
テーブルマナーも大事だけど、こういう料理はラフなほうがいいんだ。
外で並んでいる人が見える時は食べ終わったらサッと出よう。駅の反対側にある喫茶店「ダンテ」に行くのもいい。ゆったりとした喫茶店で店内にジャズが流れている。
夢飯
杉並区西荻北3-21-2 徳田ビル1F
11:00~22:00
火曜定休
海南チキンライス 大--¥780 中--¥680 小--¥580
海南フライドチキンライス 大--¥880 中--¥780 小--¥680
マレーカレーライス 大--¥880 中--¥780 小--¥680
鶏粥(とりがゆ)大--¥680 中--¥580 小--¥480
─HP─
JR王子駅北口から徒歩2分。線路沿いのところにその店はある。
店といっても、人が一人分の隙間があるかどうかの立ち呑み屋で、平日の19時も過ぎれば、流し素麺のような細長いカウンターは、既にお酒の入ったお客さんで賑わう。
おでん種が中心のメニューで、立ち呑み屋にしては客が多いのも、そのおでんの種を自家製にこだわっているからだ。
もともと赤羽にあるおでん種を取り扱う店が本店で、カジキマグロやタイを贅沢に混ぜた練り物が人気を博していた。その店主が1999年にこの立ち呑み屋をオープンした。
はんぺんもちくわぶも全て自家製だし、なんといってもこの平澤かまぼこの先代は、もともとは魚屋だったという話でもあるから、美味しくないはずは無い。
おでん以外もいろいろあるけれど、個人的にお勧めしたいのが牛すじの煮込み。すじとは思えないくらい柔らかく煮込まれて、具の豆腐も味が染みている。ほんのり甘い、でも滋味深くて、置いてある七味をパラリと振り掛ければカラダも温まる。アクセントのみじん切りの葱の青臭さがほどよく合う。
当然、おでんはメニューも豊富で、しかも安い。一番安いのが、なんと30円のこぶ。正直、驚愕である。じゃがいもや大根もホクホク美味しい。だしは醤油ベースの関東風。はんぺんなんてこんなに柔らかくていいの?と訊きたいぐらい。テーブルにある漬物はサービス。この日は大根の葉の漬物。焼酎が合うんだよね、これがまた。
お酒も豊富。珍しいのが北区の地酒である丸真正宗が置いてある。23区に唯一残る蔵が手掛けるこのお酒、キレもあるし、口当たりがいい。おでんの湯気と店の活気に包まれると立ち呑み屋であるのも忘れ、寒さも何処吹く風。いい時間が過ごせる。
平澤かまぼこ王子駅前店
北区岸町1-1-10 NUビル1F
10:30~22:30
こぶ \30
大根、はんぺん…etc \90
じゃがいも、ごぼう巻き…etc \120
牛すじ…etc \250
生ビール \400
お湯割り \330
丸真正宗一合 \280
新宿にあるJAZZ喫茶のどれか一つを選ぶとなったら、少し気の利いた人間で珈琲にも酒にも目がなくて、やっぱ音楽が好きという人間は、紀伊国屋書店の裏手にあるDUGをチョイスするだろうし、現代小説(そんな文学ジャンルがあるのかどうか知らないけれど)にアンテナを張りつつ、ベストセラーを読み漁り、「ノルウェイの森」なんかもしっかりと押さえているような人間だったら、やっぱしDUGをチョイスするだろう。
「ああ、ここが主人公のワタナベがドイツ語の授業が終わった後、緑と入った店か」と。
紀伊国屋の裏手、つまり靖国通り沿いに面したこのDUGは、狂騒ともいえる新宿の街のエアーポケットみたいな店で、ひっそりとその地下に佇んでいる。
HPによれば、まだ新宿に都電が走っていた1961年にオープンした。
映画小説、諸先輩方のお話から想像するに過ぎないけれど、当時といえばJAZZ喫茶は若者たちの最先端の溜り場であり、文化の生まれどころであった。DUGもその中のひとつで、今となっては貴重な〝生き残り組〟、その半生は言葉じゃ語れないドラマもあったし、時代と共に幾度となく店の移転もあったという。それでもなお現在、当時を知らない世代の僕らでも一度その店内に入ると、その頃の熱い息吹を感じることができる。
もしかしたらワタナベ君と緑がウォッカトニックを飲みながらピスタチオを齧っているかもしれない。
今でも夕方を過ぎて、夜の帳が訪れる時間となると、JAZZのライブを頻繁にやっている。それはそれできっと素晴らしいだろうけれど、個人的にはDUGは平日休日に関係なく、昼下がりに入店するのを強く勧めたい。
外の喧騒とまったく正反対の店内、その日がソーダーを零したように突き抜ける青空の晴れた日なら、なおのこと、照明の落とされた店内が不思議と居心地が良いことだろう。
昼間からお酒を飲むことを敬遠しているあなたもここじゃ堂々と飲めるってものだ。
最高の音響でグラスを傾けるのも、芳醇な珈琲豆を愉しむのも、その日の風向きに任せればいい。
DUG
新宿区新宿3-15-12
Cafe Time12:00~18:30
Happyhour18:00~20:00 DRINK ALL \530
Bar Time 18:30~26:00
生ハムとカマンベールチーズのベーグルサンド \630
ほうれん草とベーコンのキッシュ \420
アッサムミルクティー \630
職安通りから裏に回って大久保公園を過ぎた一つ目の道を左に入るとある。
大久保公園は最近では目立つことないけれど、いわゆる多国籍な娼婦が立っているという妖しい雰囲気200%なので、夜に通る際にはそれなりにキャッキャ騒がないほうが無難。街独特の治安もあるので。
で、とにかく裏通りにある「スンデ家」。
24時営業の本格的韓国料理の店。
店内はテーブルが3卓と座敷。在日コリアンのお客さんが目立つ。店内に飛び交う言葉もハングル語がほとんど。
さて、「とりあえずマッコリとチヂミ」なんて言うと、まず出てくるのが大量のキムチ。突き出しだ。白菜のキムチ、小魚のキムチ、カクテキ、水キムチ、ナムルと何種類も所狭しと並ぶ。
一瞬、「これ、頼んでません」なんて言いそうになるけれどご安心あれ。これらは全てサービス(無料)。
もともと韓国ではごく普通の習慣で、レストランなんかに行くと普通に出てくるものである。
なので「スンデ家」でキムチをうっかりと頼むとテーブルがキムチだらけになっちゃたりする。特筆は水キムチで不思議な魚系のような野菜のうまみのような凝縮したスープで何度もゴクゴクと呑めちゃう。これは是非。
チヂミも具材がイカやニラやタラとたくさん入っていてモッチリ感たっぷりなので美味しい。青ねぎが刻んだタレが付くのでたっぷりつけよう。
スンデ家
新宿区百人町1-3-3サンライズ新宿A1F
24hours
チジミ \1,300
石ビビンバ \1,300
マッコリ \1,500
新大久保近辺の在日コリアンの台所といえばここ「南大門市場」。
それほど大きなスーパーでもないのに充実した韓国食材が置いてあり、常に混んでいる。野菜から肉類、飲み物、キムチと何でも揃う。
ゴマの葉の辛味噌漬けはオカズがいらないほど美味しいので見つけたら買うべし。テールやユッケもあるので、自宅で本格的な韓国料理を作りたい人もその食材のバリエーションに満足するだろう。他にも唐辛子などの香辛料も本国モノが多数なので見ていて飽きない。マッコリも数種類置いていて、1リットルで500円程度だから好きな人はこれもお勧め。
入り口で屋台が出ていておでんやらホトック(表面カリカリで中に熱ーいトロトロの蜂蜜の入ったおやつ)やチヂミが売られている。最近の人気ぶりで並ぶこともあるけれど、ざっけなスナックに目がないのって人にはいいのかも。
南大門市場
新宿区百人町1-1-3
マッコリ \500~
キムチ各種 \500~
職安通りのドンキホーテの横にある「韓国学生街料理広場」。
24時間営業していて安価な料金で韓国料理が楽しめるので、深夜となると近隣に住んでいる在日コリアンの姿が目立つ。
「春雨」はゴマ油で炒めた香ばしい味のする料理。濃い目の味付けなのでアルコールとよく合う。
キムチ鍋は妥協のない辛さのあまりご飯を投入しないとハフハフ状態になるので注意。
しこたま食べて飲んで1人2000円程度。
韓国学生街料理広場
新宿区大久保1-17-7
24hours
ヌードのり巻き \700
マッコリ \1,300