新しさと古さがまるで協定を結んだかのように均衡を保つ渋谷の道玄坂は、かつてよりラブホテル街として名高い。その街の一画にひっそりと営業しているカレー屋がある。「ムルギー」だ。
昭和26年に営業を始める。かの池波正太郎も通った、というのはあまりにも有名な逸話で、「東京のうまいもの―散歩のとき何か食べたくなって」(コロナ・ブックス)に詳細がある。
ムルギーは、数年前までは老夫婦が店を切り盛りされていたのだけれど、今は若い女性がバトンタッチして頑張っている。聞くところによると、名物のおじいさんは身体の調子が芳しくないらしく、入院されているとか。早く元気になっていただきたいところだ。
玉子入りムルギーカレー大盛(1350円)
名物カレーといえば、この玉子入りムルギーカレーだ。山脈を彷彿させる別名「エベレスト盛」と呼ばれる、聳え立つライス。それを取り囲むようにカレー、そしてゆで卵。あとは店オリジナルのチャツネが添えてある。
チャツネは果物を甘く煮込んでペーストにした、いわゆるジャムのようなものだ。むかしはしょっちゅうおじいちゃんに「カレーに混ぜなさい」と言われた気がする。
鋭く尖ったライス横のカレーは、13種類のスパイスやら果物が複雑に混ざっているので、十分にコクがあり、複数の辛さが炸裂する奥深いテイストなわけだが、このチャツネを混ぜることによって、さらにカレーの辛味が引き立つこと間違いなし。ビルマ仕込みのカレーはあっというまに平らげることになる。
ムルギー
渋谷区道玄坂2-19-2
11:30~15:00/16:00~20:00
木曜のみ11:30~15:00
金曜定休
ムルギーカリー --\950
玉子入りムルギーカリー --\1000
ムルギーカリー大 --\1250
玉子入りムルギーカリー大 --\1350
ハヤシカリー --\1050
サッテ(数限定) --\1100
ガドガドサラダ --\850
甘口+\50
辛口+\50