JR田町駅から徒歩3分、都営三田線三田駅から徒歩2分、慶応通り振興会という商店街の入り口にあるのが「たけちゃん」。
いま、一番関東で旨い串揚げが食べられる店だと評判が評判を呼んでいる。大阪スタイルの「たけちゃん」は立ち呑みのカウンターと幾つかのテーブル席がある店で、串揚げが90円~という安さが魅力的なのである。
「たけちゃん」のシステムはというと、頼みたい串揚げを備え付けのメモ用紙に書いて渡すというシンプルなもの。テーブルに素っ気なしにおいてあるキャベツ、これは無料でおかわり自由だ。箸休めや串揚げと一緒に頬張るのが宜しい。
ただし、ステンレスの器にたっぷりと注がれているソースは、開高健のエッセイにも登場するように「2度づけ禁止」だ。
なぜなら、途中まで齧った串揚げをソースにつけたら他のお客様に迷惑が掛かるから。
関西じゃあたりまえのこのユーモラスな標語、本来は<衛生面>を考えたための言葉なのに、大阪人の商売人根性というかドケチ根性を意図的に意識して「ソースっちゅうもんはなぁ、2度もつけたらアカンでぇ」とも言っているようで面白い。誰が最初に考えたんだか、さすがである。
なお、ソースのつけ具合が足りなくて困った場合の対処方法、ズバリ、くだんのキャベツをスプーン代わりにしてソースを掬う、という技である。
まあ、とにかくソースは「2度づけ禁止」。
さて、ここの串揚げは、何を頼んでも安くて旨いわけだけれども、ぜひ大阪の店ということで(たけちゃんのお母さんは、大阪で串焼きの屋台を経営している)、「どて焼き」を食べていただきたい。
どて焼き(1本 100円)。
「どて焼き」は東京ではまるで知られていない食べ物といった感があるが、西日本、特に関西ではポピュラーな食べ物で、屋台で売られているジャンクなフードだ。牛すじが味噌で煮込まれていて、串にささっているのが一般的だろう。
七味をぱらぱらと振りかけてアツアツを頬張るのは至極の幸せというもの。
すじとは思えない柔らかい牛肉はモッチリとしていて味噌ダレがたっぷり染みている。これが100円だ。
そして串揚げ。
全部が全部美味しいので、メニューでピンときたらアレコレ考えずに頼んでみたほうがいい。
きめの細かいパン粉が稀有なサクサク感を演出する。そして黄金色の、ピチピチと愉快な音を奏でる衣から覗く新鮮な食材の数々。
湯気がもうもうと立ち込めている串をソースにジュっとつける。サックサクに揚った串揚げとキュンと冷えた生ビール。もう、それで十分なのである。
たけちゃん
港区芝5-20-19
16:00~22:00
土曜、日曜、祝日、定休
串揚げ --各\90~\210
生ビール --\420
瓶ビール --\550
サワー --\300
酒 --\420