四谷駅からしんみち通りを過ぎて、さらに3分ぐらい歩いたあたりにある支那そば屋「こうや」。
昭和36年、いまから40年ほど前に、夜鳴きそばの屋台として始まった四谷でも老舗の店である。
平成17年(2005年)に、店内で火事を起こして、一時的に営業していなかったが、翌年には新装して無事に再開。
↑火事になる前、2003年あたりの在りし日の厨房の光景。
裏通りにもかかわらず、平日の19時ぐらいは必ずと言ってよいほど行列が出来ている。
支那そば屋といっても麺類が中心というよりは一品料理が多い。
お通しで出る鶏ダンゴスープから既に侮れない感じであり、ちょこっと乗っている豆板醤とパクチーが妙味を演出。
中華ダシが沁みている。一気にスープまで飲み干してしまうお通しだ。
手羽の煮付け(100円)。
ここに来たら、必ず食べた方がいいのが、鶏の手羽煮付け。
一本から注文が可能で、じっくりと特製の醤油タレに漬け込んだ手羽が、白髪葱とこれまた豆板醤と併せて出てくる。
まるで絹のように柔らかくて、噛んだ抵抗もなくスッと肉がちぎれる。
青菜としいたけの炒め(800円)。
定番の青菜の炒め物。
青菜の炒め物は、野菜独特のみずみずしさと、アクセントで散りばめられている干し桜海老の歯ごたえが見事に調和。
ざっくりと強火で炒めた青菜だからこそビールにぴったしの一品なのである。
こちらはしじみの辛子味噌炒め(850円)。
ピリ辛の濃厚スープで勢いよく炒められたしじみの辛子味噌炒め。
一つ一つ指で摘まんで、しじみを大胆に穿り出して豪快に食べるのが宜しい。
ご飯にかけたら絶品じゃないかといつも思うのがこの濃厚スープ。
気がつけば、あっという間に、皿は食べ終わった後の殻だらけになるはずだ。
腸詰(700円)。
中華料理の腸詰なので、少し甘め。
香菜と白髪葱でトッピングして食す。プリッと程よい脂が口の中で溶けるように拡がって、香辛料で味付けてある腸詰がどんどん胃袋に収まる。
塩気が後を引くのか、紹興酒やら青島ビールのグラスが次々と空になる。
生いかの老酒漬け(850円)。
時期を外すと、めったに出回らないのが、するめいかの老酒漬け。
生いかの苦いワタと、辛口の老酒で漬けた一品料理。
ワタの海の香りを老酒でぬぐって肉厚のいかをちぎって食べる。
大人だけが許された塩辛のようなものだ。テーブルにお酒の香りが漂うくらい濃厚な感じ。
いかのワタが深みのあるコクを醸し出す。
雲呑麺(850円)。
締めは名物の雲呑麺(ワンタン麺)で。
たっぷりと浮かぶ刻みネギ。海苔、焼き豚。そして雲呑。
白濁のスープに浮かぶジューシィな雲呑は、肉汁たっぷりの香味がかっていて、プリプリしている。
噛むとじわっと皮に閉じ込められたスープが飛び出す本格派だ。
白濁の豚骨スープは、2割だけ鶏ガラが仕込んであってスープに深みを与え、とろりとしたスープに手揉みの麺がマッチング。
あくまでも支那そばであって、ラーメンではなく、つまりは日本のラーメンとは少々かけ離れているので、豚骨ラーメンを期待して食べると肩透かしを食らうのかもしれない。でもそれでいいのだ。
メニューに値段の記載がなく、一品料理には時価と記されていて、一瞬、眉毛がピクッとするけれどもご安心あれ。これだけ食べたのに、こんなに安いの?ってぐらいだから。
こうや
東京都新宿区三栄町8
11:30~22:30 L.O.22:00
日、祝休
青菜としいたけの炒め --\800
しじみの辛子味噌炒め --\850
手羽煮付け --\100
生イカの老酒漬け --\850
腸詰 --\700
文甲イカとセロリの炒め --\850
支那麺 --\650
雲呑麺 --\850
又焼麺 --\950
涼麺 --\950
暖簾分けの店として「こうや麺房」がある。こちらは御茶ノ水駅から徒歩5分のところ(文京区本郷2-10-8)にある。支那麺、630円。