大正時代から昭和中期にかけて、東京市中でも有数の花街として栄えた荒木町には、今もなお、当時の面影が残る風情にある路地やら建物が並ぶ。
猫の多い街とも知られ、店の軒先で三毛猫が毛繕いしているなんてのもしばしば。
車力門通りの突き当たりにある「鈴新」は創業50年の老舗のとんかつ屋。引き戸をガラガラと開けるとまず目に付くのは上質な白木のカウンター。ジャズが流れる落ち着いた店内はとんかつ屋とは思えないほど。
吟味された豚肉を自家製のラードと自家製のパン粉で揚げる稀有な店。ご飯は魚沼産のコシヒカリを、だるまガス台で炊き上げるという徹底ぶり。
遠方からわざわざ訪れる人も居るのも頷ける味だ。
ここ数年はテレビや数々のメディアでも紹介されているのでご存知の方も多いだろう。
さて、この店で有名なのは、 かけかつ丼(940円)。
ふっくら炊き上げたご飯の上にいま揚げたばかりのジューシーでサクサクしたかつを、その上から、ほんのり甘い玉ねぎの卵とじをかける。
サクサクした歯ざわりに卵とじのハーモニーは最強。豚汁とお漬物が附く。箸をスッと入れると、湯気がたっぷりとお椀を囲むように包み、黄金色に輝く衣からのぞく分厚いとんかつに、半熟の卵が絡んで、その下から白い宝石のようなコシヒカリが顔をだす。絶妙な厚さのとんかつがピチピチ油を弾いている。感嘆。
豚汁は薄味で野菜の風味がたっぷりとした仕上がり。漬物は勿論、自家製。糠の芳醇な香りが漂う。
とんかつばかりに目が奪われがちだが、こういった脇役達も侮れないのが「鈴新」だ。
こちらは自家製らっきょ(500円)。
一組につき一つの限定というこのらっきょは、みりんで浸けたおつまみにちょうどいい味。鷹の爪の辛味がらっきょうに染み込んでいて後を引く。独特の酸味と甘みをご賞味あれ。
冷奴(500円)。
※写真は半分にわけたもの。
「鈴新」の冷奴を語る前に、まず四谷にある「栗原」について説明しなければならない。
「栗原」というのは、夕方に行ったんじゃ、まずはたいてい売り切れてしまっているという明治20年前創業の120有余年続く老舗の豆腐屋。
四谷で豆腐といえば、誰がなんと言おうと栗原の豆腐のことを指す。
「栗原」の豆腐は、大豆のこまやかな豆そのものの素材の味で、幻のミルクのようなその白い塊は、密に詰まっていて、一口食べると甘い香りが口にいっぱいに広がる、夢のような豆腐なのだ。
四谷で育った多くの人間が栗原の豆腐を食べたんじゃ、まずスーパーで売られている豆腐なんてカルキ臭くて食べられないとこぼす。
でも実際にそうだ。
僕も小さい頃からここの豆腐を食べているので、スーパーで売っている豆腐は変な味がするので食べられない。
そして油揚げ。もし店先で揚げたての油揚げを購入できたというならそれはラッキーというもの。
おかずなんて必要ないんじゃないだろうかというのは、決して大袈裟ではない。
醤油を垂らしただけで、一品となり得るから素晴らしい。
長らく説明してしまったが、とにかくその栗原の豆腐の冷奴がこれ。クリーミー、芳醇、こく、まろやか。あくまでも素材を活かした豆腐だ。とんかつ屋に冷奴という、一瞬似つかわしくない組み合わせも、まるで違和感が無い。
他にも夜のメニューとして、ままかりの酢漬けや、真いかの丸干しなどがある。
ままかりの酢漬けは瀬戸内海のいわしの仲間でサッパという魚を用いている。
真いかの丸干しは、新潟県の真いかを使用。お酒のつまみとして最高だ。
かつ丼は、かけかつ丼以外にも一般的な煮かつ丼(940円)、そうすかつ重(840円)。これはご飯の上に手切りのキャベツ、その上に揚げたてのとんかつをのせ特製ソースがのせてある。
鈴新
東京都新宿区荒木町10 十番館ビル1F
11:30~13:30 17:00~21:00
日曜定休
煮かつ丼 --\940
かけかつ丼 --\940
そうすかつ重 --\840
昼メニュー(11:30~13:30)
とんかつ定食 --\840
特製メンチかつとあじフライの盛合せ --\840
コロッケとあじフライの盛合せ --\840
ヒレかつとメンチかつの盛合わせ --\1050
夜メニュー(17:00~21:00)
ロースかつ定食 --\1260
ヒレかつ定食 --\1570
エビフライ定食 --\1680
魚フライ盛合せ定食 --\1150
晩酌セット(串かつ・飲物・小鉢) --\1000
自家製らっきょ --\500
ままかりの酢漬け --\400
真いかの丸干し --\400
とまとフライ --\400
こまいの一夜干し --\400
冷奴 --\500
http://love-curry.seesaa.net/
制覇してください。
おぉ、この人凄いですね。
一瞬ラブチェリーに見えて、「うほ?エロサイトか?」なんて思ってしまいましたけど。
サイト見てたら、新宿区四谷1-23にモザンビークカレーがあるようなので早速行ってみます。
モザンビークって名前だけで、なんかワクワクする。
当店を取り上げて頂き有難うございます。
おかげさまで、小学生から99歳のおじいちゃんまで来ていただける「とんかつ屋」になりました。
これからも、誰からも愛されるとんかつ屋として、日夜精進いたします。
また、「万世」や「うな浜」がなくなりましたが、荒木町がなくならないようにがんばります。
いえいえ、こちらこそ。書き込みをいただけるなんて想像していなかったのでビックリしました。嬉しい限りです。毎度美味しいトンカツが食べられて僕は本当に幸せです!!
「万世」「うな浜」残念ですね。特に「うな浜」は左門町の魚竹のまん前にあった頃から好きだったので悲しいです・・・。