異端の文化人(という表現が適切なのだろうか)であり、元祖サブカルの草分け的存在でもあった青山正明氏(故)が、著作で提言している理論があって、いま思えば荒唐無稽に近い内容だったんだけれど、こういうのがある。
うろ覚えなので彼がどのように呼んでいたか失礼ながら失念してしまったが、中毒者というのは、自分に合ったブツをチョイスするので、政府が指摘するような、どんどんとヘビースタッフを求める傾向はない筈だ。だから解禁しても問題ないブツがある、という理論だった。
青山氏が言わんとすることは、無知な僕にはまるで理解ができないとはいえ、残念なことに彼が批判対象とした政府の提言する理論に当てはまるモノがひとつだけある。
それは「トンコツ」だ。
「トンコツ」というのはキリが無い。
一度ハマると、まさに中毒者が更なる刺激と快楽を求めるかのように、どんどんと濃いスープを求めて行脚する性質があるようだ。
もしかしたら、数年後には豚そのものを齧っているのかもしれない懸念すらある。
そんなヘビーなトンコツ中毒者が、最終的にたどり着くであろう店がこの魁龍だ。
魁龍の源流は40年前に遡り、現大将の親父さんが久留米に出していた「珍宝軒」にあるという。最繁期は市内に6つの屋台も出すほどの人気ぶりで、その父親の姿をずっと眺めていた大将は、平成4年(1992年)に、ついに小倉北区に「魁龍」を開業した。
看板に「〝ど〟トンコツ」とあるように、普通のトンコツではない。豚の頭の骨をグツグツと煮込んで14年間継ぎ足したという、久留米ラーメンの真骨頂「呼び戻し」方式が生み出すそのスープが盛られる器には、なんと溶け出した骨粉が器の底に残り、骨髄が染み出しだ白濁のスープはドロドロとしている。これが魁龍のトンコツだ。
写真はラーメン(580円)
店の中にムッと立ち込めるトンコツの香り。そして出される気合の入ったラーメン。
骨粉が溶け出すほどのスープだというのに、臭みが強くなく、むしろコクがあって、あるひとつの料理を食べているようなスープだ。
中細の麺に絡みつくトンコツエキス。
一度啜るともう止まらない。一気に病み付きになる。
他の店のトンコツじゃ物足りない。
だって魁龍のトンコツは「〝ど〟トンコツ」なんだもの。
まさしく麻薬のようなラーメンだ。嗚呼、また食べたくなる。
魁龍
福岡県北九州市小倉北区東篠崎2丁目1番6号
11:00~23:00
日・祝11:00~21:00
毎月第1火曜日 店休日
ラーメン --\580
─HP─
※2006年2月16日~21日、船橋東武百貨店で行なわれる「第7回福岡物産展」にて限定開店中。
お見逃し無く(スープが無くなり次第閉店)。