2005年06月02日

信濃町「メーヤウ」

実は日本屈指のタイカレー、そして日本初のタイカレー発祥の店が新宿の信濃町にあるのは意外と知られていない。

店の名前は「メーヤウ」。
外苑東通りを歩いていて3分ぐらいのところに目立たない感じで白い看板に「メーヤウ」と書かれている。
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早稲田にも店舗があるので、学生の多い街でもあることから、わりとそちらのほうがスポットを浴びていることもあるけれど、こちらが本店。


1983年(昭和58年)に創業という。

当初は信濃町駅前にある慶応病院のはす向かいに店舗を構えていた。

やがて、時は流れ、信濃町近辺の再開発の煽りを受けて店舗は元住友銀行横に移転するわけだけれど、店の強烈なインパクトや雰囲気も旧店舗の方がすごみが在った気がする。

そのころの「メーヤウ」の店舗は戦前から残っているんじゃないのここ?って思うぐらいのアジのある店構えで、悪く言えばボロボロのあばら屋のような状態で、怪しい南国の香りを店の外に漂わせていた。

丁度、小学校の通学路途中にあったものだから、よく友人達と「この店ってなんだろうねぇ」としげしげと興味を持って眺めていた。まだ僕は小学校3年とか4年だったので、後年タイに嵌まるわけだけど、まだこの当時は、暖簾をくぐる勇気を持ちあわせていなかった。


中学生になると、小銭を持っているせいか、時折、友人と夕飯を外食で済ますようになり(というか、その当時、夕飯を外で済ますという行為はじつに〝ハレ〟的要素を含んでいた)「そうだ、アノ店にいってみない?」と、「メーヤウ」に恐る恐る行ってみたのだ。

ガタピシのテーブル3つほどと、カウンターが並ぶ店内にはタイの艶めかしい音楽が流れ、香辛料のスパイシーな匂いが充満していた。そして何と言ってもカルチャーショックにも似た感触を察知した。混沌と渦巻くアジアの市場のような空気がそこには流れていた。思わずごくりと唾を飲み込んだぐらいだもの。
20050602b


さて気になるメニューだが、移転後も当時もメニューは変わらない。

カレーは辛さによって3段階のグレードがあり、甘口ー辛口ー大辛とステップアップする。

・甘口:豚肉・タケノコ・大根・ゆで卵
・辛口:鶏肉・タケノコ・大根・ゆで卵
・大辛:骨つきチキン・ジャガイモ・ゆで卵

甘口になるほどココナッツの味と香りが強烈で、それだけまろやかになっている。逆に大辛になるほどカレーの色も朱色を強めていって、香辛料が強くなる。

個人的には辛口がココナッツの量と辛さのバランスが程好いのでお勧め。バンコックの熱い夜を思い出すことができるであろう。

ところで、カレーにタケノコとか大根という組み合わせは馴染みが薄いとちょっと眉を顰めるかもしれないけれど、これが相性が抜群なのでご安心あれ。

重厚なトロリとしたタイカレーとご飯にジャストフィットする。タケノコの歯ごたえとよく染みた大根が清冽であり、アクセントとなっていて、この組み合わせを考えた人に拍手を送りたくなる。ゆで卵も潰す感じでカレーに馴染ませると、その味わいとカレーの辛さが調和して実に素晴らしい。

テーブルに必ずナンプラーと酢漬けの唐辛子と唐辛子の漬物があるので惜しみなく投入するがよろし。日本では魚醤と呼ばれるナンプラーは匂いもくさやのようだけれども、コクがあって独特の旨味があるので、ちょっとしょっぱいかなぐらいがベスト。

唐辛子の漬物はご飯に少しだけ添えよう。妥協のない辛さなだけに沢山載せると命取り。カレーと一緒に口に運べばどっと汗が噴き出るに間違いない。

ここのカレーはちょっと表現が難しいくらいの何段階ともいえぬ味が重なっていて、カレー単体だけでも充分イケる。ココナッツと香辛料とパクチーとナンプラー。スパイスの協奏曲を聴くような、カレーのダンスを観るような、そんな味。

癖になる辛さ。中毒性高し。

グワっと食べてウホっと汗を掻いてグインとタイビールを飲めば、きっと気分は爽快だ。
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メーヤウ
東京都新宿区信濃町21 大門ビルB1
11:30~20:00
11:30~19:00(土曜)
日、祝休

メーヤウカレー(大辛)--\680
タイ風カレー(辛口)--\680
タイ風カレー(甘口)--\680
※カレー全品、ご飯付き

ご飯またはカレーの大盛り--\780
ご飯とカレーの両方大盛り--\880

牛スジ煮込みソバ 大--\680 小--\380
ココナッツゼリー--\200
タイビール--\500

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投稿者 ko : 2005年06月02日 20:09 | トラックバック(0)
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