新宿歌舞伎町、テレビでもお馴染みのアジアでも数本の指に入る歓楽街。不夜城。
その歌舞伎町の真ん中の通りにあるお好み焼き屋が「大阪屋」。
20年以上の営業で、24時間営業、年中無休、新宿のお好み焼き屋では老舗である。
この街に相応しい営業方針、眠らない街にぴったしだ。
さて、その長い歳月を掛けて油を吸い取ったといわんばかりのテカテカの細長い階段を下ると、目の前に迫るのは地下一階の広い店内。
つきあたりに座敷、テーブルが幾つか。近頃、店内が久しぶりに改装していたが、その猥雑ぶりは相変わらず。
中年男性と20歳ぐらいのコのカップル、見つめあう2丁目系の男2人組、白人男性とギャル、お好み焼きの具がそのまんま客になったほどの喧騒がここにはある。
そっけないお好み焼きが食べられる店なので、決して目新しいわけでもないし、お洒落な居心地もあるわけでもない。
だけどひとたび口にしてみれば、懐かしい味が広がる。それがこの店の醍醐味で、「大阪屋」の持つテイストなのだろう。
写真はオニオンスライスとキムチ。
定番中の定番。シャキシャキしたオニオンとトマトスライスに和風の薄いドレッシング、そのうえに鰹節が混ぜてある。
玉葱の少しほろ苦い部分と甘い冷やしトマトがマッチング。おつまみにもちょうどいい。
キムチは思ったより辛くなく、むしろ酸味が効いている。サッパリ系のキムチ。ごちゃごちゃしていないシンプルな辛さのキムチである。
こちらはゲソ焼き。
油を引いた鉄板にゲソを載せて、塩と胡椒を軽く振って、すこし押さえる感じで焼き上げる。
イカの水分がジュッジュと飛び散るのもお構いなし。
焼きあがる寸前に醤油を垂らし、バターを投入。仕上げにオロシ生姜をまぶして出来上がり。
バターと生姜の風味と醤油の焦げた香ばしい薫り。イカのじゃれるような丸くなったゲソをみていると突然と海水浴がしたくなる。バターが飛ばないうちにさっとアツアツを食べよう。
写真は豚玉。
お好み焼きを焼く時のコツはなんといっても「いじくらない」だ。
「いじくらない」に始まり「いじくらない」に終わるといっても過言じゃない。
ごくたまにヒヨッ子がひっくり返した後、鉄板返しでパンッパンッとかって叩いちゃっているのがあるけれど、ありゃダメだ。
お好み焼きを知らなすぎる。お好み焼きは「いじるな」。これがルールだ。
裏面がキツネ色になったのを確認して、一気にひっくり返す。ジュゥ。
小麦粉の香ばしい焦げと桜えびや紅生姜の香りが熱気とまじって昇華する。じっと我慢。
さらに待つこと3分。表面もキツネ色に焼けたのを確認し、もう一度ひっくり返す。ジュゥ。
特製のトロトロソースをたっぷり塗り、青海苔、かつお節を全体に振り掛ける。
ソースの匂いって食欲そそるよね。熱々のお好み焼きをてこで4等分に分ける。
お粉と山芋のサクサク感、桜えび、紅生姜、キャベツがそれぞれ個性的に主役を演じる。
そこにかつお節と青海苔の海系フリカケが乱入。
カラメル色のソースとマヨネーズが渦巻きを描いて混ざる。
こちらも熱々をぜひ。
最後、焼そば。
太い麺の焼そばは、鉄板に気持ち程度に油を引いて、まず豚肉のコマ切れから炒める。
肉に火が通るか通らないかの焼き加減で、塩と胡椒をまぶす。そして野菜。
素早く野菜を炒めて、キャベツの先端がしんなりしたかなどうかなってあたりで、麺を投入。
麺は太いけど、鉄板返しで切らないように十分注意するのが大事だ。
お好み焼用のソースとサラサラのソースをブレンドして味付け。
ブレンドのソースが麺に絡まる。芯のあるキャベツがボリボリ音を立てる。
大阪屋
新宿区歌舞伎町1-17-12 浅川ビルB1F
年中無休 24時間営業
豚玉 --\924
牛玉 --\997
イカ玉 --\892
ソバもんじゃ --\777
イカげそ(鉄板焼) --\819
オニオンスライス --\577
キムチ --\609