昨日、新宿の紀伊国屋書店で本を物色後、新宿通りをブラブラしながら歩いて帰宅していると、目の前から〝たしかに知っている人〟がこっちに向かって歩いている。
記憶をまさぐると、顔と名前のタグが一致した。K456氏だ。懐かしい。
僕がこの会社に入って初めて仕事らしい仕事をするといった時、
最初にオブザーブをしていただけたのが彼。
仕事上のヒヨッ子たちに先輩社員が端末操作やDBの仕様を教えることをオブザーブ(以下、オブ)といい、業務の一環として新人研修(どちらかといえばO.J.T)を諸先輩らが行う。
新人の緊張を解くのも、間違いを正すのも、情報を落とし込むのもオブが行うので、新人の今後も担うわけだから結構大事な仕事だ。
僕は入社してまもなく、右も左も分からず、どうしたらいいだろうかと迷っていた。
で、最初のオブで、僕がだいぶトンチンカンなことをするにも関わらず─あれは本当にトンチンカンだった。
じゃなければ単なるアホかと思えるくらい酷かった─、「忙しい職場かもしれないけど、頑張ってね」と彼は最後に、僕が椅子から立とうとした時、声を掛けてくれたのだ。
僕は正直なところ凄く嬉しくて、「そうだな、もう少し頑張ってみようかな。
それにまだ始ったばかりじゃないか、決め付けるのは早いだろう。
どうなるかもわからないかもしれないけど、とにかく続けよう」と決心した。
もちろん彼はほんの些細なセリフで言ったのかもしれない。
でもガチガチの新人には嬉しい言葉だった。
いつの日か、さくらの唄でも歌いながら飯でも行けたらいい。