あちこちの国を旅をしていて共通することは、 多すぎると見えないという現象。
ネパールのシェルパ族は星に興味がない。 毎日、多くの星を見ているから。
モンゴルの遊牧民は花に興味がない。 草原は季節になると花だらけになるから。
イヌイットは氷に、南の島国の人はサンゴに興味がない。
日本は人が多すぎるので、人が見えない。 だから、電車内で化粧をする女性や弁当を食べる人がいる。
椎名誠『東京新聞平成17年1月1日 朝刊』(小説家)