偏見があるかもしれないし、一般的な見解として危うい、
つまり個人的な意見ってものを述べようと思う。
本や小説について。
僕は本や小説が大好きだ。
活字を追うのが大好きで、活字依存症という中毒症があるとしたら間違いなく当てはまると思う。
でも本が好きっていうのは勇気がいるね。
だって、いまの時代、本が好きと公言するのは恥ずかしいような、どこか自分の内面をさらけだすような気持ちが先行するから。
もしかしたら自分が自意識過剰なのかなとも思うけど、僕が話す本好きは得てして「あんま、本のことってヒトと話したりしないんだよね~」と、口々に言うので、必ずしも個別性が高いわけじゃないと思う。
あるいは本好きという様々な趣向的スタイルにうちの一つの範疇では〝本のことを他人とはあまり話さない〟というのが類型なのだろうか。
もちろんどんな趣味であろうとも、他の趣味との間に高低があるわけがない。高尚な趣味なんていうのは実に俗人が考えついた発想だ。だから本が好きだから偉いとか賢いとか思わない。
本当にただ単に純粋培養として本が好きなだけだ。趣味の世界。
そして同じように本が好きな、小説好きな人間と会えるとそれだけで嬉しいのだ。
なぜかって?
これだけ多数の文化的要素が含まれたメディアがあると、
個人が選ぶ文化的メディアも枚挙にいとまがない。
かつての栄光を築いた活字媒体は足元がグラグラと揺れて、実際にも書店が潰れてしまったというのはそう少なくはない。
活字離れだ。
その分、本好きに会うというのは僕にとって広大な森のなかで出会ったかけがえのない旅人のようなものだ。
ちなみに誤解を避けるというか補足すると、書店が消え行く現象は所謂〝本離れ〟の傾向が強いだけではなく、顧客が本屋に行かなくては本が買えない、という時代ではなくなったからでもある。つまり顧客が本を入手するまでの流通経路の選択肢が増えたわけだ。
そして、僕はそんな森の中を彷徨う旅人たちの何人かと知り合うようになった。嗜好だって必ずしも合致するわけじゃないけど、気を許して読んだ小説や本について語り合えることは嬉しい。僕らは彼らと語り合えるのを楽しく思う。