2005年04月27日

Aphorism [スティーブン・キング]

ある日、どこからともなく、こんなイメージがくっきりと頭に浮かんだ。

ひとりの若者が、郊外にある小さな自分の家の外で、下水管の格子蓋のすきまへ小銭をつぎつぎに押しこんでいる。

それだけのイメージだが、あまりにも鮮明なので ─しかも、おそろしく奇妙なので─ そのまわりに物語を書かずにはいられなくなった。

文章は一度のためらいもなくすらすらと出てきて、物語は人工遺物であるというわたしの持論を裏づけてくれた。

つまり物語とは、われわれが作りだす(そして、その作者だと主張できる)ものではなく、すでに存在している遺物であり、こちらはそれを掘りおこしているだけなのだ。


スティーブン・キング『なにもかもが究極的』(小説家)

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投稿者 ko : 2005年04月27日 21:49 | トラックバック(0)
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