2005年04月08日

想起映写機

現像から戻ってきたLomoLC-A で撮ったモノクロ写真、一枚も焼き上がりが成功していなかった。
ひさびさにショック。何を失敗したのだろう。何も残さずに420円の出費・・・。大した金額じゃないって言えばそれまでだけどさ、わりと色々なところに出掛けたりした写真だったので精神的に痛い。

もう何も撮らないやと半ば不貞腐れてカメラを放り投げるものの、しばらくしてフォトグラファーの鬼気迫る写真や溜息のでるような写真を見ると、イソイソとして、うん俺も・・・なんて思ってしまう。


自分なんてテクニックも構図も知らないし、ヒラエルキーの図式からしてみれば、
プロ

セミプロ

ハイアマチュア

アマチュア

なんとなしにカメラを持っている人。わーい。

の一番下にいるわけだけれど、〝好きこそものの上手なれ〟という言葉が僕はけっこう昔から大好きで、この言葉は、本来は「好きである事柄だからこそ上達が早い」って意味だろうが、個人的には「好きだったら、それでいいんじゃん」みたいなライトな感じに解釈している。

つまり、好きなことをすればいいんだよ、と。僕はこういう思想というか考えを尊重するほう。
だってさ、やりたくないことやったってしょうがないじゃん。

就職活動の本(俗に就活本)には「あなたのすること(=仕事)を好きになりなさい」的な僕からしてみればトンチンカンな事を平気で書いているのしばし目にする。ポジティブシンキングの代表的な例。

でも僕は、おいおい、ちょっと待てよ、そんなに上手く事が進むわけがないじゃんと少しばかり否定的になる。

もちろん、最初の印象と始めてからの印象が違いました、みたいな例はある筈だし、それについて問題提起しょうとは思わない。でもね、やっぱり、キライなものはもうしょうがないんだよ、きっと。逆をいえば、好きなものもしょうがないんだよ。

やれって言ってもやらないだろうし、やるなって言われてもやるだろうしね。

ちょっと逸れてしまった。兎にも角にも心の奥底を揺さぶるような琴線に触れる作品とかって素晴らしい。

そういうモノにいつまでも触れていたい。美しいからとか、綺麗だから人を惹きつけるとも限らないんだよね。日常に埋もれる一瞬だったり、とりとめもない事象に輝く何かがある。


足の長い雨が降る平日の午後、僕らはひっそりと窓ガラスに反射するタクシーの灯りを見て、そんな話題を思い起こすかもしれない。

コッツコッツと壁掛け時計が静かに時を刻む。

あるいはタクシーの灯りは僕らに暖炉の薪を想起させ、仄かな橙色の炎が湯気の篭れる紅茶を呼び起こし、白い食器棚からティーカップを運ばせるだろう。

でも食器棚は空想上の産物だから、僕らはその想像上のカップに映るガーネットのような紅茶に砂糖を幾つ煎れるか考えるだけにして、やはりただタクシーの過ぎゆく姿を見詰めるだけで、そのテールランプの滲んだ光線を視線で追う。

悠久の窓ガラスはいつしかそこにある。

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投稿者 ko : 2005年04月08日 13:06 | トラックバック(0)
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