2005年05月07日

Aphorism [アレックス・ガーランド]

思いうかべてみろよ、ラグーンを。

背の高い岩壁にぐるりと囲まれ、外海からも、近くを通る船からも遮断された秘密のラグーン。

想像してみろよ。真っ白な砂浜。

一面に広がるサンゴ礁。ダイナマイト漁やトロール網によるダメージなんてどこにも見あたらない。

淡水の滝は島のあちこちに散らばり、熱帯のジャングルがすべてを覆いつくしている。
ぶ厚い緑の天蓋、千年近くも手つかずの植物、極彩色の鳥、木の上で遊ぶ珍種の猿。

まっ白な砂浜の上では、サンゴの庭で魚とりをしながら、選りぬきの旅人たちが小さな共同体を成して暮らしている。

旅人たちは好きなときに島を去り、好きなときにまた戻ってくる。

けれどもビーチは変わらず、そこに存在しつづける。


アレックス・ガーランド『ビーチ』(小説家)

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投稿者 ko : 2005年05月07日 12:06 | トラックバック(0)
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