2005年05月18日

Best Of LOSO

Best Of LOSO(LOSO 1998)

1995年に結成。惜しくも2002年12月に解散をしたタイのロックバンド LOSO 。

ボーカル兼ギタリストのセーク(Seksaan Sukphimaay)、ドラムスのヤイ(Kitisak Khotkham)、ベーシストのラット(Aphirat Sukhajit)の3人からなる今バンドのベスト盤。アルバム自体は5枚リリースされていて、そのうちの「LOsociety」より6曲、「Special」より3曲、「Entertainment」より5曲、が選曲されている。

僕のお気に入りの曲は、なんと言っても1曲目の「som saan」で、メロディアスなアコースティックギターの出だしが最高。一発でノックアウトされた。

97年、98年のタイをめぐるホットなナンバー。

当時、カオサンでもパンガン島でもチャン島でもサイアムスクエアですらも、つまりタイ中で、ラジオやラジカセから聴こえてきたのはこの曲で、きっと椰子の木に囲まれながらシンハを片手に口ずさんだ人も多いだろう。

僕が想い出すのは、チャン島に滞在した時の記憶だ。

98年の6月だったと思う。

その年に大学を卒業したけれども、就職もしないで東南アジアを当ても無くプラプラしていた頃の話だ。当時のチャン島は、それは本当に楽園で、手付かずの自然とわずかな旅人達が居るだけであった。島には粗末なバンガローがいくつか点在する程度で、夜になるとただ暗闇が訪れて、月を眺めながら、焚き火をする。そんなスタイル。

実際に、島にはバンガローも借りずにテントを張って何ヶ月もロビンソンクルーソーのように生活しているツワモノもいた。タフな旅人が好む島でもある。

僕らは、島の端に位置する数軒のバンガローを管理する宿の世話になった。台風で落ちた椰子の実を飲んで(後日、地獄の蛇口を捻ったような下痢をしっかりと罹った)、早朝、波打ち際に上がった名前も知らない魚を枝を集めた焚き火で焼いて食べて過ごした。雑炊(カオトン)の美味しい小さな食堂もあって、そこでは雨宿りもできるから、あまりにも酷い台風のときは懐中電灯を片手に、急ぎ足で避難して、ハンモックを揺らしつつ雨雲をただぼんやりと目で追っていた。

その食堂兼バンガローでは、25歳ぐらいのタイの若者が働いていて、何をどれだけ話したのか不思議と記憶の海から汲みだすことはできないのだけれども、雨なんぞが降った日には何もすることがないのだから、とりとめもなく粗末な英語で語ったりした。「タイはどうだ?」「いつまで島にいるんだい?」と。

布スカートみたいな臙脂色のタイパンツを穿き、上半身裸の状態で、白い日焼け止めパウダーをたっぷり塗りつけたその若者は、雑音が混ざるラジオから「som saan」が流れると、パチンと指を鳴らして「グゥートゥ マー マイ クォーイ チォー クライムアン ター♪」と軽快な足取りで謳いだしていた。

僕はその曲と、彼のその楽しそうな姿を見るのが凄くお気に入りだったし、夜も昼もヘビーローテーションで流れるものだから(当時のヒットナンバーなのだ)、3日もすれば自然と覚えてしまった。

「これ、いいな。なんて曲だい?」
「LOSOさ。LOSOのsomsaanって曲だよ。ナイスだろ?」
「ああ、いいね。すげぇかっこいいよ」

いまでもその曲を口ずさむと、チャン島で食べたイカの雑炊とその若者の澄み切った笑顔と、食堂から眺めたアジアの空が浮かんでくる。僕はまだ23歳で、時はまだ20世紀だった。トランスか旅かしか選べなかったわりには、なんとかうまくやり過ごしていたようだ。

「Best Of LOSO」
1 som saan
2 theeb khaad cai
3 mai taai rook ther
4 cakayaan sii deng
5 chan ru ther tii plian pai(ORIGINAL VERSION)
6 arai koo yoom
7 khei book waa rak kan 14 leuk leeo too kan
8 rao le naai
9 mai tong huang chan
10 khun ther
11 mee
12 duai tua rao eeng
13 yaak book waa siacai
14 leuk leeo too kan

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投稿者 ko : 2005年05月18日 21:47 | トラックバック(0)
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