2005年06月13日

第1回シンジク会

良く晴れた週末。

梅雨入りなんて天気予報じゃ得意げに宣言しているわりには雨なんて降りやしない。

肌にまとわりつく湿度だって心地よいくらいだ。

雨のない休日と言うのは、雨が降りつづけているゴールデンウィークよりずっと価値がある。少なくとも僕にとっては。

携帯の緑色にランプが灯る。緑色に灯るのは友人からのメールだという合図。カチャリ。

「19時新宿に集合だ。さっさと来やがりたまえ」とケンカネコ氏からメールが到着。

今日は第1回シンジク会である。

場所が新宿であれば、何をするをも咎められないというコンセプトのもとに設立された集会。

その記念すべき歴史のスタート。栄光への架け橋。

プールの水面に漂う水泡を膨らましたようなアイデアから浮かんだこの企画が産声をオギャァとあげてから1週間、果たしてうまく運用されるのだろうか。

なぜなら〝企画潰し〟のゴールデンコンビという全然ありがたみの欠片もない異名を持つ2人でも在るので、これからも第2回とかって続くの?なんて疑問も無きにしもあらずだからだ。

だって、そもそも第1回だって、ドタキャンってカードを切りまくる連中なわけだし、集まるまでは分かりゃしない、不安が細かい塵のように空気中を舞う。

それは今日の湿った梅雨の空気のように肌にまとわりつく。

なんて思っていたら、ホーラ来た。メールだよ。

差出人:
ケンカネコ

件名:
なし

本文:
わるいっしぺぷ。ちょっと遅れるだわさ。アレがこれで、ちょっと。まぁ、ゆっくり来て。ウホ。(ほとんど脚色 by ko)

早くも遅刻である。これだから目が離せない。

つっても待ち合わせの19時に間に合いそうもない場所に自分も居たので何も言えない。お互い様だ。

むしろ僕にしてみれば棚からぼた餅が降って来たような気分である。

そもそも僕自身は、第1回なのに、あんまり長居ができないなんていうドタバタスケジュールだ。明日は、栃木の佐野にちょっと行くので、ウシオ邸にお泊りするのだ。終電までには撤収である。

*
*

ゆっくりと丸の内線に乗り、欠伸を数回すると新宿三丁目に着く。

今日は「つな八」で天婦羅を食する予定、ダンディな我々にはピッタシすぎる食事。

「つな八」は天婦羅の名店として名高い。

わざわざ遠くから足を運んでここで天婦羅を食べるお客さんもいるくらいだ。

さっくりとした衣。帆立はじわっと、それでいて素早く揚げているので、中身はうっすらと桃色を放っている。それを塩で食べる。

名店なのでもちろん常に混んでいる。週末は店の外まで行列ができるぐらいである。

先に並んでいるという事なので、店まで直行し、暖簾をくぐる。椅子に座ってぼんやりをケータイをいじっている男が視界に入る。奴だ。

「ハロハロ、久しぶり」

お互いの知っている友人の結婚式が最後に会った時なので、かれこれ1年半ぶりの再会だ。

それでもあんまり久しぶりって気もしない。なんか先週にでも会ってんじゃないかと思う向きすらある。

不思議といえば不思議。

とりあえず会ったら罵詈雑言を浴びせると言うのが長年の付き合いがなせる業でもある。

「つか、超おせえつうの」

遅刻したのは自分でもあるのにとりあえず僕が口火を切る。

「いや、ちょ、わりい。なんかさ、遅くなっちゃって。でさ、連れもくるんだけど、それはもっと遅刻するんだよね・・・」

「マジかよ、もっと遅くなるの?腹減って死んじゃうっつうの。どれくらい?20時半?お前、あと1時間あるじゃねぇか。いいよ、先に座ってビールでも呑んでいようぜ」

素晴らしい友情。

もし悪魔超人がそこに居たら、「アレ、この眼から流れてくる水は何なんだろう?」と首を傾げて涙を流すシーンである。

1時間もここで待っちゃう?ぐらいのアイデアを展開する友人にアタマがクラクラした。

*
*

スムーズ進行で2階のテーブルに席を確保して、とりあえずビールとつまみを頼む。

ここの天婦羅は普通にボリュームもあるので、つまみはさっぱりとしたものを選ぶ。

つまみから進めるのは今日は初めてだ。

ケンカネコ氏がまだ新宿で勤めている数年前、この男のお勧めで紹介して貰って以来、僕はここの天婦羅の虜になっている。並ぶだけの価値があると思う。

この男は、旨い店をよく知っているので、僕はよく耳を傾けるようにしている。

ここに来たら、カウンターには座るな が彼のモットーなので、僕はまだカウンターには座ったことがない。カウンターはゆっくりできないらしい。彼がそう言うのであれば、きっとそれは正しいのであろう。

つまみは「長芋の酒盗かけ」をチョイス。サッパリとシャキシャキの長芋に酒盗の塩気がよく合う。

エビスビールが届く。乾杯。

白いむっちろとした泡がビールの苦みを目立たせる。美味い。

*
*

お互いの近況を語り、待ち時間を過ごす。

さて、今日のテーマは「借りパク」。

「借りパク」というのは借りたままパクる自分のモノにした)の略語。

10年以上付き合っているとお互い(若しくは他の連中も含めて)「借りパク」アイテムが増えてくる。

人によってはパクられるよりパクる方が多いなんてのもいる。

「なぁ、俺のアニエスのシャツ、どうした?」

アニエスのシャツ?やべ、そんなの借りてたっけ。つか、もう家にない。誰かんところだ。

「え、もうないよ。だって相当昔の話じゃん。どっかいっちゃったくさい」

うん、絶対、家にない。どこいったけ、あのシャツ。

「でたでた、俺ん家来て、漁りまくったじゃん、○○と一緒に来て。チノパンとか持ってってさ」

そうだったか、でもチノパンの「借りパク」は俺じゃないよ。

「そうかもしんない。懐かしいなぁ。つかさ、それはいいんだけどさ、俺のL・Lビーンのウエストバッグ、どこ?もう7年ぐらい見掛けないんだけど」

「いや、それは俺じゃないって。○△☆がパクったんじゃないの?」

夜が更けてゆく。消えたアイテムは見つからない。それが友情。それが「借りパク」。

きっと夜空の露にでもなったのだろう。

シンジク会。どうなることやら。

第2回は未定である。

新宿 つな八
http://www.tunahachi.co.jp/

blank_space
投稿者 ko : 2005年06月13日 21:44 | トラックバック(0)
コメント
blank_space
コメントする









名前、アドレスを登録しますか?






blank_space
Trackback
blank_space
Powered by
blank_space