2005年10月19日

カスピ海ヨーグルト

かつて我が社に、女の子とデートするなら、たとえ待ち合わせが13時だとしても朝の5時に起きるのを屁とも思わない、勇者なのか果たしてヘッピリ腰なのか分からない男がいた。

もちろん前の晩は、彼の希望通りにコトが運んで連れ込むことができないとしても、デート場所近くのホテルは押さえている、そういう男だ。

彼の決戦日は朝5時にステレオから聞こえてくる英会話レッスンのCDから始まる。

いや正確に表現するなら彼のデートはその前の晩のセンズ…、と書くのに躊躇するソロプレイから既にキックオフしている。

ちなみにこの男は外国にも行ったことがないし英語に長けているというわけでもない。

英会話のCDというのは、まだ見ぬ本日のお相手に向けるにあたり、これだけ俺は知的なんだぜというデートの準備における彼なりのアピールなのだ。

アルファ波がピュンピュン飛び出て成功のヴィジョンが掴めると言う。
ナポレオンヒルですら展開しない論理である。

アホだなと思った貴方の直感は正しいと思っていい。

「流れている英文なんて1ミリもわかんないっすよー」、のちに彼はこう述懐した。

そして英会話を己の下半身にたっぷりとインストールしたら、次に待っているプランは半身浴だ。
どちらかというと半身欲と書いたほうがいいかも知れない 。

このときまだ朝の6時。

待ち合わせまでに余る時間はゆうに6時間。
東京からフラっと富士山に行って、遊んで帰ってきて、クソしても1時間ぐらいは余る時間。

さて、半身浴は1時間掛けて行なわれる。じっくりと手製のせんべいを焼き上げるように生ぬるいお湯に下半身だけ浸かるのがポイントらしい。押さえるポイントが間違っているのはとてもじゃないが彼の姿を見る限り伝えることはできない。エッフェル塔は空高く突き上げているのだから。

半身浴は勝利の大事な要素っすよ。そんな風に彼は言った。ぐっと親指を突き上げて。キャップを後ろむきに被ってフル笑顔で。でも、負け武勇伝しか教えてくれない彼のその台詞自体が、これまた信憑性がスカスカなあたりがとってもナイスだ。

で、ようやく朝食が訪れる。フツーの人が朝起きたらとりあえず食べる朝食がようやく訪れる。起床から換算して2時間足らず。

朝食にチョイスされるのは、カスピ海ヨーグルト。気合は十分。

どんな文献を読んでもカスピ海ヨーグルトがデートに効果てきめんとは謳っていないけど、まあ、いいのだろう。

カスピ海ヨーグルトは自家製だという。

そもそもカスピ海ヨーグルトというネーミングがステキだ。

琵琶湖そうめんとか多摩川まんじゅうとか六本木心中とか、組み合わせ的に正しいんだか正しくないんだかってところが素晴らしい。
カスピ海ヨーグルトは普通のヨーグルトより健康にいいそうだ。なるほど、そうかもしれない。

体だけが丈夫そうな彼を見ると説得力がある。

で、カスピ海ヨーグルトを作るならなんといってもこれ。

デートする予定がある人もデートする予定がない人も、これさえあれば牛乳パックを差し込むだけで家でカスピ海ヨーグルトも作れるし、普通のヨーグルトも作れる。これはいいかもしれない。

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投稿者 ko : 2005年10月19日 19:19 | トラックバック(0)
コメント

彼のその後の話も書いてあげたらどうですか?

Posted by: deltazulu at 2005年10月19日 20:40

三鷹の森玉砕事件でしたっけ。元気にしてるかなぁ、彼。近々ひさびさに連絡してみましょうかw

Posted by: ko at 2005年10月19日 22:46
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