ウォー・ゲーム【1983年 アメリカ】
監督:
ジョン・バダム(John Badham)
キャスト:
ディヴィット --マシュー・ブロデリック(Matthew Broderick)
ジェニファー --アリー・シーディ(Ally Sheedy)
フォルケン --ジョン・ウッド(John Wood)
マキットリック --ダブニー・コールマン(Dabney Coleman)
元祖ハッキング&コンピュータークライシスの映画といえば、なんと言ってもこの「ウォー・ゲーム」。
この作品以外は考えられないぐらい、80年代の冷戦を代表するSF近未来大作。
シアトルに住む18歳のコンピューター少年ディヴィットが新しいパソコン欲しさにコンピューター会社に不正アクセスして侵入しようと試みたところ、アメリカ国防庁の最高軍事機密レベルにある端末に偶然アクセスしてしまう。
「世界全面核戦争」と称されるシュミレーションゲームを軽い気持ちでログインするディビットだが、なんとそれは実際に現実世界に直結した、ゲームではない世界を核の恐怖に落とし込む操作だった。。。
83年公開ということあって、派手なCGもなくユルい雰囲気と、ほんのり残っている70年代の風潮がなんともいえない味を醸し出している。
音響カプラーでネットに繋げる姿は今となってはある意味新鮮だし、外部メディアも〝大きい海苔〟みたいなフロッピー。国防庁のセキュリティ室はマジックミラーだけ!!
そしてこの時代のアメリカの仮想敵国といえば、いまやその影を追うのすら難しい旧ソ連。
秘密主義的なその国家背景は、当時の多くのスパイ小説や映画の題材となった。
この「ウォー・ゲーム」の仮想敵国も、もちろん旧ソ連。時代が変われば映画も変わるってやつだ。
公開当初は、マシュー・ブロデリックの甘いマスクが演じるコンピューター少年がなかなか好評だったとか。
なにせこの頃の端末といったら、今のパソコンの普及とは桁違いにマニアックな(こういう言い方をしても恐らく語弊がないだろう。当時、個人でパソコンを所有してネットに繋げている者は少し変わっていた)商品だったし、実にオタクなアイテムだったのだ。
その商品を高校生ながらに巧みに扱い、しかもバックドアから侵入を試みる。この配役設定は多くの潜在的コンピューター若者を虜にしたらしい。
物語中盤、軟禁されていたディヴィットが抜け出し、途中の電話ボックスからコインを使わずに裏技(受話器を外した電話機に空き缶のプルタブをくっつけ電波に同調する方法)で、ジェニファーに掛ける姿は今でも実に新鮮だ。
このシーンには個人的な思い入れがあって、小学生の自分は、映画を観に終わって、この映画をそのまま鵜呑みにして、近所の電話ボックスから同じことをしようとして大目玉をくらったことがある。
コンピューター社会を杞憂する映画としては時代的に〝早すぎた〟感があるのだろうか。端末任せの管理システムが問題を起こすという映画ならではの出来事に現実がようやく追いついてきたようだ。「ウォー・ゲーム」みたいな事件てフツーにありそうだもんね。だからこそ、20年以上経っても色褪せない飽きさせない映画だし、そういった古臭さを抜きにしたって21世紀に楽しめるエンターテイメントなのだろう。