2006年01月31日

ペティナイフ

果物ひとつ食べる行為を見ても、文化や国によって違いがあるようで、例えば葡萄を食べる時に、ヨーロッパ人のほとんどが皮を剥かずに、若しくは吐き出さないで、そのまま食べるのが普段の習慣になっている。

意外にも亜大陸インドにおいて、葡萄はポピュラーな果物で、ロザリオ・ロッソに近い赤葡萄やマスカットが、2月くらいからしょっちゅう屋台で顔を出していた。

小粒だけれど甘みがあり、それでいて、日本で買うより安価だったため、見かけるたびに買っていた。

喧騒的なカルカッタのサダルストリートにある老舗のゲストハウス、そう、あのパラゴンホテルの重々しい鋼鉄の玄関の横に毎日同じ夕刻になると並ぶ籠を持った果物売りも同様で、その日の収入を得ている彼らの主力な商品は、バナナと並んで葡萄が圧倒的だった。

水道から直接汲み取るローカルウォーターで洗い、インクの滲んだ新聞紙に並べて、まだ肌寒いカルカッタの夜を蝋燭の灯りで過ごしつつ、毎晩テラスで食べたものだ。

2月のカルカッタの夜は日本の5月くらいの季節で、バティックに包まり、気持ちのよい夜風にあたってノンビリできた。

テラスで思い出したが、カルカッタにはなぜかチョウメン(チベットの焼そば)の旨い屋台が多く、懐かしい故郷の味に近かったので、テイクアウトに持って帰って、チョウメンと果物で食事を賄った。

パラゴンホテルは日本人以外のヨーロッパ人の旅人も常宿にしていたから、彼らも夕刻になるとぞろぞろとテラスに現れた。

僕らが葡萄の皮を吐き出しているのをみると心底驚きの表情を見せ、、キョトンと僕らが皮を吐き出している姿に「日本はマジで贅沢だなぁ」としきりに感心していた。

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一箇所のゲストハウスで一番長く生活したのはポカラのレイクサイドにあるゲストハウスで、3ヶ月ほどひとつのゲストハウスに滞在していた。

ゲストハウス以外となると、サウスアンジュナのルーシーズハウスになるが、ルーシーの家は行くところではなく、帰る場所だから、意味合いが異なる。

3ヶ月のゲストハウス生活となると、それは宿での生活というよりはアパートに近い生活なのだけれど、旅人の中にはゲストハウスに3年住んでいるようなツワモノがごろごろしているのだから、それはそれでキリがない。

ポカラのゲストハウスは庭にある台所が使えたので、たまに気が向くとそこで食事を作った。

簡単な料理ばかりで、パンにヤクのチーズを挟んだサンドウィッチや、スクランブルエッグなどを作っては気の向くままに食べた。

果物はインドほどではないが、とりあえず食べられて、バナナやオレンジ、林檎が一般的だったと記憶している。

林檎を食べるスタイルとなると、これまたお国柄が出て、僕らが包丁で全部カットして、お皿に並べてから食べるのに対して、ヨーロッパ人はぺティナイフを使ってちょっとずつ切ってナイフに乗っけてそのまま食べていた。

もちろん包丁やペティナイフがヴィクトリノクスのナイフであることは往々としてあったわけだけど。

ぺティナイフはヨーロッパで包丁以上に頻繁に使われているアイテムで、ちょっとしたハムや肉やチーズを切ったり、果物を切ったりするのに重宝する小型のナイフのようなものだ。

ぺティナイフで林檎を剥くときは全部を向かないで、片手で持つところだけ皮を残す。

皮のむいた実の部分は一口サイズに切ってナイフに乗っけたまま口に運ぶか他の食べる相手にあげる。

ちょっとずつ果物を食べる時間はゆったりとしていて至福だった。

贅沢な過ごし方のひとつだ。

そして、ペティナイフを上手に使いこなす人が食べる林檎ほどなぜか美味しそうに優雅に見えたものだった。

さっと手元にあるサフィーと呼ばれる布でナイフを拭くと布袋にしまう姿に惚れ惚れした。

日本でペティナイフとして有名なのはヘンケルスだろう。

ステンレス製だから錆びることもないし、手入れがラクである。

ペティナイフを買う条件は、なんといっても持ちやすさと切れやすさに尽きるわけだが、どちらを考慮してもヘンケルスは見事だ。

スパっと切れる正確さはさすがとしかいいようがない。

値段も手ごろで探せば2千円代からあり、それなりのモノが買える。


Zwilling ツインフィン ペティナイフ 130mm


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投稿者 ko : 2006年01月31日 19:19 | トラックバック(0)
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