・森山大道 「写真よさようなら」
アレ・ブレ・ボケ・ハイコントラストなどの手法で写真を手がけた森山大道が、1972年に発表して、多くの物議を醸した写真集。
写真を徹底的に解体して再構築したこの写真集は、いまだに観る者の心を捉えて離さない。なにせ「写真よさようなら」なのだ。
森山大道の写真は、鰐や蛇の鱗の一枚一枚が写真であるような、薄気味の悪い、背筋に汗が流れる感覚のする写真ばかりだ。風邪を引いてうなされた時に感じる既視感みたいな。ページを綴るごとに自分の喉が渇いてしまっていることに気が付く。
ネガが現存していないということで、オリジナルから写真を焼き増し、しかも中平卓馬との対談も割愛されているが、古書店で見つからないばかりか超高値で取引されている一冊なので、この再発は嬉しい限りである。
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