「老人と海」でノーベル文学賞を受賞したアーネスト・ヘミングウェイは、晩年思うように作品が描けず猟銃自殺をした。
彼が愛した万象は限りがなく、猟銃、冒険、女性、酒、料理をこよなく愛した。
そのモチーフは作品にも色濃く顕れているようである。
スペイン内戦などの戦争へのアプローチもたやさなかったせいか、日本文学ではどうしてかベトナム戦争にアプローチをみせ、釣りやグルメ、冒険に同じように情熱を費やした開高健と比較される。
僕自身はこの比較にはあまり馴染めなくて、どちらかというと、ヘミングウェイの作品には、開高のそれに比べて、絶対的に人間が滲み出す儚くとも切ないユーモアが描かれていない、と理解している。
同様に、実を言うと、幾度となくヘミングウェイの作品を読んでみたが、これがどうして高く評価されるのかは理解できない。
ヘミングウェイの作品は絶対的に白人主義に則って展開されているのが、どうも僕には向かないみたいだ。
それだけ好まない傾向の作家なのだが、実のところ、一冊だけ書籍が我が家にある。
「ヘミングウェイ美食の冒険」(2520円)という99年にアスキーから出版された翻訳書で、現在は残念ながら絶版だ。
ちなみにAmazonだと4000円前後で取引されている。数年前くらいはアウトドアショップの書籍コーナーとかにポツンと飾っていたのを見たりしたので、何処かで見つけた際には手元においておくのもよいだろう。
実際には、これは彼の文学そのものではなく、ヘミングウェイの作品に登場するさまざまな料理を実際に作って、そのレシピを載せているわけなのだけれど、非常に楽しい本である。
野外料理が多いのでアウトドア派にとっては大変興味深いだろう。
釣った鱒に強力粉をつけてベーコンで味をつけるフライや、野草料理。ヘミングウェイゆかりのカクテルレシピの数々。野営地で飲む珈琲やパンケーキの作り方。
お酒やカクテルのページには彼が愛したラム酒のレシピ「モヒート」も載っている。
ラム酒とミントを入れたグラスに、砂糖を少し落として氷と一緒にステアしたカクテル。
後味のすっきりとした、ミントの香りがするキューバのカクテルだ。
初夏に呑むなら、こんなカクテルで。
ところでカクテルといえば、こちらはサントリーが運営するバー検索ナビ。
まだ載っている店舗は少ないようだけれど、バーのみに絞ったDBで、駅名からの検索、地域からの検索が出来るのでそれ相応に使いやすい。
今宵呑む場所をこんなサイトから見つけるのもいいかもしれない。
─BAR-NAVI─