1.なんかザリガニっぽい。
2.美味しくない。
3.見た目が蟲みたいでNG。
4.赤と白の配色とお腹の曲がり具合が、どう考えても芋虫。
4.食べると痒くなる。
アレルギー食物の中では意外と上位に食い込むのが、エビや蟹の甲殻類。
トロポミオシンという蛋白質の成分が原因。
甲殻類アレルギーは、これらの食物を食べてしまうと、身体中が痒くなり、唇が膨れあがって、呼吸困難になるという散々なもの。
酷い場合には、三途の河への片道切符がもれなく貰える。
エビとか触ると何故か指先が痒くなる人は、プチ甲殻類アレルギーなので注意。
僕は小さい頃からとにかくエビが大嫌いで、味も見た目もNGだった。
物心がついた時点で食べようとしなかったので、根っからのアンチ・エビ派だ。
やがて小学生になり、好き嫌いを克服する教育の一環で一度だけ食べたところ、身体中が痒くなって散々な目になった。
それから数年後、高校生のある日、当時付き合っていた彼女が「ウチに遊びにおいでよ」ということで、僕は遊びに行った。
ご飯を作ってくれたらしく、テーブルには何やら美味しそうな洋風の肉団子が湯気を立てて並んでいた。「へぇーすごいじゃん」とか言いながら一口食べてみると、何か幼き頃の悪夢が脳裏を霞んだ。
「アレ?なんだろ。この味。なんか変だぞ。なんだっけ」
僕がモグモグと食べている姿の一挙一動を彼女が懸命に見守るので、僕はすぐにピンときた。
ははぁ、これってほんとは海老団子なんだな。
僕はすぐさま聞いた。
「・・・ねえ、もしかして、これ、エビ?」
彼女は「全然違うよ、そんなの。アハハ」と純粋無垢な子犬だってかなわない笑顔で笑い飛ばした。
だから僕も─ったく、俺のバカバカと恥じんで─景気よく笑い飛ばした。
「アハハ。そうだよね」そんなこと、な・い・よ・ね。
でも実際には、これはエビじゃないかと疑い続けていた。
彼女と食事に行く時、僕が「エビが食べられない」というと、しょっちゅう眉間に皺を寄せていたからだ。
好き嫌いは諸悪の根源ともとれるぐらいの考えを持った人だった。
肉に見せかけてエビを混入するぐらいのことは朝飯前にするような人だった。
僕は不安になりつつも、結局、全部の肉団子を平らげた。
それから数十分後、僕の視界がどんどんと狭まってくる。
息苦しい。身体全体が痒いし、内臓の中で毛虫が運動会を始めたような痒みが駆け巡った。
「ねえ、怒らないから言って。さっきのエビでしょ?俺、エビ食べて痒くなったことがあるんだよね」
のたうち回っている僕を見て彼女がポロポロ涙を流しながらこう告白した。
「うん、好き嫌いを正そうと思って、エビたくさんいれたの。」
ごめんね、ごめんねと彼女がしゃくりをあげて泣いている。
やばい、エビで死ぬ。
えっ、もしかして〝エビ殺人事件〟?本気でそう思った瞬間だった。
みなさんもエビにはくれぐれも気をつけて。