銀河鉄道の夜【1985年 日本】
監督:
杉井ギサブロー
原作:
宮澤賢治
原案:
ますむらひろし
音楽:
細野晴臣
キャスト:
ジョバンニ --田中真弓
カムパネルラ --坂本千夏
星祭りの夜の出来事、ジョバンニは病気の母親の為に牛乳をとりに行くために、町はずれを歩いていた。するといつの間にか、天気輪の丘へ来ていて、目の前には巨大な機関車が停車している。ジョバンニが汽車に乗り込むと、星の野原へと走り出した。汽車にはジョバンニの友人、カムパネルラも乗っていた。
映像化が困難とさえ囁かれた宮沢賢治の不朽の名作「銀河鉄道の夜」をアニメーション化した大傑作。
監督は「タッチ」や「日本昔話」で有名な杉井ギサブロー。
原案は漫画家のますむらひろしが手がけている。
登場人物がほぼ全員、擬人化した〝猫〟で登場しているのが大きな特徴だ。
ますむらひろしは、サウンドトラックの解説で、宮沢作品を描こうとして、人間の姿で描いたけれど、宮沢作品の登場人物として思うように描けなかったので、猫で登場させたと述べている。
僕個人としては、この作風に実に大賛成。
後々に宮沢賢治氏の実弟氏から少し物言いがあるなど話題もあったとはいえ、「銀河鉄道の夜」という非常に幻想的である意味現実離れした作品を映像化するにはこの方法は相応しいと思う。
物語の台詞は原作に非常に忠実で、何処でもない不思議に満ちた幻想的な世界が続く。
細野晴臣のサウンドも見事にマッチングしていて、テクノ調の曲が映像と競うように主張している。
時にはメロディアスに、時にはアンビエントに、まるで物語のように進むサウンドトラックだ。
「僕はもうあのさそりのように、みんなのほんとうのさいわいのためなら、僕の体なんか百ぺん焼いてもかまわない」
物語の終盤、ジョバンニはこの台詞を呟く。
僕は酷く喧騒に疲れて静けさに包まれたいような時、この映画を観ることにしている。
厳粛度★★★★★