日常語の常套句においても同国は出てきて、インド人が話す会話に耳を澄ますと「チェロ、パキスタン!」と呟いているか、怒鳴っている光景を目にすることだと思う。
インド亜大陸を旅するバックパッカーの間で、省略して「チェロパキ」と交わされている台詞だ。
「チェロ」はヒンディ語で「出てけ」とか「あっち行け」といった、ぞんざいな扱われ方をする言葉で、インド人は野良犬に向かって「チェロチェロ」と追い払ったりしている。
外国人が、インド人からこの言葉を浴びせられるといったら、商品を買うときに、大幅に値下げを試みた場合だろうかと思う。
インドの買い物というか商品には、値札が貼ってなく、極端に言うと〝買い物をするときには値段交渉が必要〟な国である。
もちろん、ボンベイにあるマクドナルドで買うマックフライポテトが、買う人によって30Rpだったり、55Rpだったりする、というわけではなく、値札がある然るべきところには、ちゃんとあるけれど、ないところには、そんなもの最初からありはしないのだ。
だから買い物をする人は、その人が持つ経験や度胸、ブラフ(はったりや駆け引き)、さまざまな能力を引き合いにして、安く買わなくてはならない。
「別に私は値下げなんかしなくていいもの」と開き直って、言い値で買う輩がいるけれど、殆どが他の旅行者から蔑まされたり、馬鹿にされたりする。
そんな値段交渉がある国で、インド人もびっくりな値下げを試みてしまうと、「チェロ パキスタン」と冷めた口調で言われて、追い払われるのだ。
インドに滞在して一度も「チェロパキ」の洗礼を受けてない輩は残念ながらボラれていたと思ったほうがいい。そうでなければ毎回ギリギリの適正価格で買っていたか。
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ところで、旅人が提示される価格には3種類があり、よく「ジャパニーズプライス、ヨーロピアンプライス、イスラエリプライス」と囁かれたりしていて、ジャパニーズプライスが一番高く、イスラエリプライスが一番安いというのが世間一般の見解のようだ。
イスラエリは、外国に行くと、いたるところにいる旅行者で、タフな具合に金銭交渉に長けているというのが特徴だ。
インドにおいて、インド人VSイスラエリの値段交渉を見るのほど、暇な旅行者にとって楽しいエンターテイメントはなく、さすがイスラエリ、インド人から「チェロ パキスタン」となじられても、顔色ひとつ変えずに笑顔で「OK、Let's go with you(よし、お前と一緒に行こうぜ)」とすぐに切り返し、なかなか引き下がらずまた交渉を再開していたりする。
インド人も舌を巻く旅行者だ。
僕ら日本人旅行者の間では、「チェロパキ」という言葉そのものが一人歩きして、その語呂や語感が感覚的に遊ばれ、インド亜大陸を旅する旅人達の言葉として溶け込み、だんだんと形容動詞化して、高頻度で使われていくようになっていた。
日本人らしい特徴である。
お腹が痛いとか、朝が起きれないとか、そのほかここでは書けないヤバイことに対して「チェロパキってんじゃねえぞ」とか、「チェロパキっちゃった?」という風に、「チェロパキ」が頻繁に日常会話に登場した。
僕自身も何度かチェロパキすぎちゃって、その最たるものはガンジス川のほとりにあるゲストハウスで18時間気を失ったという体験だ。
こんときばかしは、脳も身体も人生も総てがチェロパキ状態だった。
では、パキスタンで。
1000人のおっ○いをチェロパキった・・・
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__2047375/detail?rd
お、名刺さえ渡せばオッケーなんですかね。おっ○い・・・。