映画館の大きなスクリーンと音響で味わった時の感動が、そのまま自宅で味わえるとは限らない映画というのがある。
熱狂が冷めたのか心の様変わりか、それとも小さなスクリーンじゃ愉しめないのか、明確な理由があるようなないような、とにかくあの日の昂奮は帰ってこず、狸に化かされたような気持ちになる映画だ。
DVDの映画ソフトを購入しようとする時、従来の伝播パターンと異なり、〝口コミ情報〟が高速度で伝達されるインターネットが重宝されたりする。偏り過ぎない意見を情報として収集できるので、Amazonに代表されるような書き込みシステムが、わりと購買基準のひとつの要素となったりするようだ。
こういった書き込みには当然のことながら、絶賛意見もあるし、酷評意見もある。
感情的な意見が書き込まれたりすると、反対派がさらに感情的な足元を蹴飛ばすかのような意見を載せて、そのスレッド自体が荒れるという鬼気迫る例も往々にして起きてしまう。
ただ、「観なきゃよかった」を恐れるあまりに、酷評意見に敏感になるのも考えようだ。万人が万人とも絶賛する映画ってのもないのだから、ひとつの意見として解釈するほうが無難といえよう。
一番詰まらないのは、自分が観もせず食もせず、ただ「いや、だってさ、ネットではこう書いてあったからさ」と虎の威を借る狐じゃないが、他人の意見だけで揺り動かされ、自分の感想のように述べてしまうことだ。せっかくのチャンスを自ら失おうとしているようにさえ思える。
さて、いろいろと絶賛酷評あるけれど、個人的に昨年度イチ押しの日本映画「ALWAYS 三丁目の夕日」。
観る前にブツクサ言うより観てからブツクサ言おうじゃないか。
映画館じゃなくてDVDで観たらどう思うか心配だったけど、DVDで観た結果、やっぱり感動した。まあ、とにかく、ぜひ一度。