僕の周りにはチラホラとキャバ嬢とかホステスが居て、わりと賑やかだったりするのに、自分ではそんなには夜のお店には遊びに行ったことがない。
友達が〝どうしても奢りたいから一緒に行こう〟と誘ってくれたから行くのであって、決してお金が惜しいわけじゃないけれど、自腹を投じてまで遊んだことはない。
なんていうか、気兼ねしちゃうのだ。
西日本でラウンジ、東日本でキャバクラと呼ばれる店は、入店すると女の子が一人附くシステム、タイミングによっては希望の女の子を選べたり選べなかったりする。
僕の知り合いの夜王は、キャバクラに行くと、自分が気に入らない女の子が座るや否やチェンジをする強硬派で(本人は、こぶ平と安田大サーカスを足して2で割ったような容姿)、必ず自分の附けたい子に接客をさせる。
僕はというと、彼のようにチェンジというのが一生懸命働いている子に対してどうしても申し訳ない気持ちになって(というかそこまで鬼になれない)、最初に附いた子とお話をする。
でも別に嫌々ということでもなく、附く子に執着がないだけだ。
それにキャバクラといっても、大したお遊びじゃないわけだから、カラオケしたり適当な身の上話をする程度だ。
僕は煙草は吸わないカラオケはしないと、いささかキャバ嬢が仕事がしにくい客なので、彼みたいにガサツになれずにどうしてもキャバ嬢に気を使ってしまう。
たぶん、こういう遊びには性格的に向き不向きがあるのだろう。
接客しているキャバ嬢が大変そうだなぁなんて考えちゃうので、ネクタイを鉢巻がわりにして結んで、頬っぺたに口紅で渦巻きを描き、キャバ嬢の胸元にお札をねじりこんで笑う友人を見ていると、いつも羨ましいなあと思う。
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北九州で仕事をしていた時期、会社の夜王たちにお誘いを戴いて、仕方なしに〝場の流れ〟で夜の街に遊びに行ったことがある。
夜王たちは、会社の部署を立ち上げに腕を見込まれて、東京から九州まで働きに来た勇者だったので、夜のほうの立ち上げも決して怠ることのないプロフェッショナルな人たちだった。
僕はもう少し観光地とかご当地グルメとかを堪能したいという、彼らからしてみれば完全にアマチュアで、夜の羽を伸ばしたい性格じゃなかったから興味も薄かったけれど、これもひとつの経験かなと思い、一緒に参加した。
まるで地元のように既に街の俯瞰図を熟知して、「夜の歩き方~北九州編~」を完全に自分のモノにした夜王が選ぶ店はさすがにすごかった。
〝とんがりくん〟というお店は小倉の古船場にあって、40分7千円で女の子を膝に乗っけて遊ぶ店だった。
僕は毎朝その店の前を通って通勤していたのに初めて存在に気がついた。
女の子は4人登場する。つまり一人10分間、膝に乗っかるのだ。
乗っかっている間はあんなことこんなことが出来る。
どうしてか店内にはテンポの速いパラパラ系テクノが爆音で流れていて、パチンコ屋のように店員がマイクであれこれと鼓舞していた。
店にいるのはその名に恥じない〝とんがっちゃった〟お客さんばかりだった。
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離れて座ればいいものの、何故か威嚇しあうように狭いテーブルを挟んで座る夜王達だった。
何の躊躇もなくオプションの〝制服コース〟に入会し、みるくちゃんと自称する女の子にパンクラスの選手のごとく耳を攻められる夜王。
夜王の口元がだらしなく笑っている。
今日、会社で見た死んだ魚のような顔はいったいいずこ?
みるくちゃんの目はすっかり獲物を狙うハンターの目。いつ殺ったってかまわない人の目だ。
しかも制服!
絶対そんな高校ねぇよという奇抜なデザイン。
制服着せるとプラス2000円。どうせ脱がすのに2000円!
夜王に不景気という文字は見当たらない。
夜王にとって2000円はどうでもいいこと!
なんだか妙に東京が遠くに感じた夜だった。
とんがりって久々に聞いた。
この日記を見て思ったこと&みんなの代弁
ちょwwwwwおまwwwww
へー。
まぁあえてこれだけにします。
>エンガワ
〝とんがり〟はBoys達の永遠の合言葉ですね、やっぱ。
僕の周りは夜王ばかりで困ったもんです。
>Kennyy
にゃー。
とりあえず猫ひろし式の返信ということで。