・水木しげる 「水木しげるのニッポン幸福哀歌(エレジー)」
「週刊アクション」で連載されていた「日本の民話」が遂に完全収録!
昭和40年代に刊行されて以来、幻の短編集としてマニアの間でも名高いこの作品が、「水木しげるのニッポン幸福哀歌(エレジー)」として文庫で登場。
「一つ目小僧」「役の行者」「打ち出の小槌」「時の神」は、なんと初文庫化。
人間にスポットを当てて、痛烈に社会風刺をし、幸福とは一体なんだろう?というのを水木しげるが感じたままに〝緩め〟で〝シュール〟に描き、「悪魔くん」や「ゲゲゲの鬼太郎」シリーズとは違った人間くさい世界を作っている。
社会風刺の物語は初期の「ゲゲゲの鬼太郎」でも随所に見られたが、この作品は昭和44年のざわついた高度経済成長期の雰囲気を取り込んでいて、いかにも昭和の懐かしい時代が映っている。
個人的に好きなのが、ネズミ男が当時流行ったフーテン(ヒッピーのような若者)としてチラリと登場するあたり。
ファンとして嬉しいシーンである。
少年漫画では描かれない、ちょっとエッチな水木漫画が見ることの出来るのも一興。
とにかくこれが、水木しげるが放つ『幸福』にまつわる物語だ。
ちなみに次長課長の河本が物真似する〝水木しげるの漫画に出てくる人間〟の模写はこの表紙にそっくり過ぎて、少々ビビる。