・吉田秋生「河よりも長くゆるやかに」
米軍基地近くの男子高校に通う男の子達の物語。村上龍の『限りなく透明に近いブルー』を漫画化したような世界観だ。
時代は80年代中期ぐらいで、ヒッピーが出てくるわけではないが、基地の雰囲気に囲まれた土地で生活する若者が登場。
米兵と付き合う派手な姉貴を持つ弟のトシはゲイバーのバーテンをしつつ、ドラッグを闇で売ったり、乱交パーティに女子高生を斡旋したりして稼ぎ、生活している。
金持ちだけれど親が日本で悪名高いサラ金である久保田。
トシの彼女と友達でありながら、トシに片思いの中学の同級生。
吉田漫画の真骨頂と言ってもいいだろう、やはり『河よりも長くゆるやかに』に登場するキャラクターもそれぞれが複雑な家庭環境をもって、心の何処かに傷を負っている。
生き生きと多感な時期を謳歌する何処かに翳りのある人物達。
う~ん、この感じ、たまんない。
作品中は大きな事件が起きるわけではなく、一話毎に完結しているので淡々と物語が進む。
誰にだって思い当たる日常の中のちょっとした出来事の数々。
爽やかな秋の空を思わせるような清清しさが滲み出ている。
なお、登場人物(♂)はエッチなことばっかり考えてモヤモヤしている連中がほとんど。
なんか若い頃の学校って、いいなって思う作品である。
ちなみに『BANANA FISH』ほどアレじゃないけれど、一瞬だけ阿部高和の世界があるので宜しく。
まあ、なんていうかその辺の恋愛というのは人それぞれということで。
※阿部高和
「男は度胸!何でもためしてみるのさ。きっといい気持ちだぜ!」という名言を残したマッチョ。
好きな言葉は「やらないか」。