2006年08月11日

河よりも長くゆるやかに

・吉田秋生「河よりも長くゆるやかに」

米軍基地近くの男子高校に通う男の子達の物語。村上龍の『限りなく透明に近いブルー』を漫画化したような世界観だ。

時代は80年代中期ぐらいで、ヒッピーが出てくるわけではないが、基地の雰囲気に囲まれた土地で生活する若者が登場。

米兵と付き合う派手な姉貴を持つ弟のトシはゲイバーのバーテンをしつつ、ドラッグを闇で売ったり、乱交パーティに女子高生を斡旋したりして稼ぎ、生活している。

金持ちだけれど親が日本で悪名高いサラ金である久保田。

トシの彼女と友達でありながら、トシに片思いの中学の同級生。

吉田漫画の真骨頂と言ってもいいだろう、やはり『河よりも長くゆるやかに』に登場するキャラクターもそれぞれが複雑な家庭環境をもって、心の何処かに傷を負っている。

生き生きと多感な時期を謳歌する何処かに翳りのある人物達。

う~ん、この感じ、たまんない。

作品中は大きな事件が起きるわけではなく、一話毎に完結しているので淡々と物語が進む。

誰にだって思い当たる日常の中のちょっとした出来事の数々。

爽やかな秋の空を思わせるような清清しさが滲み出ている。

なお、登場人物(♂)はエッチなことばっかり考えてモヤモヤしている連中がほとんど。

なんか若い頃の学校って、いいなって思う作品である。

ちなみに『BANANA FISH』ほどアレじゃないけれど、一瞬だけ阿部高和の世界があるので宜しく。
まあ、なんていうかその辺の恋愛というのは人それぞれということで。

※阿部高和
「男は度胸!何でもためしてみるのさ。きっといい気持ちだぜ!」という名言を残したマッチョ。

好きな言葉は「やらないか」。


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投稿者 ko : 2006年08月11日 19:19 | トラックバック(0)
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