順不同でココロに残った映画やら音楽やらアイテムやらをつらつらと。
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映画「時をかける少女」
筒井康隆のジュブナイル小説のアニメ化。ただし舞台は原作の20年後という設定。
当初はミニシアターでの公開だった本作は、口コミを通じて話題を呼び、ついに公開後1ヶ月だというのに連日立ち見が続いた作品。
監督は細田守。芳山和子(原田知世が演じた実写版での主人公)も出演している。
なんといっても醍醐味は、夏真っ盛りのど真ん中な青春。そして、号泣な感動シーン。高校生に戻りたくなる。映画が終わったあとに映画を観た観客が感動のあまり拍手をしたのが印象的だった。
朗報:07年春にDVDが発売予定。
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映画「スキャナー・ダークリー」
P.K.ディックの「暗闇のスキャナー」を原作としたアニメーション映画。キアヌ・リーブス主演。
監督はリチャード・リンクレイター。
個人的に映画製作発表から2年ぐらい待ち望んだ本作。原作者・監督ともお気に入りの作家なので、思わず肩に力が入っちゃったけれど、やはり、すごかった。
ジャンキーどものどうしようもない会話は極限までユーモラスだし、ディックの世界観である"いったい何が本当なのか?"というパラノイア感もきちんと描かれている。
「ウェイキングライフ」でも採用された<実写をアニメ化>する方法でサイケデリック感を醸し出している。
原作者のP.K.ディックは本作品についてこのように語っている。
これは行いを
過度に罰せられた者たちの物語。
以下のものに愛を捧げる。
ゲイリーン(死亡)
レイ(死亡)
フランシー(精神病)
キャシー(脳障害)
ジム(死亡)
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:
彼らは最高の仲間だった。
ただ遊び方を間違えたのだ。
次は別のやり方で遊び
……幸せになることを祈る。
─P.K.ディック
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玉川キャンプ場「KOXBOXのレイブ」
ひっさびさに野外パーティに行ったのが、9月に開催されたKOXBOXのパーティ。
そう、ひさびさだというのにね。もちろん、KOXBOXの音でやられそうになって、ぐるんぐるんになりだしたので、スピーカーの前じゃなくて後ろで踊ってた。
だって、あんなの正面で体験したら発狂するじゃん。
横にゆさゆさ縦にふらふら。
KOXBOXだけがそういう技を持っている。それに気づくのは何時だってライブの最中だ。
今年はKOXBOXにメロメロである。
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音楽「KOXBOX U-Turn」
ということで、KOXBOXのひさびさのフルアルバム。
アルバムだとまるで違う音を繰り広げるのもKOXBOXの特徴なので、正当に評価のできない本アルバムだけれど、サイケ好きとしては持っていないと。
これを聞いてしまったら、今どきのワンパターンなメロディだけの四つ打ちなんて犬の小便みたいなもんである。
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写真集「写真よさようなら」
1972年に発表された森山大道の幻の写真集が復刊。書店で見つからないばかりか超高値で取引されている一冊だったので嬉しかった。
アレ・ブレ・ボケ・ハイコントラストの森山の写真には常に狂気が潜んでいる。
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機材「OHM 5.1chホームシアターシステム」
1万以下で、dts、ドルビーデジタル、ドルビープロロジックIIの3デコーダー。 // 3入力回路(1映像出力端子、同軸コアキシャル入力端子、光デジタル入力端子)。// オーディオ出力:50W(サヴウーファー15W+サテライト 7W×5)が搭載されている驚愕なホームシアターセット。
初心者の音響機材デビュー戦でこれに優る価格帯・機能のものはないんじゃないだろうか。
購入した僕が早速「ラストサムライ」を再生して、サラウンド効果で心臓が止まりかけたのはナイショ。
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新宿ゴールデン街「ナマステ」
まだ一度きりしか行っていないけれど、気にいってしまったバーだ。
薄暗いカウンターだけのバーで、まるでベナレスの裏路地みたいな雰囲気。
小さい音でヨーロッパ音楽やNHKのラジオが流れている。長い積年を通じて営業している店独特の、飴色にてかった天井や壁。
すべてが煤けていてひっそりとしている。セピア色の世界である。
ジャンピエール・ジュネの映画に出てきそうな店だ。
もちろん店名が店名なだけに、インド事情に詳しいママさんが働いている。いかにもアジアンチックという風情の店が多い昨今、時代の流れに逆らうような「ナマステ」のインドっぷりが好きなのである。
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勝沼「ほったらかし温泉」
営業開始時間が"日の出"という温泉。新三大夜景の甲府盆地を眼前に一望できる温泉だ。
宝石を散らしたような眩い夜景、空には星空、そして寝心地のよい露天風呂。
「ほったらかし温泉」がどれだけ美しい景色を提供してくれるか、それを語るだけのボキャブラリーを自分が持っていないのに気づかされる。そういう温泉である。600円という手ごろな料金も魅力的。
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泡盛「白百合」
鷺ノ宮に住んでいる友人宅近くの沖縄料理屋で呑んだ泡盛。
その名前とは裏腹にトンデモナイじゃじゃ馬娘である、こいつは。
土の香りがたっぷりと注がれた、口中に拡がるカビのような独特の湿った香り。強烈である。
芋焼酎よりもクセがあり、くさみがある。呑んだ瞬間に「陽の当たらない裏庭の地面と同じ香りがする」と僕は表現したけれど、これは決してけなし文句じゃない。褒め言葉だ。
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新島「朝市」
6年ぶりに訪れた新島、そして島の朝市。G.W期間中に開催しているのだ。
新鮮な魚のセリを見ることができたり、その市場で購入した魚を炭で焼いて食べたりできる。
そして焼酎の振る舞い酒が出たり、島唐辛子も売られている。
あと、朝市じゃないけれど、新島で有名なのが、島の家庭料理にもなっている漬け寿司。
地魚(新島の漁港で獲れた魚)を捌いて、醤油ベースの特製のたれに漬け込んであるお寿司だ。場所や店によってはワサビではなく洋辛子で食す。ぷりぷりの新鮮な魚は涎もの。キャンプ場もあり温泉もあり、旅人もたくさんいて新島は愉しいところである。
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こうやって並べてみると落ち着いたと思った今年も、案外と新規開拓があったね。来年もフロンティア精神で。