週末に友人の結婚式に参列した。
高校と大学が一緒だった友人は、婿養子になることになったので、苗字が変わる。
東京の本社から群馬の高崎に転勤となり、ようやく1年前に東京に戻れて、つい先日、千葉に引っ越したばかりなのに、部長だか課長に「じゃ、キミ、ここはひとつ名古屋にでも行ってみんかね。」と囁かれて、新居生活1週間ぐらいでまた転勤生活になった友人だ。
部長だか課長が「名古屋はなごやかでいいぞ~」と言ったのかどうか定かではないにせよ、転勤が仇となり、自分の結婚式のために、かつて住んでいた千葉県にやってきて式を挙げたという、やや拍子抜ける話である。
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それにしても転勤者というのも、なかなか大変な身分だ。引越し後に段ボールをあけるまもなく飛ばされるというのは、過酷な世界だろう。
想像すらできない。
名古屋は3LDKで家賃が7万以下というのは魅力的とはいえ、考えちゃうところだ。
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当日、幕張のホテルでひさびさに再会した友人(新郎)は、かつての<センター街のライオンキング>とか<合コン大魔神>いう異名をも手に入れた頃とは相容れなく、すっかりと落ち着きをみせて、彼女(正式には嫁ということになるが)一筋の雰囲気を醸し出してた。
僕は、そんな思い出だけが走馬灯のようにめぐる友人のスピーチを任された。
当然、ご両家の皆様をはじめにご親戚一同が並んでいらっしゃるので、大学1年の頃に<高校生だと思ったら、じつは中学三年生だった>女子をナンパしてしまったエピソードなどをご披露するのは、彼らの門出を祝うネタとしては、おもしろすぎてその場にいる全員の寿命が縮むのでいただけない。
結局、高校時代の話を振ることにしてスピーチを書き上げた。
で、もう一人参列している現役ミュージシャンのRyo介が歌を熱唱することで<友人代表のスピーチ>にした。
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さて、開場まもないという時間、めったに経験したことがないスピーチの緊張が身体中を駆け巡った。
以前、同じように友人のスピーチをしたAri君をお気軽にせせら笑っていた自分を呪う。
待合室にケータリングでウイスキーの水割りが置いてあったので、濃いめに作ってもらって、ひたすら呑み、11時20分に呑み始めて、会場に移動し、スピーチの出番の13時30分まで呑み続けた。
13時ちょうどぐらいにアルコールが身体中に満タンになった。不思議なことに、その瞬間、神の啓示を受けた如くに精神が解き放たれ、緊張が消えた。
いや、それどころか、「俺のスピーチ、まだかなぁ」ぐらいの勢いになった。
そのおかげか、アドリブ混じりのスピーチと歌は大成功。新郎の部長だか社長にまで握手を求められたぐらいである。
いや、まあ、結婚おめでとう。新郎妊婦はさすがにいえなかったな。
そして、アルコール万歳。酒は百薬の長とは、ほんとに言いえて妙だね。