・茂木健一郎「生きて死ぬ私」
科学者が哲学する。
その一言で表しきれるのだろうか、でもまさにその通りなのだ。
まずこの経歴が凄い。
ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程修了。理学博士。
こうやって眺めると、理系と文系両方の総本山を制したのか、と思いがちなんだけど、そういうのを超越した作者であるのが著作を読めば伺える。
最近テレビなどのメディアへの露出も増えてきたので、番組のコメンテーターなどでお目にかかる方も多いだろう。彼の言葉ひとつひとつに耳を傾けて欲しい。脳味噌がピキピキと音を立てて喜ぶこと間違いない。
本書は長らく絶版になっていた。それがようやく満を辞して再販された。文庫である。読みやすく分かりやすい文章。その文中に輝く深い洞察力。
ノーベル賞に一番近い日本人だと噂されている通りの読み応えである。