天国の口、終りの楽園【2001年 メキシコ】
監督:
アルフォンソ・キュアロン(Alfonso Cuaron)
キャスト:
フリオ --ガエル・ガルシア・ベルナル(Gael Garcia Bernal)
テノッチ --ディエゴ・ルナ(Diego Luna)
ルイサ--マリベル・ヴェルドゥ(Maribel Verdu)
高校生のフリオとテノッチはエッチなことで頭がいっぱいの世界中のどこにでもいる高校生。
ガールフレンドと性を貪り、悪い友達をこっそりと煙草を吸ったりする毎日。
お互いのガールフレンドが旅行に行ってしまった彼らが次に目をつけたのは結婚式で出会ったルイサ。
ルイサを誘う口実として、2人はでっち上げた幻のビーチ「天国の口」に行こうと誘う。
そして3人は出かけることになるが、やがてルイサはそれぞれの高校生と関係を持つようになり…。
本作品は、最後のシーン、親友だったフリオとテノッチが夏の出来事とともにお互い疎遠になり、ばったりとカフェで会うその偶然のシーンまでの長い長い伏線なのだ。
あの年頃の若者だけが持つ、感性と感冒性の熱のように過ぎ去った友人との出来事を回想するために描かれていると僕は思う。
友情、裏切り、再会。がむしゃらでナイーブな世代。
そのために監督はルイサさえも失わなくてはならなく、過激な性描写を画面に映し出さなくてはならなかった。
R指定もさながらそのポルノチックなシーンに批判が多い。
でもね、高校生だもの、エネルギッシュでいいじゃないかと僕は思う。
「スタンドバイミー」でキングは〝あの頃のような友達にそれから会えなかった〟と夏を回想しているけれど、「スタンドバイミー」が〝最初からノスタルジック〟に包まれるのと異なり、「天国の~」は、冒頭からロードムービー色が強く、そして最後の手前までロードムービーとして仕上げている。
しかし、観客の視点を高校生の夏の腕白さかりなエロティシズムと放埓な振る舞いに絞りつつ、土壇場で一気に切ない気持ちにさせ、物語を昇華させているあたりがこの映画の見所であり、批判もさながら魅了のある映画として人気が集中しているゆえんであり、監督の凄いところなのだ。
そういった意味でこの映画に流れる総てのシーンが、カフェの再会のために必要な素材となりうる。
ガエル・ガルシア・ベルナルはいわずとしれたメキシコを代表する若手俳優の一人。
1978年生まれの甘いはにかむ笑顔の俳優は、いたる作品で引っ張りだこだ。
チェ・ゲバラの半生を描いた「モーターサイクル・ダイアリーズ」(2003年)でゲバラ役を、「dot the i」(2003)でサスペンス物に、「バッド・エデュケーション」(2004年)でスリリングなゲイ役をこなしている。
監督のアルフォンソ・キュアロンは「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」(2004)を手がけている。
ノスタルジック度★★★★★