2005年09月01日

ゼイリブ

ゼイリブ【1989年 アメリカ】

監督:
ジョン・カーペンター(John Carpenter)

キャスト:
ネイダ --ロディ・パイパー(Roddy Piper)
フランク --キース・デヴィッド(Keith David)


映画史上、主人公が10分間乱闘シーンを続けてしかもバックドロップをする映画はこの映画以外には、絶対ない。そのうえ主人公ネイダ役のロディ・パイパーは〝本当に〟元プロレスラーなのだ。

それだけでもこの映画を観る価値が(たぶん)ある。

B級映画としてよく知られるこの映画の監督は、ジョン・カーペンター。

「ハロウィン」、「光る眼」など、映画世界でも端っこのほうを漂っている何とも言い難い怪しい作品をリリースしてカルトファンを抱えている一人だ(もちろん誉め言葉。アンアンなどで絶対紹介されない映画を作る素晴らしい監督。もちろんこれも誉め言葉)。

主人公のネイダは、いわゆる低所得者。肉体労働の仕事を求めある街にやってくる。

幾つかの現場で断られて意気消沈しているところ、なんとかこぎつけたのは日払いの工事現場。

そこで知り合ったフランクの紹介で、救世軍(?)が援助しているような無料の食事が食べられるバラック区域で住居を構える。周りは総てインテリジェンスとか資産とかと5万光年くらい離れている下層階級の人たち。

このあたりの設定から「ゼイリブ」という映画全体に蔓延している鬱蒼とした寒々しい都会の寂しさにも似た焦燥感が漂ってくる。

ある日、フランクは自分が住むバラック区域に並んだ場所に、教会があることに気付く。

どうもその教会がおかしい。こっそりと覗くと中にあるのは大量のサングラス。なんと、そのサングラスは特殊なサングラスで掛けると、地球に潜伏している宇宙人を識別できるというシロモノだったのだ…。

サングラスを掛けると宇宙人が識別できてしまうという何ともシュールな発想(しかもそのサングラスが実にチープさを醸し出している)もカーペンターらしい。

サングラスから映し出される白黒の世界は〝広告はすべてマヤカシだ〟みたいな感じで、車の広告をサングラス越しに眺めると【BUY】と書いてあったりする。宇宙人が我々を騙しているのだ、的な世界。

地球人が全員、下層階級に統一されているのに対し、文化人やセレブや高所得者は地球人のフリをした宇宙人という設定も主人公の環境との対比もあり、分かりやすく、いい効果がある。

しかしなんといってもこの映画の一番のメインは、なんの躊躇もなしに宇宙人(サングラスを掛けているネイダ以外には地球人にしか見えない)を殺戮してパトカーに追われるシーンと、そのあとそのサングラスを掛ける掛けないでフランクと殴りあう10分間の乱闘シーンだ。

「サングラス掛けろ」「嫌だ」薄汚い裏路地でポコポコ殴りあう主人公達。

きっと誰もが「こんなに長い乱闘シーン要らないだろ」と呟くにちがいない。

でも忘れちゃいけない、それがジョン・カーペンターの映画なのだ。だって監督自身がこの映画の音楽さえも手がけているんだぜ。

ナンセンス度★★★★★

blank_space
投稿者 ko : 2005年09月01日 19:17 | トラックバック(0)
コメント
blank_space
コメントする









名前、アドレスを登録しますか?






blank_space
Trackback
blank_space
Powered by
blank_space