個人的には年相応と思っているわりには一部の方々からはそんなでもないようで、わりと実際の年齢より年下に思われるケースが多い。先週末も表参道でDJをしていたらお客さんに青学の大学生アルバイトと思われていた。昔はもっと酷くて、年齢どころか性別すらも間違われることもあって(大学1年の頃は痴漢に会うことも)、しばし女の子と勘違いされるケースすらあった。
さすがにいまでは女の子に思われるケースはないけれど、19歳ぐらいの写真を見ると「こりゃたしかに痴漢にあうかも」というレベルではある。
当時は体重が52キロ程度でウエストが27インチ、それでいて究極に細いブーツカットを穿いていたもんだからお尻がパッツンパッツンだった。それでいてロン毛だから、もしかしたらせっかちな痴漢には女子に見えたのかもしれない。
まあ、しかし、不幸なのは彼だけではない。微妙な手つきで触られる僕こそが不幸である。徐々に差し迫る手。最初はスリかと思ったけれどそうでもないらしい。手をテクニカルに揺らしてお尻を触ってきて緩急つけて揉んでくるのだ。ガタンゴトンと揺れる電車。吊革が急に遠くに感じる。「あ、そこ、もっと右」とかは微塵にも思わず(もちろんだ)、鳥肌がゾっと立ったのちにすぐに怒りが爆発した。
これは痴漢じゃないかと。
こういう時に一番効果があるのは大声で啖呵を切るに限るよと、高校2年生になる友達の妹が話していたのを思い出した。クルッと振り返り腕を取り「てめぇ、野郎のケツ触ってんじゃねぇぞ」と怒鳴り、次の駅のホームに引きずりだしたのである。
痴漢は触ったことがバレたのと触っていたのが男だったという<1粒で2度の不幸>を味わった男にしか出せない表情で泣きそうになり、立ち尽くした。僕は男なのでケツぐらいじゃ傷も少ないとはいえ、実際に痴漢というのは女の子にとってトラウマになるだろうな。困ったもんである。
女性の多くを敵に回しちゃうかもしれないが、痴漢というのは男に限ったことではないというのが僕の定説だ。もちろん個体数は少ないだろうけれど、女性の痴漢というのは存在する。
事実、高校3年生の時、ラッシュ時間の山手線で僕は遭遇した。年齢は20代後半。見た目に特徴というのは特段見当たらない。ごく普通のOLである。容姿だって悪くない。スタイルもいいし、むしろ綺麗なほうである。
こういう類の定番なのだろうか。やはり差し迫る手。ただ、その手が差し迫るのはお尻ではなく、僕の非常にデリケートで大事な部分だ。オティンティンをクリティカルヒットされた。ジッパーに手を掛けてくるマニキュアの綺麗な指。密室的空間で視線がバッチリ合う年上の女性。僕の手を取り自分のお尻に回そうとする。僕は手を払った。一体全体、いまこの地球で何が起きているのかまるで理解できない。マジでビビった。突然のことで怖くて泣きそうになった。思わず次の駅で途中下車して心を落ち着かせた。
僕が降りようとすると、その女性は何事もなかったように澄ましている。たぶん、周りの乗客も気づいていないだろう。そこで何が起きていたのかを。
過ぎ行く電車の中に映るその女性はごくごく普通の人だった。少なくともラッシュ時に高校生の男子をサワサワする人には見えなかった。元々が乗り合わせている電車じゃなかったので、それ以来その女性に再会したこともない。いまとなっては顔も正確に思い出せない。
そしてウォークマンで聴いていた曲がレッチリの「Give it away」で、悲しいことにこの日を境に僕の中で<痴漢>というと、自然にこの曲がテーマソングのように頭の中を駆け巡るようになった。「ギブレイギブレイギブレイナーーウ」とアンソニーが謳いだすとOLの綺麗な手がお尻を触ったりしているイメージが浮かび上がるのだ。困ったもんである。
ごく稀に今も時折山手線に乗ると、高校3年生の時に出くわした女性の痴漢を思い出すことがある。あの人はいまも都市伝説のように存在して、見ず知らずの誰かの何かを触ってるのだろうかと。どんな経歴でどんな事情があって、痴漢に至ったのか興味本位で尋ねてみたい。
うちのダンナも若いときに山手線で痴女にあったそうです。
容姿の描写がそっくりなので、まさか同じ人ではないだろうけど、
ちょっと派手目な綺麗な人だったそーで。
あまり繊細な感想はなく、ラッキーとかなんとか言ってました。
>通りすがり。さん
ま、まさか同一人物だなんて、そんなことないですよね。いや、まさか・・・。
ご主人さんのように胆の座った行動ができなくて、ひたすら理解不能とビビってました。でもそうですよね、もしかしたらラッキーだったんですかね。ほんと、あの女性は今ごろどうしているんだろうと、ふと思います。