2007年10月22日

朝霧マジック

よく聞く話にあるように、日本以外の諸外国─とりわけアジアやアフリカ中近東─で、喉が渇いたからといって蛇口を捻りゴクリゴクリと水道水をじかに飲むと、のべつなしに数時間後には便所に駆け込むことになる。噂でも誇張でもなく、実際に旅の空では起きて不思議じゃないエピソードだ。

蛇口からでてくる水は一般的にローカルウォーターと呼ばれて、衛生事情が好ましくない地域にいたっては旅人に限らず現地人ですら煮沸しないと口にしない傾向にある。

そういうわけでペットボトル入りの水は決して手放せない存在になる。これはミネラルウォーターではなく、煮沸したいわば<衛生的>な飲み水で、ドリンキングウォーターと呼ばれている。ラベルにも「DRINKING Water」と書いてあるはずだ。もちろんミネラル成分が含まれていないから廉価な値段で購入できる。

清潔大国の日本から第三国に入国すると、なんといっても衛生関係でカルチャーショックを受けること間違いないので、小心者の旅人は歯磨きするにもこの「DRINKING Water」を使用することになる。ところがやがて「ん?もしかしたらそんなに大袈裟じゃないんじゃないか」と安堵感が漂い、歯磨きぐらいだったらとローカルウォーターを使うようになる。まあ、それぐらいだったら平気だし、国によっては免疫が出来てしまえば、うがいぐらいだったら大丈夫なのだ(という発想のもと、ローカルウォーターを無謀にも飲み続け感染症にかかった旅人を僕は知っている)。

カルカッタの木賃宿が立ち並ぶサダルストリートには海とも山とも見分けがつかないバックパッカーがウヨウヨしていて壮大な見応えがあるのだが、その中心に位置するパラゴンホテルは、オールドヒッピー世代の時代から愛された安宿で、パラゴンのドミトリーに数ヶ月居座っているという輩が雨後の竹の子のようにいる(そのドミトリーは結核病棟を思わせた)。

もちろんロクに金を持っていないので、彼らはローカルウォーターをごくごく飲むのだけれど、これは非常に不衛生で肝炎の発症率がグンと高くなる。とある旅人がペットボトルに入った水をくれたので随分と気前がいいなぁと思っていたら、水道水を入れ替えた代物だったと判明して眩暈を起こした。彼らは不衛生・不健康・不真面目をモットーにしているからすぐに肝臓系を壊し、肝炎に罹りやすい。コホコホと不吉な咳をしては「LIV52」というアーユルヴェーダの肝臓強化薬を飲んでいるぐらいなのだ。

生活用水としてローカルウォーターを使用していても、決して飲むには至らなかった僕は不安を抱えて帰国したが、運よく僕は肝炎にならなかった。肝炎は長期的に治療を必要とするから厄介なのである。ラッキーだとしかいえない。とにかくそんな経験もあって、第三国での生活以来、自国に戻っても蛇口からの水道水に妙に不信感を覚えてしまい、ミネラルウォーターを購入するようになった。

最近だと100円程度で2リットルのミネラルウォーターが購入できるのが嬉しい。特にこだわりなく目についたペットボトルで賄っていた水のブランドは、意外にも近所の100円ショップで売られている「朝霧ビバレッジ」のミネラルウォーターで決定的になった。朝霧という名の通り、富士の深井戸が源泉となる水で、一口飲むと少しだけ塩っぽいクセがありつつまろやかな口当たりが広がる。ちょっと侮れない。明らかに他社のそれとは一線を画すテイストである。

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投稿者 ko : 2007年10月22日 19:19 | トラックバック(0)
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