2007年10月24日

田舎も世知辛い

鳥取県の総人口数が都道府県で最下位になったというニュースが流れていたので、東京はどうなんだろうと気になり調べてみた。

そしたら驚いたことに、面積は60パーセント足らずというのに総人口数を比較すると20倍なのである。もちろん東京が。

23区にいたっては、面積は鳥取県の17パーセントで総人口の割合は13倍。ここまでくると何がどうなっているのか数字だけじゃ分からなくなってくる。げに恐ろしき、東京都。

<東京都>
面積 2187平方キロ
総人口 1280万人


<鳥取県>
面積 3507平方キロ
総人口 60万人


<東京23区>
面積 621平方キロ
総人口 800万人


土日に歓楽街に出歩く自分が悪いのだけれど、感覚的に評価しても、たしかに10年ぐらいで劇的に新宿や渋谷の混雑っぷりは加速している。まさに歩けないぐらい混雑しているのだ。

僕が高校生の頃は土日に渋谷をブラブラするぐらいの余裕と言うか、街自体には隙間があったと思うけれど、いまはそんな悠長なことは言っていられない雰囲気である。

ナントカ線とかホニャララ線が主要駅へのアクセスを可能にしたので、昔に比べたら足を運びやすくしているんだろう。人口だけじゃなくていろんな要因が街を飽和状態にしている。

*
*

東京に上京した人がまず真っ先に都会の洗礼を受けるのは電車のラッシュである、というのは大抵誰もがよく聞く話だ。電車を降りても昼も夜も区別無く車が走り、のべつなく人の往来がある。

ところが都心から離れてちょっと秩父あたりの地方に出向くとガラリと様相が変わる。

某年某月の夏休みに秩父に行った時のことだ。大抵の旅館がそうであるように、僕が泊まった旅館も例外なく夕飯の時間が18時ぐらいだった。真夏の18時はご存知の通り夕刻らしくないので、蝉がいつまでも鳴いていて、昼間の太陽がまだ沈まずに最後の暁を振り絞っている。

15時ぐらいだっただろうか、山頂にある喫茶店で珈琲とチーズケーキを食べたから、さほどお腹は空いていなかった。

山で採れた新鮮な山菜天ぷらで有名な温泉宿ということもあり、僕は女将に少し散歩して食事をしたいから18時半に延ばしてもらえるようお願いした。もちろん女将は快諾し「それでしたら18時20分から天ぷらを揚げますので、お部屋でお待ちください」とお辞儀をした。そういう宿なのだ。

*
*

僕は古い街道の景色を眺めながら30分じっくりと散歩したのだけれど、期待とは裏腹に散歩すればするほど妙な胸騒ぎが沸き起こり落ち着かない気分になった。

その違和感は最初は気がつかなかった。思い過ごしかもしれない、そんな風にも思った。

だけどもいつまでも払拭できない奇妙なしこりのように留まるので、歩きつつそれについて考えていたら、どうも街道に原因があることが判明したのである。

普段、人の往来が皆無である通りを歩くことがないので、歩いても歩いてもシンと静まり返っている街の様子に不慣れだったのだ。このあたりでは日常的光景かもしれないが、左右前後に誰も居ない状態で往来を歩くことに慣れていないと、スティーヴン・キングが書く小説の世界に紛れ込んでしまったような奇妙な浮遊感に包まれてソワソワしてしまう。

自己確認できないバッドトリップみたいな感覚である。

結局、ヘトヘトになりながら宿に戻り、何処の部屋からとも聞き分け出来ない程の小さく零れる談笑を耳にして自分以外の他人がいることに安堵感を憶え、ようやく一息ついた。

都心か田舎か。どちらが好ましいのだろう?

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投稿者 ko : 2007年10月24日 19:19 | トラックバック(0)
コメント

田舎の人に言わせれば「都会は毎日お祭り」って正にその通りだよね。

私は最近全然都内に行かなくなったな~。
首都高も以前に比べて最近はいつでも混んでる気がするし、車生活ばかりしていると電車に乗ること自体がおっくうだし。
だから郊外型のショッピングモールばかり。

ネットが普及して何でも手に入るし、その環境さえあれば埼玉でももっと田舎でもいいや~なんて。
とにかく人ごみはもうゴメンだな。

Posted by: エンガワ at 2007年10月25日 00:18

買い物に限れば選択肢が増えたから都会じゃなくとも大丈夫だよね。俺も人ごみは嫌い何だけど同時に閉鎖的な付き合いも苦手だから、そこそこに田舎でそれでいて人の流れが流動的な街(ベッドタウンじゃなくて、街としての街)に憧れるちゃう。

東京だったら秋川あたり、それ以外だったら北九州、行ったことがある場所だとこの2都市が条件兼ね備えてるんだよなぁ。

Posted by: ko at 2007年10月26日 09:37
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