「おじいちゃん、おじいちゃん、あけましておめでとう。はやくお年玉ちょうだい」
「おやおや、あけま・・。バ、バカモノ。何を言っているのじゃ。まだ12月だから明けてなんかおらんじゃないか。これから大晦日を迎えるのじゃ。お年玉はまだお預けじゃよ、孫よ」
「えー、いいじゃん。もう、おじいちゃんのケチ!」
「おじいちゃんのケツ?おじいちゃんはお尻なんぞ出しておらんぞ」
「ちがうよ。おじいちゃん・・。そうそう、ねえ、おじいちゃん、教えて欲しいんだけど、なんで大晦日になると除夜の鐘を叩くの?」
「むふふ。なんでもおじいちゃんに聞いてごらん。おじいちゃんは物知りなのじゃよ。除夜の鐘かい。ありゃ、百八つあるという人間の煩悩を解くためにお寺で叩かれるのじゃよ」
「わぁっ、おじいちゃんすごーい。ほんとなんでも知っているんだね。おじいちゃん煩悩ってなに?お茶とか乗せるやつのことなの?」
「孫よ、そりゃ煩悩ではなくてお盆じゃよ。ちなみに漫才ブームに一世風靡したのといえばザ・ぼんちじゃよ。おさむちゃんで~すと舞台で言っただけで客席がドッと沸いてじゃな、そりゃもうあの時ばかりはこのワシも・・・。ゴホン、ぼ、煩悩じゃったな。つまりじゃな、人間が持つ欲望や苦悩は百八つあってじゃな、そういった欲を解き放ってくれる有り難い鐘なのじゃ。鐘が一つ突かれるごとに人々は仏様に近づけるのだよ。みんなで集まって感謝をして祝うのじゃ」
「そっかー。とっても偉いんだね、除夜の鐘って。だから隣の家のお姉ちゃんとこは、毎年31日に男の人がやってきて百八回アンアンッて大きな声で喜んでいるんだね」
ゴォーーン。
それでは良い年を。