今月、およそ1年ぶりに山梨に帰省する。
僕は生まれも育ちも東京で、夏休みや冬休みに預けられていただけだから、山梨といっても実際には<帰省>という定義に当てはまらないのに、物心ついた時点から自分の皮膚感覚として山梨は「帰る場所」と捉えている。
慣れ親しんだ風景の中に身を置くだけで心が安らぐのだ。
甲府駅からさらに内陸部に位置するので、交通の便が芳しくないという理由から今回も高速バスで向かう予定だ。
2日間の滞在。往復で4400円は、まあ悪くはない。
日頃から高速バスの旅というのは最も一人旅に向いている移動手段ではないだろうかと僕は思っていて、電車のそれに比べると格段と自分の世界と旅情に浸れる向きがある。ウォークマンと、文庫本もしくは雑誌。
少ないけれどたったこれだけのアイテムがあるだけでグッと旅が親密になる。バスの停留場近くにドトールかスターバックスがあれば乗りがけにテイクアウトするのも一興だ。窓側席が確保できれば申し分ない。
一般車両と比べて車高が高いので、普段見慣れているはずの景色でも、何だか特別に映るのが醍醐味である。車窓を流れる景色を愉しみつつ目的地に進み、高速道路に入るころにはうつらうつらと居眠りをしてしまう。
今月の帰省については、タイトな滞在期間もさながら、親戚関係の行事に参加をするので、日中はプライベートな時間がなかなか取れそうにない。
ただ、近所の酒造がオリジナルのワインを醸成して販売しているので、ボトルを何本か購入する時間だけは確保したい。これが結構旨いのである。