インドでは地理上の関係から東西南北のいずれの場所でも、チベタンに出会える。
ゴアにはチベタンレストランがあって、そこでチベット料理に舌鼓をうった。アンジュナビーチからカラングートに抜ける途中に、チベット人医師の診療所があって、そこでチベット医学による診療をうけた。
チベット人医師は慎み深い目で僕に「もし夢の中で辛いことがあったら、これを飲みなさい」と黒くて苦味のある丸薬をくれた。
僕はその頃、派手な遊びが影響して精神的に不安定であり、実際に<夢の中で辛いこと>があって、どうにかしたいと旅行中考え悩んでいたので、ただただチベット人医師の指摘に驚くばかりであった。
「どうしてそんなことが分かるんですか」と訊ねても、幾分か頷き、ニコニコとブッダのように微笑むだけであった。またゴアのフリーマーケットではチベット人から琥珀(アンバー)を譲り受けた。 (写真)
ただ、必ずしもすべてのチベタンが善良ということでもない。ネパールではチベタンに騙されたこともある。だから一概には言えない。
一方、必ずしもすべての中国人が悪鬼ということでもない。僕は何度か中国人に助けられている。サンフランシスコのチャイナタウンで、見ず知らずの僕に一宿一飯を提供してくれたチャンさんのことは一生忘れない。
たしかに中国思想というのはあるけれど(←どうしようもなくかなりの自己中心的な考え)、それを差し抜いても全員が全員悪いとは限らないのだ。むしろ、そのような全体的理論は危険だ。
でも、正しいこともあれば間違ったこともある。個人という枠組みを抜けて、国家的イデオロギーが及んだ中国に果たして正義が存在しているのか疑問である。
週末、僕はデモに参加する。旅先で出会ったチベタンのために。
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