土曜日にひさしぶりに地球家のパーティに行ってきた。
ゴアギルが来日していて、パーティが都内某所で開催されると耳に挟んだのだ。海に面したエリアの巨大なゲームセンターを改造した箱がパーティ会場。ゴアギルはディファで踊ったのが最後だったので、じつに3年ぶりぐらいである。
細分化し続けるトランスのなかでもゴアギルの音楽は所謂ダークトランスと呼ばれ、重々しい曲調が特徴的で、BPMは146以上で心拍数をあっさり超える殺人サウンド。好きな人は好きだけど苦手な人は苦手、そういった意味では音楽的といえよう。僕はわりと好きだ。(朝方にキラキラしたラエリ系トランスで海見ながら哀愁いっぱいにみんなで涙を流すのも好き)
さて、そのゴアギルの音楽(あるいはそのプレイ)を、パーティフリークは<儀式>と命名して、崇めたりしているが、実際にパーティに赴くと、なぜ彼らがそこまでしてゴアギルを崇拝するのか、きっと一瞬で理解できるだろうと思う。のべつなくうねりだされる146BPM超えのトランス、AメロとBメロのあいだのブレイクが極端に少ない攻めまくりの繋ぎ。心の深淵を覗いたらそこには暗黒空間が永遠に拡がっていた。そんな気分にさせてくれるDJ。
禅問答の修行の観が漂う。これを儀式と呼ばずしてなんて呼ぼうか。
そんな音楽性に共鳴を起こすと、フリーク達は踊りまくる。5時間とか6時間とか10時間とか。
僕はすっかりメタボリアンと化したので、こりゃゴアギルダイエットだなと思ったりした。あるいは「ゴアギル ザ ブートキャンプ」だ。6時間踊っても苦にならないというのは、やはり稀有な存在である、ゴアギルは。
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ところで、今回の地球家のパーティで、MSYS君にひさびさに再会した。
去年の春渚のパーティ以来である。MSYS君は、フロアでクールな顔をして踊っていると思いきや、その脳内では「見えない猫を肩に乗せてその猫のお尻をクンクンと嗅ぐ」という妄想を繰り返しているホンモノで、なかなか興味が尽きない人物である。
MSYS君は Fatal Discord という名前で音楽活動をしていて、なんとそれがゴアギルのチャートにインしているのだ。これはトランス業界では、とんでもなく栄光されるべき偉業で、映画監督がヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を取るのよりも凄い功績である。
「トランス オブ トランス(トランス界のトランス)」と呼ばれるゴッドのチャートに入るなんて凄すぎるのだ。
今回のゴアギルのプレイでもMSYS君のトラックが流れたらしい。なぜ<らしい>というかと、じつは僕はパーティ会場に向かう矢先でお腹を壊して駅前のミニストップに駆け込んでいたのである。踊る前にお尻周りがすっかり160BPMな状態で、トイレで一足先にサイケデリックに陥っていた。
そんなこんなで聞き逃してしまったのである。不覚。
それにしてもMSYS君、さすがだ。自分の友達の曲が世界に広がるなんてのは、まるで自分のことのように嬉しい。
サイケ万歳。トランスよ永遠に!