東京で呑み屋を<上手に>経営したいなら、野球の話と宗教の話と政治の話をしちゃいけないとはよく耳にするもので、夜が訪れるたびに一心不乱に酒場の扉を叩く身としては、酒精で滲んだ記憶をまさぐりつつ、なるほどと頷くばかりである。
東京は読売巨人軍の本拠地なので、やはり巨人ファンが何処の酒場にもいたりするわけだけれども、同時に熱心なアンチ巨人もいるものである。だからシェイカーを振るだけに留まらずに、うっかりと巨人軍に対しての見解を述べるものならば、あとは想像するのもウンザリする口喧嘩の応酬が待っているのだ。
宗教についても同様である。東京には戦後最大の某宗教の本拠地(っていうのだろうか)があるので、圧倒的に信者が多い。と同時に、そこにはアンチも必然的に存在するのである。だからツマミを差し出すだけに留まらず、つい宗教観について一言挟もうなら、それはもう、辟易とした食傷気味な夜がアングリと口をあけているのだ。
政治についてもこれまた然り。地盤的には自民党が強いとは言いがたい土地柄だけれども、それは上述の2つの命題と同じだ。ただ、修羅場が待つのみである。
そこで、もし、貴方が東京で一旗挙げようと堅く決意していたら、このルールを覚えておいて損はない。
少なくとも、大切なお客を3人減らすことは防げる。
東京で呑み屋を経営するなら、野球の話と宗教の話と政治の話をするなである。
さて、先日、サルが猿山から下りてきて、緊急会見で質問してきた記者に言い訳するように「あなたとは違う」と呟いた。だとしたら、彼はいったい誰とは同じなんだろう?それとも誰とも同じじゃないのか。
ふー、酒でも呑みに行ってくるか。