2009年12月26日

─2009年俺マイTop10─

順不同でココロに残った映画やら音楽やらアイテムやらをつらつらと。

===

再会「旅の出来事」
たぶん奇跡ってこんなことを指すんだろうと思う。97年、僕はインドのゴアから北上してヴァラナシに滞在していた。ガンジスの名で日本では馴染み深いヒンズー教徒の聖地だ。ゴアから北上する多くの旅人がそうであるように、彼らは一様にヴァラナシで移動の足をピタリと止める。大抵がこの地で体調を崩すからだ。僕らも例外ではなく、1週間の予定が10日となり、2週間となりずるずると延泊していた。旅のスケジュールは白紙だから延泊することは大した問題じゃない。それより、このまま延泊したらそのうちサドゥーみたいに河原で物乞いをしなくちゃいけないんじゃないかって心配するぐらいだ。その滞在期間の幾日目に僕らはラビリンスのようなヴァラナシの路地裏で彼らにあった。ステファンとスザンナ。当時、トランスを好きで旅している輩は目配せしただけで打ち解けたりしたのだ。まるで何かいけないことを共有しているような一体感。僕らも例外なくウィンクした。で、それだけで十分だった。その日から僕がジジイになったって絶対忘れないだろう、刺激的な毎日が待っていたのだ。我々は陸路でネパールに入り、数ヶ月滞在して、またインドに戻り、そしてタイで再会し、パンガン島のフルムーンパーティでお別れした。それきりだった。あれから12年。もう一度我々は再会した。この日本で。幾つもの偶然を重ねて。それは本当に偶然の再会だった。だから、たぶん奇跡ってこんなことを指すんだ。神様がすこしだけやんちゃして僕らを楽しませたりしているのだ。

*
*

10年「酒場」
僕が本当に心を許した仲間だけ連れて行くある酒場がある。飲み物はキャッシュオンで、何でも500円。カウンターだけの店で、真空管のアンプからジャズのレコードが流れる店。カウンターにあるおつまみは、どうぞご自由にという酒場だ。10年前に僕はその店の扉を勇気を絞って叩いた。何せ、酒場なんてせいぜい吉祥寺のいせやに行く程度の年頃だ。ジャズが流れる店だなんて縁もゆかりもない。でも不思議なもので、その店のマスターが醸し出す温かい雰囲気を、僕はすっかり気に入って、足掛け10年、この店に通った。夏の夜は、家でシャワーを浴びて太陽のにおいがする真新しいTシャツに袖を通して遅くまで、寒い夜はホットウイスキーで、暖を取った。一人で行かない晩は、気の許せる友達だけを連れてった。去年僕が表参道でDJしていたのも、じつはこの店のマスターの縁があったからなのである。そのお店は残念ながら今年の5月に二代目に譲られた。それと同時に僕の中でのこのお店の歴史の幕も閉じたのだ。僕はこのお店で過ごした思い出を手つかずのままに残したかっただけなのだ。二代目は二代目の思い出という器用な真似ができれば僕だって苦労はしないんだけどね。

*
*

RICOH「GR DIGITALⅡ」
デジタルコンパクトカメラ、通称デジコンは汎用性があって、カメラの間口をグッと広げたと思うけれど、リコーのカメラだけは、人を選ぶ気がする。そんな気持ちになることがふとある。なんか特有の癖があるのだ。それに魅了された人は必ず言う「リコーでしょ」と。僕も同類だ。リコーの魅力にしっかりとハマった。たしかに扱いづらい。キャノンだったら楽だろうなぁって構図もある。でもこの徹底としたマニアっぷりがいいんだよなぁ。デジコンは買わないなんて宣言していたけど、これだけは別だった。そうそう、来年は銀塩がまた復活する兆しらしいね。

*
*

海外「バリ島」
6年ぶりに海外に出た。門司港から韓国の釜山まで船旅して以来である。何度目かのバリ島。テロ以降に訪れるのは初めてだった。いつもクタに入り、ウブドに滞在し、またクタに戻る行程を、直接ウブドにインした。2週間滞在し、行きと帰りは台湾に一泊した。ウブドの滞在は本欄にある某酒場のマスターのお世話になったのだ。彼はバリ島で彼女とセカンドライフをしている。バイクを借りて、毎日駆け抜け、エステやマッサージを受けてたくさんリラックスが出来た。僕がかつて知っていたバリ島の面影は少なくて、すっかりリゾート地と変貌しても、やはりそのパワーは健在だったのだ。日本だと鬱陶しい雨も古い屋根が広がるウブドではとても心地よくて、22時になると、もう瞼が重たくなってずるずると寝てしまった。身体の緊張がほぐれている証拠だ。田園が見渡せる夜もやっている秘密のカフェでガムランの響きに包まれて、ビンタンビールを呑み、談笑して・・・。いつでもおいでと心強いお言葉を頂戴したので、また近いうちに行きたいものである。バリ島のセカンドライフも悪くない。そしてクタビーチ。そこはカオサン通りのごとく変貌を遂げていて、路地裏にまでびっしりと店が連なり、表通りは全部の店が入れ替わっていた。東京みたいである。ただ、スペーストライブの工場だけはいつもどおりだった。猫がいて商品がざっくばらんに置いてあって。2つほどだけ購入した。だって後は全部ギャルオみたいな洋服なんだもん。

*
*

国内「沖縄」
海外が6年ぶりだとしたら、沖縄はなんと23年ぶりである。12月に訪れた沖縄は気温が25度で、夜になってようやく落ち着く程度。レンタカーもクーラだし、ホテルもクーラー。だってホテルのプールで泳げるくらいだから。キャンプコートニーという、特別開放された基地のクリスマスパーティを攻めて、夜は白百合の古酒(クースー)でしたたかに酔い、記憶をなくして、ホテルで先に寝た友人にボディアタックをして、ジャッキーステーキハウスで分厚いステーキやら市場近くで沖縄そばを食べて、琉球のTシャツを買い、22階の特別なスウィートも抑えてラモスを見かけたりした。混沌とした猥雑な熱帯の夜は本土とかけ離れていて、すっかり気に入った。それにしても12月で25度はとてつもないよね。
*
*

開始「Twitter」
遅ればせながらもTwitterを今年から始めました。このサービスは何年ぶりかの昂奮で、思わず沢山の人に勧めている毎日である。我が社の社長も、つい先日やり始めて話題に・・・。まあ、それはいいか。チャットとSNSを足して因数分解したようなコミュニケーションツールは、140文字という限定された文字数でポストするにも関わらず、病み付きになる。自分の視座から見るタイムラインと呼ばれる多数のポスト。自分がフォローしている人の投稿が表示されるのだ。なんかサイバー空間に在る喫茶店で、いろんなグループがたむろしていて、その会話が文字化されているような感じ。そして、一番このサービスがしっくりくるのはiPhone使っているからである。豊富なクライアントツールがたくさんある。もちろん無料で使いやすい。最近こそモバツイという携帯向けサービスを提供したTwitterだけれど、自分のドコモ端末じゃ正直やる気がしない。iPhone、みんな使えばいいのに。特にTwitterする人は。そこの君、マイミクお願いしますとかメッセしている場合じゃないぞ。そんなこんなで、むしろ最近はiPhone使いでTwitterしてない人は何しているんだろう?と思うぐらい。当分はこのサービスに首ったけである。

*
*

三好銀「いるのにいない日曜日」
このタイトルだけでピンと来た人は、相当の漫画マニアだろう。この作者生きているのかしら?と死亡説すら流れた三好銀が、91年~94年にスピリッツで掲載していた「三好さんとこの日曜日」の未収録作品の初単行本化である。およそこの先数十年経ったところで市場でお目にかかれるなんて思ってなかったので、感涙モノだ。買わないわけがない。というより、「漫画ばっかり読んでいるとそのうち漫画家になっちゃうわよ」と叱られつつも幼少から漫画を読み漁っている僕の中で、この作品は最高だ。一位二位を争う。中央線沿いらしき駅に住む、三好さん夫婦と飼い猫の物語。明日がたとえ月曜でも日曜日っていいよね。日常的な出来事を漫画にして、ほのぼのと、どこか哀愁漂う作品に仕上げている。「三好さんとこの日曜日」は残念ながら絶版だけれども、こちらは今年の12月25日に出たばかりなので、手に取りやすい。暖かい日曜日を想いつつ。

*
*

Shpongle「Ineffable Mysteries From Shpongleland」
こちらも待望の1枚。シュポングルの4枚目のアルバムだ。トランス界の重鎮ラジャラムと、Hullusinogen名義で有名なサイモンのユニットが奏でる音楽は、トランスというジャンルを超えて幅広い層に支持されている。これまでの3枚がすべて名作であり、トランスという音楽業界の中でも極めて流行り廃りが激しいジャンルにも関わらず、これらのアルバムは僕個人はもとより多くのトランスファンにとっても殿堂入りの作品なのである。四つ打ちと呼ばれるキックが強くて145bpmあるような激しい曲でもないし、かといってゆるゆるのアンビエント、というわけでもない。踊ろうとおもえば踊れるし、チルしようと思えばチルできるのだ。まるで禅問答みたいだけれど、シュポングルの音楽ってどこかそういう趣きがあるんじゃないかしら。

*
*

仕事「ユニオン」
業務歴は長いけれども社員歴は大卒並みなのに、どういう風の吹き回しか、数千人の代表メンバ二十数名の一人に選ばれて、毎週火曜日は19時から会議をしたりしております。これがなかなか刺激的で、たしかに本業じゃないので、本業が繁忙になると三途の河が見えかけたりしますが、やり応え十分あり。なにしろ背中に数千人の社員を背負っているので。その一環で名古屋に遠征したりもして社内の人的ネットワークも広がっております。本業で被らない人とは徹底的に被らないマンモス会社なので、こんな機会があると有難かったりする。なお、この仕事、俗に3年続けるらしいので、まあその覚悟で。3年後にはdelta君に持ちかけようじゃないか。

*
*

映画「This is it」
ケーブルテレビに加入しているので、DVDと上映モノを併せると70本ぐらい新旧作を観ている中で栄えある第一位はこれである。なぜこれかというとそれは「This is it」が<今年の映画>だから。僕が言うまでもなく、世界一のポップスターが今年天に召された。僕は全然マイケルジャクソンなんて聴いてもないのに、あの日から流れるそのほとんどの曲を知っていた。だからこそ彼は最高のポップスターだったのだ。奇しくも同じ誕生日のマイケルの映画を上映最終日のレイトショーで観た。僕は後にも先にも会場が妙な熱気に包まれているレイトショーを観たことがない。それは本当に異様な光景だった。まるでライブ会場に足を運ぶかのような観客たち。映画のネタバレになってしまうが、この映画はマイケルのロンドン公演のリハーサルを映したもので、世界中から集まったガチなマイケル馬鹿ダンサーも映っている。彼らはマイケルと一緒に踊れるだけでションベン漏らすような大ファンなので、リハーサルといえども大拍手大喝采でマイケルを称える。1曲が終わるたびに拍手して口笛を鳴らすのだ。だから映画館にもその拍手が鳴り響いた。同時に僕は思った。最近のドルビーサウンドは半端ないなと。まるでその場に居るような臨場感なのである。でもおかしいな、こないだ観たターミネーター4でもこの臨場感はなかったぞ、と振り向いた瞬間。映画観ている人たちが泣いて拍手していた。ものすごい場所に来てしまったものである。さて、マイケルは本当に惜しいと思う。この映画を思い出すだけで少し涙が出てくる。たっぷりと愛の詰まった作品である。

===

そんなこんなで、来年も with L-O-V-E で。

blank_space
投稿者 ko : 2009年12月26日 18:18 | トラックバック(0)
コメント
blank_space
コメントする









名前、アドレスを登録しますか?






blank_space
Trackback
blank_space
Powered by
blank_space