前大統領:
「まあひとまずは僅差だとはいえ、君の政党の勝利だ。今回は政権の座を譲ろうではないか。とりあえずは前政権としておめでとうと、一言私から直接言おう」
現大統領:
「いえいえ。政党が違えど、我が国を想う気持ちは同じ。やはり私は先人から学ぶことばかりです。ぜひ今後ともいろいろとご教授ください」
前大統領:
「その君の謙虚さがきっとこの時代にマッチングしたんだな。私は多少強引なやり方だったのかもしれん。ところで前政権として相談なのだが・・。」
現大統領:
「相談だなんて、めっそうもない。何でしょうか」
前大統領:
「いや、ほら、アレだ。例のヌーディストビーチ撤廃の件だが。あれは勇み足じゃないだろうかね」
現大統領:
「ああ、そのお話でしたか。参謀長官にも伝えましたが、あれはあくまでも民衆の声を私は政策として掲げただけですよ。民衆は求めてない。それだけです」
前大統領:
「いや、そうはいってもね、君。アレはあれでいいものだよ。私も寄宿校時代のヴァケーションで行ったものだ。民衆の声も大事だが、世の中にはガス抜きだって必要なのだよ。そう頑なにならなくてもいいじゃないか。」
現大統領:
「だから貴方には成し遂げた政策がないのですよ。戦争やって終わりじゃないですか。政治はそうじゃない。あんな海岸は明日にでも禁止するべきです。開放する理由なんてない」
前大統領:
「君も案外頑固者だな。君は本当のヌーディストビーチを知らないから、頭ごなしにそう言うのだ。こうやってだな、ズボンを脱いで私の自由の女神を太陽にさらしてだな」
現大統領:
「まったくこんなところで突然脱いで。そんなことが許されるとでも。親子2代続いた政治一家だとしたって、いまは私が大統領だ。そこまで食い下がらないなら、いっそのこと白黒つけようではないか」
前大統領:
「白黒? 白黒ならとっくに我々の肌の色でついているじゃないか。」
現大統領:
「・・・」
ゴォオーーン。
良いお年を。