2010年03月29日

ヤング@ハート

世界一いかしたロックンロール・コーラス隊、ほんとにそう思う。

アメリカのマサチューセッツ州ノーサンプトンから来日した平均年齢80歳のおじいちゃんとおばあちゃんの(彼らはまた戻ってくるとライブ中に宣言したけれど)、おそらくは最後になるかもしれない、最初で最後の来日公演の最終日が渋谷の文化村オーチャードホールで2010年03月27日にあったので、行ってきた。

もしかしたらみんなはドキュメンタリー映画「ヤング@ハート」で知っているのだろうか。僕の周りの映画好きが「おい、これだけは絶対に観ておけ」と絶賛する映画作品に必ず入っている一作である。

そして僕もこの作品を一押しする。

だってこの映画には掛け値なしの愛が詰まっているから。歌は元気にしてくれる。

もし誤解を招くようだとしたら、断っておくべきだろう。この映画─あるいはこのライブ─は、決して寂しい老人たちを慰労するような老人ホームやデイケアの要素は見当たらない。彼らは実にプロ意識で音楽をこなしているし、そして若者になんて負けないぞみたいな世代構造も見当たらない。

純粋に一緒に音楽を楽しもうぜという想いがそこにある。それは本当にピュアで、人々を惹きつける。年齢が年齢だけにライブの最中に何人かは実際に先にあっちに逝っちゃっているけれど、「仲間が亡くなった時こそ歌う事が大事だ」と彼らは言う。そして歌い上げるのはパンクの王道やらハードロックの王道ばかり。

おいおい、80歳のおじいちゃんおばあちゃんがだぜ。

この日は最後の公演日ということもあって、オーチャードホールは満員御礼。まずは最初にイントロのビデオが流れ、総勢25人のおじいちゃんおばあちゃんのコーラス隊が颯爽と登場。そしてストーンズの「You can't always get what you want」をおばあちゃんが一人ソロで歌い上げる。

オーチャードホールの演出でステージの両端に日本語歌詞が同時に流れる。僕らはありったけの拍手と喝采で迎える。口笛を鳴らす。これが僕らのホスピタリティだ。

続いて2曲目にニルヴァーナ。天国のカートコバーンも驚いているだろうね。90年代キッズじゃなくて戦前のキッズが歌っているから。

そして指揮者のボブ・シルマンがステージ下に登場。彼の選曲がヤング@ハートを際立てているのだ。歌詞を見ると、なるほどこの曲を選んだ理由が分かるなってのはたくさんある。コーラス隊はステップを踏んでダンスをすることもあれば、しっとりと歌い上げたりもする。気持ちがいい。

僕はたぶん4曲目あたりからは泣いていた。ソニックユースで泣くだなんて、ね。

後半、観客が総立ちしたのは、ボブ・シルマンが「次はキングオブポップ」とMCで言ってからだ。黒人の背の高いおじいちゃんが「I want you back」を歌い、僕らはもう総立ち状態。手を叩き一緒に踊った。

そして続いて「Man in the mirror」だ。鳥肌。

「If you wanna make the world a better place(もし世界をよりよくしたいと思うなら) take a look at yourself and then make the change(自分自身を見つめていこう。変わるのは自分からだ)」とおじいちゃんが歌う。MJの映画「This is it」とダブって涙が止まらなかった。嗚呼、こうやって文章に書いて思い出すだけでまた涙が出てくる。

さらに日本だけのボーナストラックも。日本語の歌だ。

「上を向いて歩こう」はベタなので、どことなく予想が立っていたけど、続いておばあちゃんがマイクスタンドに立ち「どーぶーねーずみ みたいにー」と歌うじゃないか。

もう観客全員が一緒に熱唱である。アメリカのおばあちゃんと「リンダリンダー」だってさ。信じられない。そして、「雨上がりの夜空に」。僕の周りのお客さんもみんな世代を超えて泣いている。ボブ・シルマンは「次ん時は全部日本語の曲だな」とMCで言って、みんなが大爆笑した。

アンコールはEAllen toussaintの「Yes we can can」とBob dylanの「Forever young」。拍手が止まない。会場で拍手がこだましていた。

僕ら数千の観客は決して同情だとかそういう気持ちで泣いてはいない。老人ホームを慰労するような気持ちでライブに参加していない。いや、むしろ、それはロックバンドを観るのと同じ気持ちで観ている。だけれど、泣くのだ。なんでアメリカ人のおばあちゃんが歌う「雨上がりの夜空に」で僕たちは泣いているんだ?これが感動なのかもしれない。

どうして80歳の老人が歌うソニックユースに胸を打たれているんだ?

ぜひ映画を観て欲しい。

ヤング@ハート 2010.03.27 @Orchard Hall,Shibuya Bunkamura

01.Intro Video
02.You can't always get what you want /The rolling stones
03.Come as you are /Nirvana
04.schizopherenia /Sonic youth
05.Dancin in the dark /Bruce springsteen
06.White rabbit /Jefferson Airplane
07.Somebody to love /Jefferson Airplane
08.Purple Haze /Jimi hendrix
09.Martha /Tom waits
10.Heaven /Talking heads
11.Road2nowhere /Talking heads

(休憩)

12.Film:Stayin'alive music video
13.She'w not there /The zombies
14.Please send me someone to love /Percy Mayfield
15 Baby please don't go /James brown
16.Dissapear /Brave combo
17.Cure for pain /Morphine
18.Waiting room /Fugazi
19.I wanna be sedated /The ramones
20 I want you back-Man in the mirror /Jackson5,MJ
21.Changes /Phil ochs
22.I'm so tired /The beatles
24.上を向いて歩こう /坂本九
25.リンダリンダ /ザ ブルーハーツ
26.雨上がりの夜空に /忌野清志郎
27.Walk on the wild side /Lou reed

(アンコール)

EN1 Yes we can can /Allen toussaint
EN2 Forever young /Bob dylan

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投稿者 ko : 2010年03月29日 22:22 | トラックバック(0)
コメント

文章力、ライブ感の表現力、すごくいい、日本での初ステージ川崎公演を思い出しました。私は62歳ですが彼らのライブに感動、興奮して涙を抑えられず、立ち上がって一緒に歌いました。東京か横浜でもこんなご長寿ロック合唱隊があれば参加して人生を楽しみたいですねェ。

Posted by: iZ-iZ at 2010年08月13日 14:34
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